地味な私が天敵俺様イケメン部長に娶られそうなんですがそれは

天野 奏

文字の大きさ
55 / 106

54.奪われた純潔

しおりを挟む
「な…なんですかこれは!!」

  部長が朝食を準備にキッチンへ向かったのをいいことに(ズボンは履いてたのを見てホッとしたのは内緒)、私は側にあったシャツを羽織って着替えを持ち、いそいそと風呂場に向かったのだが……

  洗面台の大きな鏡に映った自分の肌を見て、思わず大声を上げてしまった。

  首筋にことは覚えている。

  けど、問題はその下だ。
  シャツの前を開けて、愕然とする。

  鎖骨の上や胸の間、腹部や腕、足にも…病気なのではないかと思うくらい点々と内出血している。
  
『全部見てやる』

  昨日の部長の声が脳内リピートされて、思わず身体を隠すようにギュッと抱き寄せた。

  み、見るとか自信つけるとか言ってたけど、言ってたけど……!!

  部長に、見られちゃったんだ……!

  カーッと心拍数が上がって、まだシャワーも浴びてないのに頭に血が上りそうだ。

『凛…綺麗だよ』

  囁かれる甘い声を思い出して、ドクンと心臓が高鳴る。

  夢じゃ、無かったんだよね……現実だったよね?

  え、で、でも、どこまで……?

「凛?」
「ほわぁっ!?」

  記憶よりも鮮明に聴こえるその声に驚き過ぎてよろけたハズが、いつの間にかヒンヤリする堅い壁に張り付く体勢になっていた。
  小さい鼓動が聴こえて、ハッとする。
  壁じゃなくて…部長の……!!

「ったく……ドジも大概にしろよ。
怪我するぞ」
「ななななんで部長ここにっ……!?
は、放して……あ、いや、見ないでどっか行ってください!」

  前が空いた状態なのに……!
  このまま離れたら部長にまた見られちゃう……!

 「何を見ないでって?」

  含みのある声音に、ドキッとした。
  肩に置かれていた部長の手が、スッとシャツを下ろす。

「ちょ、ちょっと…何してるんですか……!」
 
  制しようと身体を離そうとしたところで、部長は私の顎を掴んで鏡を向かせた。

  ニヤリと悪魔のように笑う部長の下で、肩からシャツが外され、白シャツと白いショーツ1枚の私が映っている。
  肩にまた1つ、赤い点が付けられている。

「ここも……」
「あ……」

  部長の指が肩の痕を掠め、シャツが自然と降りたと思えば、肩甲骨の間をなぞり、また新しい痕を撫でる。

  恥ずかしいはずなのに、押し飛ばしてしまえばいいのに、指の動きにゾクゾクして、次に何をされるか待っているかのように声を押し殺す自分がいる。

  この人の催眠術には逆らえない。

  それに気付いたのか、部長はフッと笑って肩にキスをした。

「全部見たのに、隠す必要無いだろ?」
「あっ……」

  腰の辺りまでシャツを下されたにも関わらず、ただその動きを見つめてしまっていたことにようやく気付いて、ハッと顔を逸らした。

  カッと顔が熱くなって、目を逸らすと、部長は掴んでいた顎を持ち上げて額を合わせた。

  既に少し黒に金色が混じり、目を細めて優しく微笑む部長が目の前にいる。

「なんなら、もう一回始めから確認しようか?」
「や……!」

  大きな手が腰に当てられて、また肌が密着することに恥じらうも、部長の左手は私の手の甲を覆うように指を絡める。

「あ……」

  金属のヒンヤリした感触に、思わず声を上げてしまった。
  
  さっきは気づかなかったけど、部長の指にも……。

  ドクンと、また心臓が高鳴る。

  “もう一回、始めからーー”

  どういう意味かなんて、私にだってそれくらい、分かるつもりだ。

  順序は違うけど、今日、親に婚約発表しに行くんだよね?
  それが…行ってしまったら、私達、結婚するんだよね……?

  もう、引き返せないところまで、来ちゃったんだ。

  私、部長に、この吸血鬼にーー奪われちゃったんだ……。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

兄みたいな騎士団長の愛が実は重すぎでした

鳥花風星
恋愛
代々騎士団寮の寮母を務める家に生まれたレティシアは、若くして騎士団の一つである「群青の騎士団」の寮母になり、 幼少の頃から仲の良い騎士団長のアスールは、そんなレティシアを陰からずっと見守っていた。レティシアにとってアスールは兄のような存在だが、次第に兄としてだけではない思いを持ちはじめてしまう。 アスールにとってもレティシアは妹のような存在というだけではないようで……。兄としてしか思われていないと思っているアスールはレティシアへの思いを拗らせながらどんどん膨らませていく。 すれ違う恋心、アスールとライバルの心理戦。拗らせ溺愛が激しい、じれじれだけどハッピーエンドです。 ☆他投稿サイトにも掲載しています。 ☆番外編はアスールの同僚ノアールがメインの話になっています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...