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41.美味しいごはん
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「口に合わないか?」
「いえ…もうお腹いっぱいで…」
お風呂から上がると、彼は手料理を作ってくれていた。
冷凍していたというご飯をチャーハンにして、二人分だと。
とても美味しいのに…半分を過ぎた辺りで、手が止まってしまったのだ。
「だろうな」
「コーンスープ飲み過ぎでしたかね」
「元々少食なんだろ?
昨日の飲み会でも、あまり食べていなかったし」
「あれはお酒が入ってたからですが…って、そんなに私見られてたんですか!?」
驚きでつい声を上げてしまったが、彼は完食した皿を持って立ち上がった。
「席立たなかった奴なんてお前と俺くらいだからな。
視線の先にいたらそりゃ、見える」
「そんなに近くに居たんですか?」
「いや?
ハルの近く」
ハル……
夕方からずっと呼ばれているその名前は、おそらく前山先輩のものなのだろう。
あの時、前山先輩に何度か視線を向けたが、シンさんは目に付かなかった。
他の女の子達からの敵意が強くて、見回す余裕が無かったのもあるけど。
ちょうど死角だったのだろうか?
「……この話は終わりだ。
残ったやつは置いといていいから、あんたは歯磨いて寝ろ」
「はい…ありがとうございます」
シンさんが買い置きしてた新しい歯ブラシをお借りして、しゅんとしたまま風呂場横の洗面台に向かう。
足元がスースーする。
着替えとして置かれていたのは黒いTシャツと彼の短パンだった。
流石に女物の服は無かったようだけど、彼の短パンの紐を絞るとちょうど七分ズボンになって履けた。
彼のパーカーをそのままお借りして着ているが、下着の替えは無かった為、履いていない。
明日の朝は家に帰って、それからでいい。
そう思っていたのだが、彼にはもう既に見破られ、濡れてたブラウスと共に洗いに出された。
浴室乾燥も付いてるからすぐに乾くと彼は言った。
ノーブラ、ノーパンという恥ずかしい状態の私に対して、彼は手を出して来ない。
昨日は子作りと聞いた時誘って来たのに…ましてや子作りに協力すると言ってくれたのに。
私に魅力が無いからなのか。
それともやはり浅井さんとのことで軽蔑されているのか。
同情の念から仕方なく連れてきて面倒を見てくれているという気もしなくはない。
申し訳ないと思いつつも、彼と一緒にいる時間はとても安心する。
もし、普通の彼氏が出来たなら、こんな気持ちなのだろうか?
それとも、好きの感情が高ぶってしまうものなのだろうか?
でも、彼のおもてなしは、とても心地いい。
さっき、あんなことがあったのに。
私はどうしても、彼に気を許してしまう。
何故なのだろうか…
「いえ…もうお腹いっぱいで…」
お風呂から上がると、彼は手料理を作ってくれていた。
冷凍していたというご飯をチャーハンにして、二人分だと。
とても美味しいのに…半分を過ぎた辺りで、手が止まってしまったのだ。
「だろうな」
「コーンスープ飲み過ぎでしたかね」
「元々少食なんだろ?
昨日の飲み会でも、あまり食べていなかったし」
「あれはお酒が入ってたからですが…って、そんなに私見られてたんですか!?」
驚きでつい声を上げてしまったが、彼は完食した皿を持って立ち上がった。
「席立たなかった奴なんてお前と俺くらいだからな。
視線の先にいたらそりゃ、見える」
「そんなに近くに居たんですか?」
「いや?
ハルの近く」
ハル……
夕方からずっと呼ばれているその名前は、おそらく前山先輩のものなのだろう。
あの時、前山先輩に何度か視線を向けたが、シンさんは目に付かなかった。
他の女の子達からの敵意が強くて、見回す余裕が無かったのもあるけど。
ちょうど死角だったのだろうか?
「……この話は終わりだ。
残ったやつは置いといていいから、あんたは歯磨いて寝ろ」
「はい…ありがとうございます」
シンさんが買い置きしてた新しい歯ブラシをお借りして、しゅんとしたまま風呂場横の洗面台に向かう。
足元がスースーする。
着替えとして置かれていたのは黒いTシャツと彼の短パンだった。
流石に女物の服は無かったようだけど、彼の短パンの紐を絞るとちょうど七分ズボンになって履けた。
彼のパーカーをそのままお借りして着ているが、下着の替えは無かった為、履いていない。
明日の朝は家に帰って、それからでいい。
そう思っていたのだが、彼にはもう既に見破られ、濡れてたブラウスと共に洗いに出された。
浴室乾燥も付いてるからすぐに乾くと彼は言った。
ノーブラ、ノーパンという恥ずかしい状態の私に対して、彼は手を出して来ない。
昨日は子作りと聞いた時誘って来たのに…ましてや子作りに協力すると言ってくれたのに。
私に魅力が無いからなのか。
それともやはり浅井さんとのことで軽蔑されているのか。
同情の念から仕方なく連れてきて面倒を見てくれているという気もしなくはない。
申し訳ないと思いつつも、彼と一緒にいる時間はとても安心する。
もし、普通の彼氏が出来たなら、こんな気持ちなのだろうか?
それとも、好きの感情が高ぶってしまうものなのだろうか?
でも、彼のおもてなしは、とても心地いい。
さっき、あんなことがあったのに。
私はどうしても、彼に気を許してしまう。
何故なのだろうか…
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