旅への手順

蒼穹月

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第2歩旅立つためには

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ずがああああん!

「!な、何⁉」
夢でお花畑と遊んでいた僕は、突然の騒音と、振動で飛び起きた。
「どうやら、結界が解けたみたいね」
一緒に飛び起きたティルが冷静に言う。
「そんな冷静に!」
アークさんが食って掛かる。頭がぼんばーしているとこ見ると良く眠れてたみたい。
「この広さに人間の力だ。いつ解けてもおかしくは無かった。むしろ良く持った方だ」
ライ君が更に冷静に言う。しかも優雅にお茶飲んでる。僕も欲しい。
そして、ルック君は早々とニック君に乗ってお空の上。ズルイ。
「そうだけど、つまり魔物がいっぱい来るって事でしょう⁉そんな冷静に!」
アークさんはパニック状態だ。
「落着いて!アーク君!」
僕はアークさんに呼びかける。
「これが落着けるか!
・・・・・・ていうか」
アークさんは、僕を見て動きを止める。
ティルがアークさんにハリセンを渡す。
「あんたが落着け!」
バシッとアークさんに叩かれた。
痛い。アークさんてば馬鹿力なんだもん。思いっきりやるし。
「何で叩くのさぁ!」
涙目で訴える僕のもっともな意見に、
「自分の様子を良く見なさい」
とティルが言う。
気付くと僕は、リアさんを乗せて馬になって物陰にいた。
これなら言われちゃうよね。アハハ(汗)。
横でライ君が、「こういう時に使えるな、アーク」と呟いているのが聞こえた。
ヒドイ。ライ君 (泣) 。
「取り敢えず、被害状況、魔物の位置、精神状態の確認。ですね」
リアさんが僕から降りて、コホンと咳をしてから、ティルを見て言った。
埃っぽいから喉やられちゃったのかな?
「喉痛いならうがいした方がいいよ」
「いえ。今のは、只の咳払いですから」
ニッコリ微笑んで、丁寧に言ってくれた。
ティルとは大違いで、優しい女の人だなぁ。
ちょっと、頬に熱を感じながら、ティルの言葉を待った。
「ええ、そうね。
リア。貴方が振り分けて頂戴」
「はい。
それでは、被害状況にアーク、ライさん。
魔物の位置には、ルックさん。
魔物の精神状態には、トニーさんとティルさん、お願いします。
私は、街の人達の状況確認します」
「け。こいつとかよ。面倒くせーなー」
ライ君がぶつぶつ言いながら、駆け出した。
アークさんじゃ役に立ちそうに無いけど、他に人手が無いんだから仕方が無いよ。
「それは、こっちの台詞だ!です!
温室育ちがどこまで出来るのか!です!」
言いながらも、ライ君を追い抜く位の勢いで駆け出した。
微妙な言葉遣いになるのは、ライ君相手じゃ仕方ないだろう。王子に見えない王子だし。
でも、ライ君なら安心だよ。見る目は凄く良いんだ。小さい頃から色々見てきた成果なんだって。何を見たのかは、結局教えてくれずじまいだけど。
「・・・」
ルック君は何も言わずにいつの間にか魔物の方に向かっている。
「それじゃあ、そっちは任せたわ。
行くわよ!トニー!」
「うん!」
ルック君の後を追う形で、僕達も飛んだ。
外に出て、先ず目に入るのは次々に崩れ落ちる建物。耳には、建物の崩れる騒音。消火した跡で、やや焦げ臭くはあるものの、水で濡れている御蔭か、砂埃で状況が見えないという事態は免れた。
ふと、ルック君が止まった。
下には、魔物の群れ。どんどん、街の中心に向かって進んでいっている。
「もうここまで来てる。街の面影、中心しかないね」
「ええ。予想よりちょっと早いわね」
言って、魔物に近づく。
けど、魔物に気付かれて火を吹かれた。
「大激怒。御乱心。で、精神状況は決まりだね」
「ええ。時間が無い。戻るわよ」
僕達は、ルック君を残し、領主の館に最速で戻った。
「ティルさん!どうでした?」
「最悪ね。作戦。変更した方が良さそう」
ねえ。何で僕に聞かないの?
言いたいけど僕の口挟む余裕無く、二人は口早に相談を始める。
ある程度話もまとまり始めた頃、ライ君達が戻ってきた。
「そっちも状況悪そうだな」
「うん。その様子じゃそっちも芳しく無さそうだね」
「ああ、今は目に見えて酷いトコはねえが。長期に渡って火の近くにあったからな。
それに、さっきの振動で支柱が何本かいかれてやがる」
「僕にはどこが駄目なのかさっぱりでしたが」
素人目には分からなくても、ライ君が言うんだから間違いなぁ。そういうので間違った事無いから。
「そう。
なら決まりね。リア」
「ええ。
皆さん!聞いてください!
魔物を何とかする時間はありません。先ず、貴方方を非難させます!」
周りからどよめきが沸き起こる。
「街を捨てろと言うのか!」
市民Aさんが、怒声を混ぜていった。
「ふざけるなぁー!」
「そうだ!誰が捨てるか!」
Aさんに触発されて、次々に怒声が沸く。
「死にたいならどうぞ。魔物を怒らせたのは、貴方達の自業自得ですから。そこまで面倒見切れません」
り・リアさんが言い切った・・・。百害あってーとか言ってたのに。リアさん、物分りいいなぁ。リアさん独りなら、旅出ても全然オッケー!素質あるかも!後でアークさん置いてく事を提案しよう。
「只、これだけは頭に入れて下さい。
街を捨てろというのではありません。
一度非難して、街に平穏が戻ったら、再建して下さい。みなさんが死んでしまっては、街も死にます。皆さんが生きてさえいれば、街は何度でも蘇ります。その勢いで、村を国にまで発展させた所もあると聞きます」
市民の話し合う声が聞こえてくる。
この期に及んで怒声振り撒く者もいれば、納得する者、決め兼ねている者、様々だ。
「どうするかは、皆さんで決めて下さい。
生き残る決心をした方は此方へ、簡易地下避難道を魔法で作ります。手伝って下さい」
怒声振りまく人意外、集まる。因みに、領主と取り巻きさん達は怒声振りまく側だ。
「そんじゃ、俺等はルックん所行くぞ」
ライ君が僕とティルに耳打ちした。
「ルック君手伝うの?」
ずごん!
「声デカイ(怒)」
ず、頭突きされた。しかも、恐い顔近くて、猶恐いよぅ。しくしく(泣)。
「なんなのさぁ」
ライ君恐いから、僕も耳打ちする。
「取り敢えずは、時間稼ぎ位してやる」
ふんふん。じゃぁ、やっぱり手伝うんだ。
納得する僕に、更にズイッと寄って、より小声で話す。
「但し、危なくなったら、見捨てて逃げる」
「うん。
・・・って。
ええええええええええ⁉」
「だからっ!」
どずごん!
「デカイ!」
思いっきり頭のてっぺん殴られた。
一瞬星が見えた気がする・・・(泣)。
「思いっきり目立っちまったじゃねぇか」
言われて視線に気づいてみると、僕達は注目の的だった。
「ライ君が思いっきり殴るからぁ」
口を尖らせて文句を言う僕の唇を、ぎゅうっと引っ張るライ君。なぜか殺気を感じてみたり。
「本っ気で昇天すっか?マジで」
本っ気で恐いです。ライ君。
「むー。むがー」
喋れないし。
溜息一つ吐くと、今まで見せた事が無い程の満面の笑みで、周りに向き直るライ君。
このライ君はこのライ君で、ある意味恐いです。僕の唇摘んだままだし。心なしか、摘む手に力が増してる様な?
「ふぁーはん。ひひゃーほー」
「何言ってるわかんねーな」
笑顔は崩さず、僕にだけ聞こえる様に言う。
ライ君。痛いよぉ。って、言ったんだけど・・・。
「俺達は外で魔物を出来る限り足止めしてくる。けど、幾分ももたねーから、それまでに逃げれるだけ逃げてくれ」
良く通るライ君の言葉。
周りから息の呑む音が聞こえる。
「ライの笑顔に騙されたわね。あれで見目は良いから。王子だけに品性も一応あるし」
ティルが僕の横で呟く。
「ほうほほ(どゆこと)?」
「完全にライを信じたって事。
これでほぼ全員、逃げ道作りに専念するでしょうね。
後は、彼等が逃げ延びるのが先か。ライが見捨てるのが先か、てところね」
へぇ!ライ君凄ぉい。
僕達は皆の視線に見送られて、僕は半ばライ君に引き摺られる形で、ルック君の元に向かった。
・・・それよりも、いい加減に手を離して欲しいなぁ。痛いし(泣)。
「ルック!魔物は何所まで来てる?」
ルック君は指を指した。
なかなか近そうだ。
「ちっ。もう近くまで来てるらし」
『ぐるぅぉおおおおおう!』
「い・・・なぁぁぁぁぁ!」
ライ君の言葉を割って、わんさか姿を現す魔物達。
近くどこらか。
「目の前まで来てんじゃねーかー!(怒)」
「らねぇ」
やっとライ君の手を逃れた口を擦りながら同意してみる。
「『らねぇ』じゃねー!
おい!ルック、できるだけ足止めすんぞ!
危なくなったら俺連れて逃げろ!」
頷くと戦闘に長けている一角召喚獣のイック君を呼び出した。
イック君はユニコーンとペガサスとライオンを足して割った様な姿の獣。鋭く尖った角は魔力も高くて破壊力抜群なんだ。でも普段は大人しくて優しくて、良く僕に凛々しい毛並みを触らせてくれる。すんごく気持ちいいんだよぉ(ウットリ)。
イック君は現れたと同時に魔物に突っ込んでいく。乱舞の如く千切っては投げ、千切っては投げ。さながら、花占いをしている様だ。
捌き切れなかった魔物をライ君が斬り捨てていく。良いコンビネーションだねぇ。
「こっちは俺達がやる!トニーとティルは裏を頼む!」
斬り捨てながら、叫ぶ。
「うん!任せて!」
「トニーの面倒は私が見るから安心して」
真顔で裏に向かった僕を追いながら、ライ君に向かって言う。
っていうか。
「任せたっ。ティル!」
ライ君までそんな安心しきった顔で。
「面倒って何~?僕子供じゃないよぉ!」
状況が状況だけに、反論しきれず、泣く泣く、叫びながら裏に脱兎の如く勢いで駆けて行くしかなかった(号泣)。
「横はおっきい壁があるから助かったね」
「裏もそうだと助かったんだけどね」
「しょうがないよぉ。前後に入口作んないと裏に住んでる人、入るの大変でしょぉ?」
「解ってるわよ!それより急ぐのよ!」
「急いでるもん!」
建物に振動が無いからまだ間に合う!
裏に着くと、ちょうど建物に突進している魔物の群れが。
 空中に急いで【氷】の字を書く。
「氷龍結!」
冷たい風が流れたと同時に、先頭集団を一気に氷の塊に閉じ込める。
 「ギリギリ間にあったぁ!」
 「こっちの魔物の歩みが遅くて、本当に助かったわね」
 「こっちには、仲間の死体が無いから。途中で力が増す事無かったんだよ」
 「そうね。
 まぁ、それじゃやれるとこまでやるわよ!」
 「うん!」
 言ってティルは両手を前に突き出して、目を閉じる。
 「星を守護せし、元素たる精霊族よ。
 汝等が子なる、妖精族に力を貸し与え給え」
 これは、ティルの前口上。母なる精霊に力を借りたい旨を伝えるんだって。切羽詰ってる時は省く時もあるみたい。
 僕は僕で、
 「氷龍結!」
 も一度同じ術を放つ。氷の山を登ったり砕いたりしていた魔物を襲う。
ティルは目を開けて、短く息を吸った。
 「―地なる精霊方よ、
我に害なす者達の行く手を阻みたまえ!」
二重の氷結龍術で狭くなった道を、ティルの精霊魔法で完全に塞ぐ。
「うぅ。あんな大きい魔法、妖精の私にはきついわ~」
ティル、ヨレヨレになっちゃった!
「ティルがんば!」
 ガッツポーズで励ましてみる。
 「はいはい。トニー置いて逃げないから安心してね」
 僕の鼻に両手を着いて、微笑する。
 心なしか、顔が蒼いのは、気のせいじゃ、な、な・・・
 「ぶはっくしょん!」
 「きゃあ!
 も、何すんのよ。この子わー!」
 驚いて、ヨレヨレと僕の上に逃げる。
 「うぅ。ごめん。ティル、鼻の上でもぞもぞ、こしょばゆかったんだもん」
 鼻を押さえて涙目の僕に、呆れ顔のティルは、溜息着いて、僕の頭の上に座った。
 「さ、後はどれだけ持ち堪えられるか」
 今のところは壁を壊そうとする音と、魔物の咆哮だけが響くだけだ。

 「お疲れ。皆」
 ティルが僕の頭の上で言った。
 あれから僕達は、壁を壊されては、作るを繰り返した。空が白ける頃、ボロボロのイック君の背に乗ったライ君と、ニック君に乗ったルック君が、僕達のとこに来た。そのままの勢いで、僕達を拾って、街から少し離れた丘の上に来た。
 「皆ちゃんと逃げれたかなぁ」
 街を見ながら呟いてみる。
 「あんだげ、時間稼いでやったんだ。逃げてなきゃ、ぶっ飛ばす」
 「逃げれてなければ、全滅してると思うけどね」
 「ええぇ⁉」
 だらけたまま、サラリと言う事じゃない気がするよぅ(慌)。
 「そりゃそうか」
 「えええぇぇ⁉」
ライ君まで、サラリって!
「ぼっ、僕助けるぅ!」
だから死んじゃ駄目ぇ!
「待てぃ」
街に行こうとしたら、ライ君に首根っこ摑まれた。
「だいじょぶよ。風の精霊が、無事を教えてくれたから」
「本当?よかったぁ」
ホッとしたら、胸を撫で下ろす人の気持ち、分かっちゃった。
「さて、あの人達。どう行動するかしら」
ティルが向いた方を見ると、遠くに街の皆が見えた。
「あそこに住む!」
と思う!あ、でもお家建てるの大変だよねぇ。僕手伝おうかな。ご褒美くれるかな?
なんて、考えを巡らしてたら、ティルとライ君が何か言いたげに僕を見た。
僕、また顔に何か付いてる?
「あー。駄目だ。今は突っ込んでやれる元気ねーや」
ぐったり座り込んで、街の皆を見る。
「ライに同じ~」
おっきく溜息吐いて、僕の上で寝そべる。
溜息は幸せ一個逃げちゃうんだよぉ。
でも、僕も疲れたから、ちょっと座る。
「そうだよね。僕達頑張ったもんね。ボロボロだから、お家作れないや」
「あー。はいはい。もう、今はそういう事で良いや」
寝そべって、空を仰ぐ。
「ライ君気持ち良さそぉ。僕も寝るぅ」
「て、ちょっと待ちなさーっきゃう!」
あ。おっちゃった。ティルいたんだった。
あ。怒ってるぅぅ!
あ。萎んだ。
「駄目。怒る元気ない」
あ。ティルも葉っぱの上に寝た。
ルック君だけ元気。
ボロボロで、送還できないイック君を看てる。
「睡眠不足。肌に悪い。寝る(怒)」
王子は肌を大切にしなきゃいけないんだっけ。国の宝だからなんとかって、ライ君。
僕も眠い。ティルも寝てるし。僕も・・・寝る・・・。

「あれ?朝日?」
目を擦りながら起きたら、山から覗く太陽が見えた。
「夕日だ。馬鹿」
ライ君が殴った。頭に鈍い痛みが・・・。
そいえば、反対側に太陽あったんだった。
「じゃあ結界張って寝なおそう」
空中に【界】って書いてたら、ライ君に邪魔された。
「動くぞ」
ライ君が僕じゃない方を見て言った。
同じ方を見ると一塊の影が動いた。
「何?」
「もう忘れたんかっ。己わ!」
すぱこーん!と小気味良い音がした。
相変わらず何所からハリセンが・・・。
頭にも一度痛みが。ライ君酷いぃ。
「えと。街の人達が寝る準備?」
「んなわけあるかああぁぁぁぁぁ!」
ずごん!
「痛いぃー!」
ハリセンなのに板で打たれた痛さだよう。
さっきは否定しなかったのにぃ。いつもより、倍キツイ気がする・・・。
・・・。あれ?ティル?右見て左見て。上見て下見て後ろ見て。ティル居ない。
「!ティルー!ティルー!何所ぉ⁉」
「落着け。実はな・・・」
あれ?何であらぬ方向くの?しかも震えて・・・。
「まあそのなんだ」
何で頬を掻くの?
「ねえ。ティルどうしたの?ねえぇ」
うまく声が出ない・・・。何で僕こんなに不安なの?
「あれだ。もう俺達といれないからっつて、自然に帰った」
目だけ僕を見る。
「何だ冗談か。で、ほんとは?」
「何だよ。もっと慌てろよ。何時もみたいによ」
ライ君が詰まんなそうに言った。
生まれた時からずっと一緒だったもん。
「ありえないもん」
僕の一番大切な信頼してる家族。兄弟みたいに育ってきたんだ。僕達は。
「ほー。偉い自身だな」
感心してくれる。
「うん」
ちょっと、得意になってみたり。
「とか言ってる間に帰ってきたぜ」
見ると街の皆がいる方からティルが来た。
「どうやら、事の発端の領主と魔物を殺した人達を生贄に出して、怒りを沈めて貰おうとしてるみたい」
「まあ。尻拭いとしては、当然だろうが。納得してねえだろ」
「してないわね。縛られてるわ」
二人が他人の事で真面目に話してる。ティルは兎も角。ライ君が、珍しい。
ていうか。いけにえって。行け煮絵?池にえ。生け贄?
「!生贄駄目―!」
『黙れ』
声を荒げちゃった僕の両頬を、二つの拳が挟んだ。おっきいのとちっちゃいの。
「あい」
ライ君が真面目すぎて恐いから黙ってます。恐くて口に出せないけど。
「はー。ったく。莫迦共が。
ま。これでいい加減懲りるだろ」
ライ君が見るも無残な街を見て、複雑な顔をした。久し振りに見るなぁ。ライ君の葛藤を交えた顔。お城での事話してくれて以来、かな。
「本当に。莫迦だよな。人間は」
呟くように言う。
「ライ君は莫迦じゃないよ。怖いけど」
あ。ライ君の耳赤くなった。いつの間にか太陽無いし。寒いからかな。
「俺。今初めてお前が鈍で良かったと、心底思うよ」
?褒められた。
呆れたと思ったら、苦笑いしてるし。
「行こう?僕もうひと頑張りするよ」
ライ君の袖を引っ張って促してみる。
「良いのか?人間側の味方で。お前エルフだろ?今回の場合魔物の味方を」
また、真面目顔。
「関係ないよ。ライ君の仲間なら、僕助けたい」
「そうか。
お前馬鹿だけど、意志は強えよな」
褒められたのか、貶されたのか。どっちだろう。褒められたって事にして良いのかな。
ライ君笑ってるし。褒められたって事で!嬉しい!褒められた!
「まあ。それはそれとして」
?何だろう。ライ君、すんごくニッコリ笑ってるけど。何で僕逃げ腰になってるんだろう?急にライ君が怖く感じてる。何でライ君ハリセン(しかも心なしかちょっと硬そう)を持ってるんだろう。
ずばん!
「怖いは余計だ!」
音と声が重なった。
痛い(泣)。もう忘れてた事で、怒らなくてもぉ。しくしく。ライ君て、根に持つタイプだよねぇ。
「これで懲りたろうし、今回だけ助けてやるか。魔物が街に近寄らなくなる位」
ライ君がニンマリ笑う。良からぬ事を企む顔ってやつだ。
「ド派手にな」
じゃなくて、覚悟の顔です。
ライ君が睨むから、つい思い直しちゃったよ。僕、ライ君のこの睨みで魔物近寄らなくなると思う。背筋が『キン!』って冷たくなるもん。
「ティル平気?」
「も、絶好調よ。トニーこそ、ヘマやらない様にね」
やんないもん。
ぷう。って僕が頬を膨らましたら、ティルは笑って、そして街を見た。
魔物達は壊すだけ壊して、ちょっと気が済んだみたい。今はそんなに暴れてない。
「ほっといた方が、難しい事になんない気がする」
僕がぽそっと言ってみると、ライ君が難しい顔をした。
「ほっといたら魔物共は居つく。
あいつ等はそれを良しとしないだろう」
「ふぅん。人間て我が儘だね」
街の皆を見ると、少しごたついてるみたい。領主さんが暴れてる。
「人間全てがそういう訳じゃねぇよ。あいつ等がそうなだけ」
それは解ってる。ルック君我が儘言った事無いもん。ライ君は我が儘放題だけど。
「うん」
取り敢えず僕はそれだけ言った。
あ。領主さん逃げた。アークさん捕まえた。リアさん電撃放った。領主さん動かなくなった。あ。そうでもないや。領主さんピクピクしてる。
「時間掛かりそうだね」
「そうだな」
「そうね」
「・・・」
ルック君は黙って頷いた。
「もちょっと此処で休めそうだね」
「そうだな」
「そうね」
「・・・」
ルック君が果物を出した。そういえば、何も食べてなかったや。
僕達はご飯を食べながら、街の皆を見る事にした。
牛肉の薫製を食べている時に領主さんが起きた。他に縛られてた人達が縄を断ち切った。一般の人が持っていた武器を奪ってアークさんとリアさんに向かった時には、僕は桑の実を食べてた。アークさんが武器を掴んで武器ごと投げ飛ばした。
「馬鹿力だね」
「馬鹿力だな」
「馬鹿力ね」
「・・・」
ルック君の無言の頷き。
「動きが荒いな。攻撃受けてやがる」
あ。本当だ。血が出てる。
「もう大分暗いから見ずれえな」
「人間の目って不便だね」
「エルフは良いよな。昼夜問わず見えるからな」
「千龍眼」
「お。悪いな」
僕が今使ったのは、千里眼の様なもの。遠くの物が良く見える様になるんだ。
あ。リアさん囲まれてる。状況を理解すると同時に閃光が放った。リアさんの術なのは一目瞭然。目が眩んでる隙に、アークさんが叩きのめす。良い連携だ。先生は出来の良い生徒を持って嬉しいです。
「リア、大分魔法の扱い上手くなったな」
「うん。飲み込みが凄く良いんだよ」
自慢げに言っちゃう位ね。
今度は生贄の人をグルグルに縛り上げる。これで逃げれなくなった訳だけど、どうやって連れてく気かな?
あ。手近な木を風魔法で切り始めた。
「やっぱり家作るのかな?」
「お前・・・。本気で言ってんのか?」
「え?うん」
なぜか心の底から呆れるライ君。
「さっきの礼だ。殴りはしねー。けど違うからな。ありゃ荷車作ってんだ」
ライ君の言う通り、タイヤらしき物が見える。
「やっぱり時間掛かるね」
「掛かるな」
「掛かるわね」
「・・・」
ルック君は厭きたのか、夜空を見ながらお茶を啜ってる。
荷車作りをしている間、僕はライ君に剣術を教わった。剣で枝を綺麗に切れる様になった頃、荷車が出来た。
荷車に、生贄の人を転がし容れる。
生贄の人を連れて街に入る頃には、月は西に傾いていた。
入口の開けている所に、生贄の人を荷車から転がし落とす。
「ちょっと、転がるの楽しいかも」
「転がってみるか?」
「けっこうです(汗)」
ちょっと思ってみただけなのに、本気でやろうとしているライ君。手に縄があるのを見て、冷や汗出ちゃった。
街では、アークさんが何か叫び始めた。
「貴方方を苦しめた者達を差し出します。お怒りを鎮め、森へお帰り下さい」
ライ君が教えてくれる。読唇術だ。
「ライ君ありがと」
「ふん。エルフの無駄に長い耳。お前が持つと本当に無駄だよな」
うう。どうせ僕の耳は人間並みにしか聞こえませんよぉ。普通のエルフは数キロ離れた音も聞こえるのに。龍の声を聞いてる内に遠くなっちゃったんだもん。
ライ君にそう言おうとして、当のライ君に制される。生贄の人を置いて、離れる皆を指して。
僕はふて腐れながらライ君に続いて、街へ向かった。
『むー!むがー!もごー!』
街では生贄の人が魔物に囲まれていた。
僕が助けようと空に字を書こうとしたら、ライ君に止められた。
「まだ早い。助けんのはあいつ等が気絶してからだ」
耳打ちされた。ちょっとこちょばゆい。
「でもあのままじゃ、ほんとに死んじゃうよぅ」
小声で返す。耳打ちされない様に耳を押さえながら。だって、耳打ちって腰がゾクッてするんだもん。
「ティルが防護壁張ってる」
ティルを見ると頷いてくれた。
安心して生贄の人が気絶するのを待つ。
『むぎょぉぉぉぉぉぉぉ~!!!』
口を塞がれた生贄の人が、叫びになりきらない叫びをあげて、気絶した。
別に襲われた訳じゃないのに。ちょっと、僕が枝を踏んじゃって、音がしただけなんだけど・・・。同時に魔物の牙が、爪が、生贄の人に襲い掛かる。
全員気絶したのを確認したライ君が、魔物の群れに突っ込んだ。生贄の人に当たるところだった爪を剣で受け止める。けど、ライ君は一人。剣も一つ。魔物はいっぱい。群れですから。剣で防げなかった牙が、領主さんに噛み付いた。
・・・。ていうか。今の、ライ君ワザと助けなかった様に見えるんだけど・・・。
防護壁張ってるからって、怪我しない訳じゃないんだけど。打たれ強くなるだけで。
「絶龍界!」
ほっとくと、領主さん重症になっちゃいそうで、生贄の人達に結界を張ってあげる。
それを見たライ君があから様に、「ちっ!」って舌打ちした。
ライ君・・・。領主さん助けるために来たんでしょぉ(汗)。
「本人目の前にすると、毒づかないではいられないのね。ライ」
ティルが僕の耳元で呟く。
難儀な性格だねぇ、ライ君は。本当に見方で良かった。・・・良かった?
不意に、これまでライ君に叩かれていた記憶が、走馬灯の様に頭に流れた。
「良かったのかなぁ?」
自然。目に涙が浮かび、遠い目になる。
「自業自得でしか、叩かれて無いでしょ」
ティルが言う。
「っていうか。読心術?読心術なの?」
呆れ顔で僕を見るティルが、おっきく溜め息した。
「何十年トニーといると思ってるのよ。それ位、察せるの。トニーと違って」
そっか。読心術じゃなかったのか。
「つーかお前ら戦えー!」
ライ君が怒鳴った。見ると大分魔物が減ってた。結界の中にいたから気づかなかったよ。
「えっと、じゃあ。
爆龍激旋波!」
空に【爆】って書いて、術を発動させる。
鋭い旋風が十数匹の魔物を切り刻み、切った所が爆発してく。これで六匹が倒れ、残りが重体で動きが鈍る。それをライ君が止めを刺す。
「うっし。街の中心近くまで突っ切るぞ」
ライ君が駆け出す。横から魔物が来たけど、ライ君の横一閃で胴を断たれて倒れる。
走って行く先から、横から、後ろから、魔物達が襲い掛かる。
前から来る魔物は先を行くライ君が倒して行く。見事に急所を切って行く様は流石で、経験の多さが見るだけで分かる。
横から来る魔物は僕が龍術と龍魔剣で倒す。近くの魔物は剣で倒しつつなるたけ、派手な術を択びながら使う。僕の苦手分野だから、ティルが横から使う術を言ってくる。
「爆双龍撃」
言われた通り、空に【爆】と書いて術を発動させる。
「爆双龍撃!」
両掌から龍の形の力の塊が、勢い良く出て、それぞれの方向へ向かう。狙い違わず、左右に居た魔物に巻き付き、大爆発する。爆風が起こり後ろから来た魔物を襲う。瓦礫も舞ったお蔭で、後ろの魔物の足を鈍らせる。もちろん、僕達は走る足を止めないから爆風にも当たらず、どんどん魔物と距離が離れる。ティルの思惑通り、今の大爆発を見た魔物が襲い掛かる事に戸惑いを見せる。
それにしてもやっぱり武器って使いづらいなぁ。龍術士として使いこなしたかったけど・・・もともと武器を使わないから無理だったかも(落)。
「ルックは良いわよね~。空から高みの見物で」
ティルがルック君を見てぶつぶつ文句を言い出した。
ルック君の召喚獣のイック君は、まだ体が癒えていないから戦闘には出せない。だからニック君に乗って、地上の様子を監視してもらってるんだ。
「ティルもルック君といて良いんだよ?」
二発目の爆双龍撃を放ちつつ、ティルに言う。けどティルは、眉根を跡が残るんじゃないかって位顰めて、口をアングリと開ける。
「え?あの。ティルって・・・ルック君嫌いなの?」
更に三発目を放ちつつ言う。それに、大きな溜息をつくティル。
「ぶわぁか!」
「え。あのティル?」
「ルックはもちろん好きよ。旅仲間だもの。
そうじゃなくて、あなたを置いて行く事に眉を顰めたの」
そんなに心配してくれてるんだぁ。すっごく感動だよぉ。あぁ、目頭が熱くなるぅ。
「あなた一人に任せたら、計画が台無しになる確率が高いのよ」
ごめんなさい。馬鹿で。あぁ、目に違う意味の涙が・・・(泣)。
涙で視界がぼやけながらも、四発目を放つ。
「言ってる傍から同じ術しか使わない」
ティルが心の底から呆れているのが分かる。ティルが痛いほどの気持ちを僕にぶつけてくるから。
魔物が大爆発に慣れた頃、小気味良い『バキン』って音がライ君の方からした。
「ライ君?」
ライ君の方を見ると折れた剣を見て呆けていた。勿論魔物はライ君の事情なんて気にする事無く襲いかかってくる。それを僕が龍魔剣で斬り伏せる。
「どうしたの?ライ君が剣折るなんて珍しい」
僕が近くの魔物とライ君に気を取られている間、ティルが代わりに魔法で他の魔物を牽制してくれる。
「刃の材質が脆くなってやがる」
「え?あの魔物にそんな力無いけど」
「ああ。魔物に加担してるか、事の元凶かが近くに居やがんだろ」
使えなくなった剣を近づく魔物に投げつけ悪態を吐く。
「じゃあ何かの術だね。そしたら僕の剣を使うと良いよ。強い力が込められてるからその力効かないし」
言って僕の剣を渡し、ライ君は受取り様に近づく魔物達を斬り伏せる。
「よし。貰ってやる」
ニヤッと笑って、鞘も受け取る。
「あげるんじゃないよぉ⁉貸すだけだだよっ!」
今は使いこなせなくても、龍術士の剣だかしそう簡単に人にあげらんないよっ!
僕の真剣な慌てっぷりに納得してくれたのかくれないのか、面白くなさそうな顔をして「っち。ケチくせー」って舌打ちする。
ていうかこれあげるのこっちはすんごい損失なんだけどぉ・・・。それに龍術士の剣は同じ龍術士が一番力を使いこなせるものだし・・・。そりゃ、今はてんでダメだけどぉ(泣)。
「ていうかっ、いい加減戦闘に戻って~!」
魔物の牽制に四苦八苦していたティルの言葉に、忘れかけていた現状を思い出した僕は慌ててティルを見る。
「ティル!ごめんねっ。次の指示お願い!」
「電龍争波!」
 汗だくになるまで力を使っていたティルは直ぐに指示をくれる。ちょっと半泣きのティルって久しぶりに見たなぁ。
「電龍争波!」
空中に【電】と書き、放つ。巨大な電気の渦が波となって、僕が走り去った後に来た魔物達を襲う。黒い塊になった魔物から、風に乗って焦げた臭いが僕の鼻に伝わる。
「うし。村一つ分走ったな。
トニー!炎龍爆獄衝!」
「ええ⁉でも街が!」
「面影なんてもう無いだろが!」
それもそうだね。
空中に、なるべく力強く【炎】と書く。意識を僕達以外のもの達に集中する。自然足が止まる。止まった僕達に魔物達が一気に襲い掛かる。ライ君が僕を守る形で魔物を切り伏せていく。ライ君が五体倒した時、力が最高潮に達した。
「炎龍爆獄衝!」
解放たれた炎龍の激しい炎が、溶岩と化した大地と共に、噴き上がる。僕達の周りには熱を遮断する壁が出来ている。けどまともに術に当たっているものは、一瞬で消し炭になる。瓦礫も、魔物も。
術が消える頃には更地になった大地には、僕達しかいない。
「うし。
んでまた中心に向かってダッシュ!」
ライ君がまた先頭切って走り出した。僕達もライ君に続いて走る。更地が終る頃にはまた魔物の群れが・・・。
・・・?
間。
更に間。
・・・来ない?
「魔物いないね」
「まあ。あれだけの力見せられちゃねぇ」
確かにあれって破壊力いいけど。それにしたってねぇ。敵討ちに、もちょっと攻めてきてもいいと思うんだけどなぁ。
「それにしたっていなさすぎだ。妙だな」
「うん。僕もそう思ったトコ」
「もしかして。私が感じてる違和感と関係あるのかしら」
ティルの言葉にライ君が急に立ち止まる。おかげで止まり損ねた僕は、バランス崩して転んじゃった。
「ライ君急に止まんないでよぉ。勢いある物は急には止まれないんだよぉ?」
唇を尖らして文句を言う僕を見て、
「俺は止まれたがな」
と鼻で笑う・・・。
「ライ君が異常なんだよ」
不服顔で立ち上がって汚れを落としてる僕に、足払いを掛けるライ君。ヒドイ。せっかく汚れ落としたのに・・・(泣)。
「で、どういう事だ?ティル」
ティルを見て真面目な顔して問う。
「どういうっていうか。実はこの感じ、ドフィルの洞窟でも感じたんだけど」
「ああ。あの魔物のねー。」
口調が腹話術だ。あれを思い出すと虚しくなるの分かるけど。
「うん。あの魔物の。」
ティルまで腹話術口調で、遠くを見て言う。でもすぐ、真面目顔に戻る。
「何て言うか。空気がね。嫌悪感や動揺感で満ちているのよね」
「それって、このザワッてしてぐにゅぐにゅってする、この感じの事?」
身振り付きの説明に、なぜか二人は渋い顔をする。そしてなぜか二人でヒソヒソ話する。
「分かり難かった?」
「話を戻そう」
ごほんと咳払い一つして、おもむろに言うライ君。話し逸らしてないんだけどなぁ。
「で。その空気に人為的な力を感じる事があるの。ほんのちょっとだけなんだけど」
深刻な顔になる二人。僕も二人に合わせて深刻顔を作る。
「成る程。さっきの俺の剣の事といい、何か不穏な事に首突っ込んじまった様だな」
「まったくね。
兎に角、一度ルックに状況聞きましょ」
三人揃って上を見る。しかし満天の星空の何所にも、ルック君はいなかった。
「どうしたのかしら。急に居なくなるなんて、そんな事する子じゃないのに」
「僕捜してみる。―翔龍壁」
一気に上昇して、ルック君が飛んでた辺りを大きく回って捜してみる。でもルック君は居なくて。
『待てやこん畜生!』
代わりに、遠くの方からルック君の罵倒が聞こえた。
「今の(汗)」
僕は急いでティルとライ君の元へ戻った。
「今!ルック君の罵倒が!」
罵倒のした方を指して大急ぎで伝える。
それにまともに顔を変える二人。
「なにぃルックが罵倒だとー⁉」
「何ですって⁉ルックが罵倒してるなんて!それって」
『キレてる』
そこだけはもって、
「よ!」
「じゃねーか!」
「って事じゃない!」
口々に叫ぶ。凄い。こんなにはもれるなんて、僕達の仲の良さは一級だね(喜)。
て、喜んでる場合じゃなかった!
ライ君の腰をしっかり掴んで、声のした方に最速で向かう。ティルは僕の一つに結んだ髪にしっかり摑まっている。この速さじゃティルは追いつけないから。
飛んでる先の地平線では、空が白くなり始めた。目を凝らしつつ、差の縮まらないルック君の罵倒を追っている僕達は、追いつけない事に苛立ち始めた。

「やっっっと追いつけたぁ」
街から少し離れた小高い山の中腹に、ルック君は立っていた。
「畜生!見失った!」
罵倒を吐きながら、じだんだを踏んで。
「ルック君落着かないで質問に答えて!」
ルック君の腕を掴み、僕に気付いて貰ってから頼んだ。
「どうでも良いけど、傍から聞いたら変なお願いよね。落着かないでって」
「仕方ないだろ。落着いてたら滅多に口開きやがらねーんだから」
二人は複雑な顔をした。ルック君は切れてる時の方が弁達者だからだ。
「僕の何がそんなに気に入らないの?」
『違うだろうが!』
トリプルで突っ込まれた。
「まあ強いて言うなら、そういう変な方向に脳味噌動くとこが気に入らないけどな!」
「うわあああん!僕そんなに変~?」
「変だな」
「変よ。思いっきり」
「わあああん!ライ君はまだしもティルまでぇ!」
「ていうかそうじゃねえだろう!」
ルック君のキレ度が増した。じだんだの踏みが大きくなった。
「じゃぁなんなのぉ?」
「怪しい術やってる奴が居やがったから、側行ったら逃げやがったんだよ!」
最後に地面が揺れるほど強く踏んだ。そして暫く息を切らしてから、いつものだんまり~太君に戻った。
ライ君とティルが互いに見つめて頷きあった。
「そいつがどっち行ったか分かるか?」
ライ君の問いにルック君は明るくなった東を指した。もう朝ごはんの時間だ。
「あっちか」
「街の方の術は切れた様だし。追ってみる?」
「うん。よし。取り敢えず。街に炎龍爆獄衝何発か放っとけ」
「うん」
僕は空中に炎と書こうとして、はっとした。
「って、何でそうなるの⁉」
あまりにも真面目な顔で東を見てるから、何か流れに乗っちゃったよ。
「ちっ。気づいたか」
心底残念そうに言わないでぇ!
「気づくよ!」
「放ちそうになったけどな」
ほくそ笑まないでぇ!
「絶対やんないからね!」
ライ君は、「へーへー」って軽口言って街に歩を向けた。
「行かないの?東」
「東に行ったのが分かったんだ。なら先にアークとリア片付ける」
目がキラーンて光った様な気が。ああ。気の所為にするって、便利な言葉だなぁって、心に沁みちゃった(遠目)。
ライ君がどんどん先に行っちゃうから、置いてかれない様に駆け寄る。
「でさ。実際にあの二人が旅するのって、どう思う?」
ライ君に追いついた辺りで、ティルに聞いてみる。
「アークは論外だな。したいなら止めねーけど、野垂れ死ぬな。ありゃ」
ライ君が答えた。
ティルが軽く息ついて頷く。
「そうね。リアの方はまだまだ初期レベルだけど、飲み込み早いし、それなりに応用力もあるし。旅をすればする程伸びそうね」
ライ君とルック君もそれに同意する。僕も頷く。実際この短期間でレベル上がってるし。
「やっぱ、リアだけ出るってのが妥当」
「そうかな」
ライ君が最後まで言い切る前に、言っちゃった。ちょっと失敗。おかげでライ君の目が怖い。
「えとねっ。確かに馬鹿力だけに見えるけど、強運も並外れてると思うのっ(汗)」
ちょっと早口で言うだけ言う。それが良かったのか、ライ君が目を見開く。
「ええ。私も思ったわ。リアさんという仲間と出会え。私達と出会え。旅初めにこういう事を体験でき、領主と見知れた事」
「うん。そうなんだよね。初めはリアさんの運かと思ったんだけど。それならそもそもアークさんに会わないだろうし」
思い返しながら言う僕に、納得顔で頷くライ君。
「成る程。強運だけでどんな旅も乗り切る奴が居る。逆にどんな力があっても悪運なだけでとんでもない目に会う奴が居る」
僕はそれに頷く。
「なら黙ってたって、やりたい事やってたんじゃ」
ライ君の言葉に、初めてその事に気付いた僕達は、自然遠い目になる。
もしかして。またこのパターン(悲)?
「力があるだけに、厄介事に摑まっちゃう。て事もあるわね」
ボソッとティル。
「だあ!もー知らん!迷惑料だけ取って、さっさとづらかる!」
ライ君の競歩が速まった。進むに連れてキレ度が増し、歩がどんどん速くなる。そして遂には、走ってしまった。
えーと。
「お腹が空いてイライラしてるのかな?」
置いてかれない様に僕達も走る羽目になる。ティルは飛んでるけど。
「・・・」
拳を作って何か言いかけたティルが、ふと何か考えた。
「それもあるかもね」
腕組みをして、ライ君をじっと見た。
やっぱり。もう朝ご飯の時間だもんねぇ。
かくいう僕も、さっきからお腹が鳴ってるんだよねぇ。いっぱい力使ったしねぇ。
全力疾走になってすぐ、ライ君がピタッと止まった。スピードを落としながらライ君に近づく。
「どうしたの?ライ君」
見たライ君の顔は、完全なキレ顔だった。
嫌な予感がしてライ君から離れようとして、摑まった(汗)。
「トニー飛べ」
声にドス入ってます(泣)。
この状態に入ったライ君に、何を言っても無駄だから、仕方なく連れて飛ぶ。ていうか言ったら余計大変な事になる。
最速で飛んで、皆が朝ご飯食べ終わる時間に街に着いた。
街は人で溢れていた。
ていうか結界の中で気絶している生贄の人を囲んで困惑していた。
「アークさん。リアさん」
二人を見つけ、その側に降り立つ。
「皆さん」
リアさんが答え、何か言おうとした所をライ君に口を塞がれる。更に二人を人々から隠れられる場所に連れて行く。
そこで初めてリアさんの口を開放してあげる。リアさんは軽く息づいて、
「あの結界はトニーさんですね」
「うん。守らせてもらったの。ライ君は残念がってたけど」
ああ。いかにも。って呟いてアークさんがこくこく頷く。ライ君は「悪いか」ってアークさんの頭をグリグリする。
「貴方方の事だから絶対無事だと思いました。そしてあの結界は魔法ではなく、龍術。夜、戦闘が行われていたのを見ました」
見られてたんだぁ。照れちゃうぅ。
頬が火照って、自然に手で押さえちゃう。
「初めから。デイノールで私達が二人で行こうとしても」
「関係ない僕達が二人に付き合ったか?」
リアさんが頷く。
「そして、この街に力を貸したかね」
更に頷く。
側ではライ君とアークさんが取っ組み合いをしている。
「お前等に付き合ったのは成り行きだ。俺は嫌だったがな」
アークさんにコブラツイストをしながら会話に加わる。
「ついでだったし。関わっちゃた以上、ほっとけなかったから。多数決で決めたの」
僕達は行動を起こす時、必ず多数決を取る。そして少数派の意見を聞きつつ、多数派の意見に従い行動する。
「ついでという事は、此処には来る積もりだったんですね」
「うん。デイノールに寄ったついでにね」
魚のおいしい町に向かってたら、ライ君がこの街の噂を聞いて。近くだしついでに行こうって事になったんだ。
「馬鹿面拝みたかったんだよ」
仏頂面で言うライ君。今度は海老固めをしている。アークさんが悔しがって逃れようと暴れてる。
「素直じゃないのよ」
「そうみたいですね」
僕達は兎も角、ライ君は何とかする積もりだったみたい。
「でだ。また莫迦な事しない様に、お前らからそれらしい説明しろ」
アークさんが逃れる瞬間に、ライ君の方から離れる。勢い余っていろんな所を打つアークさんを尻目に、リアさんの肩に腕を回す。
「何故私達が?」
自然な疑問だが、ライ君の場合キレてたら人任せになるから。
「王族に助けられる癖は作らねー方が良い。自立心が薄れるからな」
ちゃんと理由あったんだぁ。関心だ。
「それで下僕と称し、私達が行う形にした」
「別にそんなんじゃねーよ。面倒事は御免被りたいだけだ」
腰に手を当てて、そっぽを向く。
「そうなんですか。
ああ。因みに私達に会わなかったらどうしてたのですか?」
それとなく聞く。
「莫迦やった所為で、王族に迷惑を掛け、王族に依存した結果の街崩壊」
自慢気に言って、はっとする。あまりに自然に会話されたので、つい答えてしまったらしい。
ライ君の言葉に納得したのか、ニッコリ笑って頷く。
「分かりました。それらしく伝えます」
「で、領主はどうなんだ?」
アークさんの尤もな質問。こういう事態だとやっぱり、領主辞任かな?
「莫迦はするが領主としての力は良い。今回は懲罰・謹慎だけで、領主としては据置き。監視は付くだろうがな」
ライ君の王子としての顔を久し振りに見たなぁ。
「これだけの被害を出したのにか?」
アークさんは不満を体全体で表した。
「これだけの被害になったからこそだ。
この街を復旧するのに、あいつの力が必要だからだ。それに、こうなったのは、人々脅かす魔物を倒したいから。人々を助ける為に館も開け放した。人を思えばこその結果だ」
王子顔が続いている。仕草や口調まで王子になってる。それは自分を押し殺しているという事。ライ君が尤も嫌う、ライ君の顔。
普段との違いに、アークさんが怯んだ。
「これで均衡を崩す恐怖も解ったろう」
遠目に領主さんの方を見る。人垣で見えないけど。
「自己満足でやっていたなら、即効で牢屋入りだったろう」
アークさんが押し黙るのを見て、王子顔が消えて、胸糞悪そうな顔になった。一瞬でも王子に戻った自分が許せないんだろう。
空を仰いで、ルック君、そして僕とティルを見たライ君は、もういつもの顔だった。
「それはそれとして、お前は迷惑だった。迷惑料払え」
突然アークさんを見て、手を差し出した。金よこせの合図だ。その顔は守銭奴の顔だった。
「な。王子なら金は腐る程有るだろうが!」
『無い』
僕達の声がはもった。
「ライ君家出中だもん」
「それに城のお金は使えないわよね」
「あれは国を護る為の金だからな」
口々に言う僕達に、意外そうな顔の二人。
『そういうのは、ちゃんと考えてるんだ』
ライ君をじろじろ見る二人に、
「当たり前だ」
ハリセンで叩いた。二刀流だ。
本当に何所に持ってんだろう(汗)?
「兎に角出せ」
盗賊顔負けの脅しに怯む。関係ないのに僕まで怯んじゃう。
「今は無いので、デイノールで」
リアさんがアークさんの影に掛けれながら言った。
「お前はなかなか役立ったからお前は良い。アークが出せ」
アークさんの襟首を掴んで凄む。
「俺だって色々役立ったろうが!」
負けじと言うアークさんだが、
『どこら辺が?』
僕達は兎も角、リアさんにまで言われて、涙ぐむ。
「リ、リア~。お前まで・・・。邪魔だったか?邪魔だったのか?」
涙ながらにリアさんに縋る。
「冗談よ」
ニッコリ笑うリアさんだが、さっきのは本気で言ってたと思う。顔が真面目だったもん。
「其れは其れとして、ここまで付き合って頂いたんだから、お礼位はしないと失礼よ」
アークさんの肩に手を置いて、説得する。
リアさんの説得に納得して、アークさんは謝礼金として払う事を了承した。
「うし。じゃー、俺達は港に居るから」
「此処を片付けたら来てね」
そして僕達は、港に向かった。

テントを張ってもうすぐ一週間。そんな時に二人が来た。
「もう良いの?」
駆け寄って聞くと頷いたから、取り敢えずテントの中に通した。
外は今、雨が降ってる。濡れた体を拭くのにタオルを貸してあげると、お礼を言って受け取った。
「街はどんな感じ?」
この一週間。街の事ばかり話していたライ君が、今は黙って外を見てる。気になってはいると思って、僕が代わりに聞く。
「魔物の逆鱗に触れて街が壊滅した。そういう事で説得した結果、もう魔物に構わないという事になりました」
あれだけ怖い思いしたもんね。しみじみと頷いちゃう。
「それから街の復興の為に、領主が動きました。初めは皆さん文句を言っていましたが、人を動かすのが上手く、特に自分自身が動く事によって、次第に一丸となって動く様になりました」
まだぎこちないですが。と付け加えたリアさん。事態が収束して、心底ホッとしている。
「ふ~ん。ちゃんと謝った?領主さん」
「ええ。それは盛大に」
その様子を思い出したのか、くすくす笑い出す。そんなに面白かったのか。
「じゃぁもう安心だね?」
「ええ」
久し振りにほのぼのとした空気が流れる。
「うし。じゃー行くぞ」
それがライ君の一言で崩れる。
「もう?雨は?」
「止んでない。つーかこれ暫く降るから」
「何で分かるの?」
「ここはこの時期、長期に渡って大量の雨が降る。行くなら弱まっている今だ」
憮然として言うライ君。
「そんな風の動きしてないけど・・・」
空気と雲と風の動きを見ると、明日には晴れそうだけどなぁ。
「ち。エルフには通用しないか」
心底残念そうに言うライ君。
「そんなに此処に居たくないの?」
眉を顰めて聞くと、ライ君が苦虫を潰した様な顔をした。
「当たり前だ。あんな変顔の土地にこれ以上用は無いんだよ」
「素直じゃないわね。街の復興についてあれこれ言ってた癖に」
ティルがジト目で言った。
「!」
ライ君が赤面した。そりゃもう見事に真っ赤っ赤。
「うるせー!豆粒チビ!」
「んなっ。妖精なんだから小さくて当然でしょう!」
「様はチビだろーが!」
「屁理屈じゃない!」
二人が言い合いを初めたから、僕達は端によってお茶にした。
「子供の喧嘩ですね」
リアさんがお茶を啜り、遠目で二人を見守りつつ言う。
「うん。二人とも突っ込みだから」
「貴方というボケ役がいて初めて均衡が取れるのね」
納得された。でも僕ボケて無いよぉ。ちょっと不満顔。
「子供の喧嘩とはあまり関係無いだろ」
アークさんがやっぱり遠目で言う。時折ティルを応援してる。
「取り敢えず明日は出発だから、今の内に調子を整えようね」

次の日は快晴。朝食を食べてから、デイノールへ帰った。
「何か。平和だな~」
家路を行きながら、しみじみと言うアークさん。リアさんが横で微笑んでる。
「とか言ってる間に家か~」
気落ちして言う。
玄関を開けると待ちかねていた様に、カベックさんが出てきた。
「おお!帰ったか。やはり詰まらんかったろう!」
第一声がそれですか。無事を喜ぶ位しても。
「いーや!充実してたね!」
「にゃにおぉう?」
手に魔力を込め始めた所で、ライ君の剣が閃いた。
「魔法は止めろ」
「ふ、ふん!いいじゃろう」
負けじと言うカベックさんだが、膝は笑ってる。
「充実して様がしてまいが、条件がクリアーできてなけりゃいかんぞ」
どっしり構えて、父親の威厳を醸し出す。でも膝は笑いっぱなし。
「はっは~ん!残念でした。クリアーできたんだよっ。クソ親父!」
親子喧嘩かぁ。僕も昔はよくしたなぁ。
流石に、今の二人の様な取っ組み合いはしなかったけど・・・。
「嘘を吐け!お前に何が出来たというんだ!」
取っ組み合いで涌く埃が凄いから、ちょっと離れて様子を見る事にした。
「色々だよ!なぁ!」
僕達に話を振る。
「トニーに突っ込む代役?」
とは、ライ君。
「ライのストレス発散用サンドバック?」
とは、ティル。
「ティル魔人の生贄!」
とは、僕。
「や・・・役に立ってた用だな」
後ずさって冷汗を掻くカベックさん。
「条件。関係無い」
とは、ルック君。
うわぁ!ルック君が喋るなんて珍しい! 
「そ、そうだ!条件と関係ない!」
「つーかそんな役立ち方したくねーよ!」
アークさんが思いっきり叫んだ。
「えと。私とのコンビプレーで沢山捕らえたわ(人を)!」
リアさんが割って入った。
「何?こいつにそんな頭脳プレーが出来たのか!」
心底驚いてる。アークさんて誰が見てもへっぽこなんだぁ。ちょっと同情。
「出来たんだよ!しかも街に魔物は居なくなった!」
偉そうに言うけど、それって僕達の働き。
結局僕達が一番働いてたよなぁ。
「ぬ、ぬぅぅ。いやしかし」
カベックさん圧され気味。全く、負けず嫌いはアークさんと一緒。
「兎に角!条件はクリアーしたんだ。旅に出るぜ!」
「あー!そうかいそうかい。解ったよ!出て行け出て行け!二度と戻ってくるな!」
「おー!その積もりだ!クソ親父!」
罵倒を吐きながらずかずか部屋に行き、荷物を持って戻ってきた。
「二度と戻るか!」
と、勢い良く外に出て振り返らずに進んで行く。それを見送るカベックさんの顔を、アークさんだけが見ていない。リアさんは荷物を持ってくると、カベックさんに「行って来ます」と言って、アークさんを追った。
「カベックさんも素直じゃないね。ライ君位に」
「俺様をこんな親父と一緒にするな」
痛いから。こめかみグリグリしないで欲しぃよぉ。しくしく(泣)。
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声に張りが無い。
「行くともさ。依頼料貰ったらな」
どんな状況でもライ君はがめつい。
依頼料を貰って(奪って?)アークさんの所へ向かう。
二人は町の入口に居た。
「ほら。金だ」
アークさんが嫌そうに、僕にお金を渡した。意地でもライ君には渡さない様だ。
「有難う御座いました」
「んーん。言ったでしょ。序でだったって」
「ええ、それでも。言いたかったのです」
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「ええ。・・・あの」
「何?」
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世界を知る事。
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「そうですか。有難う御座います」
お辞儀をして。アークさんにも無理矢理させて、二人はデイノールの町を後にした。
「さてっと。んじゃ、俺達も行くか」
「うん。そだね」
「やっと。何時もの旅に戻れるのね」
「・・・」
ルック君も嬉しそうだ。
アークさんとリアさんの旅は、今此処から始まった。
そして僕達は、僕達の旅に戻る。
あの二人は、きっと家に顔を出せる時が来るだろう。僕達もいつかは帰れると良いな。
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