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初めての場所
(おまけ)気になってたこと *「大事じゃないよ、きっと。うん。」の裏話
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「ねえ、エド。きになってたことがあるの。」
やっぱり、これだけは確かめておかないといけないわ。
「…うん?どうしたの?」
ああでも、簡単なことだったらどうしよう…少し緊張するわ。
どうやら私の緊張が伝わったらしく、エドは顔を強張らせた。引きつらせたようにも見えるけれど、気のせいだろう。
覚悟を決めた私は、口を開くことにした。
「なにをしたら、そんなにうまくなるの?」
「……何の話だい?」
まあっ、しらばっくれる気ね!教えてくれてもいいのに!
私はこう見えても努力したんだから!
「かつぜつのはなしにきまっているじゃない!わたしは、うまれてからいちどもかつぜつかいぜんのためのれんしゅうをかかさなかったのに、まだうまくしゃべれないのよ!」
確かに赤ちゃんの頃よりはだいぶマシになったけれど、上手く喋れていないことに変わりはない。しかも、ここ最近は滑舌スキルが全く成長しないのだ。
それなのに…
「エドはわたしと1さいしかちがわないのに、どうしてそんなにじょうずにしゃべれるの!?」
「えっと…アイシャ、一旦落ち着いて―」
「だからねエド、うまくしゃべれるようになるコツをおしえてほしいの!」
「うんわかった、教えるから、落ち着いてくれないかい?」
おっと、興奮しすぎちゃった…
でも教えてくれるって言ってくれたわ!やっぱり秘技があるのね!
早く知りたい私は、黙ってエドの話を聞くことにした。
「成長すれば普通に話せるようになると思うのだけど、急がなければいけない理由でもあるのかい?」
やっぱり聞いてくるよね…
私は周りに人がいないか確認すると、幸い声が聞こえる範囲内に人はいなさそうだ。
だけど、念には念を入れておかなければ。
「えっと、エド、みみかして」
私がそう言うと、エドは一瞬怪訝な顔をしたけれど、大人しく耳を貸してくれた。優しい。
「…まてができないの」
「え?君が?」
違うわ!私はちゃんと待ての出来る良い子よ!
と叫んでしまいそうになったけれど、エドの鼓膜のために辛うじて我慢する。
「これはないしょなのだけど、わたしのいえのちかくにね、こいぬがいるの。つれてかえりたいのだけど、レイにーさまがいぬアレルギーだから、レイにーさまがきをつかわないように、ときどきあいにいっているだけにしているのよ。」
「ふーん、それで?どうして滑舌の話になるんだい?」
まあ、ここまで話せばエドなら分かると思っていたのだけど、やっぱり4歳なのね。
「こいぬにね、ごはんをあげるとき、『まて』っていっても、まてをしてくれないのよ。なんかいためしてもできなかったから、わたしのかつぜつがわるいせいだときづいたの。」
「…それは、本当に滑舌のせいなのかい?」
「うん、だって、なんかいもおやつをもって『まて』っていったのだけど、いちどもせいこうしなかったのよ。でもね、そのこいぬ、すぐにおやつをあげてしまうほどかわいいのよ!」
「うん、確かに『待て』を練習するべきなのは君だね。」
「へ…?」
エドの言葉の意味が出来なくて、もう一度聞き返そうとしたのだけど、丁度その時に使いの人が来てしまった。
応接室までの道中は観察しきれていなかった王城の内装を見るのに夢中で、
結局、上手く喋れるようになるコツは分からずじまいになってしまった。
やっぱり、これだけは確かめておかないといけないわ。
「…うん?どうしたの?」
ああでも、簡単なことだったらどうしよう…少し緊張するわ。
どうやら私の緊張が伝わったらしく、エドは顔を強張らせた。引きつらせたようにも見えるけれど、気のせいだろう。
覚悟を決めた私は、口を開くことにした。
「なにをしたら、そんなにうまくなるの?」
「……何の話だい?」
まあっ、しらばっくれる気ね!教えてくれてもいいのに!
私はこう見えても努力したんだから!
「かつぜつのはなしにきまっているじゃない!わたしは、うまれてからいちどもかつぜつかいぜんのためのれんしゅうをかかさなかったのに、まだうまくしゃべれないのよ!」
確かに赤ちゃんの頃よりはだいぶマシになったけれど、上手く喋れていないことに変わりはない。しかも、ここ最近は滑舌スキルが全く成長しないのだ。
それなのに…
「エドはわたしと1さいしかちがわないのに、どうしてそんなにじょうずにしゃべれるの!?」
「えっと…アイシャ、一旦落ち着いて―」
「だからねエド、うまくしゃべれるようになるコツをおしえてほしいの!」
「うんわかった、教えるから、落ち着いてくれないかい?」
おっと、興奮しすぎちゃった…
でも教えてくれるって言ってくれたわ!やっぱり秘技があるのね!
早く知りたい私は、黙ってエドの話を聞くことにした。
「成長すれば普通に話せるようになると思うのだけど、急がなければいけない理由でもあるのかい?」
やっぱり聞いてくるよね…
私は周りに人がいないか確認すると、幸い声が聞こえる範囲内に人はいなさそうだ。
だけど、念には念を入れておかなければ。
「えっと、エド、みみかして」
私がそう言うと、エドは一瞬怪訝な顔をしたけれど、大人しく耳を貸してくれた。優しい。
「…まてができないの」
「え?君が?」
違うわ!私はちゃんと待ての出来る良い子よ!
と叫んでしまいそうになったけれど、エドの鼓膜のために辛うじて我慢する。
「これはないしょなのだけど、わたしのいえのちかくにね、こいぬがいるの。つれてかえりたいのだけど、レイにーさまがいぬアレルギーだから、レイにーさまがきをつかわないように、ときどきあいにいっているだけにしているのよ。」
「ふーん、それで?どうして滑舌の話になるんだい?」
まあ、ここまで話せばエドなら分かると思っていたのだけど、やっぱり4歳なのね。
「こいぬにね、ごはんをあげるとき、『まて』っていっても、まてをしてくれないのよ。なんかいためしてもできなかったから、わたしのかつぜつがわるいせいだときづいたの。」
「…それは、本当に滑舌のせいなのかい?」
「うん、だって、なんかいもおやつをもって『まて』っていったのだけど、いちどもせいこうしなかったのよ。でもね、そのこいぬ、すぐにおやつをあげてしまうほどかわいいのよ!」
「うん、確かに『待て』を練習するべきなのは君だね。」
「へ…?」
エドの言葉の意味が出来なくて、もう一度聞き返そうとしたのだけど、丁度その時に使いの人が来てしまった。
応接室までの道中は観察しきれていなかった王城の内装を見るのに夢中で、
結局、上手く喋れるようになるコツは分からずじまいになってしまった。
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