入れ替わるようになりまして。

天野 奏

文字の大きさ
42 / 100
入れ替わり攻略法…そんなの出来るか!!

14

しおりを挟む
ザッと素早く立ち上がって、健斗を見た。

「ありがとう健斗!
オレ、言ってくるわ」

「え、は、え!?
どこに?」


「亜貴をぶん殴ってくる!!」


「は!?って、おい……!」

俺は傾斜を駆け下りて2組のベンチへ走った。
校庭を突っ切ったちょうど反対側だ。

健斗にあんな心配させて、更に何か企んで……

何されてたかは知らないけど!
あいつの自業自得だけど!

オレの身体で面倒ばかり起こすのは……ホント許せない!

これはオレの、女の身体のオレとしてのプライドだ!!

これ以上、踏み込ませるわけにはいかない!

1発ガツンと……!!


「あ!いたいたあの子!」

「あー!佐倉さん待って!!」

呼び止められて、慌てて立ち止まる。

「な、なんだ?」

振り返ると、見覚えのある顔の女子が2人。

「午後の体育委員の準備!
一緒にやることになってるんだけど、もう始めた方がいいらしくって、探してたのー!」

「え……」

「一緒行こー!」

「わ、分かった」

腕を引かれて、払うこともできずに、一緒に行くことにした。

どうせなら今の気分のまま1発殴りに行きたかったが……まぁ終わってからでいいだろう。

てか、なんで体育倉庫こんな遠いんだ!

ただでさえ移動させるもの多いってのに……

「そういえばさー、亜貴クラスのとこに居なかったんだけど、どこにいるか知ってるー?」

「え……」

校舎近くの体育倉庫まで来たところで、急に話題を振られる。

しかも、亜貴。

「いや…見てないけど」

「ふーん、そうなんだ」

なんで亜貴のことなんか……!

あ、この人達、どっかで見たことあると思ったら!

3年の奴らだ。

時折、教室覗いてる……!


ガラガラ……


2人が扉を開けると、カビ臭い湿気った空気が溢れて来た。

「えー暗っ!恐っ!」

ドキンッ……!

「ごめん、あたしたちここで待ってるからさー、あの奥にあるスコップ持って来てくれるー?」


ドキンッ……!


「……あの、さ、悪いんだけどオレ……」


ドンッーー!!


背中を勢いよく押されて、中に倒れこむ。

「っ……!
まっ………!」


ガタンッ!


何か反論するまでもなく、扉が閉められた。


辺りが、しんと静まり返る。

視界が、暗闇に包まれた。


「い、嫌だ……」

声が、細く、音にならない。


クスクス……


笑い声が聞こえて、足音が遠ざかって行く。


「待って……」


身体を起こすと、手が震えた。

距離が分からない。

どこに、何があるのか、見えない。

誰も、助けてはくれない……。


「助けて……」


暗闇が、恐い。




「純?」




ビクッとして、顔を上げた。

でも、見えるわけない。

気のせいだ。
あいつがいるわけない。


体育座りをして、身体をギュッと縮こませる。


「……無視すんなよ」

「……嘘だ。
幻聴だ。
だって、いるわけない」


自分の声が、震えて、今にも泣き出しそうだった。


「……いたらどうすんの?」

背中に、温もりを感じた。

前に回された手が、そっと身体を抱き締める。


「……信じない」


こんな、タイミング良く、いてたまるか。

一番いてほしい時に、いるなんて、ズルい。

だって、これって、ヒーローみたいじゃんか。


「……強情のくせに泣き虫だよな、純」


頬に触れた手が、涙を拭った。

悔しくて、ムカついて、亜貴の腕を握ったけど、弱々しくて、なんだか、すがるようになってしまった。

でも、この気持ちは隠せない。


亜貴がいて、ホッとした自分がいる。

助けてと思った時、頭に浮かんだのは、亜貴の顔だったから。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

元暗殺者の俺だけが、クラスの地味系美少女が地下アイドルなことを知っている

甘酢ニノ
恋愛
クラス一の美少女・強羅ひまりには、誰にも言えない秘密がある。 実は“売れない地下アイドル”として活動しているのだ。 偶然その正体を知ってしまったのは、無愛想で怖がられがちな同級生・兎山類。 けれど彼は、泣いていたひまりをそっと励ましたことも忘れていて……。 不器用な彼女の願いを胸に、類はひまりの“支え役”になっていく。 真面目で不器用なアイドルと、寡黙だけど優しい少年が紡ぐ、 少し切なくて甘い青春ラブコメ。

SSS級の絶世の超絶美少女達がやたらと俺にだけ見え見えな好意を寄せてくる件について。〜絶対に俺を攻略したいSSS級の美少女たちの攻防戦〜

沢田美
恋愛
「ごめんね、八杉くん」 中学三年の夏祭り。一途な初恋は、花火と共に儚く散った。 それ以来、八杉裕一(やすぎ・ゆういち)は誓った。「高校では恋愛なんて面倒なものとは無縁の、平穏なオタク生活を送る」と。  だが、入学した紫水高校には《楽園の世代》と呼ばれる四人のSSS級美少女――通称《四皇》が君臨していた。  • 距離感バグり気味の金髪幼馴染・神行胱。  • 圧倒的カリスマで「恋の沼」に突き落とす銀髪美少女・銀咲明日香。  • 無自覚に男たちの初恋を奪う、おっとりした「女神」・足立模。  • オタクにも優しい一万年に一人の最高ギャル・川瀬優里。  恋愛から距離を置きたい裕一の願いも虚しく、彼女たちはなぜか彼にだけ、見え見えな好意を寄せ始める。 教室での「あーん」に、放課後のアニメイトでの遭遇、さらには女神からの「一緒にホラー漫画を買いに行かない?」というお誘いまで。  「俺の身にもなれ! 荷が重すぎるんだよ!」  鋼の意志でスルーしようとする裕一だが、彼女たちの純粋で猛烈なアプローチは止まらない。 恋愛拒否気味な少年と、彼を絶対に攻略したい最強美少女たちの、ちょっと面倒で、でも最高に心地よい「激推し」ラブコメ、開幕!

処理中です...