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封じられた扉
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それから数日後、嘉武は様々な依頼をこなして行くことにも慣れ、依頼を受注し完了すれば即効帰還。それを繰り返して荒稼ぎをしていた。それでも、稼ぎは思ったよりも少なくこの辺りの魔物は弱い。おまけに戦っていて手応えも無い。ただ、経験値にはなるのでひたすらに数をこなしながらレベリング作業をしている。
嘉武は剣も使うようになり、ようやくまともに振る事も出来るようになった。そして、この日。嘉武はイヴと共に森の危険地帯に踏み込んでいた。
「この先にイヴに見てほしいものがあるんだ。ちょっと僕だけじゃどうにも出来なくてね」
「あぁ、洞窟の事?奥に石版の扉があったわよ」
「何で知っているんだよ?」
「さぁね、勘」
(まさか見られていた訳じゃないよな。この前は怖いからここから引いただなんて聞かれていたら・・・。イヴの事だ、知っていれば直ぐ馬鹿にしてきていたはずだろう・・・)
嘉武は疑りながら森の中を移動する。もう、この森においては歩く事は殆どない。木々を移動の手段に活用し俊敏に飛び回れる様にもなった。音を立てた所で襲いかかって来る魔物も居ないからできる移動方法ではあるが。
洞窟の前に立つ嘉武。やはり、中に入るのは怖い。未だに強力な気配がビシビシと肌に刺さる。それでも、この前よりはマシに感じるのは嘉武がレベルアップしたからなのか。
「イヴも感じられるよな。この気配」
「看板のところからでもわかるわよ、只者ではない、ナニカが居ることくらい」
嘉武よりもイヴの方が圧倒的に魔力感知に優れている。経験もさながら、魔力を操ってからの年季が違いすぎるからだ。
「・・・僕はこの前、ここでナニカの声に語り掛けられた気がしたんだ」
「ロクな事にならない気がするけどね」
「そのために僕は今出来ることは十分にした。ローダルヘインへ行くならば、ここを超えてからにしようと思ってる」
「そんな事言ったって、あんたのステータスは一体いくつなのよ?あたしでもここ結構キビしいことくらいわかるでしょ?」
嘉武は、ステータスを開き、読み上げる。だが、全ては読み上げることなしなかった。
「あんた、なんて・・・それが、レベル20の能力だって言うの!?」
「だから言いたくなかったんだ・・・。僕はこれからもっと強くなる。だから何が何でもここを乗り越えたい」
イヴらしくない驚愕。嘉武はこの前の戦いより、強くなることを誰よりも望んだ。こんな絶好の機会は無い。今すぐやらなければ時間も惜しい。ローダルヘインへ行った所で今現在イヴより弱い嘉武に出来ることなんて何があるのだろうか。そう考えれば考えるほど、無茶をしなければならない理由になった。
「だから、イヴ頼む。力を貸してくれ。僕は絶対に負けない。勝算はある」
嘉武は真っ直ぐイヴを見つめる。イヴは頬を染め、目をそらす。
「な、何よ、いつものあんたらしくないわね。それと、あたしだって強くなりたいとは思ってるの!それに、あんたばかり良いカッコさせるつもりはないわ!」
イヴはそう言って洞窟内部へと歩みだす。嘉武も後から続く。
「イヴならそう言ってくれると思ってた」
「・・・行くわよ。ブライナー」
嘉武の視界も暗視が可能となった。視界が急に晴れ、感嘆する嘉武。不思議と緊張はしていない。だが、無音の洞窟を進む度、鼓動が早くなる事だけは感じられる。
そのまま進み、行き止まる。目の前には五メートルはある石版の扉。嘉武は書いている事、描かれているものが一切理解できない。よって、出てくる言葉は一つ。
「これかぁ、さて、ぶっ壊そうか」
そう言うと嘉武は首を回す。
「・・・えっ?突破する鍵とか無いの?」
「無いけど?」
「何であんな自信満々にここを乗り越えたいとか言えたの?マジ意味わかんない」
まぁ良いから、少し下がってよと嘉武が言う。利き腕ではない左手を翳し、右手で左腕を支える。
「僕だってこの短い間、無意味に過ごしていたわけじゃないって所みせてやるよ」
嘉武の身に力が入る。途轍もない魔力が左腕に収束する感覚は見ているイヴでも感知出来る。思わず唾を飲み込み、左腕を注視する。
「アルジェル・バースト!!」
火炎と風の複合魔法が打ち出された。
嘉武は止めること無く、ドゴゴゴゴゴゴゴッ!!!と石版を削っていく。直接食らわなくとも巻き起こる爆風。あれが人間にぶつけられれば体は焼き消され、霧散する。存在ごと消滅してしまうだろうと推測出来る明らかな上級攻撃魔法にイヴは驚きを隠せない。
(なんて、力・・・。やっぱり、コイツは異常だ。ステータス、扱う魔法。あれはレベル20なんかが扱っていい魔法なんかじゃないはず・・・)
「フィニッシュだ」
嘉武は左手を握る。
ドドドドオオオオオオオッッッ!!
最後の起爆に合わせ、眩い光が放たれ、岩石は一気に爆ぜる。天井も崩れるほどの振動を起こし、ガラガラと崩れ落ちてくる。
・・・煙たい視界が晴れる頃、目の前には人が取れそうな程の大穴が開いていた。石版の厚さは一メートルほどではあるのもも驚くべきは強度。特殊な結界魔法が付与されていたからこそ、これほどまでの防御力を誇っていた。よって今回破壊したものは何者かが付与した結界の破壊とも言えるだろう。
「よっしゃ!上手くいったな!」
「あんた、めちゃくちゃ過ぎるわ・・・」
イヴはやれやれと、頭を手で抑える。
「ーーーまだ、本気は出してないけどな」
嘉武はそう言うと先へ進んでいった。
嘉武は剣も使うようになり、ようやくまともに振る事も出来るようになった。そして、この日。嘉武はイヴと共に森の危険地帯に踏み込んでいた。
「この先にイヴに見てほしいものがあるんだ。ちょっと僕だけじゃどうにも出来なくてね」
「あぁ、洞窟の事?奥に石版の扉があったわよ」
「何で知っているんだよ?」
「さぁね、勘」
(まさか見られていた訳じゃないよな。この前は怖いからここから引いただなんて聞かれていたら・・・。イヴの事だ、知っていれば直ぐ馬鹿にしてきていたはずだろう・・・)
嘉武は疑りながら森の中を移動する。もう、この森においては歩く事は殆どない。木々を移動の手段に活用し俊敏に飛び回れる様にもなった。音を立てた所で襲いかかって来る魔物も居ないからできる移動方法ではあるが。
洞窟の前に立つ嘉武。やはり、中に入るのは怖い。未だに強力な気配がビシビシと肌に刺さる。それでも、この前よりはマシに感じるのは嘉武がレベルアップしたからなのか。
「イヴも感じられるよな。この気配」
「看板のところからでもわかるわよ、只者ではない、ナニカが居ることくらい」
嘉武よりもイヴの方が圧倒的に魔力感知に優れている。経験もさながら、魔力を操ってからの年季が違いすぎるからだ。
「・・・僕はこの前、ここでナニカの声に語り掛けられた気がしたんだ」
「ロクな事にならない気がするけどね」
「そのために僕は今出来ることは十分にした。ローダルヘインへ行くならば、ここを超えてからにしようと思ってる」
「そんな事言ったって、あんたのステータスは一体いくつなのよ?あたしでもここ結構キビしいことくらいわかるでしょ?」
嘉武は、ステータスを開き、読み上げる。だが、全ては読み上げることなしなかった。
「あんた、なんて・・・それが、レベル20の能力だって言うの!?」
「だから言いたくなかったんだ・・・。僕はこれからもっと強くなる。だから何が何でもここを乗り越えたい」
イヴらしくない驚愕。嘉武はこの前の戦いより、強くなることを誰よりも望んだ。こんな絶好の機会は無い。今すぐやらなければ時間も惜しい。ローダルヘインへ行った所で今現在イヴより弱い嘉武に出来ることなんて何があるのだろうか。そう考えれば考えるほど、無茶をしなければならない理由になった。
「だから、イヴ頼む。力を貸してくれ。僕は絶対に負けない。勝算はある」
嘉武は真っ直ぐイヴを見つめる。イヴは頬を染め、目をそらす。
「な、何よ、いつものあんたらしくないわね。それと、あたしだって強くなりたいとは思ってるの!それに、あんたばかり良いカッコさせるつもりはないわ!」
イヴはそう言って洞窟内部へと歩みだす。嘉武も後から続く。
「イヴならそう言ってくれると思ってた」
「・・・行くわよ。ブライナー」
嘉武の視界も暗視が可能となった。視界が急に晴れ、感嘆する嘉武。不思議と緊張はしていない。だが、無音の洞窟を進む度、鼓動が早くなる事だけは感じられる。
そのまま進み、行き止まる。目の前には五メートルはある石版の扉。嘉武は書いている事、描かれているものが一切理解できない。よって、出てくる言葉は一つ。
「これかぁ、さて、ぶっ壊そうか」
そう言うと嘉武は首を回す。
「・・・えっ?突破する鍵とか無いの?」
「無いけど?」
「何であんな自信満々にここを乗り越えたいとか言えたの?マジ意味わかんない」
まぁ良いから、少し下がってよと嘉武が言う。利き腕ではない左手を翳し、右手で左腕を支える。
「僕だってこの短い間、無意味に過ごしていたわけじゃないって所みせてやるよ」
嘉武の身に力が入る。途轍もない魔力が左腕に収束する感覚は見ているイヴでも感知出来る。思わず唾を飲み込み、左腕を注視する。
「アルジェル・バースト!!」
火炎と風の複合魔法が打ち出された。
嘉武は止めること無く、ドゴゴゴゴゴゴゴッ!!!と石版を削っていく。直接食らわなくとも巻き起こる爆風。あれが人間にぶつけられれば体は焼き消され、霧散する。存在ごと消滅してしまうだろうと推測出来る明らかな上級攻撃魔法にイヴは驚きを隠せない。
(なんて、力・・・。やっぱり、コイツは異常だ。ステータス、扱う魔法。あれはレベル20なんかが扱っていい魔法なんかじゃないはず・・・)
「フィニッシュだ」
嘉武は左手を握る。
ドドドドオオオオオオオッッッ!!
最後の起爆に合わせ、眩い光が放たれ、岩石は一気に爆ぜる。天井も崩れるほどの振動を起こし、ガラガラと崩れ落ちてくる。
・・・煙たい視界が晴れる頃、目の前には人が取れそうな程の大穴が開いていた。石版の厚さは一メートルほどではあるのもも驚くべきは強度。特殊な結界魔法が付与されていたからこそ、これほどまでの防御力を誇っていた。よって今回破壊したものは何者かが付与した結界の破壊とも言えるだろう。
「よっしゃ!上手くいったな!」
「あんた、めちゃくちゃ過ぎるわ・・・」
イヴはやれやれと、頭を手で抑える。
「ーーーまだ、本気は出してないけどな」
嘉武はそう言うと先へ進んでいった。
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