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第5章 バベルの塔
003【2】
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「そ……そうだったわね。年甲斐も無くはしゃいじゃってみんなに迷惑掛けるとこだったわ。反省します……」
しょんぼりとカコが落ち込むと、そこにつかさずフォローを入れたのは先程まで落ち込んでいたジャックだった。
「ヘッヘッ……気にすることねぇよキョウスケのかーちゃん。オイラもそういう勢いで調子乗っちゃう時あるからさ。まっいつもグレイに怒られちまうけどな」
「……ふふっ、ジャックさんありがとうございます」
「いやいや、なんのなんの……」
ジャックは照れ笑いをし、後頭部をさする。
「よっしゃ野暮が過ぎちまった!さっ出発しようぜ!!」
「そうですね、行きましょ!」
お互い意気揚々とジャックとカコは先頭を歩いて行く。
「なあキョウスケ……俺達もしかして悪役にされてないか」
「……そうかもしれないね。でもいいんじゃない?たまには恨まれ役も」
「……まっそれもそうだな」
「おいっお前ら!止まってないで歩けっ!急ぐんだろ!」
「そうよキョウスケ、グレイさん早く早く!」
今回の恨まれ役となったキョウスケとグレイが共に物思いにふけていると、恨まれる対象となったジャックとカコが二人を急かした。
「おっとそうだ……あの二人先に歩いてるけど、地図は僕が握ってるんだった。さっ行こうグレイ」
「フッ……そうだな。先を急ごう」
二人は軽く駆け足をし、ジャックとカコに追いつくと、ふたたび四人は足並みを揃えて歩き始めた。
シンアルの北にある抜け道を目指す最中、騎士団と遭遇することは無く、四人は無事マモンから教えて貰った抜け道のある路地へと到達する。
そこは先程までの煌びやかなシンアルの街とは異なり、舗装されていたはずの道もでこぼことなり、空き家や塗装の剥げた塀なんかが目立つ場所となっていた。
「なんだかここ……アンダーグランドを思い出すね」
「ヘッヘッそうだな!まぁ、あそこは表通りがこんなんだし、ここの場合は路地裏なんだからまだマシな方だろ」
「今頃どうなってるんだろうなぁ……」
最初に訪れたならず者の集まる荒れた街をキョウスケは思い出す。
アンダーグランドではアスタロトが倒され、親衛隊が今も残っているのか、そしてデュラハンとワーキャットがその後どうなったのか気になるところではあったが、しかし旅を続けるキョウスケにはそれを知る由は無かった。
「キョウスケ、ここら辺じゃないのかマモンの言っていた抜け道っていうのは?」
グレイに言われ、キョウスケは手元のPMMに映るマップを確認する。
グレイの言う通り、確かにマークがされている場所に自分達は立っていた。
「うん……ここのはずだけど……」
目的地に着いたはずだが、しかしキョウスケの顔は浮かない。
何故なら、彼らの目の前には外塀ではなく、ボロボロな家が一軒あったからだ。
「マモンの奴、もしかしてテキトーなこと教えやがったのかぁ?」
ジャックが顔をしかめていると、グレイは訝しげに目の前にあるボロボロの家の周りを見て回る。
「いや……もしかしたらこの家の中に抜け道があるんじゃないのか?」
「はぁ?家の中に?」
「ほら横から見てみろ。この家外壁の部分と繋がってるように見えないか?」
グレイに連れられ、三人はボロボロの家を横から見てみる。
すると家は、ずっとシンアルの周りを覆っている外壁と密着しており、まるでその部分を隠すためだけにそこに家が作られたような、そんな風に見えた。
「……確かにそうかもしれねぇな。でも何でマモンがこんなこと知ってやがったんだ?普通に見たらただの家にしか見えないのに……」
「考えられるとするなら、マモンがこの抜け道を常用していたか、この抜け道自体をマモンが作ったのかのどっちかだな。まあどちらにしろ法外なことをするのに使ってたんだろう」
「おぉ……そいつは怖えや」
結局マモンが何に使っていた抜け道かは分からず仕舞いだったが、今の四人にとって、これが唯一の外へ出る手段となることには変わりなかった。
四人は再び家の正面に戻り、他の三人は一歩後ろに下がり、キョウスケが先頭に立つ。
「……なんで僕がノックしないといけないの?」
「何でってそりゃあお前がリーダーだから仕方ねぇじゃん。なぁ?」
「フッ……まっそうなるな」
「キョウスケ!ファイト!」
「はぁ……こんな時だけみんな都合良くリーダーって言うんだから」
キョウスケは大きな溜息をつくと、覚悟を決めるためその後大きく息を吸い、「よしっ!」と気合いを入れてボロボロの家の扉をノックする。
「ごめんくださ~い!!」
二度、三度程ノックをしたが、返事は無い。
キョウスケはドアノブを握り、回してみる。すると扉は半引きとなり、どうやら鍵はかかっていないようだった。
「キョウスケ、行けっ!」
「これも僕がやるの!?……はぁ、お邪魔しまぁすっ!!」
ジャックに背中を押され、キョウスケは一応誰か居てはいけないので、掛け声だけを出して扉を思いっきり開く。
家の中には家具などは何も無く、魔物が住んでいる気配も無い完全に空き家となっていた。
「はぁ……よかった」
キョウスケはホッと胸を撫で下ろす。
もう既に大役を果たした様な、そんな気分になった。
「空き家か……んっ……こっちから風が入って来てるな」
グレイは正面の部屋から入って来ている僅かな風を感じる。つまりこの正面の部屋に風が通り抜ける空間があり、それこそがマモンの言う抜け道だったのだ。
「でもグレイさん、風を感じると言っても何処にも通路らしいものは無いわよ?」
正面の部屋にはそれらしき穴も何も無い。
あるのはただ、家の壁のみだった。
「……いやここだ!ここにある!」
グレイは部屋の入口から真正面の壁の前で立ち止まる。
ただ、そこはどう見ても壁だった。
しょんぼりとカコが落ち込むと、そこにつかさずフォローを入れたのは先程まで落ち込んでいたジャックだった。
「ヘッヘッ……気にすることねぇよキョウスケのかーちゃん。オイラもそういう勢いで調子乗っちゃう時あるからさ。まっいつもグレイに怒られちまうけどな」
「……ふふっ、ジャックさんありがとうございます」
「いやいや、なんのなんの……」
ジャックは照れ笑いをし、後頭部をさする。
「よっしゃ野暮が過ぎちまった!さっ出発しようぜ!!」
「そうですね、行きましょ!」
お互い意気揚々とジャックとカコは先頭を歩いて行く。
「なあキョウスケ……俺達もしかして悪役にされてないか」
「……そうかもしれないね。でもいいんじゃない?たまには恨まれ役も」
「……まっそれもそうだな」
「おいっお前ら!止まってないで歩けっ!急ぐんだろ!」
「そうよキョウスケ、グレイさん早く早く!」
今回の恨まれ役となったキョウスケとグレイが共に物思いにふけていると、恨まれる対象となったジャックとカコが二人を急かした。
「おっとそうだ……あの二人先に歩いてるけど、地図は僕が握ってるんだった。さっ行こうグレイ」
「フッ……そうだな。先を急ごう」
二人は軽く駆け足をし、ジャックとカコに追いつくと、ふたたび四人は足並みを揃えて歩き始めた。
シンアルの北にある抜け道を目指す最中、騎士団と遭遇することは無く、四人は無事マモンから教えて貰った抜け道のある路地へと到達する。
そこは先程までの煌びやかなシンアルの街とは異なり、舗装されていたはずの道もでこぼことなり、空き家や塗装の剥げた塀なんかが目立つ場所となっていた。
「なんだかここ……アンダーグランドを思い出すね」
「ヘッヘッそうだな!まぁ、あそこは表通りがこんなんだし、ここの場合は路地裏なんだからまだマシな方だろ」
「今頃どうなってるんだろうなぁ……」
最初に訪れたならず者の集まる荒れた街をキョウスケは思い出す。
アンダーグランドではアスタロトが倒され、親衛隊が今も残っているのか、そしてデュラハンとワーキャットがその後どうなったのか気になるところではあったが、しかし旅を続けるキョウスケにはそれを知る由は無かった。
「キョウスケ、ここら辺じゃないのかマモンの言っていた抜け道っていうのは?」
グレイに言われ、キョウスケは手元のPMMに映るマップを確認する。
グレイの言う通り、確かにマークがされている場所に自分達は立っていた。
「うん……ここのはずだけど……」
目的地に着いたはずだが、しかしキョウスケの顔は浮かない。
何故なら、彼らの目の前には外塀ではなく、ボロボロな家が一軒あったからだ。
「マモンの奴、もしかしてテキトーなこと教えやがったのかぁ?」
ジャックが顔をしかめていると、グレイは訝しげに目の前にあるボロボロの家の周りを見て回る。
「いや……もしかしたらこの家の中に抜け道があるんじゃないのか?」
「はぁ?家の中に?」
「ほら横から見てみろ。この家外壁の部分と繋がってるように見えないか?」
グレイに連れられ、三人はボロボロの家を横から見てみる。
すると家は、ずっとシンアルの周りを覆っている外壁と密着しており、まるでその部分を隠すためだけにそこに家が作られたような、そんな風に見えた。
「……確かにそうかもしれねぇな。でも何でマモンがこんなこと知ってやがったんだ?普通に見たらただの家にしか見えないのに……」
「考えられるとするなら、マモンがこの抜け道を常用していたか、この抜け道自体をマモンが作ったのかのどっちかだな。まあどちらにしろ法外なことをするのに使ってたんだろう」
「おぉ……そいつは怖えや」
結局マモンが何に使っていた抜け道かは分からず仕舞いだったが、今の四人にとって、これが唯一の外へ出る手段となることには変わりなかった。
四人は再び家の正面に戻り、他の三人は一歩後ろに下がり、キョウスケが先頭に立つ。
「……なんで僕がノックしないといけないの?」
「何でってそりゃあお前がリーダーだから仕方ねぇじゃん。なぁ?」
「フッ……まっそうなるな」
「キョウスケ!ファイト!」
「はぁ……こんな時だけみんな都合良くリーダーって言うんだから」
キョウスケは大きな溜息をつくと、覚悟を決めるためその後大きく息を吸い、「よしっ!」と気合いを入れてボロボロの家の扉をノックする。
「ごめんくださ~い!!」
二度、三度程ノックをしたが、返事は無い。
キョウスケはドアノブを握り、回してみる。すると扉は半引きとなり、どうやら鍵はかかっていないようだった。
「キョウスケ、行けっ!」
「これも僕がやるの!?……はぁ、お邪魔しまぁすっ!!」
ジャックに背中を押され、キョウスケは一応誰か居てはいけないので、掛け声だけを出して扉を思いっきり開く。
家の中には家具などは何も無く、魔物が住んでいる気配も無い完全に空き家となっていた。
「はぁ……よかった」
キョウスケはホッと胸を撫で下ろす。
もう既に大役を果たした様な、そんな気分になった。
「空き家か……んっ……こっちから風が入って来てるな」
グレイは正面の部屋から入って来ている僅かな風を感じる。つまりこの正面の部屋に風が通り抜ける空間があり、それこそがマモンの言う抜け道だったのだ。
「でもグレイさん、風を感じると言っても何処にも通路らしいものは無いわよ?」
正面の部屋にはそれらしき穴も何も無い。
あるのはただ、家の壁のみだった。
「……いやここだ!ここにある!」
グレイは部屋の入口から真正面の壁の前で立ち止まる。
ただ、そこはどう見ても壁だった。
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