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本編
紅葉散策
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山全体が赤と黄色に彩られる時期になりました。
三巳はクロに作って貰った服を着て山を散策しています。
「もみじにイチョウ、カエデ。皆綺麗に色付いたんだよ」
時折ジャリっと音を立てるのは、今歩いているのが人工の道だからです。
あれから何度かの台風をやり過ごし、道はほぼ完成に近付いていました。もっ君で作った安全柵が道を立派に見せてくれています。
大鬼が余裕で通れる位には広くしているからか、今では動物やモンスターも休憩場所として利用しています。そんな彼等のためにロウ村長は水飲み場も作ってくれました。
三巳は有り難く水飲み場の水を飲んでいます。
「うぬ。山の湧水はうまーなんだよ」
とても良い勢いでゴクゴク飲んで、プハーッと息を吐き出した後の一声です。
一緒に飲んでいた動物やモンスター達もそれを見て真似をしていました。そうすると何だかいつもより美味しく感じられる気がしなくもありません。
「お。休憩小屋発見♪こんな形になったのかー」
砂利道を歩きつつ紅葉を楽しんでいると小屋が見えてきました。道と同じく大鬼なら座れば入れる位の大きさの小屋です。一見入り口は一つしか有りませんが、よく見れば他にも有りました。
人間用の扉の下には小動物用の出入り口が、そして人間用の扉より大き目の扉が2段階で有ります。全て同じ面に4段階分の扉が有ったのです。
『これなら次の台風シーズンには小動物達も雨風を凌げるなー』
三巳は小狼の姿になると、小さい入り口から出入りして嬉しそうに尻尾を振りました。
一緒に紅葉を楽しんでいた動物やモンスター達も面白がって何度も出入りしています。小屋の中を探検していた小動物達は、中に温かな綿布団を見つけて嬉しそうに鳴きました。
『うぬ。これは皆にもって作ってくれたんだよ』
「がう!?」
「きぃきぃっ」
「んなぁ」
三巳が教えてあげると動物もモンスターも山の民に感謝します。
三巳はそれをうんうん頷いて聞き、
『気持ちはちゃんと届けるからな』
と前脚で胸を叩いて請け負いました。
それに安心した動物やモンスター達はお気に入りの綿布団を見つけて微睡み始めました。寒い空気に暖かい布団が心地良いです。
三巳はニッコリ笑みを深めるとそっと小屋から出て行きます。
体の小さい子達ばかりとはいえ、流石に皆が皆寝始めると場所が狭くなったのです。
『おやすみー』
小声で言って扉を閉めるとパッと人型に戻ります。
1人になった三巳は鼻歌混じりに紅葉散策を続けました。
「もっ君お家になってこんにちは♪みんなの帰る家暖かい♪お道の左右に手を広げ♪あったかハウスを守ってる♪」
鼻歌から徐々に調子は乗っていき、気付いたら大きな声で歌っていました。
その歌声に引き寄せられてまたまた動物やモンスター達が集まって来ます。中にはもっ君と同じ樹木人もいます。
「およ?およよ?若木な樹木人なんだよ」
中でも目を引くのは大きな葉っぱが2つの小さな樹木人です。お顔はどこかあどけなさを感じます。
それが大きな樹木人に背中を押されて三巳の前へとやって来ました。
「ぉぉ……ぉぉぉ」
口から音を漏らすと三巳は両目を大きく開けました。
「もっ君の挿し木!」
そうです。三巳が驚いたのはその子がもっ君の挿し木で増えた子だったからです。
三巳は鼻を近づけてフンスフンスと匂いを確認します。
(心はもっ君とは違う。でも優しい気持ちは一緒なんだよ)
「葉っぱが黄色く紅葉してる。じゃあ君はきぃ君。ゆっくり大きく育つんだよ」
そう言ってきぃ君の頭らしき枝と枝の間を撫でると、きぃ君は心地良さそうに葉っぱを揺らしました。
「そいえば改めて見ると樹木人も色んな種類がいるんだなー。紅葉してる子もしてない子もいる。紅葉してる子は落葉樹なのかな?」
きぃ君を撫でて愛でながら周りを見れば、色取り取りの木々に囲まれているのに気が付きます。更に葉っぱを良く見て目が和みました。
「イチョウも松も栗の木も、あ!りんごの木!え?食べれるのか?それ」
三巳が視線を向けた先にはたわわに実るりんごを身に纏う樹木人がいます。
りんごの樹木人は小首を傾げる三巳に自ら実をもいで渡しました。そして食べてとジェスチャーします。
「うぬ。いただきます」
さっさく口に含むとシャリッと良い音が出ます。
口の中に転がった実はジュワリと蜜が広がり濃厚なジュースとなって楽しませてくれます。
三巳はその美味しさに痺れる様に尻尾と耳を震わせました。味を噛み締めようと目も瞑っています。
一心不乱に一個を食べ切ると「はふ―――」と長い息を吐きました。
「優しい味がしてとっても美味しかったんだよ」
三巳の心からの声に、りんごの樹木人は目を細めて照れるのでした。
その後褒められたりんごの樹木人が羨ましくなった実の付く樹木人達によって食べ放題となった三巳は、
「秋は色気より食い気なんだよ」
とパンパンに腫らしたお腹を撫でて言葉を漏らすのでした。
三巳はクロに作って貰った服を着て山を散策しています。
「もみじにイチョウ、カエデ。皆綺麗に色付いたんだよ」
時折ジャリっと音を立てるのは、今歩いているのが人工の道だからです。
あれから何度かの台風をやり過ごし、道はほぼ完成に近付いていました。もっ君で作った安全柵が道を立派に見せてくれています。
大鬼が余裕で通れる位には広くしているからか、今では動物やモンスターも休憩場所として利用しています。そんな彼等のためにロウ村長は水飲み場も作ってくれました。
三巳は有り難く水飲み場の水を飲んでいます。
「うぬ。山の湧水はうまーなんだよ」
とても良い勢いでゴクゴク飲んで、プハーッと息を吐き出した後の一声です。
一緒に飲んでいた動物やモンスター達もそれを見て真似をしていました。そうすると何だかいつもより美味しく感じられる気がしなくもありません。
「お。休憩小屋発見♪こんな形になったのかー」
砂利道を歩きつつ紅葉を楽しんでいると小屋が見えてきました。道と同じく大鬼なら座れば入れる位の大きさの小屋です。一見入り口は一つしか有りませんが、よく見れば他にも有りました。
人間用の扉の下には小動物用の出入り口が、そして人間用の扉より大き目の扉が2段階で有ります。全て同じ面に4段階分の扉が有ったのです。
『これなら次の台風シーズンには小動物達も雨風を凌げるなー』
三巳は小狼の姿になると、小さい入り口から出入りして嬉しそうに尻尾を振りました。
一緒に紅葉を楽しんでいた動物やモンスター達も面白がって何度も出入りしています。小屋の中を探検していた小動物達は、中に温かな綿布団を見つけて嬉しそうに鳴きました。
『うぬ。これは皆にもって作ってくれたんだよ』
「がう!?」
「きぃきぃっ」
「んなぁ」
三巳が教えてあげると動物もモンスターも山の民に感謝します。
三巳はそれをうんうん頷いて聞き、
『気持ちはちゃんと届けるからな』
と前脚で胸を叩いて請け負いました。
それに安心した動物やモンスター達はお気に入りの綿布団を見つけて微睡み始めました。寒い空気に暖かい布団が心地良いです。
三巳はニッコリ笑みを深めるとそっと小屋から出て行きます。
体の小さい子達ばかりとはいえ、流石に皆が皆寝始めると場所が狭くなったのです。
『おやすみー』
小声で言って扉を閉めるとパッと人型に戻ります。
1人になった三巳は鼻歌混じりに紅葉散策を続けました。
「もっ君お家になってこんにちは♪みんなの帰る家暖かい♪お道の左右に手を広げ♪あったかハウスを守ってる♪」
鼻歌から徐々に調子は乗っていき、気付いたら大きな声で歌っていました。
その歌声に引き寄せられてまたまた動物やモンスター達が集まって来ます。中にはもっ君と同じ樹木人もいます。
「およ?およよ?若木な樹木人なんだよ」
中でも目を引くのは大きな葉っぱが2つの小さな樹木人です。お顔はどこかあどけなさを感じます。
それが大きな樹木人に背中を押されて三巳の前へとやって来ました。
「ぉぉ……ぉぉぉ」
口から音を漏らすと三巳は両目を大きく開けました。
「もっ君の挿し木!」
そうです。三巳が驚いたのはその子がもっ君の挿し木で増えた子だったからです。
三巳は鼻を近づけてフンスフンスと匂いを確認します。
(心はもっ君とは違う。でも優しい気持ちは一緒なんだよ)
「葉っぱが黄色く紅葉してる。じゃあ君はきぃ君。ゆっくり大きく育つんだよ」
そう言ってきぃ君の頭らしき枝と枝の間を撫でると、きぃ君は心地良さそうに葉っぱを揺らしました。
「そいえば改めて見ると樹木人も色んな種類がいるんだなー。紅葉してる子もしてない子もいる。紅葉してる子は落葉樹なのかな?」
きぃ君を撫でて愛でながら周りを見れば、色取り取りの木々に囲まれているのに気が付きます。更に葉っぱを良く見て目が和みました。
「イチョウも松も栗の木も、あ!りんごの木!え?食べれるのか?それ」
三巳が視線を向けた先にはたわわに実るりんごを身に纏う樹木人がいます。
りんごの樹木人は小首を傾げる三巳に自ら実をもいで渡しました。そして食べてとジェスチャーします。
「うぬ。いただきます」
さっさく口に含むとシャリッと良い音が出ます。
口の中に転がった実はジュワリと蜜が広がり濃厚なジュースとなって楽しませてくれます。
三巳はその美味しさに痺れる様に尻尾と耳を震わせました。味を噛み締めようと目も瞑っています。
一心不乱に一個を食べ切ると「はふ―――」と長い息を吐きました。
「優しい味がしてとっても美味しかったんだよ」
三巳の心からの声に、りんごの樹木人は目を細めて照れるのでした。
その後褒められたりんごの樹木人が羨ましくなった実の付く樹木人達によって食べ放題となった三巳は、
「秋は色気より食い気なんだよ」
とパンパンに腫らしたお腹を撫でて言葉を漏らすのでした。
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