111 / 141
刮目! 夏のコーデのハルカとルナ
しおりを挟む
顔を洗い、朝食を終えたトシヤは水着やバスタオル等をバッグに詰め込み、ハルカからの連絡を今や遅しと待っていた。もちろんそれはマサオも同じで、トシヤに『ハルカちゃんからの連絡はまだか?』と質問のメッセージを送りたい衝動を必死に抑えていた。
そしてお昼前、トシヤのスマホにハルカからメッセージが入った。
『お待たせ~ 補習終わったよ~』
補習が終わったとは言え、今すぐ集合出来るわけでは無い。ハルカは学校に行っていたのだから制服姿なのだから、一度家に帰って着替えなければならない。それを考慮すると集まれるのは午後一時ぐらいか……となると昼ご飯はどうする? などと考えるトシヤのスマホにまたメッセージが入った。
『これから帰って着替えるから、十二時半に駅集合で良いかな?』
そのメッセージを読んでトシヤは首を捻った。ハルカが昼ご飯を食べる時間を忘れているのではないかと。そこでその旨を確認するメッセージを送ったところ、すぐに返事が来た。
『大丈夫。私のせいで遅くなっちゃんたんだから、お昼なんて食べなくても平気! トシヤ君達はお昼食べといてね』
こんな風に言われて自分だけ昼ご飯を食べる男など存在しないだろう。もちろんハルカはそれを狙ったわけでは無く、本気で言っているのだが、トシヤは極々当たり前な反応を示した。
『じゃあ、みんなでご飯食べようよ。マサオには言っておくからルナ先輩にはハルカちゃんから言っといてくれるかな』
皆で昼ご飯を食べようというのだ、たとえ時間が少々遅くなっても……いや、それどころか家で既に昼ご飯を食べ始めてしまっていたとしてもマサオは喜んで箸を置くだろう。それよりもルナがまだお昼ご飯を食べていなければ良いのだが……などと考えながらトシヤがマサオにメッセージを送るとマサオからすぐに『了解した』と返事が返って来た。後はルナがまだ昼ご飯を食べていない事を祈るだけだ。まあ、もしルナが昼ご飯を済ませていたとしてもお茶でも飲んで付き合ってくれるとは思うのだが。
*
十二時十五分、トシヤは集合場所である駅に着いたのだが、そこには既にマサオの姿があった。
「おう、早いな」
トシヤが声をかけるとマサオは『何を言ってるんだ』と言わんばかりの顔で答えた。
「バカ野郎、十分前行動は紳士として当然だろうが」
「何が『紳士として当然』だ、こんな時だけ紳士ぶりやがって……」
トシヤが呆れた顔で言い返すが、マサオも負けてはいない。
「お前こそ何を言ってるんだ、俺はいつも紳士だろうが」
などとトシヤとマサオが不毛なやり取りをしているうちにハルカとルナが現れ、二人に気付いた様だ。
「おっ待たせー」
昨日遊べなかった事もあってかハルカはご機嫌な顔で手を振り、ルナは対照的にたおやかな笑顔で詫びる様に言った。
「ごめんなさい、待たせちゃったかしら?」
こう聞かれてバカ正直な答えを返す男は恐らくいないだろう。マサオも当然のごとく答えた。
「いやー、今来たトコっすよ」
言いながらもマサオの視線はルナに釘付けだ。ルナの私服姿を見るのは少し前の雨の日曜日にロードバイクのショップに行った時以来、二回目だ。ちなみに今日のルナの服装は白いTシャツに八分丈のスキニーデニムを合わせ、『清楚な夏のお姉さん』という言葉がピッタリだ。
トシヤはそんなマサオを「また調子の良い事を抜かしやがって……」と思いつつ、視線は当然ながらハルカに向いていた。ハルカはパンチの効いた黄色のTシャツに裾をロールアップしたデニムのショートパンツで太腿を惜しげもなく顕にしている。
だが、今日はプールに行く、つまりこの後は水着姿を拝むことが出来るのだ。ショートパンツごときで動揺していては神経が持たない。そこでトシヤはハルカから目を逸らし、ルナに尋ねた。
「ルナ先輩、お昼ご飯どうします?」
ハルカはトシヤが自分より先にルナに声をかけたのが少々気に入らなかったが、この質問は学年が上のルナにするべきだという事ぐらいは分かる……トシヤがハルカから目を逸らした本当の理由は分かっていない様だが。
「そうね、せっかく『しらパー』に行くんだから、向こうで食べましょうか」
「ルナ先輩もお昼食べるの、待っててくれたんですよね」
どうやらルナも昼ご飯を食べずにいてくれていたらしい。嬉しそうに言うハルカにルナは恥ずかしい様な困った様な顔で言った。
「そんなに大袈裟に言わなくても……せっかく皆で遊びに行くんだから、それぐらいするわよ」
まあ、それはそうだろう。だが、マサオはまた調子の良い事を言い出した。
「さすがはルナ先輩。やっぱ人格者は違うっすね」
言うまでもない事だがお昼ご飯を食べずに待っていたのはルナだけでは無い。トシヤも、そしてマサオ自身もだ。だがそんな事はどうでも良い。マサオにとって大事なのはただ一つ、ルナの気を引く事のみ。それ以外は取るに足りない事でしかないのだ。
「嫌ね、マサオ君。本当に大袈裟なんだから……」
照れ臭さを振り払う様に歩き出したルナをマサオが慌てて追いかけ、トシヤとハルカも二人の後を追った。
そしてお昼前、トシヤのスマホにハルカからメッセージが入った。
『お待たせ~ 補習終わったよ~』
補習が終わったとは言え、今すぐ集合出来るわけでは無い。ハルカは学校に行っていたのだから制服姿なのだから、一度家に帰って着替えなければならない。それを考慮すると集まれるのは午後一時ぐらいか……となると昼ご飯はどうする? などと考えるトシヤのスマホにまたメッセージが入った。
『これから帰って着替えるから、十二時半に駅集合で良いかな?』
そのメッセージを読んでトシヤは首を捻った。ハルカが昼ご飯を食べる時間を忘れているのではないかと。そこでその旨を確認するメッセージを送ったところ、すぐに返事が来た。
『大丈夫。私のせいで遅くなっちゃんたんだから、お昼なんて食べなくても平気! トシヤ君達はお昼食べといてね』
こんな風に言われて自分だけ昼ご飯を食べる男など存在しないだろう。もちろんハルカはそれを狙ったわけでは無く、本気で言っているのだが、トシヤは極々当たり前な反応を示した。
『じゃあ、みんなでご飯食べようよ。マサオには言っておくからルナ先輩にはハルカちゃんから言っといてくれるかな』
皆で昼ご飯を食べようというのだ、たとえ時間が少々遅くなっても……いや、それどころか家で既に昼ご飯を食べ始めてしまっていたとしてもマサオは喜んで箸を置くだろう。それよりもルナがまだお昼ご飯を食べていなければ良いのだが……などと考えながらトシヤがマサオにメッセージを送るとマサオからすぐに『了解した』と返事が返って来た。後はルナがまだ昼ご飯を食べていない事を祈るだけだ。まあ、もしルナが昼ご飯を済ませていたとしてもお茶でも飲んで付き合ってくれるとは思うのだが。
*
十二時十五分、トシヤは集合場所である駅に着いたのだが、そこには既にマサオの姿があった。
「おう、早いな」
トシヤが声をかけるとマサオは『何を言ってるんだ』と言わんばかりの顔で答えた。
「バカ野郎、十分前行動は紳士として当然だろうが」
「何が『紳士として当然』だ、こんな時だけ紳士ぶりやがって……」
トシヤが呆れた顔で言い返すが、マサオも負けてはいない。
「お前こそ何を言ってるんだ、俺はいつも紳士だろうが」
などとトシヤとマサオが不毛なやり取りをしているうちにハルカとルナが現れ、二人に気付いた様だ。
「おっ待たせー」
昨日遊べなかった事もあってかハルカはご機嫌な顔で手を振り、ルナは対照的にたおやかな笑顔で詫びる様に言った。
「ごめんなさい、待たせちゃったかしら?」
こう聞かれてバカ正直な答えを返す男は恐らくいないだろう。マサオも当然のごとく答えた。
「いやー、今来たトコっすよ」
言いながらもマサオの視線はルナに釘付けだ。ルナの私服姿を見るのは少し前の雨の日曜日にロードバイクのショップに行った時以来、二回目だ。ちなみに今日のルナの服装は白いTシャツに八分丈のスキニーデニムを合わせ、『清楚な夏のお姉さん』という言葉がピッタリだ。
トシヤはそんなマサオを「また調子の良い事を抜かしやがって……」と思いつつ、視線は当然ながらハルカに向いていた。ハルカはパンチの効いた黄色のTシャツに裾をロールアップしたデニムのショートパンツで太腿を惜しげもなく顕にしている。
だが、今日はプールに行く、つまりこの後は水着姿を拝むことが出来るのだ。ショートパンツごときで動揺していては神経が持たない。そこでトシヤはハルカから目を逸らし、ルナに尋ねた。
「ルナ先輩、お昼ご飯どうします?」
ハルカはトシヤが自分より先にルナに声をかけたのが少々気に入らなかったが、この質問は学年が上のルナにするべきだという事ぐらいは分かる……トシヤがハルカから目を逸らした本当の理由は分かっていない様だが。
「そうね、せっかく『しらパー』に行くんだから、向こうで食べましょうか」
「ルナ先輩もお昼食べるの、待っててくれたんですよね」
どうやらルナも昼ご飯を食べずにいてくれていたらしい。嬉しそうに言うハルカにルナは恥ずかしい様な困った様な顔で言った。
「そんなに大袈裟に言わなくても……せっかく皆で遊びに行くんだから、それぐらいするわよ」
まあ、それはそうだろう。だが、マサオはまた調子の良い事を言い出した。
「さすがはルナ先輩。やっぱ人格者は違うっすね」
言うまでもない事だがお昼ご飯を食べずに待っていたのはルナだけでは無い。トシヤも、そしてマサオ自身もだ。だがそんな事はどうでも良い。マサオにとって大事なのはただ一つ、ルナの気を引く事のみ。それ以外は取るに足りない事でしかないのだ。
「嫌ね、マサオ君。本当に大袈裟なんだから……」
照れ臭さを振り払う様に歩き出したルナをマサオが慌てて追いかけ、トシヤとハルカも二人の後を追った。
0
あなたにおすすめの小説
ト・カ・リ・ナ〜時を止めるアイテムを手にしたら気になる彼女と距離が近くなった件〜
遊馬友仁
青春
高校二年生の坂井夏生(さかいなつき)は、十七歳の誕生日に、亡くなった祖父からの贈り物だという不思議な木製のオカリナを譲り受ける。試しに自室で息を吹き込むと、周囲のヒトやモノがすべて動きを止めてしまった!
木製細工の能力に不安を感じながらも、夏生は、その能力の使い途を思いつく……。
「そうだ!教室の前の席に座っている、いつも、マスクを外さない小嶋夏海(こじまなつみ)の素顔を見てやろう」
そうして、自身のアイデアを実行に映した夏生であったがーーーーーー。
月の綺麗な夜に終わりゆく君と
石原唯人
恋愛
ある日、十七才の春に僕は病院で色のない少女と出会う。
それは、この場所で出会わなければ一生関わる事のなかった色のない彼女とモノクロな僕の
秘密の交流。
彼女との交流によって諦観でモノクロだった僕の世界は少しずつ色づき始める。
十七歳、大人でも子どもでもないトクベツな時間。
日常の無い二人は限られて時間の中で諦めていた当たり前の青春へと手を伸ばす。
不器用な僕らの織り成す物語。
【完結】シロツメ草の花冠
彩華(あやはな)
恋愛
夏休みを開けにあったミリアは別人となって「聖女」の隣に立っていた・・・。
彼女の身に何があったのか・・・。
*ミリア視点は最初のみ、主に聖女サシャ、婚約者アルト視点侍女マヤ視点で書かれています。
後半・・・切ない・・・。タオルまたはティッシュをご用意ください。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
揺れぬ王と、その隣で均衡を保つ妃
ふわふわ
恋愛
婚約破棄の断罪の場で、すべては始まった。
王太子は感情に流され、公爵令嬢との婚約を解消する。
だが、その決断は王家と貴族社会の均衡を揺るがし、国そのものを危うくする一手だった。
――それでも彼女は、声を荒らげない。
問いただすのはただ一つ。
「そのご婚約は、国家にとって正当なものですか?」
制度、資格、責任。
恋ではなく“国家の構造”を示した瞬間、王太子は初めて己の立場を知る。
やがて選ばれるのは、感情ではなく均衡。
衝動の王子は、嵐を起こさぬ王へと変わっていく。
そして彼の隣には、常に彼女が立つ。
派手な革命も、劇的な勝利もない。
あるのは、小さな揺れを整え続ける日々。
遠雷を読み、火種を消し、疑念に居場所を与え、
声なき拍手を聞き取る。
これは――
嵐を起こさなかった王と、
その隣で国家の均衡を保ち続けた妃の物語。
おばさんは、ひっそり暮らしたい
蝋梅
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる