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第4話
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「無い……。くそっ、俺としたことが何故もっと早く……!」
池袋で魔王がorzの形に打ちひしがれている。
「もっと早く地球侵略に来なかったのだ!」
ダン!!と地面を叩く姿に通り行く人々がビクッとする。
そりゃそうだ。魔王の一撃なんて地面崩壊するレベル。その様子を見せつけられたのはまだ記憶に新しいのだから。
しかし人々は直ぐに気を取り直して通り過ぎて行った。
だって地面には傷一つ付いて無いんだもの。
「そんなに嘆く程かね」
魔王の側には中年男性が一人。腰を落として嘆く魔王をヨシヨシと慰めている。
「3Dシネマ見たかった……っ!」
そう。魔王が今居るのは映画館前。
毎回違うシネマで映画を見るのが楽しいのだ。だって映画館によってポップコーンが違うのだもの。
そして今日は何を食べようと意気揚々若干スキップ気味にやってきた映画館。
何度も来ていれば顔見知り位出来る。男性はそんな一人。
知り合いがいれば世間話位する。
そこで言われてたのが
「昔は3Dも有った」
である。
最近は4Dなどが流行りつつあるが、代わりになのか需要が無かったからなのか。殆どの映画館で3Dをやっていない。
「料金欄なんて見た事無かったから気付けなかった……」
結構普通に稼いでいる魔王。数千円程度の料金なんて気にした事無かった。気にしてたらBlu-rayBoxなんて買えない。
「見たかった」
「少し前までなら少しはやってる映画も有ったんだけど、今は主要国はそんな暇所か制作事務所でさえ残っているか……」
「くそ魔王共めぇぇぇ!!」
腹の底からドロドロとした恨みがましい声で呻る魔王。
本気で別の魔王に怒りの声を上げる魔王に、居合わせた面々は苦笑が漏れる。
「せめて抗議文位出来れば良いけど。そうしたら戦争になっちゃうかもだしね」
またあの大災害は懲り懲りだ。可哀想だけどか弱い人間に魔王をどうにか出来る術はないのだ。
「そうか……」
「うん?」
魔王がユラリと立ち上がる。
訝し気に見上げる男性はその魔王の顔を見て顔を引き攣らせた。
「その手が有った!」
名案を得たと嗤う魔王の姿が禍々しかったから。
魔王は未だ腰を落としている男性の両手を取って立ち上がらせる。
男性は冷や汗が流れている。だって魔王の嗤い顔怖い。だって碌な事を起こさなそうなんだもん。
「3Dはどこの国で作られている!?」
「え……、あちこち……?」
せめて何をしようとしているのか言ってから聞いて欲しいと男性は思う。
とはいえ自分に害は無さそうなので取り敢えず知っている範囲で教えた。
だって魔王はシネマ仲間だから。なんなら見終わった後に近くの茶店で感想会開く位には仲良くしてるから。信じてる。大丈夫だよね……?戦争に発展しないよね……?
「む……主要なのはアメリカか。あいつは脳みそ爬虫類の戦闘狂だ。人類所か草の根すら残っているか……」
魔王の言葉に男性の喉が引き攣る。
ドラゴン嫌いなのかな?でも何度もドラゴンの映画見てるよね?
思うが男性は静かに笑うに留めた。どうせ相手は魔王。なるようにしかならない。
「今すぐ行くのか?」
「何を言う。今日は映画見る日。どの道奴じゃアメリカ人の存続すら絶望だからな。話は後にした所で結果は変わるまい」
そう言って魔王は今日もウキウキと映画館に入って行く。
だって今日の映画も楽しみにしてたんだもの。
「……大丈夫かな。アメリカの人達……。せめてニュース位入れば良かったけど。いや……。凄惨な実情はどの道流せないか」
男性は太陽が昇る方を向き、静かに無事を祈った。そして映画館に入って行く。
だって魔王相手に一般人が何か出来る訳ないもの。出来てたら自衛隊がウチの魔王にコテンパンにやられてないやい。
池袋で魔王がorzの形に打ちひしがれている。
「もっと早く地球侵略に来なかったのだ!」
ダン!!と地面を叩く姿に通り行く人々がビクッとする。
そりゃそうだ。魔王の一撃なんて地面崩壊するレベル。その様子を見せつけられたのはまだ記憶に新しいのだから。
しかし人々は直ぐに気を取り直して通り過ぎて行った。
だって地面には傷一つ付いて無いんだもの。
「そんなに嘆く程かね」
魔王の側には中年男性が一人。腰を落として嘆く魔王をヨシヨシと慰めている。
「3Dシネマ見たかった……っ!」
そう。魔王が今居るのは映画館前。
毎回違うシネマで映画を見るのが楽しいのだ。だって映画館によってポップコーンが違うのだもの。
そして今日は何を食べようと意気揚々若干スキップ気味にやってきた映画館。
何度も来ていれば顔見知り位出来る。男性はそんな一人。
知り合いがいれば世間話位する。
そこで言われてたのが
「昔は3Dも有った」
である。
最近は4Dなどが流行りつつあるが、代わりになのか需要が無かったからなのか。殆どの映画館で3Dをやっていない。
「料金欄なんて見た事無かったから気付けなかった……」
結構普通に稼いでいる魔王。数千円程度の料金なんて気にした事無かった。気にしてたらBlu-rayBoxなんて買えない。
「見たかった」
「少し前までなら少しはやってる映画も有ったんだけど、今は主要国はそんな暇所か制作事務所でさえ残っているか……」
「くそ魔王共めぇぇぇ!!」
腹の底からドロドロとした恨みがましい声で呻る魔王。
本気で別の魔王に怒りの声を上げる魔王に、居合わせた面々は苦笑が漏れる。
「せめて抗議文位出来れば良いけど。そうしたら戦争になっちゃうかもだしね」
またあの大災害は懲り懲りだ。可哀想だけどか弱い人間に魔王をどうにか出来る術はないのだ。
「そうか……」
「うん?」
魔王がユラリと立ち上がる。
訝し気に見上げる男性はその魔王の顔を見て顔を引き攣らせた。
「その手が有った!」
名案を得たと嗤う魔王の姿が禍々しかったから。
魔王は未だ腰を落としている男性の両手を取って立ち上がらせる。
男性は冷や汗が流れている。だって魔王の嗤い顔怖い。だって碌な事を起こさなそうなんだもん。
「3Dはどこの国で作られている!?」
「え……、あちこち……?」
せめて何をしようとしているのか言ってから聞いて欲しいと男性は思う。
とはいえ自分に害は無さそうなので取り敢えず知っている範囲で教えた。
だって魔王はシネマ仲間だから。なんなら見終わった後に近くの茶店で感想会開く位には仲良くしてるから。信じてる。大丈夫だよね……?戦争に発展しないよね……?
「む……主要なのはアメリカか。あいつは脳みそ爬虫類の戦闘狂だ。人類所か草の根すら残っているか……」
魔王の言葉に男性の喉が引き攣る。
ドラゴン嫌いなのかな?でも何度もドラゴンの映画見てるよね?
思うが男性は静かに笑うに留めた。どうせ相手は魔王。なるようにしかならない。
「今すぐ行くのか?」
「何を言う。今日は映画見る日。どの道奴じゃアメリカ人の存続すら絶望だからな。話は後にした所で結果は変わるまい」
そう言って魔王は今日もウキウキと映画館に入って行く。
だって今日の映画も楽しみにしてたんだもの。
「……大丈夫かな。アメリカの人達……。せめてニュース位入れば良かったけど。いや……。凄惨な実情はどの道流せないか」
男性は太陽が昇る方を向き、静かに無事を祈った。そして映画館に入って行く。
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