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第3章
戒め 06※※
しおりを挟む突然投げつけられる冷酷な言葉。
「“人形”?“慰み”? 何……言ってるの?結月さん……」
「……」
「いつ、から……。まさか、初めから……?」
――どうして、否定してくれないの?
「綺麗だ、って、言った……。あんなにっ、好きだって、愛してるって……。それは全部、嘘……?」
――『すべて忘れさせて、これからは、俺だけにしか感じないカラダにしてやる。……約束だ』
あの日、耳元で聞いた声。心臓の音。
今でもはっきりと思い出せる。ずっと、あの温もりに救われていた。それなのに……。
ぽたりと涙が落ちた。嗚咽で声が震える。
「ずっと……ソレの為に、傍に置いたの?あんなこと……いっぱい、男と寝させて……」
「……」
「冗談だって、言って……?ねえっ……結月さんっ」
「亜矢」
「ッア、……ぁ!」
彼の欲が容赦なくカラダの中を抉る。
激しく腰を打ちつけられ、確実に悦い場所を煽り、深い快楽の底へと導かれる。
「僕はっ、ずっと、貴方を信じてた……」
――愛しているから。
結月さんも、そうだって思っていたのに。
涙に濡れた頬を、ソノ手が撫でる。全身を悪寒が走る。
「触らないでっ!抜い、て……!早く僕から出ていってよ……!」
嫌なのに、カラダが彼を求めている。カラダの奥底から与えられる熱を、離さんばかりに咥え込み、絡みつく。
「俺だけのものだった……。
俺以外のヤツに献身する人形など……もう要らない……」
どうして……?
そんなに酷いことを言うくせに、悲しそうな表情をするんだろう。
こんなふうに、優しく触れるんだろう。
「ひっ……ッア……ア……ぅ」
「あ、や……」
「っく……ふっ……あぁっ……」
――なんで……。
「亜矢……」
何回も、愛おしそうに、僕の名前を呼ぶんだろう。
「ぃや……!も……聞きたくないっ!!」
「亜矢ッ……」
「僕だって、貴方の顔だけだったんだから……ただ、その顔が好きだっただけなんだから……!」
――違う。そうじゃない。何言ってるの。
「そうか。お互い様だな。……もうこれで最後なんだ。愉しめよ」
今にも泣きそうな顔で笑う。その表情は、狡い……。
「嫌い……大嫌いだ……!」
――心が、痛い。
大嫌い、なんてそんなの無理だよ。
貴方のことが、こんなにも痛いほど、大好きだから……。
最後に重ねられた唇は、震えていた。それに気付かないふりをするように、僕は何度もそれを喰んだ。
涙の味がした。
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