獣神娘と山の民

蒼穹月

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本編

ウィンブルドン伯爵と再会

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 「やあ、良く来てくれたね」

 門を叩くその前に、門が開いて出迎えてくれる者がいました。
 ウィンブルドン伯爵本人です。
 相変わらずフットワークの軽い伯爵位の持ち主に、ダーナーはもう仕事は関係無いのに頭を抱えました。
 三巳は心の中でダーナーに同情します。フットワーク軽い上司は、親しみやすいけど心臓に悪かったりもしますよね。三巳も前世の上司を思い出して遠い目をしました。

 「さあさ、立ち話もなんだし中に入りたまえ」

 人の良い笑みで招くウィンブルドン伯爵に、三巳達は元気良く

 「「「おじゃましまーす!」」」

 と言って中に入って行きました。
 中に入るとこれまた見知った顔が出迎えの為に急足でやってくる所でした。ウィンブルドン伯爵の娘です。

 「リリ!」

 ウィンブルドン伯爵の娘は貴族令嬢らしからぬ行動でリリに思いっきり抱き付きます。

 「もう!もう!来るなら来ると知らせて下さいな!」

 再会に喜びの涙を滲ませるウィンブルドン伯爵の娘に、リリはクスリと笑みを漏らしてその涙をそっと拭いました。

 「お久し振りです、シェーナ様」

 ウィンブルドン伯爵の娘、その名はシェザンナです。
 シェザンナは命の危機を救ってくれたリリに殊の外懐いているのです。以前はまだ出歩く許可が降りず、見送りが出来なかった分、お出迎えはちゃんとしたいと思っていたのでした。

 「お久し振りですわ、リリ。
 もう、わたくしに様は要らないと申したではありませんか」

 ニコリと笑みを見せたシェザンナは、次いでプクリと頬を膨らませます。

 「ふふ、そうでしたねシェーナ」

 リリもクスリと笑みを見せて再開を喜び合います。
 そこへウィンブルドン伯爵が2人の肩にポンと手を置きました。

 「ほらほらシェーナ、リリさ、ん達も来たばかりなんだから先ずは落ち着ける場所に案内してあげなさい」

 様と言いそうになったウィンブルドン伯爵は、ギリギリ言い直して2人を促します。

 「まあ!そうですわねごめんなさい。直ぐにご案内しますわね」

 シェザンナは可愛らしく両手を口に当てて言います。
 張り切るシェザンナの先導で素敵なサロンに案内して貰った三巳達は、これまた素敵なソファで寛ぎながらリファラでの事を楽しく話すのでした。



 その日の夜。
 ウィンブルドン伯爵は執務室で悩ましく苦笑を隠しきれないでいました。

 「いやはや、報告は上がっていたが姫殿下が率先してあの愚かな国の生き残りを守っているとはな」
 「いかがなさるのですか?」

 執務室には急な知らせに駆けつけた本国の役人がいます。役人とはいえ王様の代わりに来た偉い人です。
 ウィンブルドン伯爵は約束通り、旧王国の王族を保護する為に国内外で尽力してくれていたのです。

 「ライドゥーラの国民は秘密裏に指名手配登録されていたんだがなぁ」
 「まさか被害国が率先して保護するとは思いませんしね」
 「いやはやあの国らしいと言うか……。
 すまないが陛下には各国首脳陣へ指名手配の取り消しと、既に捕らえられた者達の処遇について取り合って貰えるだろうか」
 「承ります」

 ウィンブルドン伯爵と役人は互いに居住まいを正すと、遅くまで綿密な話し合いを続けるのでした。
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