この結婚は間違っている!

アリス

文字の大きさ
上 下
2 / 4
第一章:波乱の結婚式

甘い夜を二人で。

しおりを挟む
 「ハルト…」
 「…リリィ」

月明かりだけが二人を照らす夜。

天蓋付きのベッドに肌を重ねる男女…彼らは今日の昼間に式を挙げた夫婦カップル、今“初夜”を迎える二人でもある。

 「ぁ、は…ぁぁ…っ!」
 「リリィの中は温かくて気持ちいいな…っ、く…締めるな、リリィ…!?」

ぐちゃぐちゃと粘液が擦れる音がする…鼻腔に届くのは、少女の甘い花の香り。

 「ふふ…好きよ、ハルト…はぁっ。」

甘い甘い声に誘われて。
深みに嵌まる…

 「リリィ…ッ、くぁっ…!?」
 「ぁぁっ…!!」

弾む弾むベッドの上、若き昂りはちっとも収まりそうにない。
お互いが好きだと、愛し合っていると…伝える特別な日。
…長かったこの10年──否、短かったのかもしれない、そんな何処にでもあるカップルの話。

方や、ハッシェアーノの王子で、方やリュグティカルトの王女。
どちらも“次代”を継ぐ立場にあって。
幾ら友好国でも、周囲は納得しなかった。
…無理も無いことだろう。
将来“王”と“女王”となる二人の結婚は…早々認められるものではない。
王が二人立つ事になるのだから…この婚姻は本来成就する事等なかった。
それをゴリ押し──説得したのは、リリアージュの悪戯──転移魔法の魔道具化に伴う“結婚”と言う事業えさがあって成り立った側面もある。

…まあ、他にも色々と細かい調整やら条件はあるのだが。

概ね円満に受理されたのでリリアージュとラインハルト二人は夫婦と成れた。

体位を変えて、繋がったまままぐわう二人は今この時ばかりは全てを忘れて…互いの身体に溺れる。

 「愛しているわ…ハルトォッ!!」
 「リリィ…俺も愛している…ずっと俺のものだ!!」

…この二人、こんなこと言っているけど、恋仲になったわりと初期に“初体験”(処女と童貞)は済ませていたりする。
勿論、毎回避妊薬を服用してから…だが。
だから…感激する道理もないのだが…。

 「ハルト、ハルトォッ…!!」
 「リリィ、リリィ…ッ!」

…。

バカップルは一旦脇に置いて←え?

この世界──惑星・シアランスについて説明しよう。

ん?主人公二人を放置して良いのか…って?

良いのです、あれらは。
勝手にいちゃついているでしょうから。

今だって四つん這いになったリリアージュの背中から抱き付くようにして発情期のオス犬もかぐや、と言わんばかりに突きまくっておいでですから。
…。

…失礼。
改めて、私はこの惑星、シアランスの創造神、イス様に仕える精霊の一人、メルセデス・オフィーリアです。
この惑星には精霊も聖獣も神も魔法も存在します。
人間とエルフ、獣人、ドーワフ…龍人や龍、竜…魔物の類いもある、地球と比べたらいささか危険な所ですね、シアランスは。

けれど知恵と努力で人々は補ってきました。
今日こんにちまで生き残っているのが、その証拠でしょう。
魔法がない代わりに科学技術を手に入れた地球のように、科学技術のがないシアランスは魔法で戦う術を手に入れました。
人間同士の戦争は無いのか…って?
そんな余裕はなかったのですよ、物理的に。
シアランスは四つの大陸と世界樹ユグドラシルがある精霊島がぽつんと一つと四大精霊が管理する“守護地”が4つあるだけの惑星です。

 「ぁ、ぁぁんっ…!!」
 「リリィ…くっ、射精る!!」

…。
無視です、無視。
リア充爆発しろ!です。

そんなは一文字足りとてするつもりはありません!

…魔法には属性があります。
地・水・火・風・無・闇・光の7属性です。
これ以外の属性はありません…が、“複合”する事は可能です。
…まあ、魔法についてはいずれ。

何故、私がこうして話しているのかと言うと…シアランスがこの二人が即位する頃に至上類を見ないほど発展を遂げるこの惑星をあなた方に見ていてほしいのです。
地球と同じように人間同士で争いあうのか、はたまた2次創作に有りがちなな平和な世界になるのか…見守って頂けたら幸いです。
それが“我が主”の望みですから…。。





 「…なんか、神レベルで無視されたような気がするのだけれど…?」
 「奇遇だな、俺も馬鹿にされた気がする…“発情期のオス犬”とか…」
浄化クリーンを掛けて事後の身嗜みを整えてサイドテーブルに置いた水差しから水を汲んで飲み干す。
 「…ふぅ。」
 「折角の“初夜”を端折はしょられた挙げ句、世界の説明とやらで潰されたような…そんな感じがするな」
流石、王太子!
名推理である。
…答える存在ものは居ないが。
 「…覗きなんて趣味の悪い事しておいて“リア充爆発しろ!”とでも勝手に僻んでるだけでしょ?」
…概ねその通りである。
精霊でも独り身は寂しい、と言うやつだ。
 「ああ、まったくな!…リリィのかわいい姿は俺だけのものだ…なのにあいつらときたら…っ!」
ぎりっと奥歯を噛み締めるラインハルト王子。
 「…ハルト…ふふっ。私も、ハルトの逞しい所は例え精霊でも…いい気しないわ」
 「リリィ…」
 「ハルト…」
見詰め合う二人…。
“桃色結界”は今日も甘々である。
2ラウンド開始──夜が白くなるまで二人の“交流”は続いたのだった…。






しおりを挟む

処理中です...