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第3章 アンダーグラウンド
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デュラハンとワーキャットは数人の仲間の兵を引き連れ、アンダーグラウンドの市街地へ入っていた。
兵は二人一組になり、指名手配になっているケルベロスとそれに着いていた人間の捜索をする。
「何故よりにもよってお前と組まにゃならないのか……」
デュラハンと組んでいたのは、ワーキャットだった。
ワーキャットはシッシッシッと笑ってみせる。
「アンタが手柄を全部いただいて逃げないか、アタイが直々に監視するためよ!」
「だからそんなことはせんと言ってるだろ!第一、あのアスタロト様が俺たちに手柄を分けてくれると思うか?捕まえても全部かっさらってそれで終わりだよ」
「ぐっ……何故か否定はできない……」
デュラハンとワーキャットは二人揃って肩を落とす。
強欲な上司についたというのが運の尽きか……。
隊員がこんな仕打ちを受けても隊の中で氾濫が起きないのは、それだけアスタロトが強力な魔物だということを皆が知っていたからだ。
力を持つ者が優遇され、決して逆らえない。それが魔界の縦社会の基本だった。
うんざりと、デュラハンとワーキャットはすっかりやる気も無くなり市街地をさまよっていると、ドワーフの営む酒屋が見えてくる。
「にゃっ!?ち……ちょっとデュラハン!」
「どうした……ぬわっ!!」
急にワーキャットはデュラハンの腕を掴んで、塀の影に引っ張り込む。
「なんだイキナリ!腕痛いだろ!!」
「しー!静かに!ほらあそこ見て!!」
「たく……ん?あれは……」
ブツブツと、デュラハンが文句を言いながらワーキャットの指差す方向を見ると、そこには指名手配にされているケルベロスと二人の人間の姿があった。
「あれそうじゃない?アタイら見つけちゃったっぽくない?」
「なんだその喋り方……でもおそらくそうだな。よし、他の隊員に報告しておこう!」
デュラハンは頭の鎧を外すと、中からトランシーバーのようなものを取り出す。
「にゃ~……便利だねその体。中からマジカルシーバーも出てくるし、まるで大きなポケットみたい」
「ポケットって言うな!まぁ便利ではあるがな」
デュラハンはマジカルシーバーのボタンを押す。このボタンを押すことにより魔力が発生し、指定したマジカルシーバーへ声を届けることができる。電波を魔力に変えたトランシーバーと言えばいいだろうか。
「こちら親衛隊デュラハン、ターゲットを発見。場所は市街地B地区ドワーフの酒屋。直ちに集合せよ」
デュラハンがマジカルシーバーに喋りかけると、「了解」という返答がすぐに返ってくる。
「……なんか司令官っぽくて腹立つ」
ワーキャットは不満そうな表情でデュラハンを見る。
「別にそんなの意識してないわ……こんな連絡如きで昇進できたらどれだけ楽か……」
デュラハンはマジカルシーバーを再び鎧の中に入れ、頭の鉄鎧をすっぽりと胴体にはめ込む。
「さて……あとは仲間が来るまで待機だ」
そうデュラハンが告げると、またしてもワーキャットはニタリと何か企んでいるような怪しい笑みを浮かべる。
「デュラハン……突撃するよ!」
「はっ!?何言ってるんだお前?さっき俺が言ったこと聞こえたか?その耳は飾りですか!?」
「にゃああああ!触るなぁ!!」
デュラハンがワーキャットの耳に手を近づけると、ワーキャットはその腕を思いっきり自慢の爪で引っ掻いた。
「どわああああ!腕が!!痛くないけど腕があああ!!」
「だからしーっ!!男がその程度で騒いじゃダメ!」
「お……お前……引っ掻いておいてお前……」
引っ掻き傷のついた腕を見ながら、デュラハンは涙を流す。
ちなみにその涙は、一応頭の鎧の目の部分から出てきた。
「いいデュラハン、アタイらが先に襲撃して、後から捕まえやすくするように奴らを弱らせておくのさ。そしたら手柄はともかく、仲間からは厚い信頼を得られるのよ」
「うぅ……なんだか下心丸出しの作戦だが、相手はケルベロス、地獄の番犬だぞ?そう上手く事を運べるだろうか……」
腕の傷を気にしながらも、ワーキャットの提案に異議を唱えるデュラハン。
「大丈夫!それにアタイらがヘマしても、後から他の隊員も来るんだからへーきへーき!!」
「結局丸投げが前提かよ……」
やれやれと首を横に振るデュラハン。
しかし、仲間が集まってから行動しては相手に動向がばれてしまうかもしれない。魔界中で指名手配をかけても、何年も捕まらず逃げ延びてきたケルベロス。勘付かれたら厄介な相手だ。
「まぁでも、もし逃したりなんかしたらアスタロト様にどんな罰をふっかけられるか分からないしな……致し方ない、お前の作戦に乗るか」
「にっしっしっ!今日からアタイが司令官よ!!」
デュラハンは剣を握り、ワーキャットは鉤爪を腕に装備し、塀の影を飛び出す。
ターゲットはケルベロスと二人の人間。
その正体は……。
兵は二人一組になり、指名手配になっているケルベロスとそれに着いていた人間の捜索をする。
「何故よりにもよってお前と組まにゃならないのか……」
デュラハンと組んでいたのは、ワーキャットだった。
ワーキャットはシッシッシッと笑ってみせる。
「アンタが手柄を全部いただいて逃げないか、アタイが直々に監視するためよ!」
「だからそんなことはせんと言ってるだろ!第一、あのアスタロト様が俺たちに手柄を分けてくれると思うか?捕まえても全部かっさらってそれで終わりだよ」
「ぐっ……何故か否定はできない……」
デュラハンとワーキャットは二人揃って肩を落とす。
強欲な上司についたというのが運の尽きか……。
隊員がこんな仕打ちを受けても隊の中で氾濫が起きないのは、それだけアスタロトが強力な魔物だということを皆が知っていたからだ。
力を持つ者が優遇され、決して逆らえない。それが魔界の縦社会の基本だった。
うんざりと、デュラハンとワーキャットはすっかりやる気も無くなり市街地をさまよっていると、ドワーフの営む酒屋が見えてくる。
「にゃっ!?ち……ちょっとデュラハン!」
「どうした……ぬわっ!!」
急にワーキャットはデュラハンの腕を掴んで、塀の影に引っ張り込む。
「なんだイキナリ!腕痛いだろ!!」
「しー!静かに!ほらあそこ見て!!」
「たく……ん?あれは……」
ブツブツと、デュラハンが文句を言いながらワーキャットの指差す方向を見ると、そこには指名手配にされているケルベロスと二人の人間の姿があった。
「あれそうじゃない?アタイら見つけちゃったっぽくない?」
「なんだその喋り方……でもおそらくそうだな。よし、他の隊員に報告しておこう!」
デュラハンは頭の鎧を外すと、中からトランシーバーのようなものを取り出す。
「にゃ~……便利だねその体。中からマジカルシーバーも出てくるし、まるで大きなポケットみたい」
「ポケットって言うな!まぁ便利ではあるがな」
デュラハンはマジカルシーバーのボタンを押す。このボタンを押すことにより魔力が発生し、指定したマジカルシーバーへ声を届けることができる。電波を魔力に変えたトランシーバーと言えばいいだろうか。
「こちら親衛隊デュラハン、ターゲットを発見。場所は市街地B地区ドワーフの酒屋。直ちに集合せよ」
デュラハンがマジカルシーバーに喋りかけると、「了解」という返答がすぐに返ってくる。
「……なんか司令官っぽくて腹立つ」
ワーキャットは不満そうな表情でデュラハンを見る。
「別にそんなの意識してないわ……こんな連絡如きで昇進できたらどれだけ楽か……」
デュラハンはマジカルシーバーを再び鎧の中に入れ、頭の鉄鎧をすっぽりと胴体にはめ込む。
「さて……あとは仲間が来るまで待機だ」
そうデュラハンが告げると、またしてもワーキャットはニタリと何か企んでいるような怪しい笑みを浮かべる。
「デュラハン……突撃するよ!」
「はっ!?何言ってるんだお前?さっき俺が言ったこと聞こえたか?その耳は飾りですか!?」
「にゃああああ!触るなぁ!!」
デュラハンがワーキャットの耳に手を近づけると、ワーキャットはその腕を思いっきり自慢の爪で引っ掻いた。
「どわああああ!腕が!!痛くないけど腕があああ!!」
「だからしーっ!!男がその程度で騒いじゃダメ!」
「お……お前……引っ掻いておいてお前……」
引っ掻き傷のついた腕を見ながら、デュラハンは涙を流す。
ちなみにその涙は、一応頭の鎧の目の部分から出てきた。
「いいデュラハン、アタイらが先に襲撃して、後から捕まえやすくするように奴らを弱らせておくのさ。そしたら手柄はともかく、仲間からは厚い信頼を得られるのよ」
「うぅ……なんだか下心丸出しの作戦だが、相手はケルベロス、地獄の番犬だぞ?そう上手く事を運べるだろうか……」
腕の傷を気にしながらも、ワーキャットの提案に異議を唱えるデュラハン。
「大丈夫!それにアタイらがヘマしても、後から他の隊員も来るんだからへーきへーき!!」
「結局丸投げが前提かよ……」
やれやれと首を横に振るデュラハン。
しかし、仲間が集まってから行動しては相手に動向がばれてしまうかもしれない。魔界中で指名手配をかけても、何年も捕まらず逃げ延びてきたケルベロス。勘付かれたら厄介な相手だ。
「まぁでも、もし逃したりなんかしたらアスタロト様にどんな罰をふっかけられるか分からないしな……致し方ない、お前の作戦に乗るか」
「にっしっしっ!今日からアタイが司令官よ!!」
デュラハンは剣を握り、ワーキャットは鉤爪を腕に装備し、塀の影を飛び出す。
ターゲットはケルベロスと二人の人間。
その正体は……。
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