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第一話〜眠れる森
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「そろそろ支度しねぇと遅れんぞ!」
ベッドの上でうつ伏せに伸びる佐川深雪(さがわみゆき)を横目でやり過ごし、相澤竜馬(あいざわりょうま)は、閉め切ったカーテンを力任せに左右に開けた。
「聞こえなかったのか、ほら、早くしろ」
頭を小突き、剥き出しになったお尻に制服のシャツを、パシン! と叩き付ける。
当たるが早いか、佐川深雪〔さがわみゆき)が、「痛っ!」と叫んで枕に埋めた顔をくるりと返し、恨めしそうな膨れっ面で相澤竜馬(あいざわりょうま)を睨んだ。
「なんだよ竜馬。ケツ痛ぇんだからもう少し優しくしろよ……」
「てめぇのせいだろ……」
真っ白い部屋、質素なベッド、消毒液の臭い。
その中に、男なら誰もが知っている、雄特有の青臭い匂いが混じる。
ここ、私立白菊学園の保健室は、生徒に脅されて簡単に鍵を渡すポンコツ養護教諭の協力のもと、学園を牛耳る不良たちの性欲処理のためのヤリ部屋として解放されている。
中でも金曜は、不良グループ、トップの郷田邦彦(ごうだくにひこ)の専用日に指定され、特例として朝から貸し切り状態となっていた。
その、金曜。
SOSのメールを受け取った相澤竜馬(あいざわりょうま)は、郷田邦彦(ごうだくにひこ)に朝からベッドの中に引きずり込まれている幼馴染みの佐川深雪〔さがわみゆき)を迎えに、いつものように保健室へ向かった。
深雪(みゆき)は、ベッドの上に全裸で突っ伏していた。
見るからに滑らそうな白い肌。金色に光る産毛、うなじから背中にかけてのなだらかなライン、くびれた腰、形良く盛り上がった小さなお尻。
目の毒だ、と、床に落ちたシャツを拾い上げてお尻に掛けると、思いのほか力が入ってしまったらしく、深雪が、憎々しげに口を尖らせた。
「もう少し優しくしろよ……」
佐川深雪(さがわみゆき)、高校二年生。竜馬とは幼稚園からの幼馴染みで自他共に認める親友。
しかし今は、指定暴力団、関東建仁会会長の跡取り息子であり学園の不良グループのトップである郷田邦彦(ごうだくにひこ)の恋人として広くその名を知られている。
当然ながら学園内で深雪を知らない者はいない。
黒目の大きな気の強そうな瞳に綺麗な弧を描く細い眉、鼻筋の通った鼻、ほんのりと赤いふっくらとした唇。
恵まれた外見と生まれながらの性的嗜好も手伝って、高校に入ってすぐ言い寄ってきた不良グループの一員と性的関係を持つと、深雪は、同グループの他のメンバーや他校の大物たちを次々と手玉に取り、最終的に郷田邦彦(ごうだくにひこ)の恋人の座に収まった。
その奔放な男性遍歴もさることながら、華のある容姿と、表情や仕草の端々から漏れる艶っぽさ、身体全体から漂う官能的な雰囲気から、学園きってのセックスシンボルとしても名高い。
その深雪が、竜馬をいつも側に置いていることを良く思わない連中は少なくなく、深雪のいないところで、『小間使い』だの『金魚のフン』だの、竜馬のことをこれみよがしに揶揄する者もいた。
それでも竜馬が深雪の側を離れないのは、単に深雪が竜馬を離さないという理由だけではなく、竜馬自身にも深雪を一人にしてはおけない理由があったからだ。
周りが思っているほど深雪が強い人間でないことは竜馬が一番良く知っている。
それは、物心ついた頃からいつも隣で見てきた幼馴染みの竜馬だからこそ解る深雪の素の部分であり、竜馬が、守ってやらねばと誓った深雪の本質だった。
俺がついててやらなきゃいけない。
子供の頃から漠然とまとわりついている暗示のようなものが、今なお竜馬の胸に貼り付いていた。
「だから、早く着替えろっつってんのが聞こえねーのかよ」
頭をよぎる思いを振り払い、気を取り直して深雪の頭をくしゃくしゃと掻き回した。
深雪は、うーん、と唸って寝返りを打ち、キスマークの浮かぶ胸元を隠しもせずに竜馬に向かって両手を伸ばした。
「着せて……」
白い肌に赤々と残る吸い跡に、胸の両側に佇む桜の花びらのような小さな乳首。ついさっきまで郷田の愛撫を一心に受けていた身体が、郷田の余韻を至るところに残しながら曝け出されている。
中でも一段と生々しい、いつもより赤みを帯びた乳輪が目に飛び込み、竜馬は慌てて視線を逸らした。
動揺を悟られないよう、深雪のお尻から滑り落ちたシャツをわざとゆっくり拾い上げ、身体を見ないよう両腕を引いて上半身を起き上がらせた。
「ほら、着せて欲しいならちゃんと背筋伸ばせ」
「うぃーっす!」
「ついでにチンコも隠しとけ。目障りだ」
「ひでぇ。俺のチンコ、綺麗っしょ? 他の奴らは皆んな俺のチンコ見たがるぜ?」
「俺は見たくねぇんだよ」
ああそうですか、と頬を膨らませる深雪を無言でやり過ごし、ベッドの端に座る深雪にバンザイをさせてシャツの袖に腕を通し、前方に回って左右の前立てを胸の前で真っ直ぐに合わせた。
襟を正し、一番上から順番にボタンを留めて行く。
留め始めて間もないうちに、深雪がクスクスと笑い出し、生温かい息が竜馬の指にかかった。
「ほら、やりずらいから、クネクネ動くなよ」
「だって、くすぐったいんだもん!」
「なにが、『だもん』だ、ぶってんじゃねーぞ、コラ」
最後のボタンを留め、ほら、出来た、と、深雪のオデコを指で弾く。
深雪が両手で大袈裟にオデコを押さえている隙に、ベッドの片隅にくちゃくちゃに固めて置かれたズボンを掴み深雪の膝に放り投げた。
「だから、もうちょっと優しく投げろってばぁ」
「知るか。そんなことより、お前、パンツ、どこやった」
「パンツ? あー、あれ、郷田(ごうだ)が持って帰ったわ」
「は?」
「言ってなかったっけ。あいつ今、やらしい下着に凝ってんだよ。だから、犯る時はそれ履いて来いって言われてんだよねー。ちなみに今日は、白のスケスケの股がパックリ割れたやつ。んで、使い終わったらそのまま持ち帰り~」
「バカだろ、お前ら」
「バカとは何だよ、バカとは!」
「いいからさっさと履け。ズボンぐらい一人で履けんだろ……」
深雪は何か言いたげにゴニョゴニョと口を動かしていたが、やがて諦めたように、はぁぁ、と溜め息をつき、背中を丸めてズボンに脚を通した。
「いててて。身体ん中……あちこち痛ぇ……」
「はりきりすぎなんだよ……」
「知るか。郷田に言えよ……」
深雪がズボンを履いている隙に、竜馬は、ザーメンまみれのシーツを剥ぎ取って紙袋に入れ、備品棚から新しいシーツを取り出して深雪を除けながらベッドに敷いた。
「相変わらず手際がいいね。まるで母さんだ」
「誰が、母さんだ……」
ほどなくして深雪が制服に着替え終わり、竜馬は、深雪とともに保険室を出た。
扉を閉め、養護教諭から取り上げた鍵で施錠する。
使用済みのシーツが入った紙袋を深雪に手渡すと、何処からともなくパタパタとスリッパの音が響き、一年生と思われる男子生徒が顔を真っ赤にしながら駆けてきた。
「さっ、佐川先輩! 遅くなってすみませんっ!」
深雪は、「気にすんな」と答えると、もじもじとうつむく一年に、竜馬から受け取った紙袋をそっくりそのまま押し付けた。
「いつもありがとな~。君たちのコミュニティには本当に感謝してるんだ。だって、こんなの持って帰ったらママに叱られちゃうだろ?」
深雪に見詰められ、一年は、更に耳の後ろまで顔を真っ赤にしてあたふたと視線を泳がせた。
深雪は、金縛りにあったように立ち尽くす一年の肩に手を掛けると、耳朶にぴったりと唇をつけ、からかうように囁いた。
「今度、特別にお礼するから……なにがいいか考えといて……」
言い終わるが早いか、一年がヘナヘナとその場にへたり込む。
深雪はその様子を見て満足そうに笑い、廊下の先へと足を進めた。
「あんま一年をいじんなよ……」
竜馬は、隣を歩く深雪の頬の隅に浮かんだ皮肉な笑いを見ていた。
「いじってねぇよ。可愛がってるだけだし」
「可愛がってるだぁ? ザーメンまみれのシーツ洗わせといてよく言うぜ」
「向こうが洗いたいって言ってるんだ。それに、あいつらアレをおかずにしてんだぜ? 俺のがよっぽどいじられてんだろ……」
黒く澄んだ瞳に、残忍な暗い影がチラリと浮かぶ。
今の状況を楽しんでいるようで、憎んでいる。この、深雪がたまにみせる拒絶の表情が、竜馬をますます深雪の側から離れられなくさせている。
竜馬もまた、深雪の身体に群がる男たちと同じように深雪を求めている。
ただ、違うのは、竜馬には役割りがあるということだ。
恋人でも、セフレでも、親友でもない役割り。
それは共に過ごした時間の長さと、通わせ合った心が割り当てた運命の配役とも言えた。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
深雪の恋人にして、学園の不良グループのトップである郷田邦彦が登校するのは週に一度。
前から来たり来なかったりではあったものの、郷田の父親が会長を務める指定暴力団関東建仁会と対抗勢力との関係悪化の影響もあり、ここ、三ヶ月ほど、郷田は登校を控えている。
もっとも、学園内での郷田の影響力は凄まじく、不在がちだからといって学園内の統制が乱れることはない。
外部に対しても、ヤクザの息子という肩書のお陰で郷田のいない隙を狙って乗り込んでくるバカもさすがにいなかった。
とはいえ、それはあくまで表側の力関係の話しであって、裏側の下世話な話しとなるとまた様子は違ってくる。
実際、このところの深雪の周りの騒がしさには、さすがの竜馬も不穏なものを感じていた。
「それで今度は僕たちになにをしろと?」
線の細い、植物図鑑から抜け出たような涼しげな佇まいで見上げる男の顔を、竜馬は真っ直ぐに見返した。
男の正体は、三年生の比留間幸男(ひるまゆきお)。生徒会執行部の副会長でありながら、深雪のサポートコミュニティの代表でもある。
コミュニティの活動は、登下校時からプライベートまで、深雪をストーカー被害や痴漢から守る“護衛隊”と、ノートの書写しや食事の買出し、洗濯といった身の回りの世話をする“生活隊”によって構成されている。
サポートと言えば聞こえはいいが、その実態は、諜報マニアの比留間が自作の盗聴器や盗撮機を試すための実演場として作った護衛隊を発動させるのが目的で、純粋に深雪を慕い深雪に尽くす生活隊は、護衛隊を存続させるための隠れ蓑に過ぎなかった。
そういう事情もあり、護衛隊の性能は高校生の素人集団の域を完全に超えており、代表の比留間をはじめ、他のメンバーも諜報活動に夢中で深雪に特別熱を上げているというわけでは無かった。
比留間いわく、「そのぶん生活隊が盲信的に深雪をサポートするので帳尻は合っている」との事だった。
竜馬にはその方が返って好都合だった。
「深雪のスマホを調べて欲しい」
「なにそれ。うちはハッキング集団じゃないよ?」
「似たようなもんだろ。電波いじってんだからそんくらいやれんだろ」
「やれるわけないじゃん。てか、やらないよ!」
比留間が答えるのと同時に、竜馬が比留間の方へ身を乗り出して机をバンと叩く。
途端に、比留間が、ひっ、と声を上げ、椅子を軋ませながら後ろに仰け反った。
「やらない、じゃなくて、やるんだよ! でなきゃ、お前らが何してるか警察に言うぜ?」
「なっ、なに、それ脅し? 言っとくけど、こっちだってお前の弱み握ってんだからな。あのこと知ったらお前の大事な深雪ちゃんがなんて言うか……」
再び、バンっ! と強く机を叩かれ、比留間が更に大きな声で、ひぃぃっ、と悲鳴を上げた。
「わわわ、わかったよ。やるよ。やりゃあいいんだろ!」
竜馬の無言の圧力に、比留間はしぶしぶ了承した。
「……ったく、そんなに大事ならさっさと自分のモノにしちゃえばいいのに……」
「なんか言ったか?」
不満そうに口を尖らせる比留間を一瞥し、竜馬は、護衛隊がアジトにしている学生寮の空き部屋を後にした。
学生寮は校舎の裏側に隣接されており、門をくぐれば裏庭続きで校舎に入れるようになっている。
下校時刻を過ぎた校舎は、グラウンドを走る運動部の掛け声がかすかに響くだけで他に生徒の声はしない。
閑散とする廊下を抜け、竜馬は、深雪の待つ二年生の教室へ向かった。
郷田邦彦が登校を控える以前から、深雪は、車で送ると言う郷田の誘いを断り、竜馬と一緒に下校している。
それは、両親共に帰宅時間が遅く、幼い頃から、学校帰りはいつも竜馬の家に寄り道して時間を潰してから自宅へ戻るという生活を続けていた深雪の習慣からきているもので、それはいつの間にか無意識のうちに出る癖のように深雪の深部に染み付き、一人で留守番が出来るようになった今もなお、こうして当たり前のように深雪を竜馬の家へ向かわせた。
いつもは勝手気ままで我儘な深雪であったが、下校する時だけは、竜馬の用事が済むのを大人しく待っている。竜馬はそんな深雪を可愛らしく思った。
「悪りぃ、待たせたな」
教室の入り口で声を掛けると、深雪は、机の上に乗せたお尻をするりと滑らせて手前に降りた。
「おせーよ」
西日を受けた髪が金色に光り、身体の輪郭が眩く浮き上がる。柑橘系の香水の匂いを漂わせながら近付くと、深雪は、竜馬の背中をカバンで軽く小突き、だるそうに前を歩き始めた。
「ふらふらしてっと転ぶぞ」
「身体が痛ぇんだってば。そんなに気になるならおぶってくれよ」
「誰が……」
登校自粛で週一になった郷田とのセックスが、深雪の身体を想像以上に痛めつけていることは想像に容易い。
毎日のようにしていたのが週一になったのだ。溜まりに溜まった欲望をこれでもかと吐き出され、深雪の華奢な身体が悲鳴を上げないわけが無い。
それでも、休み前の金曜日を指定するあたり、郷田なりに深雪を気づかっているのは確かだろう。
深雪に、「郷田と付き合うことになった」と打ち明けられた時は嫌な予感で一杯になったが、郷田は、深雪を金儲けの道具に使ったり、自分の手下に当てがったりはしなかった。
郷田は深雪をきちんと自分の女として大切に扱った。竜馬の心配は杞憂終わった。
郷田の女でいる限り深雪は安全だ。それは竜馬にとっても悪いことではなかった。
竜馬の思いを知ってから知らずか、深雪は、郷田の底無しのセックスがキツいとは言いながらも、郷田本人を悪く言うことは無かった。
「いててててっ! ケツが痛ぇ! 身体の中が全部痛ぇ!」
深雪は、綺麗な顔にはおよそ不釣り合いな乱暴な言葉を吐きながら、竜馬の前方を大袈裟に腰を曲げて歩いている。
ひょこひょこと歩く姿がいじらしく、竜馬は、追い抜きざま、深雪の頭をよしよしと撫で、深雪の前に背中を向けてしゃがみ込んだ。
「仕方ねぇな。さっさと乗れ……」
「え? マジで? やったぁ!」
言うなり、竜馬の両肩に手を掛け、反動をつけて竜馬の背中にひょいとしがみ付く。
いくら細身だからといって、それなりに身長のある男を背負うのはさすがに軽々とはいかない。
竜馬は、よろけて転びそうになったところを咄嗟に手を床について支え、深雪のお尻に手を回して、よいしょ、と立ち上がった。
「じっとしてろよ」
あいよ、と、深雪の短い返事が、柔らかな吐息とともに肩越しに耳元を流れる。
背中に貼り付く体温を感じながら、竜馬は、ゆっくりと足を踏み出した。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「あー、やっぱ竜馬の部屋は落ち着く……」
「こら、寝るならズボン脱げ、シワんなるぞ……」
「うーん。てか、無理。眠い。もう寝る。竜馬が脱がせて……」
「……ったく、しゃーねぁなあ……」
とろとろと眠りに落ちる深雪の寝顔を見ながら、竜馬は、深雪のズボンのベルトを外し、薄っぺらい腰を持ち上げてズボンを引き抜いた。
日焼けしていない脚の間で、綺麗な肌色のペニスがポロンと剥き出しに溢れる。そう言えば今日は下着を付けていなかった。
郷田が持って帰ったというスケスケ下着にも興味は湧いたが、竜馬は、下着より深雪のペニスをじっくり見る方が好きだった。
特に、手のひらに簡単に収まってしまうほどの小さなペニスが、違うモノのように大きく膨張して行くさまを見るのは堪らなく興奮する。
郷田とセックスをした日は、嫉妬にも似た感情が入り混じり竜馬をますます煽り立てた。
「深雪? ……もう寝たのか?」
伸び上がって深雪の顔を見下ろし、唇に唇を近付けた。
父親が、「凄くよく眠れる」と言っていた睡眠薬は、今日も深雪を深い眠りの底に誘っている。
「深雪、少し口開けるぞ……」
顎を掴み、うっすらと赤みを帯びる唇を指先で縦に開き、唇を重ねて舌を差し入れた。
ううん、と呻く深雪に構わず、奥に引っ込んだ舌を舌の先で掻き出し揉みくちゃに舐め回した。
「深雪……深雪……」
唇の端から垂れる唾液を舐め取り、シャツのボタンを胸元から順に外していく。ボタンが外れるごとに露わになって行く肌に唇を押し当て、一番下まで外したところで、お臍を舐めていた舌を一旦離し、上に戻って、胸の両側に佇む小さな乳首を舐め上げた。
「んっ……んん……」
深雪の顔に一瞬苦悶の表情が浮かぶが、そのままじっとしていればすぐにまたスヤスヤと寝息を立て始める。
以前は、深雪が呻くたびにビクビクと手を引っ込めていたが、回数を重ねるうちに、際どいところまで攻めても、意外と目を覚さないことに気が付いた。今では加減も解り、多少の呻き声や寝返りは全く気にならなくなっている。
とは言え、反応されたらその都度動きを止めて深い眠りに戻るのを待たねばならない。薬の効果が切れる二時間程度の間に深雪の身体を存分に味わい何事も無かったかのように終わらせるためには、そう何度も動きを止めている余裕は無く、必然的に慎重に進めざるを得なかった。
竜馬は、早る気持ちを抑え、深雪の反応を見ながら、丁寧に乳首を吸った。
乳輪を摘み、盛り上がった乳首の先を舌の先で左右交互に舐め、チュッ、チュッ、と音を立てながら小さく吸って口に含んだ。
乳首の横にある、郷田が付けたキスマークを皮膚を伸ばして広げ、その上に、同じ角度で唇を押し当て、バレないように上から更に跡を付ける。
鎖骨の横と首筋のキスマークも同様に上から跡を付け直し、お人形のように安らかな顔で眠る深雪の頬に短いキスを繰り返した。
「深雪……俺が綺麗にしてやっからな……」
眠ったままの深雪に囁き、深雪の脚を左右に開いて股の間に顔を埋め、竿を握って先端を口に含んだ。
先の部分をジュルジュルと舐めすすり、カリ首の溝に舌を絡ませながら吸い上げ、飴玉を舐めるように口の中で転がす。同時に根元の部分を手で扱くと、頼りなかった深雪のペニスがみるみる硬さを増し、太く大きく肥大し始めた。
更に吸い上げると、肥大したペニスがビクビクと反り返り、先端から蜜が溢れ出す。
竜馬の股間もまた、ズボンの生地を押し上げ、はち切れんばかりに反り勃っていた。
竜馬は、深雪のペニスを咥えたまま、片手で器用に自分のズボンを下ろし、ガチガチに膨張したペニスを引っ張り出した。
いつ爆発してもおかしくないほど猛々しく反り勃ったペニスを自分の手のひらに握り込み、深雪のペニスをしゃぶり上げる動きに合わせて上下に扱く。
最初はゆっくり絞り上げるように、次第にスピードを上げていき、根元から先っぽまでを激しく擦り上げるように上下に動かす。
深雪がそろそろ果てることは、パンパンに張り詰めた睾丸と、先端の溝から滴る蜜の様子からも容易に察することが出来た。
先に、深雪の射精感にとどめを刺すように喉の奥を使って激しく扱き上げた。
深雪は、少し腰をよじったものの、少し息を荒くしただけで目覚めることなく射精した。
竜馬は、深雪の吐き出した欲望を自分の口で受け、呑み込んだ。
郷田とのセックスでさんざん射精させられたのか、それは竜馬の喉をつるんと流れて行った。
深雪をイカせると、竜馬は、ベッドの上に無造作に投げ出された深雪の手を取り、自分のペニスを握らせた。
細い指を開いてしっかりと握らせ、その上に自分の手を重ね、一心不乱に扱き上げる。
深雪の少し冷んやりとした手が熱く昂った竜馬のペニスを直に握って扱き上げる、その感触もさることながら、自分のペニスが深雪の手に握られているという見た目の卑猥さに、竜馬は、自分でも情けないほど呆気なく果てた。
『そんなに大事なら、さっさと自分のものにしちゃえばいいのに……』
比留間の言葉がふと脳裏をよぎる。
ーーーそんなに簡単には行かねぇんだよ。
深雪の手を伝い流れる白い液体を見ながら、竜馬は、果ててもなお固いままのペニスをもう一度深雪に握らせた。
ベッドの上でうつ伏せに伸びる佐川深雪(さがわみゆき)を横目でやり過ごし、相澤竜馬(あいざわりょうま)は、閉め切ったカーテンを力任せに左右に開けた。
「聞こえなかったのか、ほら、早くしろ」
頭を小突き、剥き出しになったお尻に制服のシャツを、パシン! と叩き付ける。
当たるが早いか、佐川深雪〔さがわみゆき)が、「痛っ!」と叫んで枕に埋めた顔をくるりと返し、恨めしそうな膨れっ面で相澤竜馬(あいざわりょうま)を睨んだ。
「なんだよ竜馬。ケツ痛ぇんだからもう少し優しくしろよ……」
「てめぇのせいだろ……」
真っ白い部屋、質素なベッド、消毒液の臭い。
その中に、男なら誰もが知っている、雄特有の青臭い匂いが混じる。
ここ、私立白菊学園の保健室は、生徒に脅されて簡単に鍵を渡すポンコツ養護教諭の協力のもと、学園を牛耳る不良たちの性欲処理のためのヤリ部屋として解放されている。
中でも金曜は、不良グループ、トップの郷田邦彦(ごうだくにひこ)の専用日に指定され、特例として朝から貸し切り状態となっていた。
その、金曜。
SOSのメールを受け取った相澤竜馬(あいざわりょうま)は、郷田邦彦(ごうだくにひこ)に朝からベッドの中に引きずり込まれている幼馴染みの佐川深雪〔さがわみゆき)を迎えに、いつものように保健室へ向かった。
深雪(みゆき)は、ベッドの上に全裸で突っ伏していた。
見るからに滑らそうな白い肌。金色に光る産毛、うなじから背中にかけてのなだらかなライン、くびれた腰、形良く盛り上がった小さなお尻。
目の毒だ、と、床に落ちたシャツを拾い上げてお尻に掛けると、思いのほか力が入ってしまったらしく、深雪が、憎々しげに口を尖らせた。
「もう少し優しくしろよ……」
佐川深雪(さがわみゆき)、高校二年生。竜馬とは幼稚園からの幼馴染みで自他共に認める親友。
しかし今は、指定暴力団、関東建仁会会長の跡取り息子であり学園の不良グループのトップである郷田邦彦(ごうだくにひこ)の恋人として広くその名を知られている。
当然ながら学園内で深雪を知らない者はいない。
黒目の大きな気の強そうな瞳に綺麗な弧を描く細い眉、鼻筋の通った鼻、ほんのりと赤いふっくらとした唇。
恵まれた外見と生まれながらの性的嗜好も手伝って、高校に入ってすぐ言い寄ってきた不良グループの一員と性的関係を持つと、深雪は、同グループの他のメンバーや他校の大物たちを次々と手玉に取り、最終的に郷田邦彦(ごうだくにひこ)の恋人の座に収まった。
その奔放な男性遍歴もさることながら、華のある容姿と、表情や仕草の端々から漏れる艶っぽさ、身体全体から漂う官能的な雰囲気から、学園きってのセックスシンボルとしても名高い。
その深雪が、竜馬をいつも側に置いていることを良く思わない連中は少なくなく、深雪のいないところで、『小間使い』だの『金魚のフン』だの、竜馬のことをこれみよがしに揶揄する者もいた。
それでも竜馬が深雪の側を離れないのは、単に深雪が竜馬を離さないという理由だけではなく、竜馬自身にも深雪を一人にしてはおけない理由があったからだ。
周りが思っているほど深雪が強い人間でないことは竜馬が一番良く知っている。
それは、物心ついた頃からいつも隣で見てきた幼馴染みの竜馬だからこそ解る深雪の素の部分であり、竜馬が、守ってやらねばと誓った深雪の本質だった。
俺がついててやらなきゃいけない。
子供の頃から漠然とまとわりついている暗示のようなものが、今なお竜馬の胸に貼り付いていた。
「だから、早く着替えろっつってんのが聞こえねーのかよ」
頭をよぎる思いを振り払い、気を取り直して深雪の頭をくしゃくしゃと掻き回した。
深雪は、うーん、と唸って寝返りを打ち、キスマークの浮かぶ胸元を隠しもせずに竜馬に向かって両手を伸ばした。
「着せて……」
白い肌に赤々と残る吸い跡に、胸の両側に佇む桜の花びらのような小さな乳首。ついさっきまで郷田の愛撫を一心に受けていた身体が、郷田の余韻を至るところに残しながら曝け出されている。
中でも一段と生々しい、いつもより赤みを帯びた乳輪が目に飛び込み、竜馬は慌てて視線を逸らした。
動揺を悟られないよう、深雪のお尻から滑り落ちたシャツをわざとゆっくり拾い上げ、身体を見ないよう両腕を引いて上半身を起き上がらせた。
「ほら、着せて欲しいならちゃんと背筋伸ばせ」
「うぃーっす!」
「ついでにチンコも隠しとけ。目障りだ」
「ひでぇ。俺のチンコ、綺麗っしょ? 他の奴らは皆んな俺のチンコ見たがるぜ?」
「俺は見たくねぇんだよ」
ああそうですか、と頬を膨らませる深雪を無言でやり過ごし、ベッドの端に座る深雪にバンザイをさせてシャツの袖に腕を通し、前方に回って左右の前立てを胸の前で真っ直ぐに合わせた。
襟を正し、一番上から順番にボタンを留めて行く。
留め始めて間もないうちに、深雪がクスクスと笑い出し、生温かい息が竜馬の指にかかった。
「ほら、やりずらいから、クネクネ動くなよ」
「だって、くすぐったいんだもん!」
「なにが、『だもん』だ、ぶってんじゃねーぞ、コラ」
最後のボタンを留め、ほら、出来た、と、深雪のオデコを指で弾く。
深雪が両手で大袈裟にオデコを押さえている隙に、ベッドの片隅にくちゃくちゃに固めて置かれたズボンを掴み深雪の膝に放り投げた。
「だから、もうちょっと優しく投げろってばぁ」
「知るか。そんなことより、お前、パンツ、どこやった」
「パンツ? あー、あれ、郷田(ごうだ)が持って帰ったわ」
「は?」
「言ってなかったっけ。あいつ今、やらしい下着に凝ってんだよ。だから、犯る時はそれ履いて来いって言われてんだよねー。ちなみに今日は、白のスケスケの股がパックリ割れたやつ。んで、使い終わったらそのまま持ち帰り~」
「バカだろ、お前ら」
「バカとは何だよ、バカとは!」
「いいからさっさと履け。ズボンぐらい一人で履けんだろ……」
深雪は何か言いたげにゴニョゴニョと口を動かしていたが、やがて諦めたように、はぁぁ、と溜め息をつき、背中を丸めてズボンに脚を通した。
「いててて。身体ん中……あちこち痛ぇ……」
「はりきりすぎなんだよ……」
「知るか。郷田に言えよ……」
深雪がズボンを履いている隙に、竜馬は、ザーメンまみれのシーツを剥ぎ取って紙袋に入れ、備品棚から新しいシーツを取り出して深雪を除けながらベッドに敷いた。
「相変わらず手際がいいね。まるで母さんだ」
「誰が、母さんだ……」
ほどなくして深雪が制服に着替え終わり、竜馬は、深雪とともに保険室を出た。
扉を閉め、養護教諭から取り上げた鍵で施錠する。
使用済みのシーツが入った紙袋を深雪に手渡すと、何処からともなくパタパタとスリッパの音が響き、一年生と思われる男子生徒が顔を真っ赤にしながら駆けてきた。
「さっ、佐川先輩! 遅くなってすみませんっ!」
深雪は、「気にすんな」と答えると、もじもじとうつむく一年に、竜馬から受け取った紙袋をそっくりそのまま押し付けた。
「いつもありがとな~。君たちのコミュニティには本当に感謝してるんだ。だって、こんなの持って帰ったらママに叱られちゃうだろ?」
深雪に見詰められ、一年は、更に耳の後ろまで顔を真っ赤にしてあたふたと視線を泳がせた。
深雪は、金縛りにあったように立ち尽くす一年の肩に手を掛けると、耳朶にぴったりと唇をつけ、からかうように囁いた。
「今度、特別にお礼するから……なにがいいか考えといて……」
言い終わるが早いか、一年がヘナヘナとその場にへたり込む。
深雪はその様子を見て満足そうに笑い、廊下の先へと足を進めた。
「あんま一年をいじんなよ……」
竜馬は、隣を歩く深雪の頬の隅に浮かんだ皮肉な笑いを見ていた。
「いじってねぇよ。可愛がってるだけだし」
「可愛がってるだぁ? ザーメンまみれのシーツ洗わせといてよく言うぜ」
「向こうが洗いたいって言ってるんだ。それに、あいつらアレをおかずにしてんだぜ? 俺のがよっぽどいじられてんだろ……」
黒く澄んだ瞳に、残忍な暗い影がチラリと浮かぶ。
今の状況を楽しんでいるようで、憎んでいる。この、深雪がたまにみせる拒絶の表情が、竜馬をますます深雪の側から離れられなくさせている。
竜馬もまた、深雪の身体に群がる男たちと同じように深雪を求めている。
ただ、違うのは、竜馬には役割りがあるということだ。
恋人でも、セフレでも、親友でもない役割り。
それは共に過ごした時間の長さと、通わせ合った心が割り当てた運命の配役とも言えた。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
深雪の恋人にして、学園の不良グループのトップである郷田邦彦が登校するのは週に一度。
前から来たり来なかったりではあったものの、郷田の父親が会長を務める指定暴力団関東建仁会と対抗勢力との関係悪化の影響もあり、ここ、三ヶ月ほど、郷田は登校を控えている。
もっとも、学園内での郷田の影響力は凄まじく、不在がちだからといって学園内の統制が乱れることはない。
外部に対しても、ヤクザの息子という肩書のお陰で郷田のいない隙を狙って乗り込んでくるバカもさすがにいなかった。
とはいえ、それはあくまで表側の力関係の話しであって、裏側の下世話な話しとなるとまた様子は違ってくる。
実際、このところの深雪の周りの騒がしさには、さすがの竜馬も不穏なものを感じていた。
「それで今度は僕たちになにをしろと?」
線の細い、植物図鑑から抜け出たような涼しげな佇まいで見上げる男の顔を、竜馬は真っ直ぐに見返した。
男の正体は、三年生の比留間幸男(ひるまゆきお)。生徒会執行部の副会長でありながら、深雪のサポートコミュニティの代表でもある。
コミュニティの活動は、登下校時からプライベートまで、深雪をストーカー被害や痴漢から守る“護衛隊”と、ノートの書写しや食事の買出し、洗濯といった身の回りの世話をする“生活隊”によって構成されている。
サポートと言えば聞こえはいいが、その実態は、諜報マニアの比留間が自作の盗聴器や盗撮機を試すための実演場として作った護衛隊を発動させるのが目的で、純粋に深雪を慕い深雪に尽くす生活隊は、護衛隊を存続させるための隠れ蓑に過ぎなかった。
そういう事情もあり、護衛隊の性能は高校生の素人集団の域を完全に超えており、代表の比留間をはじめ、他のメンバーも諜報活動に夢中で深雪に特別熱を上げているというわけでは無かった。
比留間いわく、「そのぶん生活隊が盲信的に深雪をサポートするので帳尻は合っている」との事だった。
竜馬にはその方が返って好都合だった。
「深雪のスマホを調べて欲しい」
「なにそれ。うちはハッキング集団じゃないよ?」
「似たようなもんだろ。電波いじってんだからそんくらいやれんだろ」
「やれるわけないじゃん。てか、やらないよ!」
比留間が答えるのと同時に、竜馬が比留間の方へ身を乗り出して机をバンと叩く。
途端に、比留間が、ひっ、と声を上げ、椅子を軋ませながら後ろに仰け反った。
「やらない、じゃなくて、やるんだよ! でなきゃ、お前らが何してるか警察に言うぜ?」
「なっ、なに、それ脅し? 言っとくけど、こっちだってお前の弱み握ってんだからな。あのこと知ったらお前の大事な深雪ちゃんがなんて言うか……」
再び、バンっ! と強く机を叩かれ、比留間が更に大きな声で、ひぃぃっ、と悲鳴を上げた。
「わわわ、わかったよ。やるよ。やりゃあいいんだろ!」
竜馬の無言の圧力に、比留間はしぶしぶ了承した。
「……ったく、そんなに大事ならさっさと自分のモノにしちゃえばいいのに……」
「なんか言ったか?」
不満そうに口を尖らせる比留間を一瞥し、竜馬は、護衛隊がアジトにしている学生寮の空き部屋を後にした。
学生寮は校舎の裏側に隣接されており、門をくぐれば裏庭続きで校舎に入れるようになっている。
下校時刻を過ぎた校舎は、グラウンドを走る運動部の掛け声がかすかに響くだけで他に生徒の声はしない。
閑散とする廊下を抜け、竜馬は、深雪の待つ二年生の教室へ向かった。
郷田邦彦が登校を控える以前から、深雪は、車で送ると言う郷田の誘いを断り、竜馬と一緒に下校している。
それは、両親共に帰宅時間が遅く、幼い頃から、学校帰りはいつも竜馬の家に寄り道して時間を潰してから自宅へ戻るという生活を続けていた深雪の習慣からきているもので、それはいつの間にか無意識のうちに出る癖のように深雪の深部に染み付き、一人で留守番が出来るようになった今もなお、こうして当たり前のように深雪を竜馬の家へ向かわせた。
いつもは勝手気ままで我儘な深雪であったが、下校する時だけは、竜馬の用事が済むのを大人しく待っている。竜馬はそんな深雪を可愛らしく思った。
「悪りぃ、待たせたな」
教室の入り口で声を掛けると、深雪は、机の上に乗せたお尻をするりと滑らせて手前に降りた。
「おせーよ」
西日を受けた髪が金色に光り、身体の輪郭が眩く浮き上がる。柑橘系の香水の匂いを漂わせながら近付くと、深雪は、竜馬の背中をカバンで軽く小突き、だるそうに前を歩き始めた。
「ふらふらしてっと転ぶぞ」
「身体が痛ぇんだってば。そんなに気になるならおぶってくれよ」
「誰が……」
登校自粛で週一になった郷田とのセックスが、深雪の身体を想像以上に痛めつけていることは想像に容易い。
毎日のようにしていたのが週一になったのだ。溜まりに溜まった欲望をこれでもかと吐き出され、深雪の華奢な身体が悲鳴を上げないわけが無い。
それでも、休み前の金曜日を指定するあたり、郷田なりに深雪を気づかっているのは確かだろう。
深雪に、「郷田と付き合うことになった」と打ち明けられた時は嫌な予感で一杯になったが、郷田は、深雪を金儲けの道具に使ったり、自分の手下に当てがったりはしなかった。
郷田は深雪をきちんと自分の女として大切に扱った。竜馬の心配は杞憂終わった。
郷田の女でいる限り深雪は安全だ。それは竜馬にとっても悪いことではなかった。
竜馬の思いを知ってから知らずか、深雪は、郷田の底無しのセックスがキツいとは言いながらも、郷田本人を悪く言うことは無かった。
「いててててっ! ケツが痛ぇ! 身体の中が全部痛ぇ!」
深雪は、綺麗な顔にはおよそ不釣り合いな乱暴な言葉を吐きながら、竜馬の前方を大袈裟に腰を曲げて歩いている。
ひょこひょこと歩く姿がいじらしく、竜馬は、追い抜きざま、深雪の頭をよしよしと撫で、深雪の前に背中を向けてしゃがみ込んだ。
「仕方ねぇな。さっさと乗れ……」
「え? マジで? やったぁ!」
言うなり、竜馬の両肩に手を掛け、反動をつけて竜馬の背中にひょいとしがみ付く。
いくら細身だからといって、それなりに身長のある男を背負うのはさすがに軽々とはいかない。
竜馬は、よろけて転びそうになったところを咄嗟に手を床について支え、深雪のお尻に手を回して、よいしょ、と立ち上がった。
「じっとしてろよ」
あいよ、と、深雪の短い返事が、柔らかな吐息とともに肩越しに耳元を流れる。
背中に貼り付く体温を感じながら、竜馬は、ゆっくりと足を踏み出した。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「あー、やっぱ竜馬の部屋は落ち着く……」
「こら、寝るならズボン脱げ、シワんなるぞ……」
「うーん。てか、無理。眠い。もう寝る。竜馬が脱がせて……」
「……ったく、しゃーねぁなあ……」
とろとろと眠りに落ちる深雪の寝顔を見ながら、竜馬は、深雪のズボンのベルトを外し、薄っぺらい腰を持ち上げてズボンを引き抜いた。
日焼けしていない脚の間で、綺麗な肌色のペニスがポロンと剥き出しに溢れる。そう言えば今日は下着を付けていなかった。
郷田が持って帰ったというスケスケ下着にも興味は湧いたが、竜馬は、下着より深雪のペニスをじっくり見る方が好きだった。
特に、手のひらに簡単に収まってしまうほどの小さなペニスが、違うモノのように大きく膨張して行くさまを見るのは堪らなく興奮する。
郷田とセックスをした日は、嫉妬にも似た感情が入り混じり竜馬をますます煽り立てた。
「深雪? ……もう寝たのか?」
伸び上がって深雪の顔を見下ろし、唇に唇を近付けた。
父親が、「凄くよく眠れる」と言っていた睡眠薬は、今日も深雪を深い眠りの底に誘っている。
「深雪、少し口開けるぞ……」
顎を掴み、うっすらと赤みを帯びる唇を指先で縦に開き、唇を重ねて舌を差し入れた。
ううん、と呻く深雪に構わず、奥に引っ込んだ舌を舌の先で掻き出し揉みくちゃに舐め回した。
「深雪……深雪……」
唇の端から垂れる唾液を舐め取り、シャツのボタンを胸元から順に外していく。ボタンが外れるごとに露わになって行く肌に唇を押し当て、一番下まで外したところで、お臍を舐めていた舌を一旦離し、上に戻って、胸の両側に佇む小さな乳首を舐め上げた。
「んっ……んん……」
深雪の顔に一瞬苦悶の表情が浮かぶが、そのままじっとしていればすぐにまたスヤスヤと寝息を立て始める。
以前は、深雪が呻くたびにビクビクと手を引っ込めていたが、回数を重ねるうちに、際どいところまで攻めても、意外と目を覚さないことに気が付いた。今では加減も解り、多少の呻き声や寝返りは全く気にならなくなっている。
とは言え、反応されたらその都度動きを止めて深い眠りに戻るのを待たねばならない。薬の効果が切れる二時間程度の間に深雪の身体を存分に味わい何事も無かったかのように終わらせるためには、そう何度も動きを止めている余裕は無く、必然的に慎重に進めざるを得なかった。
竜馬は、早る気持ちを抑え、深雪の反応を見ながら、丁寧に乳首を吸った。
乳輪を摘み、盛り上がった乳首の先を舌の先で左右交互に舐め、チュッ、チュッ、と音を立てながら小さく吸って口に含んだ。
乳首の横にある、郷田が付けたキスマークを皮膚を伸ばして広げ、その上に、同じ角度で唇を押し当て、バレないように上から更に跡を付ける。
鎖骨の横と首筋のキスマークも同様に上から跡を付け直し、お人形のように安らかな顔で眠る深雪の頬に短いキスを繰り返した。
「深雪……俺が綺麗にしてやっからな……」
眠ったままの深雪に囁き、深雪の脚を左右に開いて股の間に顔を埋め、竿を握って先端を口に含んだ。
先の部分をジュルジュルと舐めすすり、カリ首の溝に舌を絡ませながら吸い上げ、飴玉を舐めるように口の中で転がす。同時に根元の部分を手で扱くと、頼りなかった深雪のペニスがみるみる硬さを増し、太く大きく肥大し始めた。
更に吸い上げると、肥大したペニスがビクビクと反り返り、先端から蜜が溢れ出す。
竜馬の股間もまた、ズボンの生地を押し上げ、はち切れんばかりに反り勃っていた。
竜馬は、深雪のペニスを咥えたまま、片手で器用に自分のズボンを下ろし、ガチガチに膨張したペニスを引っ張り出した。
いつ爆発してもおかしくないほど猛々しく反り勃ったペニスを自分の手のひらに握り込み、深雪のペニスをしゃぶり上げる動きに合わせて上下に扱く。
最初はゆっくり絞り上げるように、次第にスピードを上げていき、根元から先っぽまでを激しく擦り上げるように上下に動かす。
深雪がそろそろ果てることは、パンパンに張り詰めた睾丸と、先端の溝から滴る蜜の様子からも容易に察することが出来た。
先に、深雪の射精感にとどめを刺すように喉の奥を使って激しく扱き上げた。
深雪は、少し腰をよじったものの、少し息を荒くしただけで目覚めることなく射精した。
竜馬は、深雪の吐き出した欲望を自分の口で受け、呑み込んだ。
郷田とのセックスでさんざん射精させられたのか、それは竜馬の喉をつるんと流れて行った。
深雪をイカせると、竜馬は、ベッドの上に無造作に投げ出された深雪の手を取り、自分のペニスを握らせた。
細い指を開いてしっかりと握らせ、その上に自分の手を重ね、一心不乱に扱き上げる。
深雪の少し冷んやりとした手が熱く昂った竜馬のペニスを直に握って扱き上げる、その感触もさることながら、自分のペニスが深雪の手に握られているという見た目の卑猥さに、竜馬は、自分でも情けないほど呆気なく果てた。
『そんなに大事なら、さっさと自分のものにしちゃえばいいのに……』
比留間の言葉がふと脳裏をよぎる。
ーーーそんなに簡単には行かねぇんだよ。
深雪の手を伝い流れる白い液体を見ながら、竜馬は、果ててもなお固いままのペニスをもう一度深雪に握らせた。
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