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窮地を助けてくれるのは?
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息を切らした豪さんと秋彦さんだ。一瞬、何が起きたのか分からなくて、私は目を瞠った。男たちの動きが、一斉に止まる。
「寧々の声が、この部屋からっ……」
「ちょっと、何なんすかあんたら!」
「今はそれどころじゃない! どけっ!」
入口近くで見張っていたタクミさんが、豪さんに掴みかかろうとする。けれど一瞬のうちに、秋彦さんが二人の間に入って、タクミさんを抱えて投げ飛ばした。それは、ほんの一~二秒の出来事。鮮やかな技に驚きつつも、「もう大丈夫だ」という安心感で、涙腺が緩む。
「いた! 寧々っ!」
「豪さんっ……!」
「誰だよ、お前らっ! 寧々に何した!?」
私を見つけ、惨状を確認した豪さんは、血相を変えてこちらに向かってくる。三人の男たちは慌てて私から離れ、体勢を整えようとしたけれど、豪さんと秋彦さんがその隙を逃すはずがなかった。それぞれが男一人を投げ飛ばす。二人が習得している、合気道の技だ。
最後の一人が、慌てて外に逃げようとした。秋彦さんは彼の首根っこを掴み、手刀を当てて気絶させる。あまりにも華麗な技の流れを、私は口を開けながら見守った。
全員が床にのびたところで、豪さんが私の元にやってくる。私の身体をゆっくりと起こし、上着を肩に掛けて抱きしめてくれた。
「豪、さ……」
「寧々、大丈夫か? 怖かったな」
助けに来てもらえて安堵したというのに、身体の震えが止まらない。ガチガチと歯を噛み合わせていると、秋彦さんも駆け寄ってきた。
「寧々様、ご無事ですか?」
「う、ん。ギリギリのところで……た、助かった、から。ありがと……」
「もういい、喋らなくても」
豪さんの腕の力が強くなる。涙に濡れた頬が豪さんのシャツにくっついて、染みを作った。高いシャツだろうに。豪さんは気にせず、私の頭を撫でてくれた。
「な、なんですかこれは!?」
騒ぎを聞きつけたクラブの男性スタッフが、部屋に入ってきて混乱している。彼が警察に通報しようとしたけれど、秋彦さんが止めに入り、事情を説明してくれたお陰で、幸い警察沙汰にはならなかった。
でも、もしこのことがモデル業界で噂になってしまったら――私は、仕事を続けていけるのだろうか。白い眼で見られる日々が、ありありと想像できてしまう。
男たちは気絶したまま、スタッフたちによって外に運ばれた。その間、豪さんはずっと、私を抱きしめてくれていた。頭を撫でられ、肌を通して与えられる温もりで、私も徐々に冷静さを取り戻す。
まるで物語の中のヒーローのように、私を助けに来てくれた。まだ不安はあるけれど、今は嬉しさが勝っている。私が生涯身体を許すのは、この人しかいない。
「寧々の声が、この部屋からっ……」
「ちょっと、何なんすかあんたら!」
「今はそれどころじゃない! どけっ!」
入口近くで見張っていたタクミさんが、豪さんに掴みかかろうとする。けれど一瞬のうちに、秋彦さんが二人の間に入って、タクミさんを抱えて投げ飛ばした。それは、ほんの一~二秒の出来事。鮮やかな技に驚きつつも、「もう大丈夫だ」という安心感で、涙腺が緩む。
「いた! 寧々っ!」
「豪さんっ……!」
「誰だよ、お前らっ! 寧々に何した!?」
私を見つけ、惨状を確認した豪さんは、血相を変えてこちらに向かってくる。三人の男たちは慌てて私から離れ、体勢を整えようとしたけれど、豪さんと秋彦さんがその隙を逃すはずがなかった。それぞれが男一人を投げ飛ばす。二人が習得している、合気道の技だ。
最後の一人が、慌てて外に逃げようとした。秋彦さんは彼の首根っこを掴み、手刀を当てて気絶させる。あまりにも華麗な技の流れを、私は口を開けながら見守った。
全員が床にのびたところで、豪さんが私の元にやってくる。私の身体をゆっくりと起こし、上着を肩に掛けて抱きしめてくれた。
「豪、さ……」
「寧々、大丈夫か? 怖かったな」
助けに来てもらえて安堵したというのに、身体の震えが止まらない。ガチガチと歯を噛み合わせていると、秋彦さんも駆け寄ってきた。
「寧々様、ご無事ですか?」
「う、ん。ギリギリのところで……た、助かった、から。ありがと……」
「もういい、喋らなくても」
豪さんの腕の力が強くなる。涙に濡れた頬が豪さんのシャツにくっついて、染みを作った。高いシャツだろうに。豪さんは気にせず、私の頭を撫でてくれた。
「な、なんですかこれは!?」
騒ぎを聞きつけたクラブの男性スタッフが、部屋に入ってきて混乱している。彼が警察に通報しようとしたけれど、秋彦さんが止めに入り、事情を説明してくれたお陰で、幸い警察沙汰にはならなかった。
でも、もしこのことがモデル業界で噂になってしまったら――私は、仕事を続けていけるのだろうか。白い眼で見られる日々が、ありありと想像できてしまう。
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