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第四章
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「でももう起きないよ。」
夏星はそう言った。そんなこと見ればわかることだった。でもどうしても頷けなかった。頷きたくなかった。
真瑞の体から繋がれた管はたくさんの機械と繋がっていて命が生きてるというよりかは、人の体が機械で生きてると言った感じだった。でも信じられなかった。
「私ね、この前ね、真瑞に会ったんだよ。
真瑞も私に会いたかったって言ってくれたの。」
夏星は呆れたような顔をしていた。
でも今の私にそんなことはどうだってよかった。
あれは、夢じゃなかったんだ。真瑞は生きているんだ。
「また会えるって言ったのに」
そう叫んでいる女の子がいた。私だった。
動く必要のなくなった機械の前で血だらけになったカッターを握りしめていた。
これが…私?もうすぐこうなってしまうのだろうか。
「好きだよって言ってくれたのに。なんで。
やっと会えたと思ったのに…。」
怖かった。自分がボロボロになっている。
この恐怖心が私の唯一の人間らしさだった。
私がだんだん私の方に近づいてくる。
「あなたはいいよね。真瑞と会えるもんね。
私はもう二度と会えないの。なんで、、
あなたなんかより私の方がずっと真瑞を
愛してるのに。」
あなたなんて、あなたより、、私がどれだけ…
私はずっとこんなことを言い続けた。
痛々しくてみてられないほど愚かだった。
これが、本当に私なのだろうか。
真瑞を好きになった、私なのだろうか?
このまま全部消えてしまえばいいと思った。
泡みたいに浮いて、沈んで何かの拍子に消えてなくやればいい、そう思った。
気づいたら朝だった。真瑞は息をしていた。
よかった。と思う。流石にあんな風にはなりたくない。
「真瑞、おはよう」
白い顔にかかった前髪をよける。
綺麗な顔だった。まるでもうこの世にはいないかのような。
「ま…みず。まみず」
呼びかけても答えは帰ってこなかった。
「真瑞が死んじゃったらさぁ私どうなるのかなぁ。
あんなふうになっちゃうのかなぁ。」
彼は、何も答えない。
「わたしはさ。真瑞のことが好きだったのかなぁ?」
彼は、何も言わない。
「ねぇ、答えてよ。なんでもいいからさぁ」
何も言わない真瑞見て急にバカバカしくなってきた。
そして涙がこぼれてきた。
「ねぇ、真那。僕が音楽やらなくなっても僕のこと好きでいてくれる?」
本当は「うん」って言わなければいけなかったのだろう。
「嫌だよ。そんなの真瑞じゃない。」
「だよね。やめないよ。」 真瑞は笑って言った。
はずだったのに笑ってなかった。
それに気づいていなかった。やはり私は愚かだ。
そこからだんだん真瑞は喋らなくなった。笑わなくなった。
私の名前を呼ばなくなった。
「真那」「真那」「真那」
真瑞が私を呼ぶ声だけが頭の中に響いて吐き気がする。
私はずっと真瑞のことが好きだった。
それはきっと恋愛感情だった。嘘じゃなかった。
ただただ単純に真瑞のことを愛していただけだった。
きっと純愛だった。はずだ。
「真那、?泣いてる?の?」
真瑞が言った。目の前で寝てるはずの真瑞なのに、声は上から聞こえた。体が人の温かさに包まれている。
「真瑞!!」
私の反応に驚いたように真瑞が笑う。
どーしたの、とでも言いたそうな顔で。
「真瑞は、いきてるよね、これは夢なんかじゃないよね、」
うん、そうだよ。何当たり前の事言ってるの。といわれる。
そんなことがとてつもなく幸せだった。
夏星はそう言った。そんなこと見ればわかることだった。でもどうしても頷けなかった。頷きたくなかった。
真瑞の体から繋がれた管はたくさんの機械と繋がっていて命が生きてるというよりかは、人の体が機械で生きてると言った感じだった。でも信じられなかった。
「私ね、この前ね、真瑞に会ったんだよ。
真瑞も私に会いたかったって言ってくれたの。」
夏星は呆れたような顔をしていた。
でも今の私にそんなことはどうだってよかった。
あれは、夢じゃなかったんだ。真瑞は生きているんだ。
「また会えるって言ったのに」
そう叫んでいる女の子がいた。私だった。
動く必要のなくなった機械の前で血だらけになったカッターを握りしめていた。
これが…私?もうすぐこうなってしまうのだろうか。
「好きだよって言ってくれたのに。なんで。
やっと会えたと思ったのに…。」
怖かった。自分がボロボロになっている。
この恐怖心が私の唯一の人間らしさだった。
私がだんだん私の方に近づいてくる。
「あなたはいいよね。真瑞と会えるもんね。
私はもう二度と会えないの。なんで、、
あなたなんかより私の方がずっと真瑞を
愛してるのに。」
あなたなんて、あなたより、、私がどれだけ…
私はずっとこんなことを言い続けた。
痛々しくてみてられないほど愚かだった。
これが、本当に私なのだろうか。
真瑞を好きになった、私なのだろうか?
このまま全部消えてしまえばいいと思った。
泡みたいに浮いて、沈んで何かの拍子に消えてなくやればいい、そう思った。
気づいたら朝だった。真瑞は息をしていた。
よかった。と思う。流石にあんな風にはなりたくない。
「真瑞、おはよう」
白い顔にかかった前髪をよける。
綺麗な顔だった。まるでもうこの世にはいないかのような。
「ま…みず。まみず」
呼びかけても答えは帰ってこなかった。
「真瑞が死んじゃったらさぁ私どうなるのかなぁ。
あんなふうになっちゃうのかなぁ。」
彼は、何も答えない。
「わたしはさ。真瑞のことが好きだったのかなぁ?」
彼は、何も言わない。
「ねぇ、答えてよ。なんでもいいからさぁ」
何も言わない真瑞見て急にバカバカしくなってきた。
そして涙がこぼれてきた。
「ねぇ、真那。僕が音楽やらなくなっても僕のこと好きでいてくれる?」
本当は「うん」って言わなければいけなかったのだろう。
「嫌だよ。そんなの真瑞じゃない。」
「だよね。やめないよ。」 真瑞は笑って言った。
はずだったのに笑ってなかった。
それに気づいていなかった。やはり私は愚かだ。
そこからだんだん真瑞は喋らなくなった。笑わなくなった。
私の名前を呼ばなくなった。
「真那」「真那」「真那」
真瑞が私を呼ぶ声だけが頭の中に響いて吐き気がする。
私はずっと真瑞のことが好きだった。
それはきっと恋愛感情だった。嘘じゃなかった。
ただただ単純に真瑞のことを愛していただけだった。
きっと純愛だった。はずだ。
「真那、?泣いてる?の?」
真瑞が言った。目の前で寝てるはずの真瑞なのに、声は上から聞こえた。体が人の温かさに包まれている。
「真瑞!!」
私の反応に驚いたように真瑞が笑う。
どーしたの、とでも言いたそうな顔で。
「真瑞は、いきてるよね、これは夢なんかじゃないよね、」
うん、そうだよ。何当たり前の事言ってるの。といわれる。
そんなことがとてつもなく幸せだった。
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