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本編
三巳のわがまま
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ジャングルを観光すること数時間。レオの迷い無い脚取りのお陰で目的地のグランが見えてきました。
ジャングルの隙間から伝わる光は水を反射して煌めきの増した光です。その事からグランは水の豊かな地である事が窺い知れます。そしてその予想は合っていました。
「珊瑚の海!」
そうです。ジャングルはコバルトブルーの海を囲む様に存在していたのです。
ジャングルと海とを繋ぐのは砂漠とは違う白くてサラサラとした砂浜です。目の良い三巳はその砂がなんなのかちゃんとわかっていました。
「星の砂!」
そうです。白い砂浜の正体は大量の星の砂だったのです。勿論本物の星が砂になっている訳ではありません。某お土産コーナーに良く売られているあの星の砂です。
その砂浜から一本の砂の道が伸びていて、その先に大きな島がありました。島にはオレンジ色と象牙色のチェック柄の屋根のお洒落な家屋が建ち並んでいます。島の低い所から高い所まで家が建ち、それを繋ぐ道も家と同じ象牙色で整備されていて、まるで一つの絵画の様です。
「海外旅行!凄い!三巳凄い!南の国なんだよ!アロハなんだよ!ココナッツジュースあるかな!?」
三巳はレオの背中の上でぽよんぽよんと腰を浮かせては沈めて、とっても大興奮なのは誰がみても一目瞭然です。
その下のレオはその揺れにもビクともしない安定感で歩を進めています。
「ラオ君!ラオ君!アロハ!アロハなんだよ!」
『そうかい。そりゃ良かったな』
クツクツと男っぽく格好良い笑いを浮かべるレオに、三巳はハッと我に返りました。
(ラオ君かっちょいー。なのに三巳は大人なのに子供っぽかったんだよ)
頬をちょっぴし染めてスンとお澄まし顔を作ります。良く見ると白い耳もピンクに見えますが、レオは前を向いていて見えないから恥ずかしがっている顔は誰にもわかりません。
レオは急に大人しくなった三巳を不思議に思いました。
『どうした?』
「み、三巳は大人なんだよっ。はしゃがず騒がずクールなかっちょいー大人なんだよっ」
今更言っても遅いですが三巳は本気です。
レオはきょをつかれた顔をして、そしてふっと大人の笑みを浮かべました。
『そうだな』
実際見た目は子供でも神界では成人には達している。筈。なので大人なのです。多分。そうは見えませんが。
『それじゃあ大人の三巳さんよ、とばすからしっかり掴まってろよ』
「うにゅっぅおお!?」
大人っぽい顔を作って頷きかけた三巳ですが、言葉の終わりと共に数段速くなったレオに海老反りしかけて慌てて背中に掴まりました。
しっかり掴まった事を確認したレオは更に速度を速めます。そしてあっという間にグランの入り口が遠目に見える所まで来ました。そしてその場に止まりました。
「んにゅ?ラオ君?どーしたんだ?」
『俺はここ迄だ。こっから先は人族の領分だからな』
リファラと違って人の国にモンスターは入れません。でもすっかり懐いてしまった三巳はそれがとても寂しくて辛く思いました。
「ぬー……何だか嫌ーなんだよ。三巳はラオ君と離れるの嫌ーなんだよ。ラオ君も一緒に入れないのか?」
『あのなぁ。そう言ってくれんのは嬉しいけどよ、いくら神といえどモンスターを連れて行けば警戒されるぜ。現に人族ではなくモンスターを保護する神もいるんだからな』
「ぬぬー……。ラオ君はつおくてかっちょいくて良ー奴なのにー」
三巳は納得がいきませんが言いたい事は伝わっています。お口を尖らせてブーブー言ってはいますが、弱々しくも首を縦に振りました。しかしそこでハッとします。
「ラオ君が人族に見えたら大丈夫か!?」
『あ?あー、それだけじゃダメだな。気配も隠さないと』
以前妖精の世界でリリ達も一緒に小人に変身した事を思い出して気持ちが浮上した三巳でしたが、バッサリ切られてしょもしょもしょもんと耳と尻尾と視線をしおしおのしわしわに垂れ下げてしまいました。
レオは今にも泣きそうに下唇を噛む三巳を見て、う゛っと罪悪感を滲ませます。目をキュッと瞑って己の葛藤と戦ったレオは「は~」と長い溜息を吐いてから三巳の頭にモシリと前脚を乗せました。
「まあ、俺は出来るけどな」
脳ではなく、耳に聞こえた人の声。
三巳は頭に乗っていた獣の脚が違うものに変わっている事に気付いて目をパチクリさせます。そしてソロソロと上げた視線の先にはとっても格好良い青年がいたのでした。
ジャングルの隙間から伝わる光は水を反射して煌めきの増した光です。その事からグランは水の豊かな地である事が窺い知れます。そしてその予想は合っていました。
「珊瑚の海!」
そうです。ジャングルはコバルトブルーの海を囲む様に存在していたのです。
ジャングルと海とを繋ぐのは砂漠とは違う白くてサラサラとした砂浜です。目の良い三巳はその砂がなんなのかちゃんとわかっていました。
「星の砂!」
そうです。白い砂浜の正体は大量の星の砂だったのです。勿論本物の星が砂になっている訳ではありません。某お土産コーナーに良く売られているあの星の砂です。
その砂浜から一本の砂の道が伸びていて、その先に大きな島がありました。島にはオレンジ色と象牙色のチェック柄の屋根のお洒落な家屋が建ち並んでいます。島の低い所から高い所まで家が建ち、それを繋ぐ道も家と同じ象牙色で整備されていて、まるで一つの絵画の様です。
「海外旅行!凄い!三巳凄い!南の国なんだよ!アロハなんだよ!ココナッツジュースあるかな!?」
三巳はレオの背中の上でぽよんぽよんと腰を浮かせては沈めて、とっても大興奮なのは誰がみても一目瞭然です。
その下のレオはその揺れにもビクともしない安定感で歩を進めています。
「ラオ君!ラオ君!アロハ!アロハなんだよ!」
『そうかい。そりゃ良かったな』
クツクツと男っぽく格好良い笑いを浮かべるレオに、三巳はハッと我に返りました。
(ラオ君かっちょいー。なのに三巳は大人なのに子供っぽかったんだよ)
頬をちょっぴし染めてスンとお澄まし顔を作ります。良く見ると白い耳もピンクに見えますが、レオは前を向いていて見えないから恥ずかしがっている顔は誰にもわかりません。
レオは急に大人しくなった三巳を不思議に思いました。
『どうした?』
「み、三巳は大人なんだよっ。はしゃがず騒がずクールなかっちょいー大人なんだよっ」
今更言っても遅いですが三巳は本気です。
レオはきょをつかれた顔をして、そしてふっと大人の笑みを浮かべました。
『そうだな』
実際見た目は子供でも神界では成人には達している。筈。なので大人なのです。多分。そうは見えませんが。
『それじゃあ大人の三巳さんよ、とばすからしっかり掴まってろよ』
「うにゅっぅおお!?」
大人っぽい顔を作って頷きかけた三巳ですが、言葉の終わりと共に数段速くなったレオに海老反りしかけて慌てて背中に掴まりました。
しっかり掴まった事を確認したレオは更に速度を速めます。そしてあっという間にグランの入り口が遠目に見える所まで来ました。そしてその場に止まりました。
「んにゅ?ラオ君?どーしたんだ?」
『俺はここ迄だ。こっから先は人族の領分だからな』
リファラと違って人の国にモンスターは入れません。でもすっかり懐いてしまった三巳はそれがとても寂しくて辛く思いました。
「ぬー……何だか嫌ーなんだよ。三巳はラオ君と離れるの嫌ーなんだよ。ラオ君も一緒に入れないのか?」
『あのなぁ。そう言ってくれんのは嬉しいけどよ、いくら神といえどモンスターを連れて行けば警戒されるぜ。現に人族ではなくモンスターを保護する神もいるんだからな』
「ぬぬー……。ラオ君はつおくてかっちょいくて良ー奴なのにー」
三巳は納得がいきませんが言いたい事は伝わっています。お口を尖らせてブーブー言ってはいますが、弱々しくも首を縦に振りました。しかしそこでハッとします。
「ラオ君が人族に見えたら大丈夫か!?」
『あ?あー、それだけじゃダメだな。気配も隠さないと』
以前妖精の世界でリリ達も一緒に小人に変身した事を思い出して気持ちが浮上した三巳でしたが、バッサリ切られてしょもしょもしょもんと耳と尻尾と視線をしおしおのしわしわに垂れ下げてしまいました。
レオは今にも泣きそうに下唇を噛む三巳を見て、う゛っと罪悪感を滲ませます。目をキュッと瞑って己の葛藤と戦ったレオは「は~」と長い溜息を吐いてから三巳の頭にモシリと前脚を乗せました。
「まあ、俺は出来るけどな」
脳ではなく、耳に聞こえた人の声。
三巳は頭に乗っていた獣の脚が違うものに変わっている事に気付いて目をパチクリさせます。そしてソロソロと上げた視線の先にはとっても格好良い青年がいたのでした。
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