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ネコちゃんターコイズ
しおりを挟む「⋯ッ!!」
通知されたメッセージに、スマホを持つ手が震えた。
数週間前に受けた若手の登竜門、特撮ドラマのオーディション。
『合格』の文字に拳を強く握りしめる。
駆け出し新人俳優の俺には専属マネージャーはいない。
だから自分でオーディションを受けて仕事を得なくちゃならないんだ。
いくつものオーディションを受けて、やっと得られた役。しかもメインキャラ。
ネコちゃん戦隊ニャンニャンニャー。
早速顔合わせが行われた。
可愛い担当のオレンジ。クール系のパープル。
そして俺、ターコイズ。
戦隊モノなのにレッドはいないの?
と思ったが、監督が言うには「君たち全員が主役だから、レッドとかブルーとか使いたくなかった」というのが理由らしい。
いい事言うじゃん。もう好き。絶対成功させよ。
企画書も見せてもらった。
ネット配信「あの頃、特撮が好きだったキミに送る物語」を謳った大人の為の戦隊モノ。
なんと、お当番回はリクエストを聞いてもらえるんだって!
粗方コンセプトやスタッフの紹介を終えたら、主役三人それぞれ別の会議室に分かれてスタッフの方と企画を練り上げる。
俺が個人回にリクエストしたのは「大勢の敵に最後まで俺一人で戦って勝ちたい」って内容。
戦隊モノって敵一人に対してこっちは大勢だから、いまいち個々の強さが伝わりにくいと思うんだよな。勿論子ども向けなら、仲間と戦う大切さを伝える事が重要だからそれでいいと思う。
「せっかくの大人向けだし、ヒーローが敵を薙ぎ倒す展開も爽快でいい」
スタッフさんには好評でそれを主軸に台本が作られるそうだ。
ちなみに、他のメンバー二人にもどんな話になるかは言ってはいけないらしい。「出演者にも驚きを与えたい」と監督談。
その後は衣装合わせ。
スーツのデザインはお揃い。
アクターは入れず、戦闘シーンも自分たちで行うから原則顔出しした状態。
スケジュール空きまくりの俺は衣装が完成したらすぐに撮影に呼ばれた。ウキウキしながら現場に着くとすでに大勢のスタッフが準備していて活気に溢れている。
悪の組織のモブ敵と、犬を模した中堅敵とご挨拶。
「戦闘シーンは好きに演じていいよ」
と大まかな流れだけを説明され、撮影スタート。
さすがに5対1はやりづらい。派手にアクションを入れ大立ち回り。
よろめいた所をモブ敵に捕まって羽交締めされ動きを封じられた。
え、殴る蹴るの暴行とかは無いよな?不安になる俺を待ち受けていたのは暴力じゃなくて、くすぐり地獄だった。
「ああっ、⋯やめ、ちょ、やめて、あはっ⋯⋯、あはははっ、やっ⋯死んじゃう!」
無数に伸びる手に全身まさぐられ、くすぐったくて呼吸が出来ずに死ぬかと思った。
「ちょっ本当もうやめて、あはは、あんッ⋯!はー⋯⋯」
「ターコイズ君、全力で抵抗して逃げて!」
監督もノリノリだ。中堅敵にのしかかられて背中や脇もくすぐられ息があがる。
「お腹⋯くるしい、やあ、んッ⋯!」
笑いすぎて息が上がったが、監督の
「そろそろやっつけちゃおうか」の声に何とか立ちあがり足を踏ん張った。
♢
撮影後すぐに公開されたドラマの評判は上々らしい。
初回は、全く違う職種でそれぞれ悩みを抱える俺達が出会い、仲間になる。といった内容。
変身シーンのCGもなかなかの出来。
そして、問題の個人回は今夜一気に公開される。三人分。
俺も恐る恐る試聴する。
まずは自分のから⋯。
うわ、なんつー顔してんだよ俺。
くすぐり攻撃を受けまくって最後なんか髪はボサボサで顔も真っ赤だし、よろついていてちょっと情けない。
秘密にされていた二人の個人回も見てみる。二人とも日常回らしく、変身前の恰好だ。
そっか、バトルシーンじゃなくても良かったんだな。
オレンジは食いしん坊キャラなのかな。とっても幸せそうに食事するシーンが可愛い。
両手に食べ物持ってるだけで食いしん坊なのアピール出来るのはいいな。
しかもかぶりつく系。
ただ、キャラ作りの為とは言え、バナナとフランクフルトを交互に食うのは美味しくなさそう。
パープルは、温泉回か。癒し担当って事ね。
いいな~温泉。
でもちょっと待って、やたら入浴シーン長くない?アングルも際ど⋯。何でこんなに色んな角度から??
やっと終わったと思ったら今度はマッサージシーン。
「⋯ん、そこ、あ、気持ち いい⋯、ふあっ⋯!」
これもなんか俺のくすぐりシーン位声が出ちゃってて、え⋯大丈夫??
すぐにパープルから着信があった。
「⋯観たか」
「⋯⋯観た」
「なんか、おかしくないか?」
「いやでも、あの個人回だって俺らのリクエストを聞いて作られた物だし⋯」
全く無関係な事をやらされた訳ではなかった。それはパープルもだと同意している。
公開されてしまったものは仕方ない。
「これからは毅然とした態度で断ろう」と約束したが、その後の撮影は比較的まともだった。
ちなみにオレンジは「美味しい物いっぱい食べたかったのにコンビニ商品で済ませられた!」と、ぷりぷりお怒りだった。平和すぎる。
そうして全ての撮影が終わり、俺たちネコちゃん戦隊は解散した。
♢
数ヶ月後。
所の社長からお呼び出し。
「あのドラマ好評だったからさらにパワーアップして続編作りたいそうだ」
「は。はあ⋯」
正直もうやりたくないなって気持ちが顔に出ていたみたいで社長は眉を顰めた。
「若手にしか出来ない仕事ってのもあるんだから選り好みするな」
と諭され渋々契約書にサインをした。
撮影当日、運動場の端っこ、倉庫とベンチしかない小さな原っぱで撮影。
以前とは材質の違うスーツを渡された。伸縮性が無くてゴワゴワする。
「今日は敵とこの水鉄砲で戦ってもらうよ」
よかった。くすぐりよりよっぽど健全だ。
敵の皆さん思い思いの武器を手に走り出した。
そういや、色水でもない水鉄砲でどうやって勝敗を決めるんだろ。
撮影が始まり背中を集中的に攻撃される。
⋯なんか、おかしい。
「え?!」
服が、溶けてる!!
「え!?え!?」
このスーツ、材質紙か?!
背中がバックリ開いてしまって水鉄砲を放り投げて屈んだ。すぐに敵がやって来て両側から俺の手首を掴んだ。
「ちょ、何やって⋯」
変身が解けるのはマズイだろと焦る俺の前に立ちはだかったモブ敵がファスナーを下ろしたと思ったら、ぼろんとイチモツを出し、呆然とする俺の口に躊躇いもなく突っ込んできた。
「うぐ⋯ッ、」
頭を抑えつけられ激しく抽挿を繰り返される。逃げようにもふりほどけない。
ちょっと監督⋯!?
誰も止めない。何で?!
ぐっぽぐっぽと口内を蹂躙されたかと思うとすぐに出て行き、ほっとしたら顔に射精された。髪にかかった精液が頬を伝う。
「やっ、⋯やだ!」
二人がかりでベンチに運ばれ、寝かされたかと思うとスーツの上から乳首にむしゃぶりつかれた。
「やだぁ!⋯何で!?」
唾液まみれの胸の所だけ服が溶けて乳首が露わになった。ぷっくりと勃ち上がった乳首が舌で嬲られ齧られ痛気持ちいい。
「見ないで!⋯んむぅ!?」
顔を横向きにされ、また口の中に違うちんこを突っ込まれ喋ることが出来ない。
右胸と左胸にそれぞれモブ敵が張り付き、舐めたりつついたりしている。
「むね⋯、やだぁ⋯」
口の中のちんこを必死に押し返して頼んでも聞いてくれない。それどころか、お仕置みたいに引っ張られて恥ずかしくて気が狂いそう。
温かいローションが下半身に垂らされた。
「あっ、だめ⋯服、溶けちゃう」
ローションと共に擦られると下半身が丸出しになってしまった。
大事な所だけ剥き出しにされて、羞恥心で顔が赤くなる。
「ひっ、なに⋯」
ケツに指が侵入してきた。迷いもなく、俺の中を進んでくる。
ある一点に触れたかと思うと、そこを集中的に弄んでくる。
「そこっ、ダメ!」
「こっちも集中して」
再びモブ敵が俺の口を性器扱いし始めた。強く腰を振られて唾液とカウパーが溢れてくる。
されるがままのフェラ顔にもケツ穴にもカメラが接近してるのが分かる。
ケツを解している間に他の敵も集まってきた。
「おちんちん握ってみようか」
「ターコイズ君はお利口だから、おちんちんゴシゴシ出来るよね?」
右手と左手にも勃起ちんこが握らされた。何人いるんだよ。
「イくよ、エッチなお口でザーメン受け止めてね、あっイく⋯っ」
頭を押さえつけられたまま今度は口の中に出された。青臭くて不味い他人の体液に吐き気がする。
「はい、休んでないで今度はこっちね」
すぐにビキビキに血管が浮いた別のちんこが俺の口に埋め込まれる。さっきのよりデカくて嘔吐きそう。
「うぐぇっ、んえっ⋯!」
「あー、口まんこトロットロ⋯」
下卑た笑いを浮かべた男が好き勝手動いて俺の乳首に精液を放った。
やっと指が抜けたと思ったら、ぱくりと開いたケツ穴にカメラが接近してきた気配を感じる。足首を押さえられてて閉じられない。
前の撮影でも一緒だった、犬を模した中堅敵が俺の太腿を持ち上げると、ケツ穴に硬いのを押し付けてきた。
「ターコイズ君のアナル処女貰っちゃいます」
「ー⋯え」
今何つった?処女?ちょっと待て!
セックスするって事!?
それはもうAVになるのでは?!
「よく見ておきな」
上半身を少し起こされて、俺に凶悪ちんこがハメられる瞬間を見せられた。
見たくないのに固定されて目が逸らせない。みちっと音を立ててバキバキに勃起したちんこが入ってきた。
「痛い、やめ、抜いて⋯、あ⋯苦しい⋯⋯っ、やだぁ、助けて」
「絶望顔サイコー⋯」
涙を流す俺をカメラが色んなアングルで映す。
ベンチが壊れるんじゃないかと思う位激しく突かれ、俺はただただ喘ぐことしか出来なかった。
「やだっ、あんッ、おれ⋯初めてなのに⋯!」
「初体験で色んな男に相手してもらえて良かったね。お気に入りのおちんちんが見つかったらまたハメハメしてもらおうね」
「口まんこもケツ穴も満足するまでハメてやるからな」
その後は倉庫に連れ込まれ、マットの上で代わる代わる犯された。
俺のスーツはすっかり溶けて、唯一本物だったベルトに使用済みコンドームがいくつも括りつけられた。
「おれ、ヒーローなのに初めてで輪姦されちゃった⋯」
情事の跡が色濃く残った体を無防備に晒し、めそめそと泣く俺に監督が近付いてきた。
「ターコイズ君は大勢の敵と戦って最後は一人で勝ちたいんだったよね?」
「⋯⋯⋯は?はひ⋯?」
「じゃあ、どう演じればいいか分かるよね?」
『大勢の敵に最後まで俺一人で戦って勝ちたい』
戦う?勝つ?
セックスで勝つとは⋯。
唐突に理解した俺はマットに寝そべる中堅敵に跨った。
「ターコイズ?」
「⋯勝ち逃げなんて許しませんよ?」
俺が優位な体位で、コイツらの残った精を全て搾り取ってやる。
♢
ゲイ向けAVレーベルから新たに戦隊シリーズが発売された。
「ネコちゃん戦隊ヒーロー凌●。~踏みにじられる正義~」
ネコちゃんオレンジは「肉食ヒーローの快楽ご奉仕3Pでしゃぶりつくす」
ネコちゃんパープルは「彼氏が寝ている横で寝盗られた清楚系ヒーローは敵の手に陥落する」
ネコちゃんターコイズは「肉便器にされたヒーローがビッチになって食い荒らす」
と見出しが付いている。
売り出されたAVはそこそこヒットしたらしい。
【END】
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