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本編
初めてのお金と通行証
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「これがお金で、これが通行証かぁ」
ウィンブルドン領の街のカフェで、ロダが両手に持った物を矯めつ眇めつしながら言いました。
ロダの言うお金は、右手に持つ銀貨と呼ばれる物です。そして左手に平たい板を持っています。どちらもウィンブルドン伯爵が用意してくれました。
「お金は国によっても変わる事が有るけど、リファラ王国までは同じ貨幣を使ってるのよ。
そして通行証は私も持つのは初めてだけれど、一枚一枚に個人登録が施されるから自分を証明出来るの。ほら」
丸いテーブルの斜め前に座るリリが、自身の持つ通行証の窪みに指を乗せると、通行証は淡く光ってリリの顔が浮かび上がってきました。
「なるへそー。それじゃ三巳がリリの通行証使いたくても認証エラーで起動しないのかー」
三巳はスマホの指紋認証を思い浮かべて言いました。
リリはそれにコクリと頷きます。
「そういう事よ。因みにもしも無くしてしまった場合は再発行も可能だけど、とてもお金が掛かるって聞いたわ」
注意事項を述べるリリは、自国で冒険者のおじさんが嘆いていたのを思い出しました。
「そっか。じゃあ無くさない様にしないとね」
ロダは神妙に頷き、チェーンを通した通行証を首に掛けると大事に懐に仕舞いました。
三巳とリリもそれに倣います。
ネルビーは三人の懐を順に見た後に、キョトリとしました。
『リリっ、リリっ。おれには無いのか?つーこーしょー』
目をキラキラさせて尻尾をワサワサ振るネルビーに、リリは困った顔で苦笑しました。
「ごめんね。この国では動物の通行証の発行はしていないみたいなの」
『が―――ん!』
無情の事実にネルビーは顎を外してショックを受け、そしてシオシオと頽れて丸まり拗ねてしまいました。時折「ヒスッ」と物悲しい鼻息が漏れてきます。
「うーにゅぅ。リリ何とかならないのか?三巳だって動物みたいなものだけど発行して貰えたぞ?」
同情した三巳が耳をションモリ垂らしてリリを見ます。
リリは二匹の悲しみワンコな様子に胸をチクチク痛めました。
「ごめんね」
通行証の発行は然るべき機関で然るべき手順を踏んでやっと発行される物です。如何にリリが王族と言えど、他国の政治的介入は出来ません。
結果、無力な自分にリリも肩を落としてしまいました。
「よくわからないけど、動物の通行証を発行してる国も有るの?」
一人ネルビーの言葉がわからないロダが、不思議そうな顔で聞きました。
「ええ、リファラ王国はしていたのよ。他の動物も家族ですもの」
「ならリファラ王国で発行して貰うんじゃだめなの?
だって今はリファラ王国の復興が進んでいるんでしょ?」
そうです。とっても悲しい事があったリファラ王国ですが、何と他国とモンスター達の協力で今は元婚約者の国は無くなり、自由と平和を取り戻していたのです。その一連の出来事は人々に感動を与え、絵本にまでなっていたのです。
そしてその一言はネルビーに火を付けました。
『!早くリファラの巣に帰ろう!』
拗ね拗ねのグダグダから一転。シュバっと立ち上がると、尻尾を高速回転させてリリにおねだりしました。しきりに前脚を上げて興奮を露わにしています。
「ふふふっ。私も早く帰って復興のお手伝いがしたいわ」
「リファラ王国の民達もリリを探してるって言うしな」
「うん。ウィンブルドン伯爵さんが報せてくれるって言ってたけど、やっぱり会って顔が見たい」
リリは胸をキュウっと握り、潤ませた瞳で心からの微笑みを称えるのでした。
ウィンブルドン領の街のカフェで、ロダが両手に持った物を矯めつ眇めつしながら言いました。
ロダの言うお金は、右手に持つ銀貨と呼ばれる物です。そして左手に平たい板を持っています。どちらもウィンブルドン伯爵が用意してくれました。
「お金は国によっても変わる事が有るけど、リファラ王国までは同じ貨幣を使ってるのよ。
そして通行証は私も持つのは初めてだけれど、一枚一枚に個人登録が施されるから自分を証明出来るの。ほら」
丸いテーブルの斜め前に座るリリが、自身の持つ通行証の窪みに指を乗せると、通行証は淡く光ってリリの顔が浮かび上がってきました。
「なるへそー。それじゃ三巳がリリの通行証使いたくても認証エラーで起動しないのかー」
三巳はスマホの指紋認証を思い浮かべて言いました。
リリはそれにコクリと頷きます。
「そういう事よ。因みにもしも無くしてしまった場合は再発行も可能だけど、とてもお金が掛かるって聞いたわ」
注意事項を述べるリリは、自国で冒険者のおじさんが嘆いていたのを思い出しました。
「そっか。じゃあ無くさない様にしないとね」
ロダは神妙に頷き、チェーンを通した通行証を首に掛けると大事に懐に仕舞いました。
三巳とリリもそれに倣います。
ネルビーは三人の懐を順に見た後に、キョトリとしました。
『リリっ、リリっ。おれには無いのか?つーこーしょー』
目をキラキラさせて尻尾をワサワサ振るネルビーに、リリは困った顔で苦笑しました。
「ごめんね。この国では動物の通行証の発行はしていないみたいなの」
『が―――ん!』
無情の事実にネルビーは顎を外してショックを受け、そしてシオシオと頽れて丸まり拗ねてしまいました。時折「ヒスッ」と物悲しい鼻息が漏れてきます。
「うーにゅぅ。リリ何とかならないのか?三巳だって動物みたいなものだけど発行して貰えたぞ?」
同情した三巳が耳をションモリ垂らしてリリを見ます。
リリは二匹の悲しみワンコな様子に胸をチクチク痛めました。
「ごめんね」
通行証の発行は然るべき機関で然るべき手順を踏んでやっと発行される物です。如何にリリが王族と言えど、他国の政治的介入は出来ません。
結果、無力な自分にリリも肩を落としてしまいました。
「よくわからないけど、動物の通行証を発行してる国も有るの?」
一人ネルビーの言葉がわからないロダが、不思議そうな顔で聞きました。
「ええ、リファラ王国はしていたのよ。他の動物も家族ですもの」
「ならリファラ王国で発行して貰うんじゃだめなの?
だって今はリファラ王国の復興が進んでいるんでしょ?」
そうです。とっても悲しい事があったリファラ王国ですが、何と他国とモンスター達の協力で今は元婚約者の国は無くなり、自由と平和を取り戻していたのです。その一連の出来事は人々に感動を与え、絵本にまでなっていたのです。
そしてその一言はネルビーに火を付けました。
『!早くリファラの巣に帰ろう!』
拗ね拗ねのグダグダから一転。シュバっと立ち上がると、尻尾を高速回転させてリリにおねだりしました。しきりに前脚を上げて興奮を露わにしています。
「ふふふっ。私も早く帰って復興のお手伝いがしたいわ」
「リファラ王国の民達もリリを探してるって言うしな」
「うん。ウィンブルドン伯爵さんが報せてくれるって言ってたけど、やっぱり会って顔が見たい」
リリは胸をキュウっと握り、潤ませた瞳で心からの微笑みを称えるのでした。
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