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54.奪われた純潔
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「な…なんですかこれは!!」
部長が朝食を準備にキッチンへ向かったのをいいことに(ズボンは履いてたのを見てホッとしたのは内緒)、私は側にあったシャツを羽織って着替えを持ち、いそいそと風呂場に向かったのだが……
洗面台の大きな鏡に映った自分の肌を見て、思わず大声を上げてしまった。
首筋に付けられたことは覚えている。
けど、問題はその下だ。
シャツの前を開けて、愕然とする。
鎖骨の上や胸の間、腹部や腕、足にも…病気なのではないかと思うくらい点々と内出血している。
『全部見てやる』
昨日の部長の声が脳内リピートされて、思わず身体を隠すようにギュッと抱き寄せた。
み、見るとか自信つけるとか言ってたけど、言ってたけど……!!
部長に、見られちゃったんだ……!
カーッと心拍数が上がって、まだシャワーも浴びてないのに頭に血が上りそうだ。
『凛…綺麗だよ』
囁かれる甘い声を思い出して、ドクンと心臓が高鳴る。
夢じゃ、無かったんだよね……現実だったよね?
え、で、でも、どこまで……?
「凛?」
「ほわぁっ!?」
記憶よりも鮮明に聴こえるその声に驚き過ぎてよろけたハズが、いつの間にかヒンヤリする堅い壁に張り付く体勢になっていた。
小さい鼓動が聴こえて、ハッとする。
壁じゃなくて…部長の……!!
「ったく……ドジも大概にしろよ。
怪我するぞ」
「ななななんで部長ここにっ……!?
は、放して……あ、いや、見ないでどっか行ってください!」
前が空いた状態なのに……!
このまま離れたら部長にまた見られちゃう……!
「何を見ないでって?」
含みのある声音に、ドキッとした。
肩に置かれていた部長の手が、スッとシャツを下ろす。
「ちょ、ちょっと…何してるんですか……!」
制しようと身体を離そうとしたところで、部長は私の顎を掴んで鏡を向かせた。
ニヤリと悪魔のように笑う部長の下で、肩からシャツが外され、白シャツと白いショーツ1枚の私が映っている。
肩にまた1つ、赤い点が付けられている。
「ここも……」
「あ……」
部長の指が肩の痕を掠め、シャツが自然と降りたと思えば、肩甲骨の間をなぞり、また新しい痕を撫でる。
恥ずかしいはずなのに、押し飛ばしてしまえばいいのに、指の動きにゾクゾクして、次に何をされるか待っているかのように声を押し殺す自分がいる。
この人の催眠術には逆らえない。
それに気付いたのか、部長はフッと笑って肩にキスをした。
「全部見たのに、隠す必要無いだろ?」
「あっ……」
腰の辺りまでシャツを下されたにも関わらず、ただその動きを見つめてしまっていたことにようやく気付いて、ハッと顔を逸らした。
カッと顔が熱くなって、目を逸らすと、部長は掴んでいた顎を持ち上げて額を合わせた。
既に少し黒に金色が混じり、目を細めて優しく微笑む部長が目の前にいる。
「なんなら、もう一回始めから確認しようか?」
「や……!」
大きな手が腰に当てられて、また肌が密着することに恥じらうも、部長の左手は私の手の甲を覆うように指を絡める。
「あ……」
金属のヒンヤリした感触に、思わず声を上げてしまった。
さっきは気づかなかったけど、部長の指にも……。
ドクンと、また心臓が高鳴る。
“もう一回、始めからーー”
どういう意味かなんて、私にだってそれくらい、分かるつもりだ。
順序は違うけど、今日、親に婚約発表しに行くんだよね?
それが…うまく行ってしまったら、私達、結婚するんだよね……?
もう、引き返せないところまで、来ちゃったんだ。
私、部長に、この吸血鬼にーー奪われちゃったんだ……。
部長が朝食を準備にキッチンへ向かったのをいいことに(ズボンは履いてたのを見てホッとしたのは内緒)、私は側にあったシャツを羽織って着替えを持ち、いそいそと風呂場に向かったのだが……
洗面台の大きな鏡に映った自分の肌を見て、思わず大声を上げてしまった。
首筋に付けられたことは覚えている。
けど、問題はその下だ。
シャツの前を開けて、愕然とする。
鎖骨の上や胸の間、腹部や腕、足にも…病気なのではないかと思うくらい点々と内出血している。
『全部見てやる』
昨日の部長の声が脳内リピートされて、思わず身体を隠すようにギュッと抱き寄せた。
み、見るとか自信つけるとか言ってたけど、言ってたけど……!!
部長に、見られちゃったんだ……!
カーッと心拍数が上がって、まだシャワーも浴びてないのに頭に血が上りそうだ。
『凛…綺麗だよ』
囁かれる甘い声を思い出して、ドクンと心臓が高鳴る。
夢じゃ、無かったんだよね……現実だったよね?
え、で、でも、どこまで……?
「凛?」
「ほわぁっ!?」
記憶よりも鮮明に聴こえるその声に驚き過ぎてよろけたハズが、いつの間にかヒンヤリする堅い壁に張り付く体勢になっていた。
小さい鼓動が聴こえて、ハッとする。
壁じゃなくて…部長の……!!
「ったく……ドジも大概にしろよ。
怪我するぞ」
「ななななんで部長ここにっ……!?
は、放して……あ、いや、見ないでどっか行ってください!」
前が空いた状態なのに……!
このまま離れたら部長にまた見られちゃう……!
「何を見ないでって?」
含みのある声音に、ドキッとした。
肩に置かれていた部長の手が、スッとシャツを下ろす。
「ちょ、ちょっと…何してるんですか……!」
制しようと身体を離そうとしたところで、部長は私の顎を掴んで鏡を向かせた。
ニヤリと悪魔のように笑う部長の下で、肩からシャツが外され、白シャツと白いショーツ1枚の私が映っている。
肩にまた1つ、赤い点が付けられている。
「ここも……」
「あ……」
部長の指が肩の痕を掠め、シャツが自然と降りたと思えば、肩甲骨の間をなぞり、また新しい痕を撫でる。
恥ずかしいはずなのに、押し飛ばしてしまえばいいのに、指の動きにゾクゾクして、次に何をされるか待っているかのように声を押し殺す自分がいる。
この人の催眠術には逆らえない。
それに気付いたのか、部長はフッと笑って肩にキスをした。
「全部見たのに、隠す必要無いだろ?」
「あっ……」
腰の辺りまでシャツを下されたにも関わらず、ただその動きを見つめてしまっていたことにようやく気付いて、ハッと顔を逸らした。
カッと顔が熱くなって、目を逸らすと、部長は掴んでいた顎を持ち上げて額を合わせた。
既に少し黒に金色が混じり、目を細めて優しく微笑む部長が目の前にいる。
「なんなら、もう一回始めから確認しようか?」
「や……!」
大きな手が腰に当てられて、また肌が密着することに恥じらうも、部長の左手は私の手の甲を覆うように指を絡める。
「あ……」
金属のヒンヤリした感触に、思わず声を上げてしまった。
さっきは気づかなかったけど、部長の指にも……。
ドクンと、また心臓が高鳴る。
“もう一回、始めからーー”
どういう意味かなんて、私にだってそれくらい、分かるつもりだ。
順序は違うけど、今日、親に婚約発表しに行くんだよね?
それが…うまく行ってしまったら、私達、結婚するんだよね……?
もう、引き返せないところまで、来ちゃったんだ。
私、部長に、この吸血鬼にーー奪われちゃったんだ……。
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