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第三章〜戦士の国アグド〜
51話✡︎影の女王とネクロマンサー✡︎
しおりを挟む戦いはシェラドが自らの斬馬刀を右手で持ちウィースガルムの攻撃を受け止めていた。
「ベルガルお前の誇りを!確かに見させてもらった‼︎
ならばその目でこいつの死に様を見よ!
そして生き延び伝えよ!
お前が慕った王が、偉大な王であった事を!
水の巫女に許しを請うなら!
その後にしろぉぉ‼︎‼︎」
そう強く叫んだ。
シェラドはユリナから借りた斬馬刀を左手で使い突きを入れる、狙いは右足……
ドッペルは予想してなかった一撃を右足に受け一歩引き、すかさずシェラドは戦鎚を押し返した。
この一撃がドッペルの力を大きく削いだ。
「クッ、貴様、よくも!」
ドッペルは解っている様だ、斬馬刀や巨大な戦鎚を扱うには足の踏み込みが、何よりも重要な事を敵ながら知っていたのだ。
シェラドは自らの斬馬刀を背負い、ユリナから借りた斬馬刀一本を両手で持ち斬りかかる、その太刀筋はこの場で多くの戦士が振った斬馬刀で最も速かった!
ドッペルはそれを戦鎚で防いだが、その速さに乗った重さが凄まじく、戦鎚がへし折られ、シェラドは素早くドッペルの右肩を深く斬った!
「グァァァァァァァ‼︎‼︎」
ドッペルは叫び声を上げる。
「ふっ……
ベルガルはこれよりも深く打ち込まれたが、殴られた程度の声しかあげなかったぞ、根性なしがぁぁぁ‼︎‼︎」
シェラドはベルガルを讃える様にドッペルを侮辱した、シェラドはベルガルを戦士として深く認めていた。
そして斬馬刀をドッペルから抜き蹴飛ばし、突き放すと、ドッペルは怒りを斬馬刀に乗せ渾身の力で振り下ろして来る‼︎
手傷を負ってもその力は凄まじい物があった。
避けるのは容易い一撃だが、それをあえてユリナの斬馬刀で受け止めた時、シェラドの足元の床石に大きなひび割れが生じた。
その凄まじい威力を目の当たりにし、エレナ達も驚く。
フェルミンの鍛えた斬馬刀は折れる事も無く、逆にドッペルの斬馬刀の刃を斬りその五分の一程までその刃が入り込む。
「貴様、良く覚えておけ……
人を想い送られた刃の強さを……
ドワーフの小娘が、水の巫女達を想って鍛えたこの刃が、力に溺れた貴様の刃に負けるはずがない‼︎」
そうシェラドが言い一歩右足を踏み込み、押し返しながら振り払うと、更にその切り込みが深く四分の一程までになった。
シェラドもフェルミンの事をしっかりと覚えていたのだ。
「まぁ、あとは使い手次第だがな……
ユリナよ、この星屑の劔使えるように鍛錬しろ、風の守護竜の教えを良く学べ」
シェラドはそう言う。
「リヴァイアサン!力を解き放て!」
ようやく立てるようになった本物のエレナが叫んだ!
その瞬間!炎の結界の障壁をリヴァイアサンが水の女神エヴァの魔力で一気に吹き飛ばした!たかが魔道士達の結界にリヴァイアサンが苦労する筈がない。
そしてベルダ砦の周辺に強い雨が降りだす、玉座の間が一瞬でエヴァの魔力で満たされていた。
その時、僅かにシェラドが好きを見せた、その隙を逃さずドッペルはここぞとばかりに、横から斬馬刀をなぎ払おうと全力で振った!
だが、その斬馬刀の刃の切り込みに何かが斬りかかる。
エレナだ、だが右手から紫の血が流れている、それはピリアだった……
シェラドはピリアの気持ちも察していた。
ピリアは同じ同族のドッペルが大き過ぎる過ちを犯した……それどころか、ピリアに新しい人生を与えてくれたエレナを罠にはめ追い詰めた事が何よりも許せなかった。
「ピリア水の力を!」
エレナがまた叫ぶとピリアはエレナの魂から刃の魔法を引き出し、リヴァイアサンが満たした、水の魔力を集中させエレナ得意の高圧の水の刃を見事に再現し、その斬馬刀の切り込みから切り裂いた!
斬られた方の斬馬刀の刃は凄まじい勢いで飛んで行き、巨大な柱に激しい音を立てて突き刺さる!
そして素早くまだドッペルが持ってる斬馬刀に飛び乗り、そこから首に目掛けて更に飛びすれ違いざまに、エレナの姿をしたピリアは首筋を僅かに切る!
(浅い……でも!)
そう思い姿を変えようとした時。
ドクンッ!
ピリアの心臓が一度だけ強く脈打った。
ピリアは焦らずに光輝き今度はユリナの姿になった!
「ウィンダム!」
ユリナが叫ぶと、ウィンダムは子竜の姿になり風の女神ウィンディアの魔力を解き放つ!
「ユリナさん!ありがとう!」
ピリアがユリナの声で叫び礼を言うと、魔力を込めた矢を放つ!
ユリナの姿になったピリアの矢はエレナ譲りの素晴らしい軌道を描きドッペルに向かい、それを避けられないとドッペルは思い右腕で防ぎ、矢は右腕を貫き止まる……
「みんな離れて!」
この時ユリナの姿のまま、ピリアは自分の声で叫んでいた、それには一瞬ピリアも驚いた声もユリナの声になっているはずだったからだ。
ドクンッ!
またピリアの心臓が高くなった、ピリアはそれを気にせずに真剣に戦おうとする。
(私は戦える!みんなが居れば私は戦える!もう寂しくなんか無い!
何も出来ない私じゃない‼︎‼︎)
ピリアは気付いた、一人では無いことに自分が無力では無いことに。
信頼出来る人に囲まれれば、ドッペルの闇の力はとてつもない力になると。
ドクンッドクンドクンドクン‼︎
ピリアの心臓が早く強く脈打ち、苦しくなって元の姿に戻り、ひざまづいてしまう。
(ピリア……もう少し……)
カイナはピリアを心配したが、意識を集中させていた……カイナが今使おうとしてるのはネクロマンサーの中でもシンプルな魔法だが、その対象が対象であった、カイナは意識の中でそれと対話しながら戦っていた。
(やっぱり……こいつは大物だ‼︎)
カイナなそう心で叫んでいた。
その時、ピリアが放った矢に込められた魔法が発動した!ドッペルの右腕に突き刺さった矢が輝き出し、ドッペルは竜巻に飲み込まれる!
血の王を八つ裂きにし奇跡を起こした魔法だ。
ウィースガルムの姿をした巨体も竜巻は軽々と持ち上げ、真空の刃で切り刻んで行き辺りに紫の血を撒き散らす!
竜巻の中から凄まじい悲鳴が聞こえ、ドッペルは天井に叩きつけられ床に凄まじい音を立てて落下した。
その力を見て周りのオーク達は動揺した、エルフの力を侮っていた事に気付く。
シェラドはそれが祝福から生み出される力なのは知っているが、あえて何も言わずにいた。
ウィースガルムの姿をしたドッペルは、全身から紫の血を流し、立ち上がるがその目はドス黒く赤い目に変わっている。冥界の者の様に先程とは違う血の王と同じ殺気を放っていたのだ。
その殺気を込めてピリアに殴りかかった!
その拳は床を砕き大量の破片を飛び散らせたが……ピリアの姿は無かった。
「冥界の淵より……我が血の酒のを糧に!
出でよ!ウィースガルム‼︎」
カイナが詠唱を終えた。
カイナはウィースガルムの魂を冥界から呼び寄せようとしていたのだ‼︎
「我に敗れし者を呼んでどうすると言うのだ‼︎」
ドッペルは叫んだ瞬間、背後から哀しみに溢れた殺気を感じ、振り向いた瞬間ベルガルの渾身の力を込めた拳が、ドッペルの分厚い胸板に深くめり込む!
ドッペルのろっ骨が折れ肺に突き刺さり、大量の紫の血を吐く!
その拳からは紫の血が流れている、ピリアだった。
「これはベルガルさんの受けた屈辱の痛み!」
ピリアがそう叫ぶと。
(我に触れよ!影の女王よ‼︎)
ピリアの心に声が響き、声がした玉座を一瞬見て、ピリアは察したカイナが何故、ウィースガルムを呼んだのかを‼︎
その時ドッペルは必死になり、殴り返すが一瞬でピリアは姿を消した。
そして今度は横からの全てを圧倒する様な殺気を感じ、ドッペルは恐る恐る振り向くと、ウィースガルムの姿をしたピリアが巨大な斬馬刀を振り下ろし、ドッペルの左腕を切り落とし巨大な戦鎚で右腕を砕く!
「ギャアーーーー‼︎」
ドッペルは激痛を超える恐怖を覚え悲鳴をあげる。
ピリアはウィースガルムの本物の魂に呼ばれたのだ、カイナがピリアに協力して今一番必要な者の言葉を全てのオーク達に聞かせようとしたのだ。
ピリアは全ての行動をウィースガルムの魂に委ね、彼の自由にさせた。
「これは余を利用し!
我が一族の誇りを怪我した痛み‼︎‼︎
存分に!味わうが良い‼︎‼︎」
ウィースガルムはドッペルに叫び、苦しむドッペルを蹴り飛ばす。
「ベルガルよ‼︎この程度の傷なら先程の声でそなたは耐えられるよなぁ?」
ウィースガルムはベルガルに戦士としての誇りを確認する様に聞く。
「御意‼︎」
ベルガルがそう答えると、ウィースガルム微笑んだ。
「水の巫女よ‼︎
我らの非礼!我が礼を持って詫びよう‼︎
戦士ベルガルは我に忠誠を示したまで……
不甲斐無き我に非があるは、そなたなら解ろう?」
ウィースガルムが、エレナに礼をとるが、詫びている様には決して聞こえない、態度で表し言葉では屈さない……
多くのオーク達が、セレスに憎しみを抱いているのは確かであり、完全に平謝りする訳にはいかない、アグド国の内情が伺える。
「ウィースガルム様、この件……
ウィースガルム様にも、ベルガル様にも非はありません……アグドの伝統の前に私が弱かっただけのこと……
面をあげて下さい……」
エレナは剣で自らが敗れた事を認め、アグド国側に非は無いと言い、ウィースガルムが名君であった事を深く理解した。
そのエレナの返答を聞きウィースガルムは小さく笑っていた、その様子を見てピリアはウィースガルムの魂を解放し、姿を消した。
だがその場所に光だけが残る、その光に向かい、シェラドがひざまづき、ベルガルも瀕死の重症の体を起こしひざまづいた。
傷ついた戦士がひざまづき、全てのオーク達も一斉にひざまづき、何故かとても美しい光景がそこに生まれた。
ピリアが元の姿で現れ、その光に向かい丁寧に言う。
「ウィースガルム卿……
お力をお貸し下さり、ありがとうございます。」
ピリアは同じドッペルが犯した過ちを、詫びようとするが、先に聞くことがある気がした。
「まだ無念が晴れませんか?
それか何かお伝えする事がありますか?」
ピリアが魂に聞くと……
「我が一族の者よ、忘れるな‼︎
我らはイグニスの子、炎の神イグニスの子であることを……
その誇りを宝とせよ‼︎」
ウィースガルムの魂は優しくも力強く言い放つ、その声は玉座の間に響き渡り、その魂は高く高く天井をすり抜け、天に向かい帰って行った。
ピリアに非があるとは思って居ない様であった。
オーク達は戦士の一族である為か、涙は流さなかったが、王の魂の言葉を深く心に刻んでいた。
そしてピリアはまた姿を消した。
「ピリアどうしたの?
姿を変える時が解らない……」
ユリナがふいに聞く、カナもそのピリアが変わったことを疑問に思っていた。
「闇を全て受け入れたんだよ、ドッペル族が闇を全て理解し受け入れた者を、影の女王と言うんだ……
地上が出来てから過去に一人しか、影の女王になれたドッペルは居ない。
ピリアは奇跡を自ら生み出したんだ……」
ウィンダムが驚きながら答えた。
そして玉座の間に闇の気配が強く漂い始める。
だがその闇は恐怖を一切感じさせない……
風の様に優しく包み込み、安心してしまう様な闇と思えない気配だった。
(これは……本当に闇なの?)
カイナは死者すら操る闇が、これ程優しさに溢れている事に驚いていた、まさにカイナが使う死の力とは正反対である。
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