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瘴気の中に見た記憶
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炎の化身の身体は引き裂かれ、存在が瓦解する。バラバラに砕け、破片が煌めき天へと還って逝く。
それと同時に膨れ上がるのは黒い魔力。嘉武は近距離で飲み込まれ、その瘴気は爆発的に部屋を支配し、かなりの熱を伴う。
(身体中、灼けそうだ・・・なんて、熱い・・・!!息が、出来ない・・・肺が・・・灼ける・・・!!)
息は出来ない。前も見えない。音すらも拾えない。ただただ耐え続ける。
「ーーー名も知らぬ冒険者よ・・・見事だった。我が魂を解放してくれたこと、誠に感謝する。そう、この力は・・・貴様にこそ相応しい・・・」
灼熱の中、声がした。
不思議な力に惹かれ、嘉武は前へ手を伸ばす。そして、黒きオーブに手が触れる。
途端。
「がああああああああああああっっ!??!!」
全身を黒い力に苛まれ、経験したこともない燃え盛るような激痛が嘉武を襲う。
身体、内蔵、脳、身体中全てからナニカが突き破ってグチャグチャになる様な、刺々しく鮮烈な痛み。
嘉武の意識が奪われる。
イヴが暗闇の中駆けつけるがもう遅かった。
嘉武は黒き魔力に飲み込まれていた・・・。
ーーー誰の、中に居るのだろう。
僕は、僕でない、僕は一体・・・。
僕で、無くなるのだろうか・・・。
広がるのは、オルディスの街。昔の風景。
街行く人々が笑い、充実した人生を送る。
突如、黒い瘴気に飲み込まれ、燃える街頭。
恐怖に飲まれた人々の悲鳴がオルディスを包む。
顕現せしは焔魔。眼の前、全てを黒き瘴気で焼き払う滅殺の焔。
誰にも止める事は出来ない。
攻撃は、幾ら繰り出しても通用することは無い。
焔魔討伐隊の男達は身を投じ、死屍累々たる有様。
それでもまだ、一人の青年が焔魔と戦っている。
何度も何度も立ち上がる。
「絶対に、俺が護るんだ・・・!!」
最後の最後まで戦い続けた青年に託された人々の命運、オルディスの行方。
人の灼ける臭いの中。
止められぬ人々の殺戮。
終わらぬ攻防。
そして、禁忌を犯す。
犯さざるを得なかった。
これ以上の犠牲は見ていられなかった。
まだ、オルディスに残された家族だけは、護りたかった。
数人の聖職者協力の下、青年は自分自身の魂魄を抜き取る。
そして、その魂魄を焔魔へと植え付けた・・・。
それから、男は強靭な精神力で森へと進む。焔魔の体、強大なる力に逆らいながら森の洞窟へ辿り着いた。
自ら洞窟の天井を破壊する。
焔魔はそのまま、身動きが取れぬ様、瓦礫の中へ身を埋めた。
それでも思う、家族の事を、まだ幼い妹。
オルディスに残した・・・。
『生きてくれ・・・ミルフィ・・・』
最期に呟き、意識は闇に攫われたーーー。
ーーータケーーーーーヨシタケーーー。
(誰かが、僕を呼んでいる。僕は、僕は、そうだった・・・帰ってこられたのか・・・)
「ねぇっ!起きてよヨシタケ!ヨシタケェ!!」
「んぅう・・・なんだよ、嘉武嘉武って、何度も呼ばなくたって聞こえてるよ」
目を開いた嘉武は起き上がり、なんとか座り込む。
「ヨシタケ・・・っ!良かった・・・」
イヴは涙を浮かべて安堵する。そんな、今にも泣き出しそうなイヴを見ていられない嘉武は「そういえば、やっと僕を名前で呼んでくれたね」とイヴをからかってみる。
「は、はぁ!?前から呼んでるし!ヨシタケヨシタケヨシタケって!」
イヴの必死な姿を見て嘉武は笑う。こうして、普通にして居れば普通の可愛い少女なのだと思ってしまったから。
「何よ!あたしだって心配したんだからね!?あんた、黒い魔力に飲み込まれて、それから・・・動かなくなっちゃって・・・」
「でも、イヴが僕を引き戻してくれたんだろ?」
「ま、まあ・・・そうだけど・・・」
嘉武はそっぽを向かれてしまった。お互い話したい事はあるだろうが、今はその時ではない。最後の弔いをする為に嘉武は立ち上がる。
「い、いてて・・・」
バキバキに疲弊した身体で、砕けた刀を拾い上げる。それを地面に突き刺し、瓦礫で墓標を作る。
「せめて、安らかに・・・逝ってください」
嘉武は祈った。あの時の青年が、無事に召されるようにと。
それと同時に膨れ上がるのは黒い魔力。嘉武は近距離で飲み込まれ、その瘴気は爆発的に部屋を支配し、かなりの熱を伴う。
(身体中、灼けそうだ・・・なんて、熱い・・・!!息が、出来ない・・・肺が・・・灼ける・・・!!)
息は出来ない。前も見えない。音すらも拾えない。ただただ耐え続ける。
「ーーー名も知らぬ冒険者よ・・・見事だった。我が魂を解放してくれたこと、誠に感謝する。そう、この力は・・・貴様にこそ相応しい・・・」
灼熱の中、声がした。
不思議な力に惹かれ、嘉武は前へ手を伸ばす。そして、黒きオーブに手が触れる。
途端。
「がああああああああああああっっ!??!!」
全身を黒い力に苛まれ、経験したこともない燃え盛るような激痛が嘉武を襲う。
身体、内蔵、脳、身体中全てからナニカが突き破ってグチャグチャになる様な、刺々しく鮮烈な痛み。
嘉武の意識が奪われる。
イヴが暗闇の中駆けつけるがもう遅かった。
嘉武は黒き魔力に飲み込まれていた・・・。
ーーー誰の、中に居るのだろう。
僕は、僕でない、僕は一体・・・。
僕で、無くなるのだろうか・・・。
広がるのは、オルディスの街。昔の風景。
街行く人々が笑い、充実した人生を送る。
突如、黒い瘴気に飲み込まれ、燃える街頭。
恐怖に飲まれた人々の悲鳴がオルディスを包む。
顕現せしは焔魔。眼の前、全てを黒き瘴気で焼き払う滅殺の焔。
誰にも止める事は出来ない。
攻撃は、幾ら繰り出しても通用することは無い。
焔魔討伐隊の男達は身を投じ、死屍累々たる有様。
それでもまだ、一人の青年が焔魔と戦っている。
何度も何度も立ち上がる。
「絶対に、俺が護るんだ・・・!!」
最後の最後まで戦い続けた青年に託された人々の命運、オルディスの行方。
人の灼ける臭いの中。
止められぬ人々の殺戮。
終わらぬ攻防。
そして、禁忌を犯す。
犯さざるを得なかった。
これ以上の犠牲は見ていられなかった。
まだ、オルディスに残された家族だけは、護りたかった。
数人の聖職者協力の下、青年は自分自身の魂魄を抜き取る。
そして、その魂魄を焔魔へと植え付けた・・・。
それから、男は強靭な精神力で森へと進む。焔魔の体、強大なる力に逆らいながら森の洞窟へ辿り着いた。
自ら洞窟の天井を破壊する。
焔魔はそのまま、身動きが取れぬ様、瓦礫の中へ身を埋めた。
それでも思う、家族の事を、まだ幼い妹。
オルディスに残した・・・。
『生きてくれ・・・ミルフィ・・・』
最期に呟き、意識は闇に攫われたーーー。
ーーータケーーーーーヨシタケーーー。
(誰かが、僕を呼んでいる。僕は、僕は、そうだった・・・帰ってこられたのか・・・)
「ねぇっ!起きてよヨシタケ!ヨシタケェ!!」
「んぅう・・・なんだよ、嘉武嘉武って、何度も呼ばなくたって聞こえてるよ」
目を開いた嘉武は起き上がり、なんとか座り込む。
「ヨシタケ・・・っ!良かった・・・」
イヴは涙を浮かべて安堵する。そんな、今にも泣き出しそうなイヴを見ていられない嘉武は「そういえば、やっと僕を名前で呼んでくれたね」とイヴをからかってみる。
「は、はぁ!?前から呼んでるし!ヨシタケヨシタケヨシタケって!」
イヴの必死な姿を見て嘉武は笑う。こうして、普通にして居れば普通の可愛い少女なのだと思ってしまったから。
「何よ!あたしだって心配したんだからね!?あんた、黒い魔力に飲み込まれて、それから・・・動かなくなっちゃって・・・」
「でも、イヴが僕を引き戻してくれたんだろ?」
「ま、まあ・・・そうだけど・・・」
嘉武はそっぽを向かれてしまった。お互い話したい事はあるだろうが、今はその時ではない。最後の弔いをする為に嘉武は立ち上がる。
「い、いてて・・・」
バキバキに疲弊した身体で、砕けた刀を拾い上げる。それを地面に突き刺し、瓦礫で墓標を作る。
「せめて、安らかに・・・逝ってください」
嘉武は祈った。あの時の青年が、無事に召されるようにと。
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