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本編【表】
第11話-ライアン・ファルカシオン
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~セリア視点~
王宮を構える王都アルテミナスからファルカシオン領に着く頃にはすっかり日が暮れていたが…セリアにとってはあっという間に感じた。
頭の中は今日の出来事を整理することで一杯だったからだ。
王太子からの求婚
ハイネの乱入と流血
脅しとも取れる物言い
自分に対する過大評価と噂
王太子の異常な執着と二面性
今日の出来事は並の事では物怖じしないセリアでも頭を悩ませる程 強烈な一日であった。
頭の中で一つ一つ今日の出来事を整理している内に気が付けばセリアを乗せた馬車はファルカシオン邸に止まっていた。
セリアは王立学園を卒業後…後の辺境伯夫人の公務を学ぶ為、婚約者ライアンの住まいであるファルカシオン邸に住み込んでいる。
屋敷の前ではファルカシオン邸に務める侍従達だけが整列し彼の姿はない。
「お帰りなさいませ。セリア様」
セリアの帰りが予想以上に遅かったので心配したのだろうか、長い時間外で帰りを待って居た事が容易に分かる程、侍従達の肩には雪が積もっていた。
『ただいま帰りました。あの…あの人は?まだ鍛錬でしょうか?』
"あの人"とはセリアの婚約者であるライアンの事だ。
ライアンはよく練兵や鍛錬の為に屋敷を空ける事がある。
賊がファルカシオン領に侵入すれば日を跨いで討伐に明け暮れる事もある。
「いえ、セリア様の出発と入れ違いでお戻りになり、暫く自室におられます。」
『そうですか…』
"家にいるならば出迎えてくれればいいのに…私が心配じゃないの!?"
普通の女性ならこう憤るかも知れない。
しかしライアンとセリアの関係はずっとこうなのだ。
セリアは防寒具を脱いで彼の部屋に向かう。
今日の出来事を報告しない訳にはいかない。
扉の前に立ち軽くノックをすると、"どうぞ"と短く返事が帰りドアを開ける。
部屋に入ると彼は背中を向けて椅子に座りながら机に向かい何やら書き物をしている。
部屋の中には書き損じた紙が何枚も床に散らばっている。
まさか昼からずっと書き物をしていたのだろうか?
『セリアです、ただいま帰りました。帰りが遅くなりご心配をお掛けしました。』
セリアはライアンに帰りが遅くなった事を謝罪する。
その言葉は貴族家の人間同士の会話とは言え、他人行儀過ぎる敬語だ。
セリアの真面目な性格もこの言葉遣いに反映されているが、何処か壁がある様な喋り方だ。
そしてライアン自身も背を向けたままセリアを見もしない。
かろうじて書き物をする手が止まっているだけだ。
セリアの謝罪には一切返答せず、暫く沈黙が続く。
仕方がないので、セリアはライアンの反応を待たずに今日の出来事を説明する。
王太子からの求婚…そして自分達が婚約していると承知での沙汰。
この2点だけはありのままに伝えなければならないが…ハイネ嬢の事や自身の噂については口にしなかった。
ラグライア公爵家の面子も然ることながら、王家のスキャンダルを自分の口から広めるのは気が引ける。
セリアが受けた身に覚えのない高評価については…自分の口から"私、王宮の方達から異様に高く評価されて気に入られてますのよ"なんて言おう物なら…彼に卑しい女と思われてしまいそうだからしまいこんだ。
セリアが伝えたのは、"殿下に私達の婚約関係を承知で求婚されました。"と言う事だけだ。
一通り話し終えるとライアンはペンを置き、漸くこちらを振り返り椅子から立ち上がる。
『それで?』
スラリとした体型で背の高いライアンはセリアを見下ろす。彼の表情は心配でも怒りでもない無表情で感情が全く読めないが、少なくともセリアの言葉を聞いて狼狽えている様には見えない。
『"それで"とは?』
セリアが聞き返す。
ライアンは余り感情を出すタイプの人間ではない。
『君はどうしたいんだ?』
彼からは至って端的で冷静な言葉が帰る。
彼は表情が少なく喜怒哀楽を示すことは滅多にない。
"守のファルカシオン家"と称される辺境伯家の彼の実家では、幼い頃から戦場で戦う為の鍛錬は元より、次期当主として何れは戦場で指揮を執る者は如何なる時でも平静を保てなければならないと言う考えから様々な精神修行も辺境伯家の習わしとして行われている。
その結果が彼の今の性格なのか…ライアンは普段から何が起きようが驚いた姿を見せた事がないし全ての事に無関心と言う様な態度だ。
セリアとライアンの政略結婚は2人が生まれた時から両家で定めらており、幼少の頃から顔見知りの言わば幼馴染だが…ライアンが積極的にコミュニケーションを取ろうとした事は殆どない。
セリアも口数は少ない方なので、"じゃあ若い者同士ごゆっくり"と2人きりにされた時には、どちらも口を開く事なくただ見つめ合って1時間でも2時間でも無言のまま時が過ぎた事がある。
正式な婚約が成立してからも、手を繋いだ事すらなければ、セリアに対して積極的になった事も無い。
それがライアンとセリアの二人の関係だ。
『勿論、殿下にはお断りの意をお伝えしました。私は貴方の婚約者ですし…そもそも殿下とはほぼ初対面で…』
『綺麗だな。』
『はい…?』
セリアは驚きのあまり肩が少し揺れた。
彼の口から『綺麗だ』なんて言われた事は初めてだからだ。
『そのドレス…どうした?』
『あぁ…訳あって着替えが必要になり殿下から賜りました。』
このドレスの事でしたか…
確かに…彼が私の容姿を褒める訳がありませんよね…
セリアは"なんだ…"と言わんばかりに苦笑いを浮かべた。
しかしライアンの眉が歪む。
『君には似合わないな…すぐに着替えた方がいい…』
さっきまで表情を変えずに話していたライアンはまるで汚い物でも見る様な目でセリアを見て着替えを促した…
-確かにこのドレスはとても美しいけど、私には似合わないと思う…でもそこまで嫌な顔をしなくても…
『ところで…殿下に御目見えして…君はどう思った?』
ライアンの問いにセリアは一瞬間を置く。
セリアが感じた素直な感想を言うならば
"とんでもないクソ野郎でした"と言ってしまいそうになる。
しかしそんな事を自分の口から言える筈もなく、セリアが出した回答は…
『多少強引な所を見受けられ…私を王太子妃に迎える事を強く望んでおられる様に見えました。』
『・・・』
セリアの回答に無言で返すライアン。
暫くして漸く口を開くと
『セリア。君の好きにしていい。』
そうぶっきらぼうな言葉を残し背を向け扉に向かい歩き出す。
『え…と申しますと?』
『明日は丁度、君の御家族が面会に来る日だったな。家族にこの事を相談しなさい。
どうせ俺との婚約も政略でしかない…愛の存在しない政略結婚ならば得の多い方を選ぶのが正しい。
俺は君の幸せを願っているよ。』
そう皮肉地味た言葉を残しライアンは机の上に置かれた紙をくしゃくしゃに丸め自室を後にした。
彼は一貫してセリアに無関心を装った態度だった。
彼が退室すると…セリアの表情は僅かに曇る。
婚約者を盗られそうだと言うのに一貫して無関心な彼の態度に少し落胆したからだ。
確かに彼の言う通り、二人の婚約は自由恋愛の果てに互いが結ばれたものではないが…セリアはそんな中でも少しでもライアンに気に入られ様と努力していた…
婚約のきっかけが愛でないにしろ、これから愛に近い何かを作ろうと努力していた。
辺境伯夫人となる為の花嫁修業でも、家族から離れて知り合いのいないファルカシオン家で不満1つ漏らさずに励んで来た。
しかしそれらが全て無意味であったかの様に
彼のセリアに対する無関心な態度は変わらなかった。
まるで自分には彼に関心を持たれるに足る価値がないかの様な態度は、道端に転がる石同様にどうでも良いものと思われている様で…感情を表に出さないセリアの心にも流石に傷を付けた。
『私は…ここでも必要のない存在なのでしょうか…』
王宮を構える王都アルテミナスからファルカシオン領に着く頃にはすっかり日が暮れていたが…セリアにとってはあっという間に感じた。
頭の中は今日の出来事を整理することで一杯だったからだ。
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王太子の異常な執着と二面性
今日の出来事は並の事では物怖じしないセリアでも頭を悩ませる程 強烈な一日であった。
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セリアは王立学園を卒業後…後の辺境伯夫人の公務を学ぶ為、婚約者ライアンの住まいであるファルカシオン邸に住み込んでいる。
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セリアの帰りが予想以上に遅かったので心配したのだろうか、長い時間外で帰りを待って居た事が容易に分かる程、侍従達の肩には雪が積もっていた。
『ただいま帰りました。あの…あの人は?まだ鍛錬でしょうか?』
"あの人"とはセリアの婚約者であるライアンの事だ。
ライアンはよく練兵や鍛錬の為に屋敷を空ける事がある。
賊がファルカシオン領に侵入すれば日を跨いで討伐に明け暮れる事もある。
「いえ、セリア様の出発と入れ違いでお戻りになり、暫く自室におられます。」
『そうですか…』
"家にいるならば出迎えてくれればいいのに…私が心配じゃないの!?"
普通の女性ならこう憤るかも知れない。
しかしライアンとセリアの関係はずっとこうなのだ。
セリアは防寒具を脱いで彼の部屋に向かう。
今日の出来事を報告しない訳にはいかない。
扉の前に立ち軽くノックをすると、"どうぞ"と短く返事が帰りドアを開ける。
部屋に入ると彼は背中を向けて椅子に座りながら机に向かい何やら書き物をしている。
部屋の中には書き損じた紙が何枚も床に散らばっている。
まさか昼からずっと書き物をしていたのだろうか?
『セリアです、ただいま帰りました。帰りが遅くなりご心配をお掛けしました。』
セリアはライアンに帰りが遅くなった事を謝罪する。
その言葉は貴族家の人間同士の会話とは言え、他人行儀過ぎる敬語だ。
セリアの真面目な性格もこの言葉遣いに反映されているが、何処か壁がある様な喋り方だ。
そしてライアン自身も背を向けたままセリアを見もしない。
かろうじて書き物をする手が止まっているだけだ。
セリアの謝罪には一切返答せず、暫く沈黙が続く。
仕方がないので、セリアはライアンの反応を待たずに今日の出来事を説明する。
王太子からの求婚…そして自分達が婚約していると承知での沙汰。
この2点だけはありのままに伝えなければならないが…ハイネ嬢の事や自身の噂については口にしなかった。
ラグライア公爵家の面子も然ることながら、王家のスキャンダルを自分の口から広めるのは気が引ける。
セリアが受けた身に覚えのない高評価については…自分の口から"私、王宮の方達から異様に高く評価されて気に入られてますのよ"なんて言おう物なら…彼に卑しい女と思われてしまいそうだからしまいこんだ。
セリアが伝えたのは、"殿下に私達の婚約関係を承知で求婚されました。"と言う事だけだ。
一通り話し終えるとライアンはペンを置き、漸くこちらを振り返り椅子から立ち上がる。
『それで?』
スラリとした体型で背の高いライアンはセリアを見下ろす。彼の表情は心配でも怒りでもない無表情で感情が全く読めないが、少なくともセリアの言葉を聞いて狼狽えている様には見えない。
『"それで"とは?』
セリアが聞き返す。
ライアンは余り感情を出すタイプの人間ではない。
『君はどうしたいんだ?』
彼からは至って端的で冷静な言葉が帰る。
彼は表情が少なく喜怒哀楽を示すことは滅多にない。
"守のファルカシオン家"と称される辺境伯家の彼の実家では、幼い頃から戦場で戦う為の鍛錬は元より、次期当主として何れは戦場で指揮を執る者は如何なる時でも平静を保てなければならないと言う考えから様々な精神修行も辺境伯家の習わしとして行われている。
その結果が彼の今の性格なのか…ライアンは普段から何が起きようが驚いた姿を見せた事がないし全ての事に無関心と言う様な態度だ。
セリアとライアンの政略結婚は2人が生まれた時から両家で定めらており、幼少の頃から顔見知りの言わば幼馴染だが…ライアンが積極的にコミュニケーションを取ろうとした事は殆どない。
セリアも口数は少ない方なので、"じゃあ若い者同士ごゆっくり"と2人きりにされた時には、どちらも口を開く事なくただ見つめ合って1時間でも2時間でも無言のまま時が過ぎた事がある。
正式な婚約が成立してからも、手を繋いだ事すらなければ、セリアに対して積極的になった事も無い。
それがライアンとセリアの二人の関係だ。
『勿論、殿下にはお断りの意をお伝えしました。私は貴方の婚約者ですし…そもそも殿下とはほぼ初対面で…』
『綺麗だな。』
『はい…?』
セリアは驚きのあまり肩が少し揺れた。
彼の口から『綺麗だ』なんて言われた事は初めてだからだ。
『そのドレス…どうした?』
『あぁ…訳あって着替えが必要になり殿下から賜りました。』
このドレスの事でしたか…
確かに…彼が私の容姿を褒める訳がありませんよね…
セリアは"なんだ…"と言わんばかりに苦笑いを浮かべた。
しかしライアンの眉が歪む。
『君には似合わないな…すぐに着替えた方がいい…』
さっきまで表情を変えずに話していたライアンはまるで汚い物でも見る様な目でセリアを見て着替えを促した…
-確かにこのドレスはとても美しいけど、私には似合わないと思う…でもそこまで嫌な顔をしなくても…
『ところで…殿下に御目見えして…君はどう思った?』
ライアンの問いにセリアは一瞬間を置く。
セリアが感じた素直な感想を言うならば
"とんでもないクソ野郎でした"と言ってしまいそうになる。
しかしそんな事を自分の口から言える筈もなく、セリアが出した回答は…
『多少強引な所を見受けられ…私を王太子妃に迎える事を強く望んでおられる様に見えました。』
『・・・』
セリアの回答に無言で返すライアン。
暫くして漸く口を開くと
『セリア。君の好きにしていい。』
そうぶっきらぼうな言葉を残し背を向け扉に向かい歩き出す。
『え…と申しますと?』
『明日は丁度、君の御家族が面会に来る日だったな。家族にこの事を相談しなさい。
どうせ俺との婚約も政略でしかない…愛の存在しない政略結婚ならば得の多い方を選ぶのが正しい。
俺は君の幸せを願っているよ。』
そう皮肉地味た言葉を残しライアンは机の上に置かれた紙をくしゃくしゃに丸め自室を後にした。
彼は一貫してセリアに無関心を装った態度だった。
彼が退室すると…セリアの表情は僅かに曇る。
婚約者を盗られそうだと言うのに一貫して無関心な彼の態度に少し落胆したからだ。
確かに彼の言う通り、二人の婚約は自由恋愛の果てに互いが結ばれたものではないが…セリアはそんな中でも少しでもライアンに気に入られ様と努力していた…
婚約のきっかけが愛でないにしろ、これから愛に近い何かを作ろうと努力していた。
辺境伯夫人となる為の花嫁修業でも、家族から離れて知り合いのいないファルカシオン家で不満1つ漏らさずに励んで来た。
しかしそれらが全て無意味であったかの様に
彼のセリアに対する無関心な態度は変わらなかった。
まるで自分には彼に関心を持たれるに足る価値がないかの様な態度は、道端に転がる石同様にどうでも良いものと思われている様で…感情を表に出さないセリアの心にも流石に傷を付けた。
『私は…ここでも必要のない存在なのでしょうか…』
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