壮大な世界の物語

おう

文字の大きさ
上 下
5 / 10
プロローグ

加入2

しおりを挟む
「自己紹介が遅れたな。俺はギルドマスターのシンだ。よろしくな」
ギルドマスターが手を差し出してきたので、自分も手をだし握手を交わす。
この黒髪の男をどこかで見たことがある気がする。
確か、、、大罪教の司教と戦っていた人か。
「あの、、、シンさん確か王都能力大学に来て自分を助けてくれましたよね」
「ああ、ちゃんと覚えていてくれたんだな。」
「ええ、命の恩人のことは覚えていますよ」
「聞いてくれたかメイ?命の恩人だってさ」
隣に立っている可憐な少女に言う
「もう、調子に乗らないのギルドマスター!」
少女が小さな手で、シンさんの背中を平手打ちした。
「痛った!」
小さな少女の平手打ちは現人間界最強の男に聞くようだ。
「あの、、、すみません。さっき言った、ギルドに入れってどういうことですか?」
「言葉の通りだよ。お前にはギルドに入ってもらいたい」
平手打ちされた背中に手を当てながら言う。
「何で僕なんですか?ギルドみたいな組織は俺には合わないですよ」
「何でって言われたら説明は長くなるんだが、お前は何で王都能力大学が大罪教に狙われたか分かるか?」
「すみません、分からないです」
「まぁ、そうだろうな」
シンさんが、部屋の窓から外を見ながら言う。
「大罪教が狙った理由は、、、」
「いや、早く言ってくださいよ」
「本当に聞いて大丈夫なのか?」
「ええ、大丈夫です。早く言ってください」
「分かった。言おう」
「大罪教が王都能力大学を狙った理由は、、、」
とんでもないことを聞いてしまうのではないかと思い息を吞む。
「お前だ」
何の感情を入れずにシンさんは言った
「はい?」
いきなり過ぎてまぬけな声が出た。
「いやいや、俺には狙われる心当たりがないんですけど」
「お前が心当たりがないのも無理ない」
表情を変えずに淡々とシンさんは言う。
「司教と俺の会話を聞いていただろう、その内容が全てだ」
「そんな、意味が分からないですって!」
全く理解出来ない真実を知り、怒りが出てくる。
「メイ、彼女を連れて来てくれ」
「分かりました」
少し動揺したようだが頷き、部屋から退出する。
まるで今さっきまでのしょうもない会話が噓だったようだ。
少女が部屋から出たことを確認すると、シンさんは話を続ける。
「大罪教の人間は大罪者の器を探していた、そしてようやく見つけたんだ」
大罪者?器?何なんだそれは。自分の脳に意味の分からない単語が流れてくる。
「大罪者とか、器ってなんなんですか?」
「申し訳ないがそれを今俺が言う訳にはいかない」
無理解を理解に変えることはできなかった。
「だが、お前がギルドに入り大罪教と戦ったら、お前の中に存在する全ての理解できない情報が解決すると約束しよう」
「そして、、、大罪者によって苦しみを覚える人間がいなくなることも」
「そんな勝手ですよ。あの事件のせいで友達や大切な人がたくさん死んだのに、更にギルド入れだなんて」
自分の瞳から涙がこぼれる。
コンコンと部屋の扉がノックされる
「ギルドマスター、彼女を連れてきました」
さっき部屋から出ていった少女の声だ
「分かった入ってくれ」
「お前にはまだ大切な人が残っているぞ」
もうこの世界に自分に残っているものなんか、、、
扉が開かれる
さっきの少女の横には、、、
リンがいた
「リン!」
さっきまでの涙は喜びの涙に変った。
「ユダ!」
リンがベットに座っている俺に向かって走ってくる。
「リンが生きててくれて本当に良かった、、、」
「私もだよ。ユダ」
お互いの無事を確認するように抱き合う
それから数分間抱き合い続けた。
「そろそろいいか?」
メイと言う少女とともに並んで立っていた、シンさんが言う。
「はい」
リンが体から離れて、今さっきまで流れていた涙を拭う。
「ちゃんといった通り、お前の大切な存在は残っていただろ」
「はい、そうですね。」
「何回も言うようで悪いが、お前の大切な人を守るためにギルドに入ってくれ」
「俺がギルドに入ったら、二度大罪教によって大切な人が傷つくことはなくなるんですよね?」
「完全にとは言えないが、今回のような理不尽なことはもう二度起きないだろう」
今の自分にはそれだけで充分だ。
「分かりました。俺はギルドに入ります!」
こうして俺はギルドに入った。
しおりを挟む
1 / 4

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

婚約破棄されたけど結婚できそうになった

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:5

洛中ラヴァーズ

ライト文芸 / 連載中 24h.ポイント:342pt お気に入り:2

付加価値

ホラー / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

岡崎昂裕不思議話短編集

ホラー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

イニシアチブ

BL / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:4

処理中です...