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第3章 アンダーグラウンド
012【2】
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「そっか!でも魔力を出す量の調整なんてどうやったら上手く出来るんだろう……」
キョウスケは首を傾げる。
今までそんなことを考えずに魔技を唱えていたため、魔力の調整方法などキョウスケには見当もつかなかった。
だがそれは、グレイもジャックも同じだった。
「それはもう慣れるしかないんじゃないか?俺たちも魔法を使って魔力を消費するが、あれは魔法によって決まった量の魔力が消費されるからな。だから俺達にも魔力を調整する方法は分からないんだ」
「そっか……分かった!なんとかそれも出来るように努力してみるよ!」
「あぁそうしてくれ。魔力は無限では無いからな……調整が出来るようになればそれほど心強いものはない」
キョウスケは自分を高めることに何の躊躇も無かった。どんな無理難題でも、自分が強くなればそれは仲間の強さにもなる。そう考えていたからだ。
以前のキョウスケだったら、無理だと決めつけ、逃げ出していただろう……キョウスケは確実に魔界に来て成長していた。
「……早く今のお前の姿をカコさんに見せてやりたいな」
グレイはそう小さい声で呟くと、キョウスケが振り向いてくる。
「ん?何か言ったグレイ?」
「いや……何でもない。ジャック、引き続き悪魔像の立て直しを頼む」
「ヘッヘッりょーかい!」
先程まで渋っていたジャックも、テキパキと悪魔像を元の位置に立て直し、異界の門の準備はついに最終段階に入る。
「それじゃあ最後に六芒星なんだが、実はこれ何に書いても構わないんだ」
「へっ?そうなのかい?」
「えっ……ジャックお前知らないのか……」
キョウスケが知らないのは分かるが、ジャックがこのことについて知らないのはグレイにとって意外だった。
「いやだってさ……オイラにとってもこの異界の門ってただの移動手段だし……そんな仕組みなんて知らなくったって使えりゃいいって感じだし……」
ジャックの言い分はあながち間違いではない。
人間も例えば、エスカレーターやエレベーターの詳しい仕組みなど分からずとも、ごく普通の移動手段としてそれらを使っている。
それと異界の門とは一緒のことだった。
「いいか、異界の門っていうのはそもそもこのたたずまいがそう言われているんじゃない。この土地のことを言っているんだ」
グレイは説明するが、キョウスケとジャックは口を半開きにしている。
「この世には龍脈というものがあってな、つまりトンネルのようなものだ。そのトンネルの出入り口になる場所を龍穴と言って、その龍穴がある場所がこの異界の門なんだ」
今のグレイの説明には、二人は揃って「おおっ!」と感嘆の声をあげた。
「そしてこの六芒星と悪魔像は魔界を意味するためのもの。つまりこの龍穴の上にどんなもので作られていてもいいから、六芒星と四つの魔界像を置いておけば異界の門として成立するんだよ」
「なるほどぉ!!」
キョウスケとジャックはグレイに拍手する。
グレイも悪い気にはならなかった。
「んじゃああんなでっかい岩が無くても大丈夫ってことだな!」
「あぁ、あれはただのシンボル……見てくれさ。極端にやってしまうとこんなものでもいいんだ」
するとグレイはよろよろと右後ろ足をかばいながら歩き出し、落ちていた棒切れを口に咥えて地面に六芒星を書く。
「龍穴のある土地、四体の悪魔像、そしてこの地面の六芒星。これでここは異界の門になった」
「ひえ~……こんな落書きでもいいのかよ。こいつはたまげたねぇ」
ジャックは鳩が豆鉄砲を食ったような顔をする。
今までどの異界の門も厳かな雰囲気を出していたが、これからはもっと身近な感じがしてくるような、そんな気がジャックにはした。
「ねえグレイ、じゃあこの龍脈っていうのは僕達の世界にも繋がってるんだよね?」
「もちろんだ。魔界も人間世界も、世界は違うが同じ地球にあることは変わりない。この二つの世界は並行する世界同士、パラレルワールドだからな。この龍脈を通れば、並行世界をも飛び越えることができるってことだ」
「えっそうなんだ!ここは地球なんだ……」
キョウスケは全てのことに驚くが、最も驚いたのはこの魔界があるのは地球だということ。
ジャックの隠れ家で地図を見た時、彼は少し人間世界の世界地図に似ているような気はしていたが、やはりキョウスケの勘は合っていたのだった。
「ただ天界、あれは地球上じゃなく天上の世界だからな。あそこだけは龍脈を通っては行けないんだ」
「そっか……まぁ楽して天界には行けないってことだね」
「そういうことだな」
キョウスケは再び天界へ向かう厳しさをグレイから教えられる。
それでも、どんな苦難があろうと彼は天界へ向かう決意は揺るがない。
そこに迎えに行かなければならない人がいるから。
「……行こう、グレイ、ジャックさん。次の世界に」
「ああ、早くミレイのいる天界に向かわないとな」
「よっしゃあ!そんじゃ、いざシンアルへ出発だ!!」
ジャックは十本の鍵のついたキーホルダーを懐から取り出し、その中の黄土色の鍵を掲げる。
「異界の門よ、世界を開く鍵で我を魔の世界へ誘いたまえ!!」
ジャックが叫ぶと、グレイの土に書いた六芒星が黄土色の光を放ち、三人はそれと同じ色のきらめく光に包まれていく。
その刹那、キョウスケの眼前から瓦礫の山は姿を消し、彼らはアンダーグラウンドという名の地下世界を後にしたのだった。
キョウスケは首を傾げる。
今までそんなことを考えずに魔技を唱えていたため、魔力の調整方法などキョウスケには見当もつかなかった。
だがそれは、グレイもジャックも同じだった。
「それはもう慣れるしかないんじゃないか?俺たちも魔法を使って魔力を消費するが、あれは魔法によって決まった量の魔力が消費されるからな。だから俺達にも魔力を調整する方法は分からないんだ」
「そっか……分かった!なんとかそれも出来るように努力してみるよ!」
「あぁそうしてくれ。魔力は無限では無いからな……調整が出来るようになればそれほど心強いものはない」
キョウスケは自分を高めることに何の躊躇も無かった。どんな無理難題でも、自分が強くなればそれは仲間の強さにもなる。そう考えていたからだ。
以前のキョウスケだったら、無理だと決めつけ、逃げ出していただろう……キョウスケは確実に魔界に来て成長していた。
「……早く今のお前の姿をカコさんに見せてやりたいな」
グレイはそう小さい声で呟くと、キョウスケが振り向いてくる。
「ん?何か言ったグレイ?」
「いや……何でもない。ジャック、引き続き悪魔像の立て直しを頼む」
「ヘッヘッりょーかい!」
先程まで渋っていたジャックも、テキパキと悪魔像を元の位置に立て直し、異界の門の準備はついに最終段階に入る。
「それじゃあ最後に六芒星なんだが、実はこれ何に書いても構わないんだ」
「へっ?そうなのかい?」
「えっ……ジャックお前知らないのか……」
キョウスケが知らないのは分かるが、ジャックがこのことについて知らないのはグレイにとって意外だった。
「いやだってさ……オイラにとってもこの異界の門ってただの移動手段だし……そんな仕組みなんて知らなくったって使えりゃいいって感じだし……」
ジャックの言い分はあながち間違いではない。
人間も例えば、エスカレーターやエレベーターの詳しい仕組みなど分からずとも、ごく普通の移動手段としてそれらを使っている。
それと異界の門とは一緒のことだった。
「いいか、異界の門っていうのはそもそもこのたたずまいがそう言われているんじゃない。この土地のことを言っているんだ」
グレイは説明するが、キョウスケとジャックは口を半開きにしている。
「この世には龍脈というものがあってな、つまりトンネルのようなものだ。そのトンネルの出入り口になる場所を龍穴と言って、その龍穴がある場所がこの異界の門なんだ」
今のグレイの説明には、二人は揃って「おおっ!」と感嘆の声をあげた。
「そしてこの六芒星と悪魔像は魔界を意味するためのもの。つまりこの龍穴の上にどんなもので作られていてもいいから、六芒星と四つの魔界像を置いておけば異界の門として成立するんだよ」
「なるほどぉ!!」
キョウスケとジャックはグレイに拍手する。
グレイも悪い気にはならなかった。
「んじゃああんなでっかい岩が無くても大丈夫ってことだな!」
「あぁ、あれはただのシンボル……見てくれさ。極端にやってしまうとこんなものでもいいんだ」
するとグレイはよろよろと右後ろ足をかばいながら歩き出し、落ちていた棒切れを口に咥えて地面に六芒星を書く。
「龍穴のある土地、四体の悪魔像、そしてこの地面の六芒星。これでここは異界の門になった」
「ひえ~……こんな落書きでもいいのかよ。こいつはたまげたねぇ」
ジャックは鳩が豆鉄砲を食ったような顔をする。
今までどの異界の門も厳かな雰囲気を出していたが、これからはもっと身近な感じがしてくるような、そんな気がジャックにはした。
「ねえグレイ、じゃあこの龍脈っていうのは僕達の世界にも繋がってるんだよね?」
「もちろんだ。魔界も人間世界も、世界は違うが同じ地球にあることは変わりない。この二つの世界は並行する世界同士、パラレルワールドだからな。この龍脈を通れば、並行世界をも飛び越えることができるってことだ」
「えっそうなんだ!ここは地球なんだ……」
キョウスケは全てのことに驚くが、最も驚いたのはこの魔界があるのは地球だということ。
ジャックの隠れ家で地図を見た時、彼は少し人間世界の世界地図に似ているような気はしていたが、やはりキョウスケの勘は合っていたのだった。
「ただ天界、あれは地球上じゃなく天上の世界だからな。あそこだけは龍脈を通っては行けないんだ」
「そっか……まぁ楽して天界には行けないってことだね」
「そういうことだな」
キョウスケは再び天界へ向かう厳しさをグレイから教えられる。
それでも、どんな苦難があろうと彼は天界へ向かう決意は揺るがない。
そこに迎えに行かなければならない人がいるから。
「……行こう、グレイ、ジャックさん。次の世界に」
「ああ、早くミレイのいる天界に向かわないとな」
「よっしゃあ!そんじゃ、いざシンアルへ出発だ!!」
ジャックは十本の鍵のついたキーホルダーを懐から取り出し、その中の黄土色の鍵を掲げる。
「異界の門よ、世界を開く鍵で我を魔の世界へ誘いたまえ!!」
ジャックが叫ぶと、グレイの土に書いた六芒星が黄土色の光を放ち、三人はそれと同じ色のきらめく光に包まれていく。
その刹那、キョウスケの眼前から瓦礫の山は姿を消し、彼らはアンダーグラウンドという名の地下世界を後にしたのだった。
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