君のナミダに渇くカラダ

あーむす。

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31.何か、不自然だ

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「リーダー、安田の分の仕事はそろそろ私たちで回せるように割り振った方がいいでしょうか?」

相変わらず気の利く福永が俺のデスクに尋ねに来たので、「よろしく頼む」とお願いした。

すぐに自分のパソコン画面に顔を戻しながら頭を悩ます。

…今の指示は福永に言われる前に俺が気づかないといけなかったよな

反省しつつも、すぐに頭の中は現在三日連続欠勤中の安田のことに埋め尽くされた。

真面目な安田がこんなに会社を休むのは初めてだろう。

最初は変に心配してしまい、彼女のストーカーと化した元カレのことを思い浮かべたが、事務にきちんと連絡が入っていると聞き、安心していたのだが…

3日は長すぎやしないか?

病気だろうか、それとも旅行?

またカチカチとパソコンのキーボードを叩く手が止まっている。

…事務室に聞こう。

ここまで職権乱用じゃないかと抑えていたがこのままじゃ仕事にならない。
もし何かあった時、絶対に後悔したくない。

仕事中にもかかわらず、俺は事務に電話をかけた。
すぐに「はい」と返事があったため食い気味で尋ねる。

「すまん、鬼塚だが…私の課の安田奈美が3日間来てないのだが…欠勤理由はなんと聞いてる?」

なるべく平静に話すように心がける。

「どうしたんですか、仕事滞ってますか?
高熱だって聞きましたよ。3日前に連絡がきて、熱下がるまでは欠勤させていただきたいですって。
仕事できないほど熱があるなら仕方ないですけど、そろそろ一緒に働く人は大変ですよね。」

「高熱、か…。連絡は初日きたっきりか。あいつ一人暮らしだけど大丈夫か…」

「確かに一人暮らしで高熱だと倒れたりしてたら大変ですけど、彼女一人暮らしじゃないでしょう?
実家暮らしじゃないですか?お父さんがかけてきましたよ。
優しそうな方で、大事にされてると思います、心配ないと思いますよ。」

実家暮らし?…いや、そんなバカな。
彼女は俺の向かいのマンションに住んでいるんだからそんなはずはない。

でも、男の声って…安田の声は確認できてなくて…

想像していなかった情報に頭が混乱する。

「わかった、ありがとう」

とりあえず繋がっていた電話を切って、情報を整理してみる。

何か、不自然だ。まず、安田なら自分で連絡するだろう、なんなら迷惑をかけてごめんなさいという謝罪メールも送ってきそうだ。

しかも、安田は男性恐怖症…

なら、その男は。

自然と俺は最悪な1つの可能性にたどり着く。

ー電話をかけたのは、例のストーカー?ー

そこまで考えて顔を上げると、いつもと変わらない仕事風景がうつっていた。
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