恋愛相談から始まる恋物語

菜の花

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カレーとシーフード

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時刻は、昼の12時を回った頃だった。

昨日のなり行きで、俺は水無月とこれから出かける予定だった。

別に行く目的も場所も決まっていない。

決まっているのは、14時に駅前で待ち合わせって事ぐらいだった。

まだ時間には余裕があるので、テレビを見ていると、誰かの訪問を知らせるインターホンの音が鳴り響いた。

新聞かセールスか、だが玄関の前に居たのは、俺が14時に駅前で待ち合わせをした少女だった。

「なんで居んだよ・・・」

「来ちゃった」

「来ちゃった、じゃねーよ。約束の時間の2時間も前じゃないか」

「ちょっと暇でさ。入っていい?」

暇だからって、いきなり来られるこっちの身にもなれっての。

まあ、この後もどうせ会う予定だったし、家に入れるのには断る理由がなかったので、俺はそのまま水無月を家に入れた。

本当はもっと警戒するもんじゃないのだろうかと、毎回疑問に思ってしまう。

彼女達に異性として見られていないという現実が突きつけられていた。

だからと言って無理矢理犯そうなんて、思ってすらいないが。

「何か飲むか?」

「いつもの」

「いつものってなんだよ?」

いや、お前くる度に飲み物変わるから、いつものって言われても分からないからな・・・。

そんな事を思いながら水無月に聞き直すが、その事が不満だったらしく、水無月は分かりやすくむくれていた。

とりあえず俺は、前に水無月が頼んだお茶を渡した。

「・・・レモンティーが良かった」

「うちで一度も飲んだことねえだろうが」

そのまま水無月は俺からお茶を受け取り、ちびちびと飲み始めた。

俺と水無月は、点いているテレビを2人で黙って見ていた。

そして、口を開いたのは水無月の方だった。

「今日、どこ行こっか」

「誘った張本人がノープランかよ」

「デートって、普通は男の人がエスコートするもんでしょ?」

「デートした事なんかないから知らん」

「嘘、七と遊園地デートしたくせに」

俺のその言葉がまたしても気に入らなかったのか、水無月は口を尖らせていた。

何だろうな、今日の水無月は子供だった。

女子高生ともなればまだ子供の範疇ではあるのだが、なんかこう・・・もっと幼い子供みたいな? そんな印象だった。

「あれはデートじゃない。だだの下見だ」

「七はそんな事言ってなかったよ? 楽しかったって。普段は見れないあんたの事見れたって」

普段は見れない俺・・・か。

コーヒーカップではしゃいだり、高い所が苦手な所とかだろうな。

まあ、デートじゃないと言えばデートじゃないし、デートっちゃデートだよな。

「人には見せたくないトコではあったけどな」

「何?」

「いや、俺の話聞いてたか?」

「七には言って、あたしには言えないんだ」

「別に四月に教えたわけじゃない。必然的に四月が知る様になっただけだ」

「ふーん・・・」

そう言うと、水無月はそのままソファーに横になった。

本当、自分の家の様に遠慮なくくつろぎやがって。

ここは俺の家だってのに。

ふと、掛け時計に目をやると、時刻は本来の集合時間になりかけていた。

「水無月、もう約束の時間になるけど、どこ行くんだ?」

「ん~、どこにも行かない」

「は?」

水無月の予想外のその言葉に、俺は呆気に取られてしまった。

誘ったのお前なのに、まさかのドタキャンかよ・・・。

「誘ったのお前だろ・・・」

「ん~、なんかここにいたら動くのめんどくさくなって」

こいつはわがままプリンセスかよ・・・。

ただでさえ水無月のせいで優雅な休日が無くなったというのに、ここまで振り回されるとはな。

そう思うと、俺自身も面倒くさくなり、出かける様に着替えていた服を脱ぎ、ゴリゴリの部屋着に着替え直した。

「あれ? 着替えたの?」

「どこも行かないんだったら、動きやすい部屋着でいいだろ」

「ふーん」

「聞いといて興味なさげとかありかよ・・・」

一度俺を見ながらそう言った水無月は、すぐに俺から視線を外し、興味なさげな返事を返す。

相変わらず俺への対応は雑なんだよな~。

それなりに落ち込んでいる時は、一丁前に空気読んで優しくしてくるくせに、それ以外は全く相手にされない。

だが、向こうが積極的に干渉してこないので、こちらも気を使って、話しかけたり構ったりする必要がない為、楽と言えば楽だった。

結局そのままお互いやりたい様に、好きな様に休日を過ごす。

「ねえ、お腹空いたんだけど」

「カップ麺しかねーぞ」

「それでいいよ」

「いつもの所にあるから、勝手に選んで勝手に食え」

俺は水無月に見向きもせず、そう淡々と答える。

こうしてまたカップ麺の在庫が減る為、そろそろ買い足しとかないとな。

「ふふっ、いつもの所ね」

そんなセリフが聞こえてきたので、何となく俺は水無月方の事を見た。

すると、なぜだかは知らないが水無月は笑っていた。

いや、微笑んでいたと言った方が正しいかな。

「何ニヤニヤしてんだ?」

「ニヤニヤなんかしてない」

「いや、してただろ」

「してないから!」

俺がすぐに指摘すると、水無月はバツの悪そうな表情を浮かべながら、俺の指摘を否定してきた。

まあ、こんなの水掛け論になるだけだし、どうでもいいか。

これ以上刺激すると、水無月は鬼になりそうだしな。

俺はそう思い、しつこく追求するのをやめた。

水無月はそのままキッチンに向かい、カップ麺をつくる用意をしていた。

「あんたは食べる?」

すると、キッチンから水無月が俺にそんな事を聞いてきた。

確かに、少し小腹は空いてきた所だった。

丁度良いタイミングだったので、水無月に作ってもらうか。

「カレー味あるか?」

「んー、ない」

「まじかよ、カレーが1番好きなのに」

「塩かシーフードだね」

「じゃあシーフードで」

「ん、分かった」

カレー味は1番好きなので、他のより多く買っておいたはずだったんだけどな。

そーいや、水無月とか四月が、黄色にパッケージのカップ麺食ってた記憶がほんのりあるな。

カレー味は戦争だなと思っていると、水無月が2つのカップ麺を持ってソファーにやってきた。

そのまま、目の前のテーブルにカップ麺を置いた。

「おい、カレー味あるじゃねーか!」

「カレー味はあたしの、あんたはシーフード」

「そこは家主に譲れや・・・」

「レディーファーストでしょ?」

でしょ? じゃねーよ。

そんなんならちゃんと確認してからにすれば良かったな。

次からは、カレー味だけ保管場所を変える作戦を思いついた。

そして3分後、2人で蓋を開け、香ばしいカレーの匂いと海の幸の匂いを嗅いでいた。

「「いただきます」」

2人して声を揃えて、食事の挨拶をする。

割り箸を綺麗に割り、麺をすくって息を吹きかけ若干冷ましながら口の中に入れる。

うん、美味い。相変わらずの美味だ。

水無月も俺の1番好きなカレー味を美味しそうに食べている。

そんな様子を見ていると、俺の視線に気がついたのか、水無月と目があった。

「なに、食べたいの?」

「いや、美味そうに食べるんだな~って思っただけ」

「うん、だって美味しいから」

そりゃ美味しいだろうな。

天下のカレー味様だからな。

すると、半分くらい食べ終わった頃に、水無月が俺にカレー味のカップ麺を渡してきた。

中を見ると、まだ半分くらいは入っていた。

「ん? なんだよ」

「交換、あたしもシーフード食べたい」

そう言いながら水無月は、俺の手に持っているシーフード味のカップ麺を指差す。

俺も丁度半分くらい食べ終わった所だった。

きっと、俺が食べたいと言ったから気を使ってくれたのだろう。

そんなそぶりは見せず、ただ自然な流れでそれをこなす水無月をすごいと思った。

「はいよ、シーフードもバカにできないからな」

「実は食べた事なかったんだよね、楽しみ」

そう言って俺と水無月はお互い了承してカップ麺を交換した。

少し冷めてはいたが、相変わらずカレー味は美味しかった。

水無月も、人生初のシーフード味を美味しそうに堪能していた。

そして、暫くしてからソレに気がついた。










箸、そのままじゃん・・・。
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