The Devil Summoner 運命を背負いし子供達

赤坂皐月

文字の大きさ
25 / 71
第3章 アンダーグラウンド

009【1】

しおりを挟む
「暗いから足元に気をつけろよ~?」

キョウスケ達一行は、ジャックの作った地下通路を歩み進んでいた。
元々隠れ家から緊急脱出をするために作られた通路だったので、表の階段にあったようなマジックバルブは着いていない。
そのため、ジャックが持っているロウソクの火だけが通路を照らす明かりとなっていた。

「僕暗いところ苦手なんだよね……」

キョウスケはビクビクしながらグレイの後を歩いて行く。ちなみに先頭を歩くのはジャックだ。

「ヘッヘッヘッ!オイラは好きだけどねぇ暗いとこ。なんせいっつも暗い場所を抜き足差し足忍び足でお宝を盗んでたからね」

「それは好き嫌いというより、仕事をスムーズにできるから楽でいいってことじゃないのか?」

「まっそうとも言うかな!」

愉快に笑うジャック。
どうやらジャックにとっての盗みというものは、仕事でもあり、趣味のようなものでもある、そう確信したグレイだった。

「先に釘を刺しておくが、下手に金やモノを盗むなよ。いらない罪は稼ぎたくないからな」

「ヘッヘッ最初に言っただろ?オイラは汚い奴らからしか物は盗まないってさ」

「それでもだ」

「はいはい、グレイさんの仰せのままに」

ジャックはグレイを茶化すような素ぶりをする。
そんなカボチャ頭の元盗賊を見て、グレイはやれやれと首を横に振った。 

「うわぁ!!」

「キョウスケ!」

すると突如、キョウスケは通路のでこぼこに足をすくわれる。通路と言っても、見た目はただの洞窟となんら変わりなく、地面も凹凸だらけの歩きにくい地面だった。

「はぁ……助かった。ありがとうグレイ」

キョウスケが倒れそうになった場所に、グレイは自らの体で彼を受け止める。

「気をつけろよってさっきジャックが言ったばかりだろ……まったく……」

「そういやそうだったね……でもグレイの毛並みって見た目よりも触ってみると柔らかいよね」

「そうだな、昔からよく言われる」

キョウスケはグレイの毛をモサモサと触る。柔らか過ぎもせず、固過ぎもしないちょうど触り心地の良い毛並みをグレイはしていた。

「おっ!ちょいとオイラにも触らせてよ!」

「おい!お前は通路を照らせ!待て!二人揃って俺をワサワサするなああああ!!!」

「ホントだ!こりゃ思ったより気持ちいいな!毛布にしたいくらいだ」

「クセになりそうですよね!」

キョウスケとジャックによって、その体を包囲され逃げられないグレイ。
しばらくキョウスケとジャックは満足するまでグレイの毛並みを堪能していた。

「さて、気も済んだし先を進むか!」

「そうですね!」

ジャックとキョウスケは満悦した笑みを浮かべて、暗い通路を先に進む。

「お前ら……いつか噛み付いてやるからな」

ボロボロになったグレイがその後を追う。
自慢の毛並みは、二人に触られたことによってぐしゃぐしゃの毛ダルマのようになってしまっていた。
三人はしばらく通路を歩き、行き止まりに差し掛かったところで足を止める。

「よし着いた!んで多分ここら辺にハシゴが……おおあったあった!」

ジャックが壁をロウソクで照らすと、そこにはロープで作られたハシゴが天井に向けて吊るされていた。おそらくこれを登れば地上へと出れるのだろう。

「んじゃ先にオイラが登って地上に誰もいないか見てくるよ。ここでお前らが兵士に見つかったら全部水の泡だからな」

「それもそうですね……ジャックさんお願いします!」

「あいよ!じゃあこの明かりはキョウスケが持っててくれ」

ジャックはロウソクをキョウスケに手渡し、ハシゴに手を掛ける。

「それそれそれっと!」

ロープで作られたハシゴは見た目以上に実は登りづらく、足場が安定しないため素人が登るとバランスを崩してしまいがちになる。
しかしここは盗賊のプロであるジャック。そんな難しいハシゴをひょいひょいと軽々と登って行く。

「んでここを押し込めば……よし出れた!」

天井まで到達し、ジャックは更にその天井を押し込む。
すると土はブロックのように抜け、目前には地上の風景が映し出された。
と言ってもアンダーグラウンド自体が地下世界であり、相変わらずの薄暗い風景がジャックの目には映し出された。

「よし大丈夫誰もいない、登って来ていいぞ!」

ジャックは周囲を確認し、下にいるキョウスケとグレイに合図を送る。

「じゃあキョウスケ、先に行かせてもらうぞ」

「うん、気をつけてグレイ」

グレイは先に前足をハシゴに掛け、登って行く。
運動神経の良いグレイだったが、さすがにジャックほど颯爽とハシゴを登ることはできなかった。

「大丈夫グレイ?」

「あぁなんとかな……だけどこのハシゴなかなか登りにくい……」

「ヘッヘッ、まぁ縄で作ったやつだからな。だけどそれが一番持ち運びしやすいんだよね」

大きな館などに忍び込む時は、必ずと言っていいほど大きな塀を登らなければならない。そういう時、縄ばしごは持ち運びや回収が安易にできる。
登りにくいが、盗賊的には理にかなうハシゴではあった。
キョウスケが地下から見上げる中、グレイの尻尾はどんどんと遠くなっていく。

「よいしょ……やっと登れた」

「はいお疲れさん。じゃあ次はキョウスケだ!」

グレイがハシゴを登りきり、ついにキョウスケの順番となる。

「はい……!」

キョウスケはロウソクの火を消し、地面に置く。
そして縄ばしごに手を掛ける。

「うわ!ホントに登りにくい!」

掴み、足を掛け、キョウスケはその登りにくさを直に感じる。
登ると言うよりも、ロープをどんどん掴んでいくという表現の方が正しいくらい安定しない掴み所。そして油断をするとヘタれてしまう足場。
グレイの二割程のスピードだが、それでもなんとかキョウスケは一段一段掴んで進んで行く。

「キョウスケ~大丈夫かぁ?」

「うん、なんとか行けそうです!」

「そうか、まっゆっくり登っといで」

ジャックの心配をよそに、キョウスケは順調に縄ばしごを登って行く。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

処理中です...