入れ替わるようになりまして。

天野 奏

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入れ替わり攻略法…そんなの出来るか!!

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ええっと昨日は……

“ 理央と好きなバストサイズの話をした。
理央はC~D。
ギリ圏内だな”

…………。

今日の予定は……

“茜がしつこいだろうけど付き合ったことねーから。
来んなビッチとかテキトーに叫んでフッとけ”


………授業のこととか全く書いてないじゃん!!

もういい。

今日は朝一に行くしかない。



***



時間は朝練前の7時20分。

オレ(亜貴の身体)は電話で自分の身体(純)こと亜貴を呼び出した。

もうすっかりお馴染みになった、体育館の隅の桜と地蔵の前へ。

「はぁあ~…朝練だる。
てか、あんたのアニキたちかなりウザったいんだけど、何あれ」

オレの顔で大あくびをかき、ショートヘアーのオレの頭をガリガリかきながら、めんどくさそうに文句を言う亜貴。


ムッ……

確かに、口うるさいけど…

お前に言われるとなんか、腹立つ。


「……うるさい。
さっさとしろよ」

俺は体育館の壁に背中を預けるように座って、腕を広げて待っていた。

ぶっちゃけ、さっきからこの状態で待ってるというのに、中々亜貴の歩みが遅くて恥ずかしいのだ。

てか、絶対わざとだろ……。

「フッ……はいはい」

亜貴はそうやって笑いながらこちらに来て、オレの胸の中に飛び込む。

ドキッ……

女用のシャンプーの匂いがする。

自分がいつも使っているもののはずなのに、この時だけは凄く新鮮な気がして……

そして、押し当ててくる胸に、ムラッとする。

またなんで、ホルダーつけて来てないんだよ……。
いつもマニュアルに書いてるのに……。

「……勃った?」

「バッ……んな…わ…け……!」

血圧でも上がってしまったかのように。

グワンと視界が歪んで。

ガクッと、頭を落とした。



ハッと顔を上げると、くっきり浮かんだ鎖骨と喉仏が見えた。

急いで離れようとしたら、ギュッと抱き締められる。

「ちょ、朝練……!」

「ふーん、朝練無ければ続けても良いんだ……」

「……!
違っ……!」

ニヤリ、と頭の上で笑うイケメン少年・亜貴の顔が近づく。


この“入れ替わり解消法”は、亜貴が思いついた方法だ。

初めて入れ替わってから、解消されるまでに、何をしたかを一通り考えた結果、オレたちが触れた時に元に戻ることが多いと。

たった2回のことだし、入れ替わったばかりの時は手を掴んだ時も部室でも元に戻らなかった。

でも、翌日いざやってみると、全くその通りだった。
ただ気を失う時に立っていると頭をぶつけることになるから、こうして抱き締める形になるのだが……。


細く整えた眉に二重の瞼。
高い鼻に、細い顎のライン。
髪型は山◯賢人に似ているが、どうやらレイヤーショートと言うらしい(調べた)
もしくは、マッシュショート?
一応朝簡単にセットしてみてるけど……ほとんど寝癖でパーマはかけてないみたいだった。
この完璧な男は、悔しいことに頭も良くて、おまけにモテモテ人気者だ。

いつも無表情でつまらなそうな顔をしている亜貴でも、何か企む時は広角が上がり、目に活気が出る。

……話を聞かない悪魔の表情だ。


「てかさ、毎度毎度ちょっと勃たせんの何なの?
鈴菜の時も勃ってただろ……」

「な、んなわけねーだろ!!
良いから、離せよ!!」

「なんか、期待すんじゃん?
俺が毎日開発してるのが影響してんのかなぁ……」

「か、開発って……っ!?」

少し離れたと思えば、片手がオレの胸を掴んだ。

「お、初めて俺の身体でホルダー無しで触った」

「や、やめ……!」

「ちょっと柔らかくなったと思わない?」

大きな手で胸を揉まれて、ドキッとする。

な、なんでこんな、手つきエロいの……!?

「んっ……!?」

ハッとして、口に手を当てた。

なんか、なんかなんか!
変な声、出た!!!

「感じた?」

上目遣いに、ニヤリと笑う悪魔。

こ、こいつ……オレの身体に何した……!?!?


バッと、体重をかけて両手で亜貴の腕を壁に押した。

前のめりの形になってしまったが、仕方ない。


「いいか!?
オレの身体で遊ぶな!!
それだけは止めろ!」

「なんで?」

「なんでって、当たり前だろ!!
オレの身体はオレのもんじゃん!」

「でも、オレがその身体にいる時はオレのもんだろ?」


「は……いや違うから」

「いや、そうだろ?」

「いや、違う」

「いや、そうだね」


「ふざけん……!」

バッと拳を振りかざすと、簡単にその手を受け止められた。

「フッ……俺はもっとあんたの本気、見てみたいけどね」

なっ……!

なんでこいつ、こんなに面白がってんだよ……!!

てか、こんなに簡単に抑えられるってことは、この前わざとたれ……


「もっと色んな顔見せてみろよ。俺に」

「っ………!」


……ニヤリと笑うこの男に、心臓がドキッとする。

この前から、オレは変だ。

今まで感じたことのない、ドキドキが、止まらない。


「……ばか」

……なんか変だ。
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