異世界転移したら、どうやら高位魔術の素質があるようなのでどうせなら世界最強の魔術師を目指してみる。

使役的月光

文字の大きさ
2 / 9
物語の始まり

第2話 ギルドでステータスを確認?

しおりを挟む
 道中で二人からいろいろな話を聞いた。
 この世界は中世くらいの発展度合いで、魔駒ポーンと呼ばれる魔物が出てきて以来抵抗できなかった王侯貴族の国々は滅び、一部の強力な私軍を持つ君主国と大量の冒険者を擁するギルドが権力を握ったらしい。

 そして、魔術に関してだがこの国の人間は殆ど使えるようだが、その範囲は通常は生活魔法に限られ、そして鍛錬をしても中級魔法が習得の限界らしい。
 さっきの戦闘で俺が使った「オートガード」とやらは、どうやらその中級魔法の一段階上――高位魔法と呼ばれるもので、これはずっと昔に滅びた古代魔法として現代においては存在しないはずのものらしいのだ。

「ほら、ついたわよ」

 リアンの声に釣られて、地面を見ていた視線を上げる。
 目の前に現れたのは違法建築が如く、増築に増築を加えたような高層建築であった。大きく開いた出入り口からは剣を佩いたり、ポーションを腰に付けた冒険者じみた連中が出入りして、盛況を見せている。
 ギルド・アンヌール――リアンとクレアが所属するギルドらしい。
 中に入ってリアンが受付に手を振ると、受付嬢はニコッと笑顔で返してきた。リアンは彼女と一言二言言葉を交わすと、こちらに振り返った。

「タクミ、ちょっと彼女の前に立ってみて?」
「ん、ああ」

 言われたとおり、受付嬢の前に立つと額の前に手をかざされた。少し暖かい感覚を覚えた瞬間、彼女の左に何やらデータのようなものが浮かび上がってきた。

#----------------------------------------------
名前:キンザキ タクミ
EXP:測定不可
称号:救世主
種族:ヒューマン

HP:測定不可
MP:測定不可
スタミナ:測定不可
STR:測定不可
ATT:測定不可
DEF:測定不可
INT:測定不可

《スキル》
・自動翻訳 ・オートガード ・近接攻撃+
・収納魔法 ・スキャン ・ガンスミス
#----------------------------------------------

 これはどうやら俺のステータスらしい。色々とそれっぽいものが書いてあるが、数値関連がほとんど測定不可になっていて何だか気味が悪かった。

(というか、称号:救世主ってなんなんだよ……)

 幾らファンタジーRPGでも「救世主」だなんて、今は流行らないものだ。しかし、それを見たリアンとクレアの二人は驚きでその表示から目が離せないようだった。

「何よこれっ、知らないスキルばっかりだし、能力値はほとんど測定不可じゃない!」
「お、おかしいですね……こんなことは今まで無かったのですが……」

 受付嬢が再びステータスを開示しても、結果は変わらない。

「二人の場合はどうなるんだ?」
「リアンは剣士ですし、私のほうが分かりやすいと思いますよ。ほら」

#----------------------------------------------
名前:クレア・フライハイト
EXP:1802
称号:中級魔術師
種族:ヒューマン

HP:120
MP:250
スタミナ:242
STR:4
ATT:15
DEF:5
INT:23

《スキル》
・ファイアボール ・メテオレイン ・コレクタ
・ウィンドカッター ・ウィンドシア ・魔法攻撃+
#----------------------------------------------

 こっちは数値がはっきり出ていた。クレアもそれを確認して、異常がないことを認めてこくりと頷いた。
 しばらくクレアは思案顔になっていたが、何かを決心したようで「よし」と独り言ちて、俺の方を向いた。

「タクミさん、ちょっとお話があります」
「お、おう」

 クレアは真剣な表情で俺の手を取る。女の子に手を掴まれるなんて、そうそうないことで、それだけでドキッとしてしまう。

「私達のパーティーに入ってくれませんか」
「ちょちょ、ちょっと待ってよ!」

 クレアの提案をかき消すようにリアンは大声を張る。

「勝手なこと言わないでよ! 誰がこんな得体のしれない奴をパーティーに入れるわけ!?」
「しかし、オートガードとスキャンは高位魔法です。記憶を無くしていたとしても、彼は高位魔法の使い手です。パーティーに居れば、もっと高ランクのクエストにも挑めるようになりますし、私達も成長が……」
「アタシはこんなチンチクリンに学ぶことなんて無いわよ」

 酷い言い草だ。二人が言い合っているうち、俺は先の戦闘のときの感覚を思い出していた。感覚さえ分かれば、魔法はいくらでも使えるはずだ。パーティーなんかに入らなくても一人で自由に生きていけるんじゃないだろうか。
 そう思って、俺は二人の口論に割って入ることにした。

「別に入れたくないなら、入れてもらわなくても良いぜ。足手まといになりそうだしな」
「分かってるじゃない! ほら、クレア、本人もこう言ってるんだし――」
「特にこの剣士がな」

 そういって、リアンの方を指差すと彼女は一瞬で顔を真っ赤にして怒り出した。

「なんですってっ!?」
「他人に不寛容なのは、弱い自分が認められない証拠だ」
「あ、あんたねえ……!!」

 これで愛想を尽かして、一人にさせてくれるはずだ。そう思っていたが、リアンは人差し指で俺を指して「ここで待ってなさいよ!!」と言って、何処かに行ってしまった。

「はぁ、あんな見え見えの挑発に乗るだなんて……」

 クレアはリアンの去っていった方を見ながら、そう呟くのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

万物争覇のコンバート 〜回帰後の人生をシステムでやり直す〜

黒城白爵
ファンタジー
 異次元から現れたモンスターが地球に侵攻してくるようになって早数十年。  魔力に目覚めた人類である覚醒者とモンスターの戦いによって、人類の生息圏は年々減少していた。  そんな中、瀕死の重体を負い、今にもモンスターに殺されようとしていた外神クロヤは、これまでの人生を悔いていた。  自らが持つ異能の真価を知るのが遅かったこと、異能を積極的に使おうとしなかったこと……そして、一部の高位覚醒者達の横暴を野放しにしてしまったことを。  後悔を胸に秘めたまま、モンスターの攻撃によってクロヤは死んだ。  そのはずだったが、目を覚ますとクロヤは自分が覚醒者となった日に戻ってきていた。  自らの異能が構築した新たな力〈システム〉と共に……。

『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。 新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。 ※※※※※ 1億年の試練。 そして、神をもしのぐ力。 それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。 すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。 だが、もはや生きることに飽きていた。 『違う選択肢もあるぞ?』 創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、 その“策略”にまんまと引っかかる。 ――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。 確かに神は嘘をついていない。 けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!! そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、 神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。 記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。 それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。 だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。 くどいようだが、俺の望みはスローライフ。 ……のはずだったのに。 呪いのような“女難の相”が炸裂し、 気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。 どうしてこうなった!?

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

処理中です...