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THE GROUND ZERO Chapter3
第10章 沈黙の戦場【5】
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「どうしたコヨミ、顔色があまり良くないが?」
「いや……面食らっただけだ」
「カッカッ、まあビギナーである証だ。しかしその感覚は忘れてはならんぞ? むしろ死体を見て何の抵抗も感じなくなったら、それこそ人間として終わってしまうからな」
「ああ……肝に銘じておくよ」
人を殺すことに何の躊躇いも無くなったら、それこそただの殺人鬼だ。
しかし敵を殺さなければ、こちらが殺されてしまうように、この戦場と呼ばれる場所はある意味、人の常識が通用しない幻想の世界でもある。
その幻想の中であっても、理性をしっかり持っていられる人間。そんな人間こそが、真に強者と呼ばれる戦士なんだろうな……と、ビギナーの僕が定義するのもどうかと思うけど。
「……そういえばルーナは?」
先程から妙に静かだと思っていたが、ルーナはいつの間にか僕達の元から居なくなっていた。
目の前の愕然とした光景に面を食らってしまい、すっかり僕自身、ルーナのことが頭から抜け落ちていた。
「おお……そういえばいないな。どこへ行ったんだ?」
どうやらマジスターも、彼女が姿をくらましたことに気づいていなかったようだ。
もしかしたら……彼女も戦場は初めてらしいし、この光景を見てショックを受けてしまい、パニックを引き起こしてしまったんじゃ……。
「マジスターさ~ん!」
するとどこからか、ルーナの声が聞こえてきた。
声のする方へ振り返ると、ルーナは何かを抱きかかえてこちらに走って来ていた。
「ほら、いっぱい武器を確保してきたわよ!」
彼女は僕達の前で屈みこみ、両手に抱えていた武器を地面に広げてみせた。
ライフルが一丁、ハンドガンが一丁、そして数十個の各銃器のマガジン……いつの間にこんなに武器を集めていたのか。
「ルーナ……こんな大量の兵器をどこから?」
「ライフルとハンドガンは落ちてた物を、マガジンはさっき潰れたテントのような物を見つけて、その中を調べてみたら大量に置かれていたわ。おそらく兵団側の武器貯蔵用のテントだったのかもしれないわね」
「そうか……ふふっ……カッカッカッ! コヨミ、どうやらお前よりもルーナの方がたくましいようだな!」
すると突然、マジスターは機嫌良く笑い始めた。
「……ああ、悔しいけど、どうやらそうみたいだな」
そう言われて、僕は思わず苦笑してしまう。
痛いところを突かれたものだが、その通りだから仕方ない。
「なによ二人とも……急に笑い出したりして?」
そんな僕達の姿を見て、ルーナは怪訝そうな顔つきで、マジスターにはほんの少し、そして僕には十二分と睨みを利かせてきた。
やっぱり僕が答えないといけないのか……これ。
「いや……マジスターが言った通り、君がたくましいってことさ。さすがは戦闘民族といったところだなって感じだよ」
「…………アンタ」
「……なんでしょうか?」
ルーナは更に僕との距離を詰め、最早あと一歩で鼻と鼻がぶつかりそうな所で静止し、三秒ほどずっと視線を合わせてから……。
「…………まあいいわ、そういうことにしといてあげる」
その蛇のような睨みを反らしてくれた。
まさに蛇に睨まれた蛙……僕はその間、指一本たりとも動かすことができなかった。
助かった……。
「あれ? マジスターさんライフルは手に入れたのね」
「ああ、良い物を……貰った」
拾ったとは言わず、マジスターはあえて貰ったと言った。
これはおそらく、マジスターなりの死者への配慮というやつなのだろう。
「そう、じゃあこのライフルはわたしが貰うわね。サブでハンドガンが必要でしょ?」
「おう、ありがたいが、ルーナはいいのか?」
「わたしにはハーミットがあるから」
「おっと、そういえばそうだったな」
ルーナはマジスターにハンドガンを手渡し、受け取ったマジスターは腰に装備している空のホルスターにそのハンドガンを仕舞った。
そんな光景をぼーっと見ていた僕だったが、彼のハンドガンを仕舞う姿を見て、ある違和感に気がついた。
「あれ……僕のは?」
ルーナの広げた物で残っているのは、ライフルとハンドガンのマガジンのみ。
しかし僕には、その残っているマガジンの弾丸を射出するための火器が一丁も手渡されなかった。
「え? だってアンタ、現代兵器は嫌いなんでしょ?」
「いや、嫌いというか……あんまり使いたくないだけだよ」
「じゃあいいじゃない、小剣あるんだし」
「それでもほら! 気持ちというか、配慮として一丁くらい持って来てくれてもいいんじゃ……」
「そんなものわたしに求めないでよ」
「あはは……だよねー……」
ここまで潔く自分に配慮が無いことを認められたら、こちらも返す言葉が無い。
まあそれ以前に、これは僕のわがままでもあるし、これ以上やんや上から文句を言える立場でもないからな。
「カッカッ! コヨミ、敵が現れたらわしの後ろに隠れているがいい。今やわしは丸腰からフル装備となったからな!」
「ああ、そっちの方が楽だし、そうさせてもらうよ」
マジスターも装備が揃い、ご機嫌のようだ……さっきまでは僕と二人で、装備が不十分なのを嘆いていた仲だったのに、突然先を越されたような、ある意味裏切られたような感覚がするのは何故だろう?
もういいや……もし戦闘に出くわしたら、この二人に守ってもらうことにしよう……まるで警備兵に守られるVIPのようで、気分的にも悪くないし。
「ん……おっ! おおおおおっ!」
すると突如、僕にフル装備になったことを自慢していたマジスターが何かを見つけ、そっちの方に駆け寄って行った。
「コヨミ、ルーナ! これを見てみろ!」
呼ばれて、僕とルーナはマジスターの元へと向かうと、そこには小さな箱の上部に棒状のアンテナと受話器がくっついている物体が転がっていた。
「これもしかして無線機? 初めて見たけど……」
僕は戦場に出たことが無かったので、無線機を生で見たのはこれが初めてだった。
確かこれを使えば、電話回線を使わず、無線で遠くの人間と交信することができるんだっけか。
「そうだ、軍用の無線機だ。これがあればもしかしたら、マグナブラ側の無線を傍受することができるかもしれん」
「傍受?」
「ああ……つまりマグナブラの無線の中身を、これを使って聞くことができるということだ」
「なるほど! ということは、これで安易にマグナブラ兵団の情報を手に入れることができるってわけだ!」
「うむ……まあコイツが使い物になればの話だがな」
「えっ……ああ、そっか」
これだけ悲惨な戦場に落ちていた物だ、もしかしたら故障しているかもしれない。
マジスターはしゃがみ込み、無線機が故障していないか確かめるため、受話器をそっと耳に着けた。
「いや……面食らっただけだ」
「カッカッ、まあビギナーである証だ。しかしその感覚は忘れてはならんぞ? むしろ死体を見て何の抵抗も感じなくなったら、それこそ人間として終わってしまうからな」
「ああ……肝に銘じておくよ」
人を殺すことに何の躊躇いも無くなったら、それこそただの殺人鬼だ。
しかし敵を殺さなければ、こちらが殺されてしまうように、この戦場と呼ばれる場所はある意味、人の常識が通用しない幻想の世界でもある。
その幻想の中であっても、理性をしっかり持っていられる人間。そんな人間こそが、真に強者と呼ばれる戦士なんだろうな……と、ビギナーの僕が定義するのもどうかと思うけど。
「……そういえばルーナは?」
先程から妙に静かだと思っていたが、ルーナはいつの間にか僕達の元から居なくなっていた。
目の前の愕然とした光景に面を食らってしまい、すっかり僕自身、ルーナのことが頭から抜け落ちていた。
「おお……そういえばいないな。どこへ行ったんだ?」
どうやらマジスターも、彼女が姿をくらましたことに気づいていなかったようだ。
もしかしたら……彼女も戦場は初めてらしいし、この光景を見てショックを受けてしまい、パニックを引き起こしてしまったんじゃ……。
「マジスターさ~ん!」
するとどこからか、ルーナの声が聞こえてきた。
声のする方へ振り返ると、ルーナは何かを抱きかかえてこちらに走って来ていた。
「ほら、いっぱい武器を確保してきたわよ!」
彼女は僕達の前で屈みこみ、両手に抱えていた武器を地面に広げてみせた。
ライフルが一丁、ハンドガンが一丁、そして数十個の各銃器のマガジン……いつの間にこんなに武器を集めていたのか。
「ルーナ……こんな大量の兵器をどこから?」
「ライフルとハンドガンは落ちてた物を、マガジンはさっき潰れたテントのような物を見つけて、その中を調べてみたら大量に置かれていたわ。おそらく兵団側の武器貯蔵用のテントだったのかもしれないわね」
「そうか……ふふっ……カッカッカッ! コヨミ、どうやらお前よりもルーナの方がたくましいようだな!」
すると突然、マジスターは機嫌良く笑い始めた。
「……ああ、悔しいけど、どうやらそうみたいだな」
そう言われて、僕は思わず苦笑してしまう。
痛いところを突かれたものだが、その通りだから仕方ない。
「なによ二人とも……急に笑い出したりして?」
そんな僕達の姿を見て、ルーナは怪訝そうな顔つきで、マジスターにはほんの少し、そして僕には十二分と睨みを利かせてきた。
やっぱり僕が答えないといけないのか……これ。
「いや……マジスターが言った通り、君がたくましいってことさ。さすがは戦闘民族といったところだなって感じだよ」
「…………アンタ」
「……なんでしょうか?」
ルーナは更に僕との距離を詰め、最早あと一歩で鼻と鼻がぶつかりそうな所で静止し、三秒ほどずっと視線を合わせてから……。
「…………まあいいわ、そういうことにしといてあげる」
その蛇のような睨みを反らしてくれた。
まさに蛇に睨まれた蛙……僕はその間、指一本たりとも動かすことができなかった。
助かった……。
「あれ? マジスターさんライフルは手に入れたのね」
「ああ、良い物を……貰った」
拾ったとは言わず、マジスターはあえて貰ったと言った。
これはおそらく、マジスターなりの死者への配慮というやつなのだろう。
「そう、じゃあこのライフルはわたしが貰うわね。サブでハンドガンが必要でしょ?」
「おう、ありがたいが、ルーナはいいのか?」
「わたしにはハーミットがあるから」
「おっと、そういえばそうだったな」
ルーナはマジスターにハンドガンを手渡し、受け取ったマジスターは腰に装備している空のホルスターにそのハンドガンを仕舞った。
そんな光景をぼーっと見ていた僕だったが、彼のハンドガンを仕舞う姿を見て、ある違和感に気がついた。
「あれ……僕のは?」
ルーナの広げた物で残っているのは、ライフルとハンドガンのマガジンのみ。
しかし僕には、その残っているマガジンの弾丸を射出するための火器が一丁も手渡されなかった。
「え? だってアンタ、現代兵器は嫌いなんでしょ?」
「いや、嫌いというか……あんまり使いたくないだけだよ」
「じゃあいいじゃない、小剣あるんだし」
「それでもほら! 気持ちというか、配慮として一丁くらい持って来てくれてもいいんじゃ……」
「そんなものわたしに求めないでよ」
「あはは……だよねー……」
ここまで潔く自分に配慮が無いことを認められたら、こちらも返す言葉が無い。
まあそれ以前に、これは僕のわがままでもあるし、これ以上やんや上から文句を言える立場でもないからな。
「カッカッ! コヨミ、敵が現れたらわしの後ろに隠れているがいい。今やわしは丸腰からフル装備となったからな!」
「ああ、そっちの方が楽だし、そうさせてもらうよ」
マジスターも装備が揃い、ご機嫌のようだ……さっきまでは僕と二人で、装備が不十分なのを嘆いていた仲だったのに、突然先を越されたような、ある意味裏切られたような感覚がするのは何故だろう?
もういいや……もし戦闘に出くわしたら、この二人に守ってもらうことにしよう……まるで警備兵に守られるVIPのようで、気分的にも悪くないし。
「ん……おっ! おおおおおっ!」
すると突如、僕にフル装備になったことを自慢していたマジスターが何かを見つけ、そっちの方に駆け寄って行った。
「コヨミ、ルーナ! これを見てみろ!」
呼ばれて、僕とルーナはマジスターの元へと向かうと、そこには小さな箱の上部に棒状のアンテナと受話器がくっついている物体が転がっていた。
「これもしかして無線機? 初めて見たけど……」
僕は戦場に出たことが無かったので、無線機を生で見たのはこれが初めてだった。
確かこれを使えば、電話回線を使わず、無線で遠くの人間と交信することができるんだっけか。
「そうだ、軍用の無線機だ。これがあればもしかしたら、マグナブラ側の無線を傍受することができるかもしれん」
「傍受?」
「ああ……つまりマグナブラの無線の中身を、これを使って聞くことができるということだ」
「なるほど! ということは、これで安易にマグナブラ兵団の情報を手に入れることができるってわけだ!」
「うむ……まあコイツが使い物になればの話だがな」
「えっ……ああ、そっか」
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