70 / 71
第5章 バベルの塔
003【3】
しおりを挟む
「グレイそれはどう見たって壁だよ?やっぱり違う所にあるんじゃ……」
「フッ……まぁ見ておけキョウスケ!」
すると何を思ったのか、グレイは壁の位置から少し離れ、助走をつけてから壁に向かって思いっきり突っ込んだ。
「ちょっ!何やってるのグレイ……えっ?」
キョウスケはその瞬間自分の目を疑った。
壁に突っ込んだはずのグレイだったが、壁に弾かれるどころか、グレイはその体ごと消え去ってしまった。
「えっ!えっ!?ど……どういうことなのっ!?グレイは?グレイは何処行ったの?」
「俺はここだ」
「うわああああああ!!!グ……グレイの生首だぁっ!!!!!!!」
壁からはグレイの首だけが急に飛び出し、キョウスケは驚愕騒然。
走ってカコの背中へと急いで隠れた。
「誰が生首だ、俺は生きてるぞ」
「ウワアァッ!!!生首が喋ってる!!!!!」
「だから生首じゃないっ!」
グレイは怒鳴るが、キョウスケはまたもそんな首だけのグレイを見て「ヒィッ!」と恐れる。
「あらあら、幽霊が嫌いなのは相変わらずなのね。確かミレイちゃんと最初にお化け屋敷に行った時からずっと嫌いなのよね」
「ヘッヘッ!コイツそれまで何ともなかったのに、オイラの先祖が幽霊だって知ってからしばらくオイラのこと遠ざけてやがったからね。幽霊だったら見境なしに嫌われちまう」
「あらそうなんですか?そういう所、もうちょっと成長しないといけないわねキョウスケ?」
「うぅ……それでも怖いものは怖いんだよ……」
キョウスケは相変わらずカコの背中に隠れ、そんな彼を見てカコは「まだまだ子供ね」と薄く笑みを浮かべ、ジャックはやれやれと溜息をついた。
「まったく……いいか、ここには透過シートっていう周りのものに溶け込むことの出来るシートみたいなのが貼られてるんだ。ジャック、この壁の部分のシートを下からめくり取ってくれ」
「おう」
グレイの指示でジャックが壁の下の部分に手を入れると、ジャックは何か手応えを感じ、それを握ってめくり取る。
すると壁だった場所に人一人が通過出来る程の大きな穴が姿を現した。
「うわっ穴が!うわっ全身のグレイが出てきた!!」
「全身ってどういう意味だよ……とにかく、そのシートをさっきの様に貼っていたら、シートが勝手に適応して周りの風景に合わせるようになるんだ」
「へぇ……透明マントみたいな物なのかな?」
「あれとは少し違う。マントは被ることが出来るがこれは上下に持ち手の部分があるだけで、あとはすり抜けてしまう。だからこういう抜け道を隠したりする時に有効的なんだ」
「そうなんだ」
キョウスケはその正体が分かると、すっかりカコの背中から出て来て、ジャックの持っている薄い膜の様な物を見ながらグレイの説明を聞いた。
「しかしマモンってのは本当に用意周到な奴だな。ダミーの家まで建てて、しかも穴を隠すためにこんなものまで貼り付けるとはな」
「それだけ他人にバレたくないものだったんだろうさ。まぁ深く詮索はしない方がいいだろう、互いのためにも」
「それもそうだな!」
「……?どういうこと?」
グレイとジャックのちょっぴりビターな話に、子供のキョウスケは着いて行けず、一人首を傾げていた。
そんな三人の姿を側から見ていたカコだったが、その透過シートを見て、ハッと思いつく。
「そのシート……もしかしたら今回の作戦に使えませんかね?」
透過シートは壁の大穴を隠すため、大きな物が貼られていたので、大人二人は余裕で隠れられるくらいの大きさはあった。
「えぇ、俺もそう思ってました。ジャックとカコさんでちょっとシートの端と端を持って隠れてみてください」
「よっしゃ!」
「ええ、分かりました!」
カコが先頭に立ち、その後ろにジャックが一列に並び、そして透過シートの前の先端をカコが、後ろの先端をジャックが握る。
すると二人の姿は透過シートに隠れ、綺麗さっぱりその場から見えなくなってしまった。
「おぉ!!これなら見つからずにバベルの塔の中まで入れそうだね!」
「あぁ、だが覆われている訳ではないから、透過シートの裏側を見られたら一発でアウトだ。だから騎士のいる方に常に透過シートを向けながら歩かなければならないというのが不便ではあるがな」
グレイの言う通り、透過シートの裏側は全くもって隠蔽能力ゼロ。
むしろ見えない何かを持って二人が一列に並んでいるようなその姿は、側から見ると怪しいことこの上ないものになっていた。
「ヘッヘッ、でもバベルの塔の階段は壁に沿って螺旋状に作られてるんだろ?階段まで行けば後は壁を背に上れば楽勝だぜ!」
「じゃあわたし達の難関は塔に入るまでってことですね?頑張りましょうジャックさん!」
「おうっ!」
ジャックとカコの声は聞こえるが、姿は相変わらず見えない。
バベルの塔潜入の前に、この透過シートは四人にとって作戦の成功率をグンと上げる幸運であり、まさに棚からぼた餅な出来事であった。
「それじゃあここを抜けたら一気にバベルの塔へ向かうが……ジャックとカコさんは俺達が塔を攻撃し、騎士達が騒ぎ始めてから行動を開始してくれよ」
「おう!タイミングとチームワークが命の作戦だからな……キョウスケのカーちゃん絶対成功させようぜ!」
「えぇ、そうですね。それとジャックさん、わたしのことはカコでいいですからね?」
「えっ?そうかい?じゃあカコカーちゃんやるぜ!えいえいおー!!」
「その呼ばれ方は初めてだけど……まっいっか!えいえいおー!!」
ジャックとカコは透過シートを持っていない方の腕を挙げ、鬨の声を上げて気合を入れる。
ちなみにキョウスケとグレイからは、挙げている腕だけは見ることが出来た。
「……僕達もやっとく?」
「……いや、やめとこう」
「そうだね……」
あまりにも空気感が異なる二つのチーム。
しかしこのバベルの塔攻略作戦は、この二つのチームが一丸とならなければ成功しない程厳しい作戦となっていたのだった。
「フッ……まぁ見ておけキョウスケ!」
すると何を思ったのか、グレイは壁の位置から少し離れ、助走をつけてから壁に向かって思いっきり突っ込んだ。
「ちょっ!何やってるのグレイ……えっ?」
キョウスケはその瞬間自分の目を疑った。
壁に突っ込んだはずのグレイだったが、壁に弾かれるどころか、グレイはその体ごと消え去ってしまった。
「えっ!えっ!?ど……どういうことなのっ!?グレイは?グレイは何処行ったの?」
「俺はここだ」
「うわああああああ!!!グ……グレイの生首だぁっ!!!!!!!」
壁からはグレイの首だけが急に飛び出し、キョウスケは驚愕騒然。
走ってカコの背中へと急いで隠れた。
「誰が生首だ、俺は生きてるぞ」
「ウワアァッ!!!生首が喋ってる!!!!!」
「だから生首じゃないっ!」
グレイは怒鳴るが、キョウスケはまたもそんな首だけのグレイを見て「ヒィッ!」と恐れる。
「あらあら、幽霊が嫌いなのは相変わらずなのね。確かミレイちゃんと最初にお化け屋敷に行った時からずっと嫌いなのよね」
「ヘッヘッ!コイツそれまで何ともなかったのに、オイラの先祖が幽霊だって知ってからしばらくオイラのこと遠ざけてやがったからね。幽霊だったら見境なしに嫌われちまう」
「あらそうなんですか?そういう所、もうちょっと成長しないといけないわねキョウスケ?」
「うぅ……それでも怖いものは怖いんだよ……」
キョウスケは相変わらずカコの背中に隠れ、そんな彼を見てカコは「まだまだ子供ね」と薄く笑みを浮かべ、ジャックはやれやれと溜息をついた。
「まったく……いいか、ここには透過シートっていう周りのものに溶け込むことの出来るシートみたいなのが貼られてるんだ。ジャック、この壁の部分のシートを下からめくり取ってくれ」
「おう」
グレイの指示でジャックが壁の下の部分に手を入れると、ジャックは何か手応えを感じ、それを握ってめくり取る。
すると壁だった場所に人一人が通過出来る程の大きな穴が姿を現した。
「うわっ穴が!うわっ全身のグレイが出てきた!!」
「全身ってどういう意味だよ……とにかく、そのシートをさっきの様に貼っていたら、シートが勝手に適応して周りの風景に合わせるようになるんだ」
「へぇ……透明マントみたいな物なのかな?」
「あれとは少し違う。マントは被ることが出来るがこれは上下に持ち手の部分があるだけで、あとはすり抜けてしまう。だからこういう抜け道を隠したりする時に有効的なんだ」
「そうなんだ」
キョウスケはその正体が分かると、すっかりカコの背中から出て来て、ジャックの持っている薄い膜の様な物を見ながらグレイの説明を聞いた。
「しかしマモンってのは本当に用意周到な奴だな。ダミーの家まで建てて、しかも穴を隠すためにこんなものまで貼り付けるとはな」
「それだけ他人にバレたくないものだったんだろうさ。まぁ深く詮索はしない方がいいだろう、互いのためにも」
「それもそうだな!」
「……?どういうこと?」
グレイとジャックのちょっぴりビターな話に、子供のキョウスケは着いて行けず、一人首を傾げていた。
そんな三人の姿を側から見ていたカコだったが、その透過シートを見て、ハッと思いつく。
「そのシート……もしかしたら今回の作戦に使えませんかね?」
透過シートは壁の大穴を隠すため、大きな物が貼られていたので、大人二人は余裕で隠れられるくらいの大きさはあった。
「えぇ、俺もそう思ってました。ジャックとカコさんでちょっとシートの端と端を持って隠れてみてください」
「よっしゃ!」
「ええ、分かりました!」
カコが先頭に立ち、その後ろにジャックが一列に並び、そして透過シートの前の先端をカコが、後ろの先端をジャックが握る。
すると二人の姿は透過シートに隠れ、綺麗さっぱりその場から見えなくなってしまった。
「おぉ!!これなら見つからずにバベルの塔の中まで入れそうだね!」
「あぁ、だが覆われている訳ではないから、透過シートの裏側を見られたら一発でアウトだ。だから騎士のいる方に常に透過シートを向けながら歩かなければならないというのが不便ではあるがな」
グレイの言う通り、透過シートの裏側は全くもって隠蔽能力ゼロ。
むしろ見えない何かを持って二人が一列に並んでいるようなその姿は、側から見ると怪しいことこの上ないものになっていた。
「ヘッヘッ、でもバベルの塔の階段は壁に沿って螺旋状に作られてるんだろ?階段まで行けば後は壁を背に上れば楽勝だぜ!」
「じゃあわたし達の難関は塔に入るまでってことですね?頑張りましょうジャックさん!」
「おうっ!」
ジャックとカコの声は聞こえるが、姿は相変わらず見えない。
バベルの塔潜入の前に、この透過シートは四人にとって作戦の成功率をグンと上げる幸運であり、まさに棚からぼた餅な出来事であった。
「それじゃあここを抜けたら一気にバベルの塔へ向かうが……ジャックとカコさんは俺達が塔を攻撃し、騎士達が騒ぎ始めてから行動を開始してくれよ」
「おう!タイミングとチームワークが命の作戦だからな……キョウスケのカーちゃん絶対成功させようぜ!」
「えぇ、そうですね。それとジャックさん、わたしのことはカコでいいですからね?」
「えっ?そうかい?じゃあカコカーちゃんやるぜ!えいえいおー!!」
「その呼ばれ方は初めてだけど……まっいっか!えいえいおー!!」
ジャックとカコは透過シートを持っていない方の腕を挙げ、鬨の声を上げて気合を入れる。
ちなみにキョウスケとグレイからは、挙げている腕だけは見ることが出来た。
「……僕達もやっとく?」
「……いや、やめとこう」
「そうだね……」
あまりにも空気感が異なる二つのチーム。
しかしこのバベルの塔攻略作戦は、この二つのチームが一丸とならなければ成功しない程厳しい作戦となっていたのだった。
0
あなたにおすすめの小説
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる