1 / 2
モノローグ1
しおりを挟む
夜の森はとても静かで…危険だ。それを分かっていないのか、野営している冒険者達を遠目で見る。
「ほんと使えない」
この世界の全てが、あなたを愛し、あなたを支え、そしてあなたの紡ぐ物語を待っている。けれど、その過程で、あなたを試すこともあれば、奈落に突き落としもする。
「こんな頭の悪い連中が、勇者様のそばにいるなんて…」
神は最低だ。こんな奴らがいなければ、既に次の村に辿り着いて宿屋でそのお身体を休められたというのに。すると、野営の明かりにおびき寄せられるかのように、モンスターが闇に紛れて動く。
「ちっ」
舌打ちをして、モンスターに語りかける。
「やめろ、あそこには私の勇者様がいるんだ」
野営に視線を戻すと、なにやら足手まといABCの3人が話をしている。そっと近づき話を聞く。
「勇者様って、ほんとお優しいわよね」
こいつが足でまといA
「ああ、お前本当に気をつけろよ?勇者様が治療して下さったが…」
こいつは足でまといB
「まったく、僕の勇者様の手を煩わせるなよな」
こいつは殺す。足でまといCのナルシスト。
足でまといAが負傷した事で先に進むのをやめたらしい。腕を組み、腸が煮え繰り返るのを我慢する。
…弱すぎて腹が立つ。
「ふふ、でもさぁ。こんなこと言いたくないけど…勇者様ってちょっと固すぎない? 私だけかな?そう思うの…真面目すぎて、疲れちゃうっていうか…」
「まあな。ただ、ご自身にも厳しい方だ」
「ほんと肩が凝っちゃう」
足手まといAが、Bの肩に自分の頭を預ける。
「ねえ、私達二人だけで旅しない?」
「そうだな、そもそも俺の旅の目的は…」
勇者様の旅のパーティメンバーは、全員が魔王討伐に集まった訳ではなく、旅の中で出会いそれぞれの目的で旅をしている。しかし、こんな足手まといでも居なくなれば勇者様の心は傷つくのだろう。
「そうか!君たちが離脱するなら、必然的に僕と勇者様の2人っきりの旅になるな!」
……。
「ふふ、応援しているわ。」
「ありがとう!最近、勇者様が僕にとても優しくてね」
「おい、あまり調子に乗るなよ?」
白状すると、こいつらが羨ましかった。世界に勇者様と苦楽を共にする権利を与えられたこいつらが。背を向けて、大人しくさせていたモンスターに再度語りかける。
「殺せ、三人ともだ」
この森を抜けるだけの力もない上、戦闘は勇者様頼りの足手まとい。そうだ、結界を張らなければ。勇者様が雑音に目を覚まされるかもしれない。
「原型は残すな…教会で蘇生できないくらいにしろ」
__
森を進み、野営に近づく。ひとめ…あなたを見られないだろうか…美しく気高いあなたを。
「あれ、人…?もしかして冒険者ですか?」
美しい声に足を止める。私もこの世界の住人だ、あなたの存在感はとても眩しく、惹かれずにはいられない。振り返ると、その美しい姿に息を呑む。
ああ、愛おしい私の勇者様。
「はい…そうですが、あなたは?」
「私も旅の者です。仲間の姿が見えず探しています。女の子1人と男性2人の3人組を見ていませんか?」
お優しい勇者様。もう骨も残っていません。
「申し訳ありません。見ていませんね」
「そうですか…あなたも気をつけてください。この辺りの魔物は強いですから」
ああ、勇者様…
「ありがとうございます。気をつけます」
あなたの事だから、足手まとい達を探し続けるのでしょうね。うつむき、黙っていると、あなたが心配そうに私の様子を窺う。
美しい……。
いつか、あなたが私を正しく認識してくれる時、私の事を話しましょう。まずは、私の領域であなたを待ちます。
私の大切な…愛しの勇者様
次の村でお待ちしています。
Fin…
「ほんと使えない」
この世界の全てが、あなたを愛し、あなたを支え、そしてあなたの紡ぐ物語を待っている。けれど、その過程で、あなたを試すこともあれば、奈落に突き落としもする。
「こんな頭の悪い連中が、勇者様のそばにいるなんて…」
神は最低だ。こんな奴らがいなければ、既に次の村に辿り着いて宿屋でそのお身体を休められたというのに。すると、野営の明かりにおびき寄せられるかのように、モンスターが闇に紛れて動く。
「ちっ」
舌打ちをして、モンスターに語りかける。
「やめろ、あそこには私の勇者様がいるんだ」
野営に視線を戻すと、なにやら足手まといABCの3人が話をしている。そっと近づき話を聞く。
「勇者様って、ほんとお優しいわよね」
こいつが足でまといA
「ああ、お前本当に気をつけろよ?勇者様が治療して下さったが…」
こいつは足でまといB
「まったく、僕の勇者様の手を煩わせるなよな」
こいつは殺す。足でまといCのナルシスト。
足でまといAが負傷した事で先に進むのをやめたらしい。腕を組み、腸が煮え繰り返るのを我慢する。
…弱すぎて腹が立つ。
「ふふ、でもさぁ。こんなこと言いたくないけど…勇者様ってちょっと固すぎない? 私だけかな?そう思うの…真面目すぎて、疲れちゃうっていうか…」
「まあな。ただ、ご自身にも厳しい方だ」
「ほんと肩が凝っちゃう」
足手まといAが、Bの肩に自分の頭を預ける。
「ねえ、私達二人だけで旅しない?」
「そうだな、そもそも俺の旅の目的は…」
勇者様の旅のパーティメンバーは、全員が魔王討伐に集まった訳ではなく、旅の中で出会いそれぞれの目的で旅をしている。しかし、こんな足手まといでも居なくなれば勇者様の心は傷つくのだろう。
「そうか!君たちが離脱するなら、必然的に僕と勇者様の2人っきりの旅になるな!」
……。
「ふふ、応援しているわ。」
「ありがとう!最近、勇者様が僕にとても優しくてね」
「おい、あまり調子に乗るなよ?」
白状すると、こいつらが羨ましかった。世界に勇者様と苦楽を共にする権利を与えられたこいつらが。背を向けて、大人しくさせていたモンスターに再度語りかける。
「殺せ、三人ともだ」
この森を抜けるだけの力もない上、戦闘は勇者様頼りの足手まとい。そうだ、結界を張らなければ。勇者様が雑音に目を覚まされるかもしれない。
「原型は残すな…教会で蘇生できないくらいにしろ」
__
森を進み、野営に近づく。ひとめ…あなたを見られないだろうか…美しく気高いあなたを。
「あれ、人…?もしかして冒険者ですか?」
美しい声に足を止める。私もこの世界の住人だ、あなたの存在感はとても眩しく、惹かれずにはいられない。振り返ると、その美しい姿に息を呑む。
ああ、愛おしい私の勇者様。
「はい…そうですが、あなたは?」
「私も旅の者です。仲間の姿が見えず探しています。女の子1人と男性2人の3人組を見ていませんか?」
お優しい勇者様。もう骨も残っていません。
「申し訳ありません。見ていませんね」
「そうですか…あなたも気をつけてください。この辺りの魔物は強いですから」
ああ、勇者様…
「ありがとうございます。気をつけます」
あなたの事だから、足手まとい達を探し続けるのでしょうね。うつむき、黙っていると、あなたが心配そうに私の様子を窺う。
美しい……。
いつか、あなたが私を正しく認識してくれる時、私の事を話しましょう。まずは、私の領域であなたを待ちます。
私の大切な…愛しの勇者様
次の村でお待ちしています。
Fin…
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
恋と首輪
山猫
恋愛
日本屈指の名門・城聖高校には、生徒たちが逆らえない“首輪制度”が存在する。
絶対的支配者・東雲財閥の御曹司、東雲 蓮の「選んだ者」は、卒業まで彼の命令に従わなければならない――。
地味で目立たぬ存在だった月宮みゆは、なぜかその“首輪”に選ばれてしまう。
冷酷非情と思っていた蓮の、誰にも見せない孤独と優しさに触れた時、みゆの心は静かに揺れはじめる。
「おめでとう、今日から君は俺の所有物だ。」
イケメン財閥御曹司
東雲 蓮
×
「私はあなたが嫌いです。」
訳あり平凡女子
月宮 みゆ
愛とか恋なんて馬鹿らしい。 愚かな感情だ。
訳ありのふたりが、偽りだらけの学園で紡ぐカーストラブ。
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる