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本編
お散歩日和♪
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初夏前の陽気で過ごし易い日差しが優しく山を包んでいる日の事です。
三巳とリリは村を散策しています。
「んー、気持ち良い天気だなー」
三巳は耳をピコピコ、尻尾をフリフリしながら大きく背伸びをしました。
「そうだねー、ポカポカしてて眠くなっちゃう」
リリが眠気を覚ます様にほおをペチペチ叩きます。
顔の怪我はもうどこにも無いので叩いても痛く無いのが嬉しい様です。リリの顔は叩いた後に「にへっ」とにやけました。
三巳は嬉しそうなリリに嬉しくなりました。
「あ、いー匂いだ」
「本当、何の匂いかしら」
散策をしていると何処からともなく香ばしい香りがしてきました。
「パン屋の匂いだけど、初めて嗅ぐ匂いだな。新作かな?」
「パン屋さんがあるの?」
三巳の言葉にリリはビックリです。
こんなに小さな村にパン屋さんがあるなんて思っても見なかったのです。
「そういえばリリは行った事無かったな」
そう言って三巳はリリを連れてパン屋さんにやって来ました。
「あら、三巳鼻聡いわね。もう新作の匂いを嗅ぎつけたの?」
釜から綺麗に焼けたパンを取り出したパン屋さんは、窓から覗く三巳達二人に気付いて焼けたパンを持ったまま振り向きました。
「おー。すごくいい匂いが漂ってきたぞー」
涎を垂らした三巳は窓から店内に頭を覗かせます。
リリも初めて見るパン工房に興味津々覗き込みました。
「リリ、パン職人のミクスだ」
「リリです。初めまして」
自己紹介をしたリリは丁寧にエアカーテシーをしました。
「そんな畏まられると照れるねえ。
私はこのパン屋の職人で主人だよ。
傷、綺麗に治って良かったねえ」
ミクスはカーテシー何てものは知りませんが、丁寧だという事は判りました。手が塞がっているので頬は掻けませんが、照れてむず痒く肩を揺らしました。
「はい。これも一重に皆さんのお陰です」
リリは感謝の意を込めて深くお辞儀しました。
特に得体の知れない人間に此処まで良くしてくれた人は初めてでしたので、感謝の念はとても深い物となりました。
「ふふ。これからは同じ山の民だ。遠慮はお互い無しだよ」
「はいっ」
快活に笑ったミクスに感極まって、少し涙ぐんだリリでした。
「あの、それじゃあ遠慮しないで聞いちゃいます。
三巳が新作かって言ってましたけど、何のパンですか?」
「聞いちゃいましたか。
でも内緒だよ。まだ試作段階だからね。
でも完成したら回復祝いにご馳走するから楽しみにしてなね」
リリの問いに含み笑いをしたミクスは、ウィンクをしてパンを隠してしまいました。
けれどもサプライズは楽しみなので、リリは三巳と見合わせて楽しそうに笑い合いました。
「じゃー三巳も詮索しないどく。またなー」
ホクホクとした顔でミクスに別れを告げてお散歩の続きをします。
次に向かったのは兼ねてより予定していた山羊小屋です。
子山羊が落ち着いたのでロンガに誘われていたのです。
山羊小屋に着くと、丁度子山羊がお乳を飲んでいる所でした。
「はわ~可愛い~」
足を突っ張らせて母山羊からお乳を貰う姿にリリは目尻が下がりっぱなしです。
「よく来たな。
触るのは乳が終わってからにしてやれ」
「はい」
出迎えたロンガの言葉に素直に頷くリリは、柵の外から熱心に子山羊を見つめていました。
あまりに見つめすぎたせいでしょうか、子山羊はお乳を飲み終わると小走りでリリの元へやってきました。
これにはリリも驚き喜びます。
子山羊はリリに近づくとフンフンと匂いを確かめる様に嗅ぎます。
「リリから良い匂いがするのか」
ロンガが子山羊の様子を見て得心したように言いました。
「パン屋寄って来たからなー」
子山羊に夢中のリリに代わって三巳が答えました。
「ふふふ、可愛い」
リリは子山羊の耳の辺りや頭、背中などを丁寧に撫でていきます。
「あ、やばいかも?」
三巳が呟いたそこから、子山羊の目はとろんとしてきました。
暫くリリが撫でていると、とうとう子山羊は立っていられなくなり足を折って座り込んでしまいました。
「なんだ?なにが起きた?」
これに驚いたのはロンガです。
三巳は明後日の方を見ながら頬を掻きます。
「リリの手は獣達には極上の撫でられ心地なんだなー」
呟く三巳とリリと悶える子山羊を頻りに見まわし首を捻るロンガでした。
その後他の牧場で同じ事をしたリリは、酪農家達に羨望の目で見られながらも時間制限を儲けられることになってションボリするのでした。
三巳とリリは村を散策しています。
「んー、気持ち良い天気だなー」
三巳は耳をピコピコ、尻尾をフリフリしながら大きく背伸びをしました。
「そうだねー、ポカポカしてて眠くなっちゃう」
リリが眠気を覚ます様にほおをペチペチ叩きます。
顔の怪我はもうどこにも無いので叩いても痛く無いのが嬉しい様です。リリの顔は叩いた後に「にへっ」とにやけました。
三巳は嬉しそうなリリに嬉しくなりました。
「あ、いー匂いだ」
「本当、何の匂いかしら」
散策をしていると何処からともなく香ばしい香りがしてきました。
「パン屋の匂いだけど、初めて嗅ぐ匂いだな。新作かな?」
「パン屋さんがあるの?」
三巳の言葉にリリはビックリです。
こんなに小さな村にパン屋さんがあるなんて思っても見なかったのです。
「そういえばリリは行った事無かったな」
そう言って三巳はリリを連れてパン屋さんにやって来ました。
「あら、三巳鼻聡いわね。もう新作の匂いを嗅ぎつけたの?」
釜から綺麗に焼けたパンを取り出したパン屋さんは、窓から覗く三巳達二人に気付いて焼けたパンを持ったまま振り向きました。
「おー。すごくいい匂いが漂ってきたぞー」
涎を垂らした三巳は窓から店内に頭を覗かせます。
リリも初めて見るパン工房に興味津々覗き込みました。
「リリ、パン職人のミクスだ」
「リリです。初めまして」
自己紹介をしたリリは丁寧にエアカーテシーをしました。
「そんな畏まられると照れるねえ。
私はこのパン屋の職人で主人だよ。
傷、綺麗に治って良かったねえ」
ミクスはカーテシー何てものは知りませんが、丁寧だという事は判りました。手が塞がっているので頬は掻けませんが、照れてむず痒く肩を揺らしました。
「はい。これも一重に皆さんのお陰です」
リリは感謝の意を込めて深くお辞儀しました。
特に得体の知れない人間に此処まで良くしてくれた人は初めてでしたので、感謝の念はとても深い物となりました。
「ふふ。これからは同じ山の民だ。遠慮はお互い無しだよ」
「はいっ」
快活に笑ったミクスに感極まって、少し涙ぐんだリリでした。
「あの、それじゃあ遠慮しないで聞いちゃいます。
三巳が新作かって言ってましたけど、何のパンですか?」
「聞いちゃいましたか。
でも内緒だよ。まだ試作段階だからね。
でも完成したら回復祝いにご馳走するから楽しみにしてなね」
リリの問いに含み笑いをしたミクスは、ウィンクをしてパンを隠してしまいました。
けれどもサプライズは楽しみなので、リリは三巳と見合わせて楽しそうに笑い合いました。
「じゃー三巳も詮索しないどく。またなー」
ホクホクとした顔でミクスに別れを告げてお散歩の続きをします。
次に向かったのは兼ねてより予定していた山羊小屋です。
子山羊が落ち着いたのでロンガに誘われていたのです。
山羊小屋に着くと、丁度子山羊がお乳を飲んでいる所でした。
「はわ~可愛い~」
足を突っ張らせて母山羊からお乳を貰う姿にリリは目尻が下がりっぱなしです。
「よく来たな。
触るのは乳が終わってからにしてやれ」
「はい」
出迎えたロンガの言葉に素直に頷くリリは、柵の外から熱心に子山羊を見つめていました。
あまりに見つめすぎたせいでしょうか、子山羊はお乳を飲み終わると小走りでリリの元へやってきました。
これにはリリも驚き喜びます。
子山羊はリリに近づくとフンフンと匂いを確かめる様に嗅ぎます。
「リリから良い匂いがするのか」
ロンガが子山羊の様子を見て得心したように言いました。
「パン屋寄って来たからなー」
子山羊に夢中のリリに代わって三巳が答えました。
「ふふふ、可愛い」
リリは子山羊の耳の辺りや頭、背中などを丁寧に撫でていきます。
「あ、やばいかも?」
三巳が呟いたそこから、子山羊の目はとろんとしてきました。
暫くリリが撫でていると、とうとう子山羊は立っていられなくなり足を折って座り込んでしまいました。
「なんだ?なにが起きた?」
これに驚いたのはロンガです。
三巳は明後日の方を見ながら頬を掻きます。
「リリの手は獣達には極上の撫でられ心地なんだなー」
呟く三巳とリリと悶える子山羊を頻りに見まわし首を捻るロンガでした。
その後他の牧場で同じ事をしたリリは、酪農家達に羨望の目で見られながらも時間制限を儲けられることになってションボリするのでした。
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