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第5章 バベルの塔
004【1】
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バベルの塔では今、緊張状態が続いていた。
塔を守る騎士達はおよそ十人程しかいない上、予知能力のあるベリトがここへデビルサモナーが現れるかもしれないという指示があったからである。
検問は正午には警備に切り替わるため、シンアルの街にいる騎士達の半分がバベルの塔へ戻って来る。
塔に残っている騎士達にとっては、それまでが勝負であった。
「……まもなく11時だが、そちらの方はどうだ」
「異常ありません……あと一時間の辛抱ですね」
「気を抜くな!あと一時間で応援が戻って来るとはいえ、それ以降も突入を目論んでくるやもしれんからな。しっかり励めよ!」
「はっはいっ!」
新人騎士は、先輩騎士に叱咤され、敬礼する。
新人に任せられているのは塔の入口付近であり、このバベルの塔に唯一存在する出入口である。
責任は重大であった。
「はぁ……緊張するな……」
新人騎士は鋼の剣を握っているが、そのグローブの下の手は汗が滲み出ていた。
その一刻一刻が緊張によって過ぎて行き、正午に早くならないかと心待ちにしていた。
「し……しかし何故デビルサモナー達はこの塔へ攻め込んでくるのでしょうか?ここが我らの拠点だという事は奴等も知っているはずでは?」
新人の騎士は後方で守備をしている先輩の騎士に尋ねる。
「それは俺にも分からない。そしてベリト団長もそこまでは読めないとおっしゃっている。考えられるのは二つ……一つは我らが検問をし、戦力を割いている内にこちらに攻め入り、騎士団を滅ぼそうと目論んでいるのか。そしてもう一つがこの塔にある天の扉を狙っているのかだ」
「天の扉を……ですか?」
「あぁ……これは私の憶測だが、天の扉で天界へ向かい、天使と共謀して魔界を攻めるのではないかという事が考えられる。奴等は魔王の首をも狙っていると噂だからな」
「そ……そうなのですか!?」
「あくまで噂だ、信憑性は低い。しかしそういう可能性もあるやもしれんという事だ。我々は天界を見張る番人でもあるんだ。いざという時の事も考えて行動せねばならん」
「はっ……ははっ!勉強になりました!」
魔界騎士団は西端の地シンアルの守護もあるが、魔界から天界へ繋がる唯一の天の扉の守護も兼任しているので、天界の監視もしなければならない。
故に、この騎士団は魔界の魔物の中でもエリートを集約しているのだった。
一方対するキョウスケ達一行はその頃、二手に別れて作戦の準備を着実に整えていた。
キョウスケとグレイは塔の裏側へと回り、ジャックとカコは透過シートと縄を持って、正面の入口に近い場所の草むらで待機していた。
「ヘッヘッ……どうやら騎士団も検問に人数を割いてるみたいで、塔の警備は昨日に比べて手薄になってら」
「でも……あの様子ではかなり警戒されているかもしれませんね。まるでわたし達がここに来る事を分かっている様な……」
「ベリトは慎重な奴だからな……付け入る隙が無いよう塔の守護も万全にしてるのだろうさ……これならアスタロトの方が何倍も楽だったかもしれないね」
ジャックとカコが確認出来るだけでも、入口付近には二人の騎士が守備を固めている。
騎士達の緊張感と殺気は、見ている二人の元に伝わって来るほど満ち満ちていた。
「ヘッ……こりゃあキョウスケとグレイが失敗したら良くて全員お縄、悪くて皆殺しにされちまってもオカシクねぇな……」
「キョウスケ……」
二人には今、キョウスケとグレイが作戦を成功させる事を、ひたすら祈るしか無かった。
そしてキョウスケとグレイは、塔の裏側にて最後の調整をしていた。
キョウスケは魔札がこれでもないくらい輝きを増している事を確認すると、目の前のバベルの塔の壁を見据えた。
「いくよ……グレイ!」
「おうっ!」
キョウスケは有りっ丈の魔力を注ぎ込み、そして唱えた。
「ヒートブレスッッ!!!!」
グレイは口元で火球の大きさを増幅させていく。
まだ……まだ足りない。
「うおおおおおおおおおおっっ!!!」
キョウスケは叫び、全身から魔力を捻り出す。
バベルの塔の壁は厚い。そんじょそこら程度の魔法では穴が空くどころか、ヒビが入る事も無い。
だからこそ、この魔技に全力を注ぐ必要があったのだ。
「まだだキョウスケ……もう少し……!」
グレイの口元の炎は、常にその容量を超えており、グレイの顔全体が炎に包まれてしまう程巨大な物になっていた。
「ぬああああああああああああああああっっっ!!!!!!」
キョウスケの持っている魔力のほとんどを込めた時、その機会は訪れた。
「今だっ!ぶっ壊れろおおおおおっっっ!!!!」
グレイは口元の火球というよりかは、顔全体を覆う程の巨大な炎の塊を放出する。
すると炎の塊はバベルの塔の壁にぶつかり、塔全体に巨大な振動を与え、強烈な爆裂音を放った。
塔を守る騎士達はおよそ十人程しかいない上、予知能力のあるベリトがここへデビルサモナーが現れるかもしれないという指示があったからである。
検問は正午には警備に切り替わるため、シンアルの街にいる騎士達の半分がバベルの塔へ戻って来る。
塔に残っている騎士達にとっては、それまでが勝負であった。
「……まもなく11時だが、そちらの方はどうだ」
「異常ありません……あと一時間の辛抱ですね」
「気を抜くな!あと一時間で応援が戻って来るとはいえ、それ以降も突入を目論んでくるやもしれんからな。しっかり励めよ!」
「はっはいっ!」
新人騎士は、先輩騎士に叱咤され、敬礼する。
新人に任せられているのは塔の入口付近であり、このバベルの塔に唯一存在する出入口である。
責任は重大であった。
「はぁ……緊張するな……」
新人騎士は鋼の剣を握っているが、そのグローブの下の手は汗が滲み出ていた。
その一刻一刻が緊張によって過ぎて行き、正午に早くならないかと心待ちにしていた。
「し……しかし何故デビルサモナー達はこの塔へ攻め込んでくるのでしょうか?ここが我らの拠点だという事は奴等も知っているはずでは?」
新人の騎士は後方で守備をしている先輩の騎士に尋ねる。
「それは俺にも分からない。そしてベリト団長もそこまでは読めないとおっしゃっている。考えられるのは二つ……一つは我らが検問をし、戦力を割いている内にこちらに攻め入り、騎士団を滅ぼそうと目論んでいるのか。そしてもう一つがこの塔にある天の扉を狙っているのかだ」
「天の扉を……ですか?」
「あぁ……これは私の憶測だが、天の扉で天界へ向かい、天使と共謀して魔界を攻めるのではないかという事が考えられる。奴等は魔王の首をも狙っていると噂だからな」
「そ……そうなのですか!?」
「あくまで噂だ、信憑性は低い。しかしそういう可能性もあるやもしれんという事だ。我々は天界を見張る番人でもあるんだ。いざという時の事も考えて行動せねばならん」
「はっ……ははっ!勉強になりました!」
魔界騎士団は西端の地シンアルの守護もあるが、魔界から天界へ繋がる唯一の天の扉の守護も兼任しているので、天界の監視もしなければならない。
故に、この騎士団は魔界の魔物の中でもエリートを集約しているのだった。
一方対するキョウスケ達一行はその頃、二手に別れて作戦の準備を着実に整えていた。
キョウスケとグレイは塔の裏側へと回り、ジャックとカコは透過シートと縄を持って、正面の入口に近い場所の草むらで待機していた。
「ヘッヘッ……どうやら騎士団も検問に人数を割いてるみたいで、塔の警備は昨日に比べて手薄になってら」
「でも……あの様子ではかなり警戒されているかもしれませんね。まるでわたし達がここに来る事を分かっている様な……」
「ベリトは慎重な奴だからな……付け入る隙が無いよう塔の守護も万全にしてるのだろうさ……これならアスタロトの方が何倍も楽だったかもしれないね」
ジャックとカコが確認出来るだけでも、入口付近には二人の騎士が守備を固めている。
騎士達の緊張感と殺気は、見ている二人の元に伝わって来るほど満ち満ちていた。
「ヘッ……こりゃあキョウスケとグレイが失敗したら良くて全員お縄、悪くて皆殺しにされちまってもオカシクねぇな……」
「キョウスケ……」
二人には今、キョウスケとグレイが作戦を成功させる事を、ひたすら祈るしか無かった。
そしてキョウスケとグレイは、塔の裏側にて最後の調整をしていた。
キョウスケは魔札がこれでもないくらい輝きを増している事を確認すると、目の前のバベルの塔の壁を見据えた。
「いくよ……グレイ!」
「おうっ!」
キョウスケは有りっ丈の魔力を注ぎ込み、そして唱えた。
「ヒートブレスッッ!!!!」
グレイは口元で火球の大きさを増幅させていく。
まだ……まだ足りない。
「うおおおおおおおおおおっっ!!!」
キョウスケは叫び、全身から魔力を捻り出す。
バベルの塔の壁は厚い。そんじょそこら程度の魔法では穴が空くどころか、ヒビが入る事も無い。
だからこそ、この魔技に全力を注ぐ必要があったのだ。
「まだだキョウスケ……もう少し……!」
グレイの口元の炎は、常にその容量を超えており、グレイの顔全体が炎に包まれてしまう程巨大な物になっていた。
「ぬああああああああああああああああっっっ!!!!!!」
キョウスケの持っている魔力のほとんどを込めた時、その機会は訪れた。
「今だっ!ぶっ壊れろおおおおおっっっ!!!!」
グレイは口元の火球というよりかは、顔全体を覆う程の巨大な炎の塊を放出する。
すると炎の塊はバベルの塔の壁にぶつかり、塔全体に巨大な振動を与え、強烈な爆裂音を放った。
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