不老不死のお姫様と執事の日常

ぶー

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2日目

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この国、リンゼム国は南よりの位置にある。基本的暖かく、冬の方が過ごしやすい。が、

「モーント、今日は寒いわね」
「そうですねメミロン様。さぁ、お召し物を持ってきましたよ」

モーントが自身の髪の色に似た、青い羽織を私にかける。

「ありがとう、モートン」
「いえいえ」
「モーント。貴方、雪って見たことあるかしら」
「見たことありません。しかし、この別荘の書物で存在は知っています」
「そう」

読みかけの本を閉じて広場のカーテンを開けると案の定、そこには白い結晶がちらついていた。

「これが本物の雪ですか」
「何年ぶりかしら。いや、何百年ぶり?」
「メミロン様はこのような綺麗な現象を沢山見ているのですね」
「何回も見ていると飽きるわ」

モーントが藍色の瞳を細めて微笑んだ

「飽きるほど見れるなんて、贅沢なことですよ」
「……ありがとう」

私の不老不死の呪いを肯定してくれるのは今まで生きてきてモーントだけだった。そしてきっとこれからも。

「モーント」
「はい。なんでございましょうメミロン様」
「私、貴方と出会えて良かったわ」
「わたくしもですメミロン様」
「……………………」

冷気で冷たくなったガラスに手を触れてみる。何故か少しあたたかい気がした。

「今のうちに目に焼き付けといた方がいいわよ。この国で雪は滅多に降らないからね」
「わたくしにとって、目に焼き付けたいのはメミロン様。あなたですよ」
「……面白いこと言うわね」
「綺麗な金色の御髪も、紅の瞳も、どんなものよりも綺麗です」

昔だったら、鬱陶しく感じたかもしれない。けれどモーントをよく知った今、その言葉がすごく嬉しく感じた。

「昔は……この髪と同じ、金色の瞳だったのよ」
「どのメミロン様も素敵です」
「いつか見られるといいわね」
「そうですね」



不老不死のお姫様と執事の日常
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