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六、龍の祝福
21.
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「レレ!! 起きて!」
あたしはうつ伏せに倒れ込んでいるレレの背中を見て、一瞬意味が分からなかった。
気づいたらめちゃくちゃに揺すっていた。
レレが倒れてる姿なんて、初めて見た。
「う……」
少し体に力が入って、レレが小さく呻き声をあげた。
いつの間にか馬乗りになっていたあたしはレレの背中から降りて、顔の方に移動して顔を覗き込んだ。
「良かった。気が付いたんだね」
巨大な金色のドラゴンの事を聞きたい。
でもレレは「誰だ?」って言ってた。
「レム……か。ふっ……」
「うん? レレどうしたの? 急に笑って」
「ふふっ、いや、何でもない。……はぁ……」
何でもないとか言ってるわりにため息までついてるし。
「俺はどうやら色々忘れていたようだな」
「そう……なのかな?」
「ああ。例えばこのようなことも出来るということを忘れていた」
身体を起こしたレレは静かにそう言うと、全身が銀色に輝きだした。
力を入れている風でもなく、ふわっと輝きだしたかと思うと、一気に眩しくなってあたしは思わず目を閉じた。
次に目を開けた時には、目の前にあたしと同じくらいの背丈の銀色のドラゴンがいた。
「ふえ!? どういうこと!?」
あたしは思わず立ち上がって後ろに下がってしまった。
そして、周囲を慌てて見回し、今いる場所が家の裏だったことを思い出した。
大きな木に隠れて他からは目立たない場所だったことにちょっとホッとした。
「俺の本来の姿はこちらの方なのだ。
リトには力を分け与えた影響でこの姿がダブって見えているようだな」
「えっと、急な話すぎてよくわからないんだけど、何で忘れてたの?」
混乱はあまりしてなかった。
レレが普通の人じゃないってことは、何だか以前から分かっていたような気がする。
それと、あたしが最初に会った時と、雰囲気が少しだけ違ったような気もしてたし、本当の姿が分かって逆にスッキリした感じ。
龍の姿のレレが上を見上げた。
「ラディウスめ。珍しく降りてきたか。まだクラクラする。
お陰で目が覚めたんだがな。
ああ、そうだった。
記憶を失う前の記憶……というのも変な話だが、船の上だった。
原因の可能性として考えられるのは、ジーン皇国の龍煌石くらいか」
「鉱石? あー、もしかして、エルザの大きな浮かぶ岩のこと?」
「そう、煌めく石だな。
その石に何か異変が起きたなら、人の姿で長らく過ごし、機能も少々人のそれに近くなっている俺にも、ダメージがあっておかしくない。
現に、ラディウスも『何がしかが破壊した』とか言っていたからな」
「流石にわかんないな」
わりと寡黙だったレレが、こんなに色々話してくれるのが不思議な気分だ。
でも、確かにあたしのずっと前の記憶では、気さくな印象が残ってたから、こっちの方がしっくりくる。
「ふむ。では早速これから調査に向かうことにしよう」
「えっ? 今から!?」
大きなドラゴンが現れるなんていう衝撃的な出来事で忘れてたけど、まだ午前中だった。
フワッとまた光が目の前を覆って、次の瞬間にはまた人の姿に戻ったレレがいた。
銀色の長い髪に青い目。ちょっとだたけ日に焼けた細面の顔はいつものレレだ。
ただ、服が……。
「レレ……服」
あたしは思わず後ろを向いた。
「ああ、すまない」
ちらっと見るともうカッチリとした青みがかったシャツに黒いズボン、白地の長い外套を羽織っていた。
はやっ。
魔法で服出してるのかな?
「夜には戻る」
「え?」
ちらっとじゃなくきちんと振り返ったときには、もう行こうとしていたから思わず外套の端を掴んだ。
「あたしも行く」
「ふむ。ではしっかり掴まっていろ」
そう言いながら、片手で抱き寄せて片腕抱っこされた。
「えっ!? そんな小さな子どもじゃなっ……」
全部言い終わる余裕もなく、レレは宙に飛び上がり、あたしは頭にしがみつくしか無くなってしまった。
あたしはうつ伏せに倒れ込んでいるレレの背中を見て、一瞬意味が分からなかった。
気づいたらめちゃくちゃに揺すっていた。
レレが倒れてる姿なんて、初めて見た。
「う……」
少し体に力が入って、レレが小さく呻き声をあげた。
いつの間にか馬乗りになっていたあたしはレレの背中から降りて、顔の方に移動して顔を覗き込んだ。
「良かった。気が付いたんだね」
巨大な金色のドラゴンの事を聞きたい。
でもレレは「誰だ?」って言ってた。
「レム……か。ふっ……」
「うん? レレどうしたの? 急に笑って」
「ふふっ、いや、何でもない。……はぁ……」
何でもないとか言ってるわりにため息までついてるし。
「俺はどうやら色々忘れていたようだな」
「そう……なのかな?」
「ああ。例えばこのようなことも出来るということを忘れていた」
身体を起こしたレレは静かにそう言うと、全身が銀色に輝きだした。
力を入れている風でもなく、ふわっと輝きだしたかと思うと、一気に眩しくなってあたしは思わず目を閉じた。
次に目を開けた時には、目の前にあたしと同じくらいの背丈の銀色のドラゴンがいた。
「ふえ!? どういうこと!?」
あたしは思わず立ち上がって後ろに下がってしまった。
そして、周囲を慌てて見回し、今いる場所が家の裏だったことを思い出した。
大きな木に隠れて他からは目立たない場所だったことにちょっとホッとした。
「俺の本来の姿はこちらの方なのだ。
リトには力を分け与えた影響でこの姿がダブって見えているようだな」
「えっと、急な話すぎてよくわからないんだけど、何で忘れてたの?」
混乱はあまりしてなかった。
レレが普通の人じゃないってことは、何だか以前から分かっていたような気がする。
それと、あたしが最初に会った時と、雰囲気が少しだけ違ったような気もしてたし、本当の姿が分かって逆にスッキリした感じ。
龍の姿のレレが上を見上げた。
「ラディウスめ。珍しく降りてきたか。まだクラクラする。
お陰で目が覚めたんだがな。
ああ、そうだった。
記憶を失う前の記憶……というのも変な話だが、船の上だった。
原因の可能性として考えられるのは、ジーン皇国の龍煌石くらいか」
「鉱石? あー、もしかして、エルザの大きな浮かぶ岩のこと?」
「そう、煌めく石だな。
その石に何か異変が起きたなら、人の姿で長らく過ごし、機能も少々人のそれに近くなっている俺にも、ダメージがあっておかしくない。
現に、ラディウスも『何がしかが破壊した』とか言っていたからな」
「流石にわかんないな」
わりと寡黙だったレレが、こんなに色々話してくれるのが不思議な気分だ。
でも、確かにあたしのずっと前の記憶では、気さくな印象が残ってたから、こっちの方がしっくりくる。
「ふむ。では早速これから調査に向かうことにしよう」
「えっ? 今から!?」
大きなドラゴンが現れるなんていう衝撃的な出来事で忘れてたけど、まだ午前中だった。
フワッとまた光が目の前を覆って、次の瞬間にはまた人の姿に戻ったレレがいた。
銀色の長い髪に青い目。ちょっとだたけ日に焼けた細面の顔はいつものレレだ。
ただ、服が……。
「レレ……服」
あたしは思わず後ろを向いた。
「ああ、すまない」
ちらっと見るともうカッチリとした青みがかったシャツに黒いズボン、白地の長い外套を羽織っていた。
はやっ。
魔法で服出してるのかな?
「夜には戻る」
「え?」
ちらっとじゃなくきちんと振り返ったときには、もう行こうとしていたから思わず外套の端を掴んだ。
「あたしも行く」
「ふむ。ではしっかり掴まっていろ」
そう言いながら、片手で抱き寄せて片腕抱っこされた。
「えっ!? そんな小さな子どもじゃなっ……」
全部言い終わる余裕もなく、レレは宙に飛び上がり、あたしは頭にしがみつくしか無くなってしまった。
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