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8.ヤっちゃったんでしょうか私
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「……マジかよ」
想定外、という言葉を口に出しそうな声が降ってきて、そっと目を開く。
そこには、少し前のめりに、私と向き合う体制で腕を掴んでいる杉村部長がいた。
つい今しがたまで仰向けで寝てたのに、いつの間に身体を起こしたのでしょうか?
並外れた運動神経の持ち主だからか、単に私がトロくて鈍臭い女だからか……。
いやそれよりも。
何やら驚いているようですが、私にも何が起きたかさっぱりなんですけど。
え、えっと、部長と何を話そうと思ってたんだっけ……。
「あ、お、おはようございます部長!
そしてごめんなさい! あの、私だいぶ酔ってたみたいでご迷惑おかけしましたよね!?」
いや、まずはお礼を言うのが先だったのに……と思いつつも、未だ一言しか口に出さず、石のように固まっている部長にいつになく饒舌になって弁解した。
「私、まだお酒飲んだの2回目で……いつもなら1杯で終わるところを、今回は情に流されて2杯飲んでしまいまして……いえ、飲んだのはアルコール薄めのウーロンハイにしたはずなんですけどね、私お酒弱かったみたいで、酔ってることにも気づいてなくて……部長に大変ご迷惑をおかけしたようで、ホント申し訳ございません、が、次は必ず、このような失態を晒さないよう十分注意致しますので、どうかよろしくお願いします、杉村部長!」
目を合わせるのが恐くて結局俯きながら半分以上言い訳をして、ペコリと頭を下げた。
と、とりあえず、謝ろうという誠意は見せたわけだし、この後ドヤされたとしても、ちゃんと受けよう。
そして、この度のお礼を言って、何とか仲直りーー
「……よりによって、お前かよ」
「え……?」
目を上げると、額に手当てて目を閉じ、嘆くような表情の部長。
え、何この「ヤっちゃったよ」っていう空気は!
いえ、私まだ処女ですよ!?
もしかして部長も酔ってて覚えてないとか!?
てか、今の私の話聞いてなかったですか!?
私がいろんな思考を働かせている間に、部長は手を下ろしてジロッと私を睨む。
ひっ!と声を上げそうになるのを息を止めて堪え、なるべく真摯に受け止めようと身構えて部長を見据える。
「……お前、メガネは?」
「え、えと……部長が知っているのでは??」
うわ、これ質問に質問で返すなって怒られるやつだ!!
杉村部長には絶対やっちゃいけないことなのに……い、言ってしまった!!
どうしよ、謝った方がいいかな!?
頭の中でパニックを起こしてる間に、部長は「だからか」と小さく呟き、また気怠そうに深くため息をついて肩を落とした。
「三谷」
「は、は、はいっ!!」
いやぁー!! 呆れられてるー!!
怒られるドヤされる罵られるーー!!
ギュッと目を瞑り、力一杯拳を握って罵倒に耐える姿勢を作るも、沈黙の中帰ってきたのは言葉ではなく、頬に添えられた冷たくも優しい手と、唇に触れる柔らかい何かだった。
想定外、という言葉を口に出しそうな声が降ってきて、そっと目を開く。
そこには、少し前のめりに、私と向き合う体制で腕を掴んでいる杉村部長がいた。
つい今しがたまで仰向けで寝てたのに、いつの間に身体を起こしたのでしょうか?
並外れた運動神経の持ち主だからか、単に私がトロくて鈍臭い女だからか……。
いやそれよりも。
何やら驚いているようですが、私にも何が起きたかさっぱりなんですけど。
え、えっと、部長と何を話そうと思ってたんだっけ……。
「あ、お、おはようございます部長!
そしてごめんなさい! あの、私だいぶ酔ってたみたいでご迷惑おかけしましたよね!?」
いや、まずはお礼を言うのが先だったのに……と思いつつも、未だ一言しか口に出さず、石のように固まっている部長にいつになく饒舌になって弁解した。
「私、まだお酒飲んだの2回目で……いつもなら1杯で終わるところを、今回は情に流されて2杯飲んでしまいまして……いえ、飲んだのはアルコール薄めのウーロンハイにしたはずなんですけどね、私お酒弱かったみたいで、酔ってることにも気づいてなくて……部長に大変ご迷惑をおかけしたようで、ホント申し訳ございません、が、次は必ず、このような失態を晒さないよう十分注意致しますので、どうかよろしくお願いします、杉村部長!」
目を合わせるのが恐くて結局俯きながら半分以上言い訳をして、ペコリと頭を下げた。
と、とりあえず、謝ろうという誠意は見せたわけだし、この後ドヤされたとしても、ちゃんと受けよう。
そして、この度のお礼を言って、何とか仲直りーー
「……よりによって、お前かよ」
「え……?」
目を上げると、額に手当てて目を閉じ、嘆くような表情の部長。
え、何この「ヤっちゃったよ」っていう空気は!
いえ、私まだ処女ですよ!?
もしかして部長も酔ってて覚えてないとか!?
てか、今の私の話聞いてなかったですか!?
私がいろんな思考を働かせている間に、部長は手を下ろしてジロッと私を睨む。
ひっ!と声を上げそうになるのを息を止めて堪え、なるべく真摯に受け止めようと身構えて部長を見据える。
「……お前、メガネは?」
「え、えと……部長が知っているのでは??」
うわ、これ質問に質問で返すなって怒られるやつだ!!
杉村部長には絶対やっちゃいけないことなのに……い、言ってしまった!!
どうしよ、謝った方がいいかな!?
頭の中でパニックを起こしてる間に、部長は「だからか」と小さく呟き、また気怠そうに深くため息をついて肩を落とした。
「三谷」
「は、は、はいっ!!」
いやぁー!! 呆れられてるー!!
怒られるドヤされる罵られるーー!!
ギュッと目を瞑り、力一杯拳を握って罵倒に耐える姿勢を作るも、沈黙の中帰ってきたのは言葉ではなく、頬に添えられた冷たくも優しい手と、唇に触れる柔らかい何かだった。
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