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第3章 アンダーグラウンド
008【3】
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「グレイは謝らなくていいよ。それに僕がデビルサモナーじゃなかったらグレイとも出会えてなかったんだし、それに誰かがやらなきゃ世界は滅んじゃうんでしょ?だから僕はこれでよかったんだと思う……」
正直、キョウスケにも自分が今どんな立場に立たされているのか、その全てを理解することはできなかった。
だが、自分がやらなければならないことは少なからず理解していた。そしてそれを果たさなければ、自分が、ミレイが、世界の人々が次の時代へ歩いていくための、その世界すら無くなってしまうことも。
「キョウスケ……やはりお前は優しいな」
グレイはそんなキョウスケに感心する。
臆病なキョウスケだが、心の器は誰よりも大きかった。
普通の人間なら絶望し兼ねない状況だが、彼は違う。彼は自分の定めを素直に受け止め、そして先に進むことのできる、そんな器の持ち主だったのだ。
「そんじゃあ改めて聞くけど、お前達これからどこへ向かうつもりだ?」
ジャックはキョウスケとグレイに尋ねる。しかしキョウスケの心はとうに決まっていた。
「ミレイを迎えに、僕は天界へ向かいます。ベルゼブブのことも気になるけど……でもやっぱりミレイは僕の友達だし、居てくれた方が僕も心強いから」
「ヘッヘッそうかい……まぁお前さんならそう言うと思っていたがな」
するとジャックはソファから立ち上がり、キョウスケに右手を差し出す。
「だけど魔界から天界へ向かうには、それ相応に魔界の地理を知り尽くしてるやつが必要だからな。お前の道案内、オイラがしてやるぜ」
「えっ……じゃ、じゃあ!」
「あぁ、お前の仲間になってやるよデビルサモナーキョウスケ!」
ジャックは真っ直ぐとキョウスケを見据える。いつものように冗談を言っている様子はなく、どうやら本気のようだった。
キョウスケは自然と笑みがこぼれ、ジャックの右手を強く握り、立ち上がる。
「よろしく頼みますジャックさん!!」
何よりも自由を愛したジャック。
だがキョウスケと面と向かい、話し合っていくうちにその心は動いていき、ジャックは自らに判断を下したのだ。
自由を手放しても、この人間には着いて行く価値があると。
「そんじゃキョウスケ、お前の持ってる白紙の魔札を貸しておくれよ」
「えっ……これですか?」
キョウスケはポケットから一枚の白紙の魔札を取り出し、それをジャックに渡す。
ジャックは手渡された魔札の上に手を置き、魔札に向けて魔力を放出する。
「コイツにオイラの魔力を込めれば……おおっ!出てきた出てきた!」
すると、真っ白だった魔札にカボチャの刻印が浮かび上がってきた。
「これで完了!これがオイラの魔札だ。大切にしろよ?」
「これがジャックさんの魔札かぁ……なんかカードゲームのカードを集めてるみたい」
「おいおい……そいつはオイラ達魔物がデビルサモナーに忠誠を誓ったって証だぜぇ?もっと高級に扱ってくれよなぁ」
二人は互いに笑う。
そんな嬉しそうな二人を見て、グレイの顔も自然とほころぶ。
「フッ……脱獄犯に指名手配者、挙げ句の果てには盗賊か。どんどん罪人が増えていくなこのパーティは」
「ヘッヘッ!もういっそのこと監獄にぶち込まれてる魔物全員引き入れちまうか?」
「えぇ……そこまで怖い人達はちょっと……」
三人は笑い話をする。
監獄には魔王に逆らった者以外にも、本当に罪を裁かれた魔物も収監されている。もしそんな者達を野に放ったら、それこそ何処かの世紀末みたいな世界の完成である。
キョウスケは拳法も覚えてないし、筋力は小学六年生の平均前後といったところ。とてもじゃないが世紀末を生き残れる体は持っていなかった。
「さて冗談はこの辺にしておいてだ……これから天界へ向かうための作戦会議だ!まずは諸君これを見たまえ……ってな!まぁ見てくれ」
ジャックはまるで指揮官のようなそぶりをして、壁に貼り付けてある地図を指差す。
「今オイラ達がいるのがこのアンダーグラウンド。だがここには天界へ続く天の扉ってのは無いんだ。ちなみに天の扉は、魔界を移動する異界の門の天界バージョンだと思ってもらっていい!」
「はいっ質問!」
「なんだキョウスケ?」
「天界の騎士団はミレイを連れにアンダーグラウンドに来たんですよね?でも天の扉がアンダーグラウンドには無いのに、騎士たちはどうやってここまで来たんですか?」
キョウスケの質問にジャックは人差し指を立てながら答える。
「その質問答えよう!ズバリやつらはペガサスという羽の生えた馬に乗って来たからである!ペガサスは天界を自由に行き来できる、唯一の生物だからな」
「だ……だったら僕達もペガサスを捕まえれば……」
「考えが甘いぞキョウスケ!第一ペガサスは魔界には存在しない!天界に住んでる生物なんだ!つまり我々はこの天の扉を潜るほか天界へ向かう手段は無いのであ~る!!」
ジャックは論破したような顔で誇り、キョウスケはむむむ……と眉をひそめる。
「なんだこのやり取り……」
そんな二人を見て、グレイはぼそっと呟いた。
「ヘッヘッ、それじゃあ話を元に戻そう……ではその天の扉はどこにあるのかということになるが、天の扉はこの魔界には一つしかない!ズバリここだ!!」
ジャックが差した場所は、魔界の地図の西の端の部分だった。そこにはタワーオブバベルと表記されてある。
「魔界の西端……シンアルか」
グレイは地図の位置を見て答える。
正直、キョウスケにも自分が今どんな立場に立たされているのか、その全てを理解することはできなかった。
だが、自分がやらなければならないことは少なからず理解していた。そしてそれを果たさなければ、自分が、ミレイが、世界の人々が次の時代へ歩いていくための、その世界すら無くなってしまうことも。
「キョウスケ……やはりお前は優しいな」
グレイはそんなキョウスケに感心する。
臆病なキョウスケだが、心の器は誰よりも大きかった。
普通の人間なら絶望し兼ねない状況だが、彼は違う。彼は自分の定めを素直に受け止め、そして先に進むことのできる、そんな器の持ち主だったのだ。
「そんじゃあ改めて聞くけど、お前達これからどこへ向かうつもりだ?」
ジャックはキョウスケとグレイに尋ねる。しかしキョウスケの心はとうに決まっていた。
「ミレイを迎えに、僕は天界へ向かいます。ベルゼブブのことも気になるけど……でもやっぱりミレイは僕の友達だし、居てくれた方が僕も心強いから」
「ヘッヘッそうかい……まぁお前さんならそう言うと思っていたがな」
するとジャックはソファから立ち上がり、キョウスケに右手を差し出す。
「だけど魔界から天界へ向かうには、それ相応に魔界の地理を知り尽くしてるやつが必要だからな。お前の道案内、オイラがしてやるぜ」
「えっ……じゃ、じゃあ!」
「あぁ、お前の仲間になってやるよデビルサモナーキョウスケ!」
ジャックは真っ直ぐとキョウスケを見据える。いつものように冗談を言っている様子はなく、どうやら本気のようだった。
キョウスケは自然と笑みがこぼれ、ジャックの右手を強く握り、立ち上がる。
「よろしく頼みますジャックさん!!」
何よりも自由を愛したジャック。
だがキョウスケと面と向かい、話し合っていくうちにその心は動いていき、ジャックは自らに判断を下したのだ。
自由を手放しても、この人間には着いて行く価値があると。
「そんじゃキョウスケ、お前の持ってる白紙の魔札を貸しておくれよ」
「えっ……これですか?」
キョウスケはポケットから一枚の白紙の魔札を取り出し、それをジャックに渡す。
ジャックは手渡された魔札の上に手を置き、魔札に向けて魔力を放出する。
「コイツにオイラの魔力を込めれば……おおっ!出てきた出てきた!」
すると、真っ白だった魔札にカボチャの刻印が浮かび上がってきた。
「これで完了!これがオイラの魔札だ。大切にしろよ?」
「これがジャックさんの魔札かぁ……なんかカードゲームのカードを集めてるみたい」
「おいおい……そいつはオイラ達魔物がデビルサモナーに忠誠を誓ったって証だぜぇ?もっと高級に扱ってくれよなぁ」
二人は互いに笑う。
そんな嬉しそうな二人を見て、グレイの顔も自然とほころぶ。
「フッ……脱獄犯に指名手配者、挙げ句の果てには盗賊か。どんどん罪人が増えていくなこのパーティは」
「ヘッヘッ!もういっそのこと監獄にぶち込まれてる魔物全員引き入れちまうか?」
「えぇ……そこまで怖い人達はちょっと……」
三人は笑い話をする。
監獄には魔王に逆らった者以外にも、本当に罪を裁かれた魔物も収監されている。もしそんな者達を野に放ったら、それこそ何処かの世紀末みたいな世界の完成である。
キョウスケは拳法も覚えてないし、筋力は小学六年生の平均前後といったところ。とてもじゃないが世紀末を生き残れる体は持っていなかった。
「さて冗談はこの辺にしておいてだ……これから天界へ向かうための作戦会議だ!まずは諸君これを見たまえ……ってな!まぁ見てくれ」
ジャックはまるで指揮官のようなそぶりをして、壁に貼り付けてある地図を指差す。
「今オイラ達がいるのがこのアンダーグラウンド。だがここには天界へ続く天の扉ってのは無いんだ。ちなみに天の扉は、魔界を移動する異界の門の天界バージョンだと思ってもらっていい!」
「はいっ質問!」
「なんだキョウスケ?」
「天界の騎士団はミレイを連れにアンダーグラウンドに来たんですよね?でも天の扉がアンダーグラウンドには無いのに、騎士たちはどうやってここまで来たんですか?」
キョウスケの質問にジャックは人差し指を立てながら答える。
「その質問答えよう!ズバリやつらはペガサスという羽の生えた馬に乗って来たからである!ペガサスは天界を自由に行き来できる、唯一の生物だからな」
「だ……だったら僕達もペガサスを捕まえれば……」
「考えが甘いぞキョウスケ!第一ペガサスは魔界には存在しない!天界に住んでる生物なんだ!つまり我々はこの天の扉を潜るほか天界へ向かう手段は無いのであ~る!!」
ジャックは論破したような顔で誇り、キョウスケはむむむ……と眉をひそめる。
「なんだこのやり取り……」
そんな二人を見て、グレイはぼそっと呟いた。
「ヘッヘッ、それじゃあ話を元に戻そう……ではその天の扉はどこにあるのかということになるが、天の扉はこの魔界には一つしかない!ズバリここだ!!」
ジャックが差した場所は、魔界の地図の西の端の部分だった。そこにはタワーオブバベルと表記されてある。
「魔界の西端……シンアルか」
グレイは地図の位置を見て答える。
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