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本編
リリと木の洞と
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リリがロキ医師に山の薬草を学んでいる頃。
三巳は三巳で山を散策していました。
「うーん。やっぱりだなー」
三巳がいる場所は、リリが倒れていた木の洞です。
鼻をふんふんとさせて周辺の匂いを嗅いでいます。
「雨で大分薄れたけど、洞の中はまだリリともう一つの匂いがする」
それが意味する事は、リリは一人で虚に来たわけでは無いかもしれないという事です。
「この匂いは絶対あの子だよなー」
しかも三巳はその匂いに心当たりがあるようです。
三巳は匂いの主を探るべく、目も耳も鼻も研ぎ澄ませました。
主らしき音が山頂付近から聞こえた三巳は、耳をピピクッと動かし更に目を凝らしました。
「おー、いたいたー。てかあっちもこっち見てる?
……違った。あれはリリの方かー」
視線の先を追うと、そこにはリリがいました。
どうやらリリが洞にいた事に関わりがあると確信した三巳は、一足飛びに匂いの主へと行きました。
「おはよー。久方振りだなー」
相手は着地するなり挨拶する三巳を振り返り驚きます。
『久しい、か?つい先日も会ったろう』
そう言った相手は明らかにモンスターです。
トナカイとユニコーンを足した様な姿です。
「数年前もユトに掛かれば先日かー」
『お前さんにとっても先日だろうに』
カラカラと笑う三巳に対して、ユトと呼ばれたモンスターは不服そうです。
「三巳は人間と混じって生活してるからなー」
ムフンとドヤ顔を決め込む三巳に、ユトは呆れた溜息を溢しました。
『全く。相変わらずだな。
過ぎ行く者達と居たら辛くはならないものかね』
「んー。寂しくない訳じゃ無いけど。
死者の行き着く先が判ってるからなー。
そしたら又違った形で逢えるのも楽しみだなー」
ヘヘー♪と鼻歌を刻む様にあっけらかんと言う三巳に、ユトはポカーンと口を開けました。
『ぷ。くははっ。そうか、そうだな』
暫く呆けていたユトでしたが、次第に可笑しくなったのか、楽しそうに笑い出しました。
「それよかユトだろ?リリ助けてくれたの」
三巳は、楽しそうに笑うユトの顔を撫でながら聞きました。
『やはり気付きおったか』
顔を撫でられるユトは、目を眇めて言います。
「隠してもないだろー。そりゃ気付くさー。
でもどう云う風の吹き回しなんだ?」
そこに至った原因は判っても、理由は判りません。三巳は素直に尋ねました。
ユトは瞑目したまま黙っています。
言いたくないのか。言いにくい事なのか。言い方が思いつかないのか。
お互いに口を閉ざすので静けさが辺りを包みます。
聞こえるのは風と葉のサワサワとした音。そして獣の耳だから聞こえる、遠くのリリ達の話声だけです。
『ふっ。元気にやっているようだね』
不意にユトが優しい眼差しでリリを見て言いました。
その目に母性を感じた三巳はフワフワした心地よい気持ちになりました。
「実は知り合いだったり?」
『さて、な。知りたくば彼女の心の闇を払っておくれ。
我等が山神殿』
真剣な目、真剣な口調で言われ三巳は神妙に頷きます。
「リリの心を晴らせるのは、リリの心次第だ。
でも、だからこそ三巳達はリリがちゃんと地に足付けて居られる様に傍にいるんだ」
遠く忘れていた大人の顔で前を見据えて断言します。
子供達が健やかで居られるのは、ちゃんと周りの人達が見ていてくれるからだ。
三巳は前世でニュースに上がったような子供達を想い、リリに重ねて放っておくなんて出来ないのでした。
三巳は三巳で山を散策していました。
「うーん。やっぱりだなー」
三巳がいる場所は、リリが倒れていた木の洞です。
鼻をふんふんとさせて周辺の匂いを嗅いでいます。
「雨で大分薄れたけど、洞の中はまだリリともう一つの匂いがする」
それが意味する事は、リリは一人で虚に来たわけでは無いかもしれないという事です。
「この匂いは絶対あの子だよなー」
しかも三巳はその匂いに心当たりがあるようです。
三巳は匂いの主を探るべく、目も耳も鼻も研ぎ澄ませました。
主らしき音が山頂付近から聞こえた三巳は、耳をピピクッと動かし更に目を凝らしました。
「おー、いたいたー。てかあっちもこっち見てる?
……違った。あれはリリの方かー」
視線の先を追うと、そこにはリリがいました。
どうやらリリが洞にいた事に関わりがあると確信した三巳は、一足飛びに匂いの主へと行きました。
「おはよー。久方振りだなー」
相手は着地するなり挨拶する三巳を振り返り驚きます。
『久しい、か?つい先日も会ったろう』
そう言った相手は明らかにモンスターです。
トナカイとユニコーンを足した様な姿です。
「数年前もユトに掛かれば先日かー」
『お前さんにとっても先日だろうに』
カラカラと笑う三巳に対して、ユトと呼ばれたモンスターは不服そうです。
「三巳は人間と混じって生活してるからなー」
ムフンとドヤ顔を決め込む三巳に、ユトは呆れた溜息を溢しました。
『全く。相変わらずだな。
過ぎ行く者達と居たら辛くはならないものかね』
「んー。寂しくない訳じゃ無いけど。
死者の行き着く先が判ってるからなー。
そしたら又違った形で逢えるのも楽しみだなー」
ヘヘー♪と鼻歌を刻む様にあっけらかんと言う三巳に、ユトはポカーンと口を開けました。
『ぷ。くははっ。そうか、そうだな』
暫く呆けていたユトでしたが、次第に可笑しくなったのか、楽しそうに笑い出しました。
「それよかユトだろ?リリ助けてくれたの」
三巳は、楽しそうに笑うユトの顔を撫でながら聞きました。
『やはり気付きおったか』
顔を撫でられるユトは、目を眇めて言います。
「隠してもないだろー。そりゃ気付くさー。
でもどう云う風の吹き回しなんだ?」
そこに至った原因は判っても、理由は判りません。三巳は素直に尋ねました。
ユトは瞑目したまま黙っています。
言いたくないのか。言いにくい事なのか。言い方が思いつかないのか。
お互いに口を閉ざすので静けさが辺りを包みます。
聞こえるのは風と葉のサワサワとした音。そして獣の耳だから聞こえる、遠くのリリ達の話声だけです。
『ふっ。元気にやっているようだね』
不意にユトが優しい眼差しでリリを見て言いました。
その目に母性を感じた三巳はフワフワした心地よい気持ちになりました。
「実は知り合いだったり?」
『さて、な。知りたくば彼女の心の闇を払っておくれ。
我等が山神殿』
真剣な目、真剣な口調で言われ三巳は神妙に頷きます。
「リリの心を晴らせるのは、リリの心次第だ。
でも、だからこそ三巳達はリリがちゃんと地に足付けて居られる様に傍にいるんだ」
遠く忘れていた大人の顔で前を見据えて断言します。
子供達が健やかで居られるのは、ちゃんと周りの人達が見ていてくれるからだ。
三巳は前世でニュースに上がったような子供達を想い、リリに重ねて放っておくなんて出来ないのでした。
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