9 / 71
第2章 魔界への旅立ち
003【2】
しおりを挟む
颯爽と風のような速さでグレイは学校へ走る。さすがは魔獣ケルベロスと言ったところだろうか。
「やっぱグレイ足速いなぁ……」
「さすがワンコなだけあるわね!」
「ワンコって……」
グレイの後に続くよう、キョウスケとミレイも走るが、もうグレイの姿は見えなくなっていた。
キョウスケとミレイ学校に着いたのは、グレイが到着する数分後だった。
学校の門はまだ開いており、その前にグレイが座って待っていた。
「どうやら間に合ったみたいだが、学校の中から歩き回るような物音がする……もしかしたらもう施錠をし始めているかもしれない。先を急ぐぞ!」
「ふふん♪先生に見つからないように学校に潜入するなんて楽しそうじゃない!」
「大丈夫なのかなぁ……こんなことして」
三者三様の気持ちで、三人は学校の中へと浸入する。校舎の中は薄暗く、昼間は子供達の声で溢れている教室からは何の物音も聞こえない。
「二階から物音がするな……どうやら二階の教室を施錠し回っているみたいだ。早くしないと階段で教師と鉢合わせになるぞ」
グレイはヒソヒソとキョウスケとミレイに、自分の耳で確認した情報を伝える。
「耳も良いなんてさすがワンコね」
「ワンコじゃないケルベロスだ」
ミレイの言葉に反射的に返すケルベロスのグレイ。
どうやらそこには譲れないものがあるみたいだ。
「ミレイ、あんまりグレイをいじっちゃ駄目だよ……」
「いじってなんかないわよ。冗談よじょ・う・だ・ん」
「ホントかなぁ……」
三人は一階から二階への階段までたどり着き、様子を伺う。キョウスケ達の耳からは何も物音は聞こえない。
「どうグレイ?」
「うむ……むっ!マズイこっちに来ている!二人とも隠れるぞ!!」
グレイには確かに聞こえた。教師が階段に向かって廊下を歩いている音を。
「か……隠れるって言ったってどこに!?」
キョウスケ達がいるのは一階の廊下辺り。その周りは開けており、身を潜めれるような場所は無い。
「そ……そうだ!教室に隠れよう!」
「何言ってるのよキョウスケ!そんなことしたら教室の鍵閉められて、あたし達明日の朝まで閉じ込められちゃうわよ!」
「うっ……確かに」
ダイミョウ小学校の教室の鍵は外側から鍵を開け閉めできても、内側からはできないものになっていた。
考えるキョウスケだったが、そんな時間も与えてはくれず、ついに教師の足音はキョウスケ達の耳に入るまで近づいていた。
「こうなったら一か八か……キョウスケ、グレイこっちに来て!」
ミレイは先頭に立ち、二人を指示する。
キョウスケとグレイは躊躇する間も無く、ミレイの指示に従った。
ガシャガシャと鍵が揺れる音が階段に響き渡る。
校舎の鍵を閉め回っている教師は、懐中電灯を片手に持ち、階段を下っていた。
「さてあとは一階の教室閉めてさっさと帰っちまおう。あっ……帰りにコンビニ寄って夜飯買わないとな」
独り言を呟きながら、教師は一階へたどり着く。
「ん?」
すると、いきなり教師は何かに勘付いたように周りを見回す。が、何もない。
「……気のせいか。さっ、さっさと帰ろ」
教師はそのまま階段を去っていき、懐中電灯を照らしながら廊下へと歩いて行った。
「……行ったわね」
一階の階段の陰からミレイが様子を伺う。
三人は階段の裏にある、僅かな隙間に隠れていたのだ。懐中電灯の光を当てられたら見つかっていただろう。
「よし、今のうちに向かおう!」
三人は一気に二階、三階と階段を駆け上がり、ついに屋上までやって来た。
屋上には電灯など無く、光と言えば月から照らされる僅かな光くらいで、体感としては真っ暗に近い。
「異界の門があるのはこっちだ」
グレイが二人の先を歩く。
向かったのは校舎に入る扉の裏側だった。
「うわっ!なんだこれ!!」
キョウスケはギョッとする。そこには壁に大きな六芒星が描かれており、その前には四体の悪魔を象った小さな石像が置かれている。
なんとも言えないような、凶々しい雰囲気を醸し出していた。
「へぇ……こんなところにこんなものあったのね。まあただでさえ誰も来ない屋上なのに、その裏を覗こうなんて誰も思わないわよねぇ」
しかし、ミレイはこの不気味な光景を目の当たりにしても驚きもせず、それどころか関心すらしていた。
非常に肝が座っている小学生である。
「これが魔界に繋がる異界の門だ。ここで世界の鍵を使えば、門は開き魔界へ飛ばされる」
「そ、そうか……これが異界の門なんだ」
グレイの説明でキョウスケはようやく警戒の態勢を解くが、まだ見た目の凶々しさから心は許せずにいた。
非常に臆病な小学生である。
「キョウスケ、ミレイ最後に確認だ。この門を開けばお前たちはこの人間の世界にほぼ戻れなくなってしまう。それに魔界は人間界のように優しくはない。厳しい旅になるかもしれないが、それでも着いて来てくれるか?」
「うん……大丈夫。僕は母さんともグレイとも約束したからね。必ずハルマゲドンを止めるって」
「あたしもオッケーよ!どんな世界か楽しみぃ!!」
二人の返答は即答だった。
もう二人は覚悟を決め、今この場に立っていたのだ。
一人は世界を救うため。一人は自分が探しているものを見つけるために。
「そうか……なら安心した。キョウスケ、お前に渡した世界の鍵を出してくれ」
「鍵か、えっと……これだ!」
キョウスケはポケットから世界の鍵を取り出す。真っ黒の鍵は月明かりに照らされて、僅かながら白く光る。
「それじゃあ行くぞ!異界の門よ、世界を開く鍵で我を魔の世界へ誘いたまえ!!」
グレイが叫ぶと、壁の六芒星が突如赤く点灯し、キョウスケ達は赤い光に包まれる。
「う……うわあああああああ!!!!」
キョウスケは絶叫するが、その声は次の瞬間ふっと消えてしまい、消えたのは声だけでなく、その姿までも消えてしまった。
そこに残るのは四体の悪魔を象った石像と壁に描かれた六芒星のみ。
三人は無事、魔界に飛ばされたのだ。
校舎の屋上はいつも通りの静寂を取り戻す。
月明かりはキラキラと真っ暗な闇の空を照らしていた。
「やっぱグレイ足速いなぁ……」
「さすがワンコなだけあるわね!」
「ワンコって……」
グレイの後に続くよう、キョウスケとミレイも走るが、もうグレイの姿は見えなくなっていた。
キョウスケとミレイ学校に着いたのは、グレイが到着する数分後だった。
学校の門はまだ開いており、その前にグレイが座って待っていた。
「どうやら間に合ったみたいだが、学校の中から歩き回るような物音がする……もしかしたらもう施錠をし始めているかもしれない。先を急ぐぞ!」
「ふふん♪先生に見つからないように学校に潜入するなんて楽しそうじゃない!」
「大丈夫なのかなぁ……こんなことして」
三者三様の気持ちで、三人は学校の中へと浸入する。校舎の中は薄暗く、昼間は子供達の声で溢れている教室からは何の物音も聞こえない。
「二階から物音がするな……どうやら二階の教室を施錠し回っているみたいだ。早くしないと階段で教師と鉢合わせになるぞ」
グレイはヒソヒソとキョウスケとミレイに、自分の耳で確認した情報を伝える。
「耳も良いなんてさすがワンコね」
「ワンコじゃないケルベロスだ」
ミレイの言葉に反射的に返すケルベロスのグレイ。
どうやらそこには譲れないものがあるみたいだ。
「ミレイ、あんまりグレイをいじっちゃ駄目だよ……」
「いじってなんかないわよ。冗談よじょ・う・だ・ん」
「ホントかなぁ……」
三人は一階から二階への階段までたどり着き、様子を伺う。キョウスケ達の耳からは何も物音は聞こえない。
「どうグレイ?」
「うむ……むっ!マズイこっちに来ている!二人とも隠れるぞ!!」
グレイには確かに聞こえた。教師が階段に向かって廊下を歩いている音を。
「か……隠れるって言ったってどこに!?」
キョウスケ達がいるのは一階の廊下辺り。その周りは開けており、身を潜めれるような場所は無い。
「そ……そうだ!教室に隠れよう!」
「何言ってるのよキョウスケ!そんなことしたら教室の鍵閉められて、あたし達明日の朝まで閉じ込められちゃうわよ!」
「うっ……確かに」
ダイミョウ小学校の教室の鍵は外側から鍵を開け閉めできても、内側からはできないものになっていた。
考えるキョウスケだったが、そんな時間も与えてはくれず、ついに教師の足音はキョウスケ達の耳に入るまで近づいていた。
「こうなったら一か八か……キョウスケ、グレイこっちに来て!」
ミレイは先頭に立ち、二人を指示する。
キョウスケとグレイは躊躇する間も無く、ミレイの指示に従った。
ガシャガシャと鍵が揺れる音が階段に響き渡る。
校舎の鍵を閉め回っている教師は、懐中電灯を片手に持ち、階段を下っていた。
「さてあとは一階の教室閉めてさっさと帰っちまおう。あっ……帰りにコンビニ寄って夜飯買わないとな」
独り言を呟きながら、教師は一階へたどり着く。
「ん?」
すると、いきなり教師は何かに勘付いたように周りを見回す。が、何もない。
「……気のせいか。さっ、さっさと帰ろ」
教師はそのまま階段を去っていき、懐中電灯を照らしながら廊下へと歩いて行った。
「……行ったわね」
一階の階段の陰からミレイが様子を伺う。
三人は階段の裏にある、僅かな隙間に隠れていたのだ。懐中電灯の光を当てられたら見つかっていただろう。
「よし、今のうちに向かおう!」
三人は一気に二階、三階と階段を駆け上がり、ついに屋上までやって来た。
屋上には電灯など無く、光と言えば月から照らされる僅かな光くらいで、体感としては真っ暗に近い。
「異界の門があるのはこっちだ」
グレイが二人の先を歩く。
向かったのは校舎に入る扉の裏側だった。
「うわっ!なんだこれ!!」
キョウスケはギョッとする。そこには壁に大きな六芒星が描かれており、その前には四体の悪魔を象った小さな石像が置かれている。
なんとも言えないような、凶々しい雰囲気を醸し出していた。
「へぇ……こんなところにこんなものあったのね。まあただでさえ誰も来ない屋上なのに、その裏を覗こうなんて誰も思わないわよねぇ」
しかし、ミレイはこの不気味な光景を目の当たりにしても驚きもせず、それどころか関心すらしていた。
非常に肝が座っている小学生である。
「これが魔界に繋がる異界の門だ。ここで世界の鍵を使えば、門は開き魔界へ飛ばされる」
「そ、そうか……これが異界の門なんだ」
グレイの説明でキョウスケはようやく警戒の態勢を解くが、まだ見た目の凶々しさから心は許せずにいた。
非常に臆病な小学生である。
「キョウスケ、ミレイ最後に確認だ。この門を開けばお前たちはこの人間の世界にほぼ戻れなくなってしまう。それに魔界は人間界のように優しくはない。厳しい旅になるかもしれないが、それでも着いて来てくれるか?」
「うん……大丈夫。僕は母さんともグレイとも約束したからね。必ずハルマゲドンを止めるって」
「あたしもオッケーよ!どんな世界か楽しみぃ!!」
二人の返答は即答だった。
もう二人は覚悟を決め、今この場に立っていたのだ。
一人は世界を救うため。一人は自分が探しているものを見つけるために。
「そうか……なら安心した。キョウスケ、お前に渡した世界の鍵を出してくれ」
「鍵か、えっと……これだ!」
キョウスケはポケットから世界の鍵を取り出す。真っ黒の鍵は月明かりに照らされて、僅かながら白く光る。
「それじゃあ行くぞ!異界の門よ、世界を開く鍵で我を魔の世界へ誘いたまえ!!」
グレイが叫ぶと、壁の六芒星が突如赤く点灯し、キョウスケ達は赤い光に包まれる。
「う……うわあああああああ!!!!」
キョウスケは絶叫するが、その声は次の瞬間ふっと消えてしまい、消えたのは声だけでなく、その姿までも消えてしまった。
そこに残るのは四体の悪魔を象った石像と壁に描かれた六芒星のみ。
三人は無事、魔界に飛ばされたのだ。
校舎の屋上はいつも通りの静寂を取り戻す。
月明かりはキラキラと真っ暗な闇の空を照らしていた。
0
あなたにおすすめの小説
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる