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第2話
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魔王は軽快な音楽と、それに合わせて踊り通って行く姿を眺めている。
「うむ。矢張りネズミの国は素晴らしい」
頭に黒い耳の帽子を被り、肩には愛らしい熊のポップコーン入れを提げている。その中身は今は空になろうとしていた。
「おっと、次は苺にするか」
指が入れ物の底に触れて残り少ない事を悟る。
カレー味のポップコーンを指に摘み、口に運ぶと美味しそうに咀嚼した。
指を見るとカレー味の粉が付いている。
魔王はチラリと周囲を確認し、誰も見ていない事を確認するとそれを舐めた。
お行儀は悪いがこれをする事も楽しいと感じている。
丁度パレードも終わったので次の乗り物に向かう。
「苺は専門店だな。だとすると光線銃で楽しむか」
もう既に何度も来ている為か、脳内で瞬時にマップ情報が出てくる。そして経路の最適解を導き出して歩き出す。
その頭には次のパレードの時間と場所がインプットされ済みである。
お一人様でも楽しむ魔王は、実は密かな憧れがある。
「む。またか」
それを見て羨望の眼差しを向けている。
「お誕生日おめでとう!」
視線の先にはキャストに祝われている女性の姿がある。とても嬉しそうだ。
魔王はキャストにお誕生日をお祝いして貰いたかった。
しかし地球が地元で無い魔王に誕生日は無い。というより生まれた時から魔王だった為に誕生日という概念が今までは無かった。
しゅんとして目の毒であるそれから目を逸らすと足早にその場を去った。
しかし魔王は目立つ。
勿論結構な頻度で遊びに来る魔王を、キャスト達は理解していた。そしてある計画を立てている。
それは魔王が日本に降り立ってから丁度1年経った頃である。
一周年記念に訪れた魔王は、何とその場でキャストに囲まれた。
「な!?何だ!?」
にこやかに近寄ってくるキャストに魔王は魔王なのに慄いた。
後退りしようにも囲まれている。
どうしようかと逃げ道を探っている間にもキャストはもう目と鼻の先まで来ていた。
何せ普通の人間である。殺気も闘気も無い一般人。危険察知能力が有ったとしてもスルーする類の人間である。
キャストは驚く魔王を尻目に手に持っていた物をそっと魔王の胸元に貼り付けた。
「こ、これは!」
「「「お誕生日おめでとう!」」」
そう、お誕生日の目印シールである。
突然の事に茫然とする魔王に、シールを貼った人がニコリと笑う。
「魔王様が日本に降り立つ。つまり誕生して1年ですね。おめでとうございます」
「お、俺は……」
「いつも楽しんでくれてありがとう。これは私達からのお祝いです」
キャストがハッピーバースデイを歌うと、来園者も気付いて一緒に歌い出してくれる。
魔王は溢れそうになる涙を堪えた。
そして歌が終わると威厳に満ちた顔で笑みを浮かべる。
「ありがとう。皆の者。良き心遣い、確かに受け取った」
魔王が礼を述べると歓声と共に盛大な拍手が沸き起こる。
「良い一日を!」
そして口々に今日という日を祝福してくれるのでした。
その後。誕生日特典を最大限に享受し、お土産コーナーではつい何時もより買い過ぎたが大満足でご満悦になるのだった。
「うむ。矢張りネズミの国は素晴らしい」
頭に黒い耳の帽子を被り、肩には愛らしい熊のポップコーン入れを提げている。その中身は今は空になろうとしていた。
「おっと、次は苺にするか」
指が入れ物の底に触れて残り少ない事を悟る。
カレー味のポップコーンを指に摘み、口に運ぶと美味しそうに咀嚼した。
指を見るとカレー味の粉が付いている。
魔王はチラリと周囲を確認し、誰も見ていない事を確認するとそれを舐めた。
お行儀は悪いがこれをする事も楽しいと感じている。
丁度パレードも終わったので次の乗り物に向かう。
「苺は専門店だな。だとすると光線銃で楽しむか」
もう既に何度も来ている為か、脳内で瞬時にマップ情報が出てくる。そして経路の最適解を導き出して歩き出す。
その頭には次のパレードの時間と場所がインプットされ済みである。
お一人様でも楽しむ魔王は、実は密かな憧れがある。
「む。またか」
それを見て羨望の眼差しを向けている。
「お誕生日おめでとう!」
視線の先にはキャストに祝われている女性の姿がある。とても嬉しそうだ。
魔王はキャストにお誕生日をお祝いして貰いたかった。
しかし地球が地元で無い魔王に誕生日は無い。というより生まれた時から魔王だった為に誕生日という概念が今までは無かった。
しゅんとして目の毒であるそれから目を逸らすと足早にその場を去った。
しかし魔王は目立つ。
勿論結構な頻度で遊びに来る魔王を、キャスト達は理解していた。そしてある計画を立てている。
それは魔王が日本に降り立ってから丁度1年経った頃である。
一周年記念に訪れた魔王は、何とその場でキャストに囲まれた。
「な!?何だ!?」
にこやかに近寄ってくるキャストに魔王は魔王なのに慄いた。
後退りしようにも囲まれている。
どうしようかと逃げ道を探っている間にもキャストはもう目と鼻の先まで来ていた。
何せ普通の人間である。殺気も闘気も無い一般人。危険察知能力が有ったとしてもスルーする類の人間である。
キャストは驚く魔王を尻目に手に持っていた物をそっと魔王の胸元に貼り付けた。
「こ、これは!」
「「「お誕生日おめでとう!」」」
そう、お誕生日の目印シールである。
突然の事に茫然とする魔王に、シールを貼った人がニコリと笑う。
「魔王様が日本に降り立つ。つまり誕生して1年ですね。おめでとうございます」
「お、俺は……」
「いつも楽しんでくれてありがとう。これは私達からのお祝いです」
キャストがハッピーバースデイを歌うと、来園者も気付いて一緒に歌い出してくれる。
魔王は溢れそうになる涙を堪えた。
そして歌が終わると威厳に満ちた顔で笑みを浮かべる。
「ありがとう。皆の者。良き心遣い、確かに受け取った」
魔王が礼を述べると歓声と共に盛大な拍手が沸き起こる。
「良い一日を!」
そして口々に今日という日を祝福してくれるのでした。
その後。誕生日特典を最大限に享受し、お土産コーナーではつい何時もより買い過ぎたが大満足でご満悦になるのだった。
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