地味な私が天敵俺様イケメン部長に娶られそうなんですがそれは

天野 奏

文字の大きさ
53 / 106

52.嘘をついているのは?

しおりを挟む
  触れるか、触れないか。
  耳元に近付けられた唇に、神経が集中していた時。

「……愛してる」
「え?」

  囁かれた言葉に、耳を疑った。
  部長は離れて、今にも泣き出しそうな弱々しい顔で、また呟く。

 「凛を愛してる」

  あ、愛してるって……なんでそんなことが言えるの?

「勘違いですよそれ…なんで部長がそんな嘘を言えるんですか!」
「嘘じゃ無い」
「嘘ですよ!  部長は自分に嘘を付いてますよ!
そりゃ、私が刻印の相手で、ガッカリして…そうやって嘘でも付かなきゃやってけないのかもしれませんが」
「俺がガッカリしてるように見えんのか?」

  輝く瞳を細めて、眉をひそめる部長に、何故かまた悲しくなって涙が滲んだ。

「だって、おかしいですもん!
最初だってあんなため息混じりで…それに、城島さんだっていて、好きな人が、いたはずなのに、なんでそんな虚勢を…」

「お前こそ、自分に嘘ついてるだろ」
「っ……!?」

  顔を隠そうとした腕を抑えられて、強制的に向き合わされた。
 逸らしたいのに、動けない。

  確信を突くかのように、部長は真剣な表情で私を見下ろしていた。

  私が、嘘をついている?  自分に??

「私、嘘なんて…!」
「お前は自分に自信が無さ過ぎる。
だから、俺が貰ってやるよ」

  貰うって……!
  
「やっ……部長……!」

  片手が外されたと思えば、簡単にシャツを脱がされ、自由になった腕で防ごうとするも、すぐに抑えられてしまう。

「隠すな」
「や!  嫌です部長……あ!」

  鎖骨にキスをされると、ドキッと心臓が高鳴った。

  抵抗出来ないのに、嫌なのに、なんで、ドキドキしてるの……?

「なんで?」
「なんでじゃないですよ!  
そりゃ恥ずかしいし、き、汚いです…」

  シャワーも浴びてない私の肌なんて。

  しかし部長は私の前髪をそっと撫でると、目尻にキスを落とした。

「…お前は綺麗で、魅力的な女だよ」
「……んっ……」

  そっと肌にキスが落ちれば、神経が過敏に反応する。

  部長のキスは本当に不思議だ。
  反感も、苛立ちも、恐怖も無くなって、心が穏やかになる。
  そして生暖かい唇に触れられるたびに、胸の奥が熱くなる。
  
  もっとして欲しいと、思ってしまう。

「そうじゃなかったら、側に置かない」
「っ…でも……」
「仕事もそうだ。
そうじゃなかったら、期待しない。
介抱の為といって自宅に連れ帰ることもない」

  甘味な声が、私の肌に吹きかけられる。

「……ずっと、近くに居たんだ。
これ以上の運命がどこにある?
この何億もいる世界で、短い人生の中で、俺に会う確率が、どれくらいあると思う?」
  
  部長が輝く瞳で見上げることに、ドクンとまた心臓が跳ねる。

  なんで、こんな気持ちになってしまうのだろう?
  嫌いなのに…好きみたいじゃないか。

「ずっと、お前に会うのを待ってた。
この数百年、お前を愛するために生きてきた」

  部長はまた身体を上げて、私の髪を撫でた。

「だから、お前も俺の為に生きろ。
それがお前の生きる理由にしろ。
絶対、死ぬなんて考えるな。
寿命を全うするまで、俺が側にいる」

  ーー死が2人を別つまで。

  そんな言葉が似合う、真剣な瞳だった。

  でも、本当にそれがいいことなの?
  私が死んだら部長は…どうなるの?

「部長…」
「名前で呼べ」
「ん……」

  腹部にキスが降りて、ビクッと身体が揺れた。

「……嫌です…部長……ホント、汚いですから……」
「……自信つけてやるよ」
「え?」

  スカートのチャックに手を伸ばされて、思わず息を飲んだ。

「全部、見てやる。
お前がどんなに綺麗で、魅力的か、俺が知っておいてやる」
「っ……部長……!」

  ズルッとスカートが降ろされて、抵抗するように部長の頭に手を乗せた。

  しかし部長はその手を取って、手の甲にキスをする。

「凛……お前は俺だけに見られていればいい。
俺だけがお前の良さを知っていればいい。
お前は、俺の生きる意味だ」

「っ、あぁ……」

  太ももを撫で上げる部長の手が熱く感じる。
  不思議と、息が漏れてしまう。

「部長……!  あ……」
「凛……」

  優しい声が降ってきて、キスされる。
  抱きしめる腕が、背中を回り、ホックを外した。

「あ……」

  漏らした声に反応して、瞼を上げた部長の惑わすような黄金の瞳は、フッと儚げに微笑んだ。

「綺麗だ……凛。
愛してる」
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

兄みたいな騎士団長の愛が実は重すぎでした

鳥花風星
恋愛
代々騎士団寮の寮母を務める家に生まれたレティシアは、若くして騎士団の一つである「群青の騎士団」の寮母になり、 幼少の頃から仲の良い騎士団長のアスールは、そんなレティシアを陰からずっと見守っていた。レティシアにとってアスールは兄のような存在だが、次第に兄としてだけではない思いを持ちはじめてしまう。 アスールにとってもレティシアは妹のような存在というだけではないようで……。兄としてしか思われていないと思っているアスールはレティシアへの思いを拗らせながらどんどん膨らませていく。 すれ違う恋心、アスールとライバルの心理戦。拗らせ溺愛が激しい、じれじれだけどハッピーエンドです。 ☆他投稿サイトにも掲載しています。 ☆番外編はアスールの同僚ノアールがメインの話になっています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...