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BACK TO THE OCEAN Chapter4
第23章 フォースネットワーク【2】
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「なんて書いてあるんだ?」
「えっと……どうやら僕達が予想していた通り、今はセントラルタウンの外れにある、マグナブラ兵団の駐屯地内部にある留置場に、留置されているみたいだね……内乱幇助罪で起訴され、裁判は五日後に行われるそうだ」
「五日後……そこはテレビで言ってた情報通りってことか」
「そうだね。裁判が近づけば近づくほど、レイカーさんとの接近は難しくなるだろうし、やっぱり作戦は早めに実行した方が良さそうだ……ん……これは」
「どうした?」
「ここに第三留置室収容って丁寧に記されてあるよ。つまり彼は留置場の、この留置室の中に収容されているってことだ」
「ほう……じゃあこれで侵入した時、レイカーさんをいちいち探す手間が省けれるってことか」
「そうだね。あとはこの駐屯地の見取り図なんかが手に入れば、なお良いんだけど……探してみるよ」
そしてまた再び、マンハットは黙ってキーボードとマウスを操作し始める。
さて……またマンハットが情報を探り当てるまでは、機械のことについてよく分からない僕は、大人しく待機をすることになるわけだが……と、周囲を見回してみると、ライフ・ゼロが色々なランプが点滅している機械を、興味津々に見つめている姿が目に写った。
「どうしたんだ? 何か見つけたか?」
僕はそう言ってライフ・ゼロに近寄るが、奴は僕の方には見向きもせず、ずっと機械を見つめたままだった。
「別に……ただ部屋中にある、このチカチカ光っておる箱は何だろうと思ってな」
「ああ……確かに僕も気になってた」
マンハットの操作しているネットワークターミナル以外は、まったく同じ箱状の物が連なっているだけなので、一体この箱はどんな物で、どんな役割を果たしているのか、疑問に思っていた。
僕達の都合の悪い物であれば、破壊する必要もあるし……。
「それはサーバって言って、所謂、情報を保存しておくための貯蔵庫なんだ」
するとマンハットは、作業する手を止めること無く、モニターから目を離すことも無く、僕達の会話にするりと入り込んできた。
「ほう……情報の貯蔵庫か」
それを聞いて、腕を組んだまま更に関心するように、目の前のサーバという物を見続けるライフ・ゼロ。
「マンハット、ちなみにこれってどれくらいの情報が入るの?」
僕の無茶振りに、「えっ?」と言って、困った反応をマンハットはしてみせた。
「どれくらいと言われても……どうだろうなぁ……」
「う~ん……例えば、本なら何冊分くらい?」
僕としてはそれで、困惑しているマンハットに助け舟を出したつもりだったのだが、しかし彼は「ええっ? 本って言われても……」と呟き、更に彼の頭を捻らせてしまうという、追い打ちを掛けてしまった。
「そうだなぁ……正確に何冊分かっていうのは、僕にも分からないけど……でもここにあるサーバだと、多分マグナブラにある、国立図書館の四分の一の本のデータくらいは、軽く収容することはできると思うよ」
「ほう……なるほど」
マンハットがせっかく頭を捻って捻って、ようやく出してくれた答えではあるが、しかし国立図書館の半分とか、全部とかだったら、はっきり「スゲェッ!」と、素直に感動することができたのかもしれないが、しかし四分の一と言われても、僕にはあまりピンとこなかった。
だけど、いくらマンハットの答えに僕がピンとこなくても、僕から質問をしておいて、何の反応も返さないというのは、彼のせっかくの好意を無下にすることになると思い、僕はとりあえず、相槌だけ打っておくことにしたのだ。
というかそれよりも、僕にはマンハットが、そんな喋ったり考えたりしながらも、素早く作業する手をまったく止めてないことの方が、素直に感動することができた。
「ふむ……つまり今までは書物に記録されていた物が、これからはこの箱の中に記録されていくことになるかもしれないということだな」
しかし、今の僕の浅はかな質問から、ライフ・ゼロはそんな、意味深なことを言ってみせた。
「そうなっていくだろうね。書物は一度書き加えると、修正が利かないというのもあるし、なによりも時間が経てば劣化してしまう。だけどこのサーバに保存されているような、デジタルのデータは、修正が比較的簡単にできるし、なによりも、何年経っても劣化することが無いからね。だから半永久的に、記録を後世に残すことができるから、後々こっちが主流になっていくだろうね」
「半永久的ねぇ……」
二十四年しか生きていない僕にとっては、半永久的に記録が残るというのは、果てしなさ過ぎて、ただただすごいなぁ……の一言しか出てこないのだが、しかし何百年と生きているライフ・ゼロには、何か思う節があるのだろうか、神妙な面持ちでそう言って、目の前のサーバを見つめていた。
それから特に交わす話題も無く、ここの見張りも戻って来ることも無く、数分経ったところで、再びマンハットが声を上げた。
「おっ……これは……」
「ん? 見取り図が見つかったの?」
僕はマンハットの声に反応し、ネットワークターミナルの前へと歩み寄った。
「いや、見取り図はまだなんだけど……でもレイカーさんの事件のファイルを探ってたら、レイカーさんが支援していた、過激派デモ部隊の情報ファイルが出てきたんだ。それで、そのファイルの中身を見たところ、過激派デモ部隊の構成員十五名の内、六名がネプクルス・ロジャースさんの船の元船員らしいよ」
「ほう……ということは、レイカーさんは昔の仲間に向けて支援をしていたってことか?」
「そういうことになるだろうね。しかもこの六人も今、レイカーさんと同じ、兵団の駐屯地内部にある留置場に捕らえられているみたいだ」
「なるほど……じゃあもし彼らも脱走させられたら、それで七人、僕達は一気にクルーを集めることができるってことか」
「そういうことだね」
「ふうむ……」
とは言ったものの、一人ならまだしも、七人を脱走させるとなると、難易度は一気に急上昇してしまう。
一斉に七人もの人間が動いたら、それこそどんな間抜けな警備をしていても、異変に気がつくだろうからな。
ましてや今はあの駐屯地には、駐兵だけでなく、セブルスがマグナブラから連れて来た兵士達もいる……ガードが厚くなっている今、あまり高望みが過ぎると、それは死に直結する。
二兎追う者は一兎も得ずという言葉もあるし……得るどころか、失うリスクの方が高いと思うし……どうするべきか……。
「……とりあえず、実行するかどうかはその時の状況で決めるとして、彼らの情報だけ今はもらっておくことにしよっか?」
そんな、頭を抱えて決め兼ねている僕を見て、マンハットがそんな妥協案を提案してきた。
「うん……そうすることにしよう」
「オッケー、じゃあレイカーさんのも含めてコイツに保存しておくよ」
そう言って、マンハットは着ている白い白衣に模したコートのポケットから、棒状の物を取り出し、それをネットワークターミナルにある長方形の小さな穴に刺し込んだ。
「それは?」
「ああ、これはレコードプレートっていって、この部屋にあるサーバほどじゃないけど、データをこの中に記録することができるんだ。だから今からコイツに、このデータをコピーして記録させておけば、後から僕の持っているネットワークターミナルで、このデータを確認することが可能になるんだ」
「ほ~う……というか、マンハットもネットワークターミナルを持ってるんだ」
「勿論、自作の物をね。と言っても、こんな大きなやつじゃなくて、僕のはもっと小型の物なんだけどね。というか、君に渡したテレパシーバーだって、一種のネットワークターミナルなんだよ?」
「えっ!? そうなの?!」
「うん、今はまだネットが一般普及されてないから接続できないけど、でも将来普及されたら、こんな大きなネットワークターミナルを使わなくても、君の持っているテレパシーバーでネットが利用できるよう、作っておいたんだ」
「はあぁ~……そうだったんだ……」
テレパシーバーを初めて手にした時は、今までに無い物を手にした感じがして浮かれていたのだが、これは『今までに無い物』どころではなく、『未来そのもの』だったんだな。
やっぱりマンハットは天才だな……その頭の良さと才能が羨ましいよ。
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「そうだね。裁判が近づけば近づくほど、レイカーさんとの接近は難しくなるだろうし、やっぱり作戦は早めに実行した方が良さそうだ……ん……これは」
「どうした?」
「ここに第三留置室収容って丁寧に記されてあるよ。つまり彼は留置場の、この留置室の中に収容されているってことだ」
「ほう……じゃあこれで侵入した時、レイカーさんをいちいち探す手間が省けれるってことか」
「そうだね。あとはこの駐屯地の見取り図なんかが手に入れば、なお良いんだけど……探してみるよ」
そしてまた再び、マンハットは黙ってキーボードとマウスを操作し始める。
さて……またマンハットが情報を探り当てるまでは、機械のことについてよく分からない僕は、大人しく待機をすることになるわけだが……と、周囲を見回してみると、ライフ・ゼロが色々なランプが点滅している機械を、興味津々に見つめている姿が目に写った。
「どうしたんだ? 何か見つけたか?」
僕はそう言ってライフ・ゼロに近寄るが、奴は僕の方には見向きもせず、ずっと機械を見つめたままだった。
「別に……ただ部屋中にある、このチカチカ光っておる箱は何だろうと思ってな」
「ああ……確かに僕も気になってた」
マンハットの操作しているネットワークターミナル以外は、まったく同じ箱状の物が連なっているだけなので、一体この箱はどんな物で、どんな役割を果たしているのか、疑問に思っていた。
僕達の都合の悪い物であれば、破壊する必要もあるし……。
「それはサーバって言って、所謂、情報を保存しておくための貯蔵庫なんだ」
するとマンハットは、作業する手を止めること無く、モニターから目を離すことも無く、僕達の会話にするりと入り込んできた。
「ほう……情報の貯蔵庫か」
それを聞いて、腕を組んだまま更に関心するように、目の前のサーバという物を見続けるライフ・ゼロ。
「マンハット、ちなみにこれってどれくらいの情報が入るの?」
僕の無茶振りに、「えっ?」と言って、困った反応をマンハットはしてみせた。
「どれくらいと言われても……どうだろうなぁ……」
「う~ん……例えば、本なら何冊分くらい?」
僕としてはそれで、困惑しているマンハットに助け舟を出したつもりだったのだが、しかし彼は「ええっ? 本って言われても……」と呟き、更に彼の頭を捻らせてしまうという、追い打ちを掛けてしまった。
「そうだなぁ……正確に何冊分かっていうのは、僕にも分からないけど……でもここにあるサーバだと、多分マグナブラにある、国立図書館の四分の一の本のデータくらいは、軽く収容することはできると思うよ」
「ほう……なるほど」
マンハットがせっかく頭を捻って捻って、ようやく出してくれた答えではあるが、しかし国立図書館の半分とか、全部とかだったら、はっきり「スゲェッ!」と、素直に感動することができたのかもしれないが、しかし四分の一と言われても、僕にはあまりピンとこなかった。
だけど、いくらマンハットの答えに僕がピンとこなくても、僕から質問をしておいて、何の反応も返さないというのは、彼のせっかくの好意を無下にすることになると思い、僕はとりあえず、相槌だけ打っておくことにしたのだ。
というかそれよりも、僕にはマンハットが、そんな喋ったり考えたりしながらも、素早く作業する手をまったく止めてないことの方が、素直に感動することができた。
「ふむ……つまり今までは書物に記録されていた物が、これからはこの箱の中に記録されていくことになるかもしれないということだな」
しかし、今の僕の浅はかな質問から、ライフ・ゼロはそんな、意味深なことを言ってみせた。
「そうなっていくだろうね。書物は一度書き加えると、修正が利かないというのもあるし、なによりも時間が経てば劣化してしまう。だけどこのサーバに保存されているような、デジタルのデータは、修正が比較的簡単にできるし、なによりも、何年経っても劣化することが無いからね。だから半永久的に、記録を後世に残すことができるから、後々こっちが主流になっていくだろうね」
「半永久的ねぇ……」
二十四年しか生きていない僕にとっては、半永久的に記録が残るというのは、果てしなさ過ぎて、ただただすごいなぁ……の一言しか出てこないのだが、しかし何百年と生きているライフ・ゼロには、何か思う節があるのだろうか、神妙な面持ちでそう言って、目の前のサーバを見つめていた。
それから特に交わす話題も無く、ここの見張りも戻って来ることも無く、数分経ったところで、再びマンハットが声を上げた。
「おっ……これは……」
「ん? 見取り図が見つかったの?」
僕はマンハットの声に反応し、ネットワークターミナルの前へと歩み寄った。
「いや、見取り図はまだなんだけど……でもレイカーさんの事件のファイルを探ってたら、レイカーさんが支援していた、過激派デモ部隊の情報ファイルが出てきたんだ。それで、そのファイルの中身を見たところ、過激派デモ部隊の構成員十五名の内、六名がネプクルス・ロジャースさんの船の元船員らしいよ」
「ほう……ということは、レイカーさんは昔の仲間に向けて支援をしていたってことか?」
「そういうことになるだろうね。しかもこの六人も今、レイカーさんと同じ、兵団の駐屯地内部にある留置場に捕らえられているみたいだ」
「なるほど……じゃあもし彼らも脱走させられたら、それで七人、僕達は一気にクルーを集めることができるってことか」
「そういうことだね」
「ふうむ……」
とは言ったものの、一人ならまだしも、七人を脱走させるとなると、難易度は一気に急上昇してしまう。
一斉に七人もの人間が動いたら、それこそどんな間抜けな警備をしていても、異変に気がつくだろうからな。
ましてや今はあの駐屯地には、駐兵だけでなく、セブルスがマグナブラから連れて来た兵士達もいる……ガードが厚くなっている今、あまり高望みが過ぎると、それは死に直結する。
二兎追う者は一兎も得ずという言葉もあるし……得るどころか、失うリスクの方が高いと思うし……どうするべきか……。
「……とりあえず、実行するかどうかはその時の状況で決めるとして、彼らの情報だけ今はもらっておくことにしよっか?」
そんな、頭を抱えて決め兼ねている僕を見て、マンハットがそんな妥協案を提案してきた。
「うん……そうすることにしよう」
「オッケー、じゃあレイカーさんのも含めてコイツに保存しておくよ」
そう言って、マンハットは着ている白い白衣に模したコートのポケットから、棒状の物を取り出し、それをネットワークターミナルにある長方形の小さな穴に刺し込んだ。
「それは?」
「ああ、これはレコードプレートっていって、この部屋にあるサーバほどじゃないけど、データをこの中に記録することができるんだ。だから今からコイツに、このデータをコピーして記録させておけば、後から僕の持っているネットワークターミナルで、このデータを確認することが可能になるんだ」
「ほ~う……というか、マンハットもネットワークターミナルを持ってるんだ」
「勿論、自作の物をね。と言っても、こんな大きなやつじゃなくて、僕のはもっと小型の物なんだけどね。というか、君に渡したテレパシーバーだって、一種のネットワークターミナルなんだよ?」
「えっ!? そうなの?!」
「うん、今はまだネットが一般普及されてないから接続できないけど、でも将来普及されたら、こんな大きなネットワークターミナルを使わなくても、君の持っているテレパシーバーでネットが利用できるよう、作っておいたんだ」
「はあぁ~……そうだったんだ……」
テレパシーバーを初めて手にした時は、今までに無い物を手にした感じがして浮かれていたのだが、これは『今までに無い物』どころではなく、『未来そのもの』だったんだな。
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