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38.危険なお誘い
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「部長と三谷さんってさー。
飲みの後なんかあった?」
「え!?」
天国のような夢のような、ほんの少しの嬉しい時間の後。
昼休憩中、女子トイレでボーッと手を洗っていると、隣で化粧をしていた先輩がそう尋ねてきた。
もちろんほとんど話したことの無い先輩で、完全な不意打ちに思わず変な声が漏れてしまった。
「てか、あの人性欲強そーだしあってもおかしくないかー」
「梨花先輩、ヤッた前提で話してるでしょそれー」
「えーでも男女でお持ち帰りとか普通そうでしょー」
いつの間にかその隣にいた同期の鈴木さんまでもが話に混ざってクスクスと笑っている。
え……ええええ!?
顔の血が全部引いていき、逆に冷たい変な汗が流れ始めた。
せ、性欲……てか、お持ち帰りって……!?
え、もしかして私そういうことされたってみんなに思われてるの!?
う、嘘! それはマズイって!!
キスはしたけども!!
でも完全に誤解だし、それは部長のメンツにも関わるというか…いや、私が守ってやる必要無い話なんだけど!!
てか私もそんな軽くないし!!
「あ、あの! 私は別に、何も…」
「えーでもなんか雰囲気変わったよね2人とも」
「そーそー。
あん時あれだけ暴言吐きまくってたらもっと気まずくなるんじゃないかとか思ってたけど」
あの時とは、きっと飲みの席のことなのだろうが…うわ、私みんなに聞かれてたのか……。
部長が私を連れ帰ってくれたのは、そういうお情けでもあったのかな?
いや、でも結果的には最悪な方向になったんだけど。
「き、気まずいですよ…!
逆に気を遣われてるみたいで、さっきみたいに…」
「あたしも正直仕事の時の部長は嫌いでさー。
新人担当だって言われた時は顔いいしラッキーと思ったけど、ホント鬼だしこいつ辞めさせてーのかって感じでムカついたよねー」
「えー梨花さんもそんな時あったんですかー?」
あれ、私の話聞いてる?
と思うくらい、柳生先輩はサラッと部長の悪口を語り出す。
「そーそー。
飲みの席だといい人なんだけどねー。
酔ってることを良いことに誘ってみたこともあるけどガード堅いんだわー」
「えー梨花さん大胆」
何の話をしているんだ…!?
私、戻っていいかな……。
「ホントホント、あたしの色仕掛けで落ちないやつあんまいないのにねー。
でもあの人が担当になるとミスが減るんだなーこれが」
「え?」
「大体が失敗に慣れるっていうか、図太くなるんじゃん?
あの人に指導された新人は大抵残るよ。
他は1年続かなかったりしてるけどー」
「梨花さんそれあたしヤバくないっすかー?」
「純子は頑張りなよー。
ダベる子が居なくなるとあたしも辞めたくなるー」
「なんですかそれー」
なんでこんな話私に振られるんだろうと思いつつも、胸の奥が少し熱くなった。
何となく、何となくだけど、私まだ、頑張れる気がする……。
「で、部長と付き合ってるの?」
「っ! 違います!!」
「じゃあヤった?」
初めてこちらに向けられる2人の視線に、ギョッとした。
立川さんまで何という質問…!
「何もしてないです!
わ、私も部長は恐いですし、正直苦手で、むしろ、嫌い、で、す…」
自分勝手なところも、横暴なところも、有無言わさないところもーー気分屋で、気まぐれに甘い、優しいことを言ってくるところも……。
苛立ちで、カッと顔が熱くなって、顔を逸らした。
「……へぇー」
関心がないらしい気の抜けた返事が聞こえて、恐る恐る顔を上げると、2人は顔を見合わせてクスッと笑った。
「あれさ、良かったらなんだけどー……」
「……え?」
思わぬ話に、正直心踊った。
これがまた最悪な結果を生むことになるとは、思ってもいなかった。
飲みの後なんかあった?」
「え!?」
天国のような夢のような、ほんの少しの嬉しい時間の後。
昼休憩中、女子トイレでボーッと手を洗っていると、隣で化粧をしていた先輩がそう尋ねてきた。
もちろんほとんど話したことの無い先輩で、完全な不意打ちに思わず変な声が漏れてしまった。
「てか、あの人性欲強そーだしあってもおかしくないかー」
「梨花先輩、ヤッた前提で話してるでしょそれー」
「えーでも男女でお持ち帰りとか普通そうでしょー」
いつの間にかその隣にいた同期の鈴木さんまでもが話に混ざってクスクスと笑っている。
え……ええええ!?
顔の血が全部引いていき、逆に冷たい変な汗が流れ始めた。
せ、性欲……てか、お持ち帰りって……!?
え、もしかして私そういうことされたってみんなに思われてるの!?
う、嘘! それはマズイって!!
キスはしたけども!!
でも完全に誤解だし、それは部長のメンツにも関わるというか…いや、私が守ってやる必要無い話なんだけど!!
てか私もそんな軽くないし!!
「あ、あの! 私は別に、何も…」
「えーでもなんか雰囲気変わったよね2人とも」
「そーそー。
あん時あれだけ暴言吐きまくってたらもっと気まずくなるんじゃないかとか思ってたけど」
あの時とは、きっと飲みの席のことなのだろうが…うわ、私みんなに聞かれてたのか……。
部長が私を連れ帰ってくれたのは、そういうお情けでもあったのかな?
いや、でも結果的には最悪な方向になったんだけど。
「き、気まずいですよ…!
逆に気を遣われてるみたいで、さっきみたいに…」
「あたしも正直仕事の時の部長は嫌いでさー。
新人担当だって言われた時は顔いいしラッキーと思ったけど、ホント鬼だしこいつ辞めさせてーのかって感じでムカついたよねー」
「えー梨花さんもそんな時あったんですかー?」
あれ、私の話聞いてる?
と思うくらい、柳生先輩はサラッと部長の悪口を語り出す。
「そーそー。
飲みの席だといい人なんだけどねー。
酔ってることを良いことに誘ってみたこともあるけどガード堅いんだわー」
「えー梨花さん大胆」
何の話をしているんだ…!?
私、戻っていいかな……。
「ホントホント、あたしの色仕掛けで落ちないやつあんまいないのにねー。
でもあの人が担当になるとミスが減るんだなーこれが」
「え?」
「大体が失敗に慣れるっていうか、図太くなるんじゃん?
あの人に指導された新人は大抵残るよ。
他は1年続かなかったりしてるけどー」
「梨花さんそれあたしヤバくないっすかー?」
「純子は頑張りなよー。
ダベる子が居なくなるとあたしも辞めたくなるー」
「なんですかそれー」
なんでこんな話私に振られるんだろうと思いつつも、胸の奥が少し熱くなった。
何となく、何となくだけど、私まだ、頑張れる気がする……。
「で、部長と付き合ってるの?」
「っ! 違います!!」
「じゃあヤった?」
初めてこちらに向けられる2人の視線に、ギョッとした。
立川さんまで何という質問…!
「何もしてないです!
わ、私も部長は恐いですし、正直苦手で、むしろ、嫌い、で、す…」
自分勝手なところも、横暴なところも、有無言わさないところもーー気分屋で、気まぐれに甘い、優しいことを言ってくるところも……。
苛立ちで、カッと顔が熱くなって、顔を逸らした。
「……へぇー」
関心がないらしい気の抜けた返事が聞こえて、恐る恐る顔を上げると、2人は顔を見合わせてクスッと笑った。
「あれさ、良かったらなんだけどー……」
「……え?」
思わぬ話に、正直心踊った。
これがまた最悪な結果を生むことになるとは、思ってもいなかった。
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