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本編
夏と山の民と新山の民
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みーんみんみんみんみん!
夏の風物詩が連日聞こえています。山では珍しく暑さ厳しい日が続いていました。
「今年は雨が少なくて例年より暑いな」
「俺達はこういう年にも慣れてるが、移住して来た人達が辛そうだぜ」
「ロキ医師とリリが頻繁に訪問診療してるが」
「薬や魔法に頼ってちゃ体が作られないってんで、様子見ながら処方してるんだってよ」
「あの人数をか?そりゃ大変だ」
山の民はとっても丈夫で病気知らずです。今までの診療所はあると安心程度の存在でした。それがここに来て都会っ子な人達の診療で毎日大忙しなのです。
「ああ、ほら噂すりゃ」
暑くたって毎日元気に農業に勤しむ人達の前を、リリが忙しそうに駆けて行きました。ロキ医師とは別行動の様です。代わりにネルビーがお供をしていました。
「俺達にも出来ることあるかな」
「たしかミクスが夏バテ予防パンを作ってたぞ」
「お、それなら俺はレオから水分と果物取らせとけって聞いたぜ」
そこまで話して山の民達は視線を合わすと頷きます。
「たしかキュウリとスイカは体を冷やしたな」
今居るのは茄子の畑です。山の民達は一斉にキュウリとスイカの元へとばらけて行きました。
山でもロダが同じ話をしています。皆新しい仲間が心配なのです。
「リリも頑張っているから僕も助けになりたくて」
ロダが道を塞ぐ太い草を剣でザックザックと切り裂き進みながら言います。
「解るけど、聞くと食欲が出ないって話なのよ」
その後ろをミナミが続いて歩き、心配そうに眉根を寄せて返します。
「そりゃ心配だな。食べなきゃ力も出ない」
最後尾をロイドが続き、周囲を警戒しながら言います。最近はモンスターが山の民を襲う事は殆ど無くなりました。けれどもお腹を空かせている時はその限りでは無いので油断は出来ません。
「食欲無いって経験が無いから何なら食べれるか解らないのよね」
「俺達は風邪すら滅多に引かないしな」
ミナミが考え込むように腕を組み、ロイドを見上げます。
ロイドは視線を感じてミナミを見て頷きました。
ロダも草を切る手を止めてミナミとロイドに振り返ります。そして一緒になって考え込みました。それ程食べられないという現象が解らないのです。
「何が食べやすいと思う?」
「さてな、ふむ。脂っこいのは駄目じゃないか?年を取ると胃に来るらしい」
「ええ?じゃあ唐揚げも焼肉も駄目ってこと?魚なら大丈夫かしら」
「どうかな。少しは食べた方が良いってリリもロキ医師も言ってたけど」
「少しかぁ。ミクスが作ったケバブなら丁度良い量かもね。今は食べやすいように改良を重ねてるって言ってたわよ」
「なら僕はケバブみたいに少量でも栄養価が高く、且つ脂っこく無くてあっさりした肉を探してみようかな」
「あら、それなら丁度山に出てるんだし、一緒に探しましょうよ」
「うん。それじゃあ宜しく。ロイドもそれで良い?」
「勿論良いさ」
という訳でロダ達は警備兼肉探しを始めました。
話を聞いていた山の動物達は身の危険を感じて一斉にロダ達から逃げ去ったので、あっさり肉を手にするのは至難の技でしょう。
ロイドが視線を配り、ミナミが魔法で動く生き物を探索し、ロダが気配を探ります。物音を立てない様に剣もしまいます。
3人が視線を合わせ、近くには居ないと首を横に振って意思疎通をします。そして先頭のロダが指で行く方向を示し、ミナミとロイドが首を縦に振って了承を伝え、更にロダが示した指でGOサインを出しました。
音を極力立てない為にか、太い木の枝を足場に山を駆け巡ります。
本気を出したロダ達に、山の動物達は戦々恐々と逃げ隠れています。
気配を殺し、尾っぽが出てしまう子供達を抑えて隠し、嵐が過ぎ去るのを待つのです。
そんな中、モンスター達は自分は大丈夫と高を括って観戦していました。
「モンスターなら運動量が凄いし、脂少ないんじゃないか?」というロイドのジェスチャーを見るまでは。
『マジかよ!くそっこっち来るぞ!』
ロダの強さはロウ村長のヤバさに次いで知れ渡っています。
モンスター達は獲物を狙う目を向けたロダに鳥肌を立てて臨戦体制を取ります。強さで敵わない者は動物達同様に逃げました。
『ロダは穏健派だろ!?』
『バッカ!リリが絡んだ時はそうでもねえんだよ!俺達もだけど!』
『え?リリ困ってんの?』
『さあ?けど毎日忙しそうだぞ』
リリが絡んでいると聞いてモンスター達は臨戦体制を解きます。そしてわかり易く手を振りました。
「あれ?何だろ」
ロダもそれに気付いて戦意を解いて近寄ります。後方支援のミナミとロイドはその場で待機です。
「何?って言っても僕言葉わからないんだけど」
モンスターも言葉が通じ無い事は百も承知です。その場でジェスチャーを始めました。
ミナミはそれを見ても、何を言っているのかさっぱり理解出来ません。胡乱な目をしています。
「シュールな光景ね。ロイドはわかった?」
「いや、尻尾を切って、戻す。か?」
ロイドは尻尾を切るジェスチャーだけは解ったようです。
ミナミはそれになる程と頷いてロダがどう出るか楽しそうに見守ります。
ロダはモンスターの動きを真剣に見て頷いていました。
「リリの為に何かしたい気持ちは一緒だね」
「え?そうなの?」
真剣な顔で断言をするロダにミナミは思わずポカンとしてモンスターを見ます。するとモンスターも真剣な顔……いえ、判別は出来ませんが雰囲気的にそうかなと見える顔で頷き返していました。しかも器用に指をgood!の形にしています。
先程のジェスチャーは訳するとこうです。
『リリ。助ける。を手伝う。俺、尻尾切る。また生える。いるか?』
「わかるかぁ!」
訳を聞いたミナミが思わず叫びました。
それはそうでしょう。どうやっても個人を特定出来るジェスチャーには見えなかったですからね。
「リリが絡んだロダは無敵だな」
冷静に分析したロイドは安全そうだと確信し、ミナミを促しロダの元へ行きます。
ロダも貰ったトカゲ型モンスターの尻尾を手にして安堵の笑みを浮かべています。
「彼は筋肉質だから脂身も少なそうだし、さっぱりしていて食べやすそうだね」
『よせやい照れるぜ』
鼻を擦るトカゲモンスターに、ミナミは何とも言え無い顔をするのでした。
夏の風物詩が連日聞こえています。山では珍しく暑さ厳しい日が続いていました。
「今年は雨が少なくて例年より暑いな」
「俺達はこういう年にも慣れてるが、移住して来た人達が辛そうだぜ」
「ロキ医師とリリが頻繁に訪問診療してるが」
「薬や魔法に頼ってちゃ体が作られないってんで、様子見ながら処方してるんだってよ」
「あの人数をか?そりゃ大変だ」
山の民はとっても丈夫で病気知らずです。今までの診療所はあると安心程度の存在でした。それがここに来て都会っ子な人達の診療で毎日大忙しなのです。
「ああ、ほら噂すりゃ」
暑くたって毎日元気に農業に勤しむ人達の前を、リリが忙しそうに駆けて行きました。ロキ医師とは別行動の様です。代わりにネルビーがお供をしていました。
「俺達にも出来ることあるかな」
「たしかミクスが夏バテ予防パンを作ってたぞ」
「お、それなら俺はレオから水分と果物取らせとけって聞いたぜ」
そこまで話して山の民達は視線を合わすと頷きます。
「たしかキュウリとスイカは体を冷やしたな」
今居るのは茄子の畑です。山の民達は一斉にキュウリとスイカの元へとばらけて行きました。
山でもロダが同じ話をしています。皆新しい仲間が心配なのです。
「リリも頑張っているから僕も助けになりたくて」
ロダが道を塞ぐ太い草を剣でザックザックと切り裂き進みながら言います。
「解るけど、聞くと食欲が出ないって話なのよ」
その後ろをミナミが続いて歩き、心配そうに眉根を寄せて返します。
「そりゃ心配だな。食べなきゃ力も出ない」
最後尾をロイドが続き、周囲を警戒しながら言います。最近はモンスターが山の民を襲う事は殆ど無くなりました。けれどもお腹を空かせている時はその限りでは無いので油断は出来ません。
「食欲無いって経験が無いから何なら食べれるか解らないのよね」
「俺達は風邪すら滅多に引かないしな」
ミナミが考え込むように腕を組み、ロイドを見上げます。
ロイドは視線を感じてミナミを見て頷きました。
ロダも草を切る手を止めてミナミとロイドに振り返ります。そして一緒になって考え込みました。それ程食べられないという現象が解らないのです。
「何が食べやすいと思う?」
「さてな、ふむ。脂っこいのは駄目じゃないか?年を取ると胃に来るらしい」
「ええ?じゃあ唐揚げも焼肉も駄目ってこと?魚なら大丈夫かしら」
「どうかな。少しは食べた方が良いってリリもロキ医師も言ってたけど」
「少しかぁ。ミクスが作ったケバブなら丁度良い量かもね。今は食べやすいように改良を重ねてるって言ってたわよ」
「なら僕はケバブみたいに少量でも栄養価が高く、且つ脂っこく無くてあっさりした肉を探してみようかな」
「あら、それなら丁度山に出てるんだし、一緒に探しましょうよ」
「うん。それじゃあ宜しく。ロイドもそれで良い?」
「勿論良いさ」
という訳でロダ達は警備兼肉探しを始めました。
話を聞いていた山の動物達は身の危険を感じて一斉にロダ達から逃げ去ったので、あっさり肉を手にするのは至難の技でしょう。
ロイドが視線を配り、ミナミが魔法で動く生き物を探索し、ロダが気配を探ります。物音を立てない様に剣もしまいます。
3人が視線を合わせ、近くには居ないと首を横に振って意思疎通をします。そして先頭のロダが指で行く方向を示し、ミナミとロイドが首を縦に振って了承を伝え、更にロダが示した指でGOサインを出しました。
音を極力立てない為にか、太い木の枝を足場に山を駆け巡ります。
本気を出したロダ達に、山の動物達は戦々恐々と逃げ隠れています。
気配を殺し、尾っぽが出てしまう子供達を抑えて隠し、嵐が過ぎ去るのを待つのです。
そんな中、モンスター達は自分は大丈夫と高を括って観戦していました。
「モンスターなら運動量が凄いし、脂少ないんじゃないか?」というロイドのジェスチャーを見るまでは。
『マジかよ!くそっこっち来るぞ!』
ロダの強さはロウ村長のヤバさに次いで知れ渡っています。
モンスター達は獲物を狙う目を向けたロダに鳥肌を立てて臨戦体制を取ります。強さで敵わない者は動物達同様に逃げました。
『ロダは穏健派だろ!?』
『バッカ!リリが絡んだ時はそうでもねえんだよ!俺達もだけど!』
『え?リリ困ってんの?』
『さあ?けど毎日忙しそうだぞ』
リリが絡んでいると聞いてモンスター達は臨戦体制を解きます。そしてわかり易く手を振りました。
「あれ?何だろ」
ロダもそれに気付いて戦意を解いて近寄ります。後方支援のミナミとロイドはその場で待機です。
「何?って言っても僕言葉わからないんだけど」
モンスターも言葉が通じ無い事は百も承知です。その場でジェスチャーを始めました。
ミナミはそれを見ても、何を言っているのかさっぱり理解出来ません。胡乱な目をしています。
「シュールな光景ね。ロイドはわかった?」
「いや、尻尾を切って、戻す。か?」
ロイドは尻尾を切るジェスチャーだけは解ったようです。
ミナミはそれになる程と頷いてロダがどう出るか楽しそうに見守ります。
ロダはモンスターの動きを真剣に見て頷いていました。
「リリの為に何かしたい気持ちは一緒だね」
「え?そうなの?」
真剣な顔で断言をするロダにミナミは思わずポカンとしてモンスターを見ます。するとモンスターも真剣な顔……いえ、判別は出来ませんが雰囲気的にそうかなと見える顔で頷き返していました。しかも器用に指をgood!の形にしています。
先程のジェスチャーは訳するとこうです。
『リリ。助ける。を手伝う。俺、尻尾切る。また生える。いるか?』
「わかるかぁ!」
訳を聞いたミナミが思わず叫びました。
それはそうでしょう。どうやっても個人を特定出来るジェスチャーには見えなかったですからね。
「リリが絡んだロダは無敵だな」
冷静に分析したロイドは安全そうだと確信し、ミナミを促しロダの元へ行きます。
ロダも貰ったトカゲ型モンスターの尻尾を手にして安堵の笑みを浮かべています。
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