37 / 44
第三十六話 王妃との謁見
しおりを挟む
いよいよ王妃様との謁見の日がやって来た。
久しぶりに訪れる王都の街は賑やかで、一国の王子が死んだ後だとは思えない。
それもそのはずで、
『ジェレミー殿下の死はまだどこにも伝わってないっすよ』
ナナンに頼んだ調査結果では、そういうことらしい。
わたしはすぐに噂として広がるんじゃないかと思ってたけど、違った。
公爵領の城下町でもジェレミー殿下が亡くなったと知っているのはごく一部。
他の人たちは『身分の高い人が殺された』くらいにしか思っていない。
(これもジェレミー殿下の人柄のお陰かしらね)
そもそも公爵領の住民の半分以上は亜人族だ。
今でこそ活気を取り戻しているけれど、以前まで食べる物にも困る有様だった。
そんな状態で遠い地の王子様の顔なんて知っているはずがない。
王都に噂として広がるにはまだ時間がかかるのだろう。
「……この静けさ、逆に怖いですね」
「そうだね。本当に怖い……首根っこ掴まれてる感じがするよ」
やっぱりアルも同じ意見だったみたいだ。
ジェレミー殿下を殺したのは間違いなくジョゼフィーヌ王妃。
彼女がやろうと思えば噂なんて一瞬で広まるに違いないのに。
「『お前たちをどうするかは、これからの謁見次第よ』って言われてるみたい」
「はぁ……胃が痛い。あの伯母上には一生会いたくなかった……」
「そういうわけにはいかないでしょうに」
わたしは思わず苦笑してしまう。
アルは傍系とはいえ王族の血を引いているし、そもそも公爵だ。
王族に近しい身分のアルは出席しなければいけない場もあるだろう。
王妃様とまったく顔を合わせないなんて出来ない。
(それは、公爵夫人になるわたしも同じ。だけど)
不安が鎌首をもたげると、アルが手を握って来た。
見れば、アルはわたしの顔を見てふっと微笑んでいる。
「大丈夫だよ。出来る限りのことはしたし……僕たち二人なら」
「……はい」
そうね。わたしはもう一人じゃない。
婚約破棄された時は為す術なくやられたわたしだけど……。
(今はもう、こんなにも頼もしい婚約者がいるんだから)
そうこうしているうちに、馬車は王宮の厩舎まで到着する。
厩舎係に馬を預けたわたしたちは兵士の案内で廊下を歩いた。
(……謁見の間じゃない。つまり非公式の会談にしたいってことね)
応接室に到着すると、王妃様──ジョゼフィーヌ様は優雅にお茶を飲んでいた。
ジェレミー殿下と同じ金髪、深いエメラルドの瞳は何もかも見通しているようだ。こちらに気付くと、王妃はカップを置いて言った。
「久しぶりね。ベアトリーチェ。アルフォンス」
「「ジョゼフィーヌ王妃にご挨拶申し上げます」」
わたしたちが揃ってお辞儀すると、ジョゼフィーヌ様は微笑んだ。
「堅苦しいのはやめましょう。あたくしたちの仲でしょ?」
(どんな仲よ。ここで関係を固定しない辺り本当に怖いわ……)
これからのわたしたちの態度次第で親戚にも共犯者にも加害者と被告人にもなりうる。相変わらず何気ない一言で人を怖がらせるのが上手い人だ。
(……わたしが意識しすぎなのかしら。いえ、この王妃相手にはこれくらいでいいわ)
わたし達がソファに座ると、ジョゼフィーヌ様は足を組んだ。
普通ならはしたないと言われるその仕草も彼女がやると妖艶に映るから不思議だ。
「アルフォンス、あなた少し痩せた?」
「えぇ、最近、心労が多いもので」
「あらあら。それは公爵領でジェレミーが死んだ件と関係あるのかしら?」
((来た……!))
その場に緊張が走る。
間違いなく、わたしとアルが思ったことは同じだろう。
ジョゼフィーヌ様は貴族みたいに時間をかけた交渉は好まない。
わたしたちの首筋にナイフを突きつけるとしたら、今この時を置いて他にない。
「あたくしもね、最初は信じられなかったわ。愛する我が子が、ジェレミーが死んだなんて。しかも、オルロー公爵領で死んだのでしょう? これは王族として責任を取ってもらわないと示しがつかないわね」
まったく心のこもっていない言葉はある種の清々しさすら感じる。
母としての情なんて一片も感じさせず──。
人は人を貶めるためにここまで平気で嘘をつけるのかと。
(……さて、今度はこちらの番ね)
わたしは拳を握りしめ、ジョゼフィーヌ様と向かい合う。
「お言葉ですが、それは無理があるのではないでしょうか」
「……何が?」
「そもそもジョゼフィーヌ様はなぜ、ジェレミー殿下が死んだことをご存じなのですか?」
王妃様は扇で口元を隠して目を細めた。
「ベアトリーチェ。あなた王家を甘く見ているんではなくて? 大事な息子の行方くらい把握しているのは当たり前でしょう? 今はまだ、国民が混乱するから情報を伏せているだけ……王子の死を発表するより先に、事実確認をしないといけないから。ちゃんと捜査資料は持ってきたのでしょうね?」
「えぇ、もちろん。そして、あなたに聞いてもらいたいものがあります」
「ふぅん?」
わたしは鞄から捜査資料を取り出し、録音水晶を机に置いた。
ボタンを押して再生する。
【お前を連れ帰らないと母上に殺される……! だから俺と来い! 大好きな金勘定でもなんでもさせてやる。俺を男と見なければそれでもいい。だがそれでも来い。三年前、僕と婚約した時からお前は母上のモノなんだよ……お前なんかが逆らえる相手じゃないんだ!】
王妃の表情は変わらない。
けれど、
「これのどこが『大事な息子』なのでしょうか。ジョゼフィーヌ様」
「……何が言いたいの?」
「ジェレミー殿下は【母上に殺される】とハッキリ言っています」
最初から全力。
わたし達が持つ最大の一手で王妃の余裕面を崩す。
「わたしを連れ戻すことに失敗した王子は、一体誰に始末されたんでしょうか?」
(さぁ、どう出ますか。ジョゼフィーヌ様……!)
ジョゼフィーヌはゆっくりと口を開いた。
久しぶりに訪れる王都の街は賑やかで、一国の王子が死んだ後だとは思えない。
それもそのはずで、
『ジェレミー殿下の死はまだどこにも伝わってないっすよ』
ナナンに頼んだ調査結果では、そういうことらしい。
わたしはすぐに噂として広がるんじゃないかと思ってたけど、違った。
公爵領の城下町でもジェレミー殿下が亡くなったと知っているのはごく一部。
他の人たちは『身分の高い人が殺された』くらいにしか思っていない。
(これもジェレミー殿下の人柄のお陰かしらね)
そもそも公爵領の住民の半分以上は亜人族だ。
今でこそ活気を取り戻しているけれど、以前まで食べる物にも困る有様だった。
そんな状態で遠い地の王子様の顔なんて知っているはずがない。
王都に噂として広がるにはまだ時間がかかるのだろう。
「……この静けさ、逆に怖いですね」
「そうだね。本当に怖い……首根っこ掴まれてる感じがするよ」
やっぱりアルも同じ意見だったみたいだ。
ジェレミー殿下を殺したのは間違いなくジョゼフィーヌ王妃。
彼女がやろうと思えば噂なんて一瞬で広まるに違いないのに。
「『お前たちをどうするかは、これからの謁見次第よ』って言われてるみたい」
「はぁ……胃が痛い。あの伯母上には一生会いたくなかった……」
「そういうわけにはいかないでしょうに」
わたしは思わず苦笑してしまう。
アルは傍系とはいえ王族の血を引いているし、そもそも公爵だ。
王族に近しい身分のアルは出席しなければいけない場もあるだろう。
王妃様とまったく顔を合わせないなんて出来ない。
(それは、公爵夫人になるわたしも同じ。だけど)
不安が鎌首をもたげると、アルが手を握って来た。
見れば、アルはわたしの顔を見てふっと微笑んでいる。
「大丈夫だよ。出来る限りのことはしたし……僕たち二人なら」
「……はい」
そうね。わたしはもう一人じゃない。
婚約破棄された時は為す術なくやられたわたしだけど……。
(今はもう、こんなにも頼もしい婚約者がいるんだから)
そうこうしているうちに、馬車は王宮の厩舎まで到着する。
厩舎係に馬を預けたわたしたちは兵士の案内で廊下を歩いた。
(……謁見の間じゃない。つまり非公式の会談にしたいってことね)
応接室に到着すると、王妃様──ジョゼフィーヌ様は優雅にお茶を飲んでいた。
ジェレミー殿下と同じ金髪、深いエメラルドの瞳は何もかも見通しているようだ。こちらに気付くと、王妃はカップを置いて言った。
「久しぶりね。ベアトリーチェ。アルフォンス」
「「ジョゼフィーヌ王妃にご挨拶申し上げます」」
わたしたちが揃ってお辞儀すると、ジョゼフィーヌ様は微笑んだ。
「堅苦しいのはやめましょう。あたくしたちの仲でしょ?」
(どんな仲よ。ここで関係を固定しない辺り本当に怖いわ……)
これからのわたしたちの態度次第で親戚にも共犯者にも加害者と被告人にもなりうる。相変わらず何気ない一言で人を怖がらせるのが上手い人だ。
(……わたしが意識しすぎなのかしら。いえ、この王妃相手にはこれくらいでいいわ)
わたし達がソファに座ると、ジョゼフィーヌ様は足を組んだ。
普通ならはしたないと言われるその仕草も彼女がやると妖艶に映るから不思議だ。
「アルフォンス、あなた少し痩せた?」
「えぇ、最近、心労が多いもので」
「あらあら。それは公爵領でジェレミーが死んだ件と関係あるのかしら?」
((来た……!))
その場に緊張が走る。
間違いなく、わたしとアルが思ったことは同じだろう。
ジョゼフィーヌ様は貴族みたいに時間をかけた交渉は好まない。
わたしたちの首筋にナイフを突きつけるとしたら、今この時を置いて他にない。
「あたくしもね、最初は信じられなかったわ。愛する我が子が、ジェレミーが死んだなんて。しかも、オルロー公爵領で死んだのでしょう? これは王族として責任を取ってもらわないと示しがつかないわね」
まったく心のこもっていない言葉はある種の清々しさすら感じる。
母としての情なんて一片も感じさせず──。
人は人を貶めるためにここまで平気で嘘をつけるのかと。
(……さて、今度はこちらの番ね)
わたしは拳を握りしめ、ジョゼフィーヌ様と向かい合う。
「お言葉ですが、それは無理があるのではないでしょうか」
「……何が?」
「そもそもジョゼフィーヌ様はなぜ、ジェレミー殿下が死んだことをご存じなのですか?」
王妃様は扇で口元を隠して目を細めた。
「ベアトリーチェ。あなた王家を甘く見ているんではなくて? 大事な息子の行方くらい把握しているのは当たり前でしょう? 今はまだ、国民が混乱するから情報を伏せているだけ……王子の死を発表するより先に、事実確認をしないといけないから。ちゃんと捜査資料は持ってきたのでしょうね?」
「えぇ、もちろん。そして、あなたに聞いてもらいたいものがあります」
「ふぅん?」
わたしは鞄から捜査資料を取り出し、録音水晶を机に置いた。
ボタンを押して再生する。
【お前を連れ帰らないと母上に殺される……! だから俺と来い! 大好きな金勘定でもなんでもさせてやる。俺を男と見なければそれでもいい。だがそれでも来い。三年前、僕と婚約した時からお前は母上のモノなんだよ……お前なんかが逆らえる相手じゃないんだ!】
王妃の表情は変わらない。
けれど、
「これのどこが『大事な息子』なのでしょうか。ジョゼフィーヌ様」
「……何が言いたいの?」
「ジェレミー殿下は【母上に殺される】とハッキリ言っています」
最初から全力。
わたし達が持つ最大の一手で王妃の余裕面を崩す。
「わたしを連れ戻すことに失敗した王子は、一体誰に始末されたんでしょうか?」
(さぁ、どう出ますか。ジョゼフィーヌ様……!)
ジョゼフィーヌはゆっくりと口を開いた。
5
あなたにおすすめの小説
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
『婚約破棄されましたが、孤児院を作ったら国が変わりました』
ふわふわ
恋愛
了解です。
では、アルファポリス掲載向け・最適化済みの内容紹介を書きます。
(本命タイトル①を前提にしていますが、他タイトルにも流用可能です)
---
内容紹介
婚約破棄を告げられたとき、
ノエリアは怒りもしなければ、悲しみもしなかった。
それは政略結婚。
家同士の都合で決まり、家同士の都合で終わる話。
貴族の娘として当然の義務が、一つ消えただけだった。
――だから、その後の人生は自由に生きることにした。
捨て猫を拾い、
行き倒れの孤児の少女を保護し、
「収容するだけではない」孤児院を作る。
教育を施し、働く力を与え、
やがて孤児たちは領地を支える人材へと育っていく。
しかしその制度は、
貴族社会の“当たり前”を静かに壊していった。
反発、批判、正論という名の圧力。
それでもノエリアは感情を振り回さず、
ただ淡々と線を引き、責任を果たし続ける。
ざまぁは叫ばれない。
断罪も復讐もない。
あるのは、
「選ばれなかった令嬢」が選び続けた生き方と、
彼女がいなくても回り続ける世界。
これは、
恋愛よりも生き方を選んだ一人の令嬢が、
静かに国を変えていく物語。
---
併せておすすめタグ(参考)
婚約破棄
女主人公
貴族令嬢
孤児院
内政
知的ヒロイン
スローざまぁ
日常系
猫
婚約破棄に、承知いたしました。と返したら爆笑されました。
パリパリかぷちーの
恋愛
公爵令嬢カルルは、ある夜会で王太子ジェラールから婚約破棄を言い渡される。しかし、カルルは泣くどころか、これまで立て替えていた経費や労働対価の「莫大な請求書」をその場で叩きつけた。
地味令嬢を見下した元婚約者へ──あなたの国、今日滅びますわよ
タマ マコト
ファンタジー
王都の片隅にある古びた礼拝堂で、静かに祈りと針仕事を続ける地味な令嬢イザベラ・レーン。
灰色の瞳、色褪せたドレス、目立たない声――誰もが彼女を“無害な聖女気取り”と笑った。
だが彼女の指先は、ただ布を縫っていたのではない。祈りの糸に、前世の記憶と古代詠唱を縫い込んでいた。
ある夜、王都の大広間で開かれた舞踏会。
婚約者アルトゥールは、人々の前で冷たく告げる――「君には何の価値もない」。
嘲笑の中で、イザベラはただ微笑んでいた。
その瞳の奥で、何かが静かに目覚めたことを、誰も気づかないまま。
翌朝、追放の命が下る。
砂埃舞う道を進みながら、彼女は古びた巻物の一節を指でなぞる。
――“真実を映す者、偽りを滅ぼす”
彼女は祈る。けれど、その祈りはもう神へのものではなかった。
地味令嬢と呼ばれた女が、国そのものに裁きを下す最初の一歩を踏み出す。
『胸の大きさで婚約破棄する王太子を捨てたら、国の方が先に詰みました』
鷹 綾
恋愛
「女性の胸には愛と希望が詰まっている。大きい方がいいに決まっている」
――そう公言し、婚約者であるマルティナを堂々と切り捨てた王太子オスカー。
理由はただ一つ。「理想の女性像に合わない」から。
あまりにも愚かで、あまりにも軽薄。
マルティナは怒りも泣きもせず、静かに身を引くことを選ぶ。
「国内の人間を、これ以上巻き込むべきではありません」
それは諫言であり、同時に――予告だった。
彼女が去った王都では、次第に“判断できる人間”が消えていく。
調整役を失い、声の大きな者に振り回され、国政は静かに、しかし確実に崩壊へ向かっていった。
一方、王都を離れたマルティナは、名も肩書きも出さず、
「誰かに依存しない仕組み」を築き始める。
戻らない。
復縁しない。
選ばれなかった人生を、自分で選び直すために。
これは、
愚かな王太子が壊した国と、
“何も壊さずに離れた令嬢”の物語。
静かで冷静な、痛快ざまぁ×知性派ヒロイン譚。
婚約者を奪った妹と縁を切ったので、家から離れ“辺境領”を継ぎました。 すると勇者一行までついてきたので、領地が最強になったようです
藤原遊
ファンタジー
婚約発表の場で、妹に婚約者を奪われた。
家族にも教会にも見放され、聖女である私・エリシアは “不要” と切り捨てられる。
その“褒賞”として押しつけられたのは――
魔物と瘴気に覆われた、滅びかけの辺境領だった。
けれど私は、絶望しなかった。
むしろ、生まれて初めて「自由」になれたのだ。
そして、予想外の出来事が起きる。
――かつて共に魔王を倒した“勇者一行”が、次々と押しかけてきた。
「君をひとりで行かせるわけがない」
そう言って微笑む勇者レオン。
村を守るため剣を抜く騎士。
魔導具を抱えて駆けつける天才魔法使い。
物陰から見守る斥候は、相変わらず不器用で優しい。
彼らと力を合わせ、私は土地を浄化し、村を癒し、辺境の地に息を吹き返す。
気づけば、魔物巣窟は制圧され、泉は澄み渡り、鉱山もダンジョンも豊かに開き――
いつの間にか領地は、“どの国よりも最強の地”になっていた。
もう、誰にも振り回されない。
ここが私の新しい居場所。
そして、隣には――かつての仲間たちがいる。
捨てられた聖女が、仲間と共に辺境を立て直す。
これは、そんな私の第二の人生の物語。
[完]本好き元地味令嬢〜婚約破棄に浮かれていたら王太子妃になりました〜
桐生桜月姫
恋愛
シャーロット侯爵令嬢は地味で大人しいが、勉強・魔法がパーフェクトでいつも1番、それが婚約破棄されるまでの彼女の周りからの評価だった。
だが、婚約破棄されて現れた本来の彼女は輝かんばかりの銀髪にアメジストの瞳を持つ超絶美人な行動過激派だった⁉︎
本が大好きな彼女は婚約破棄後に国立図書館の司書になるがそこで待っていたのは幼馴染である王太子からの溺愛⁉︎
〜これはシャーロットの婚約破棄から始まる波瀾万丈の人生を綴った物語である〜
夕方6時に毎日予約更新です。
1話あたり超短いです。
毎日ちょこちょこ読みたい人向けです。
婚約破棄された令嬢、気づけば王族総出で奪い合われています
ゆっこ
恋愛
「――よって、リリアーナ・セレスト嬢との婚約は破棄する!」
王城の大広間に王太子アレクシスの声が響いた瞬間、私は静かにスカートをつまみ上げて一礼した。
「かしこまりました、殿下。どうか末永くお幸せに」
本心ではない。けれど、こう言うしかなかった。
王太子は私を見下ろし、勝ち誇ったように笑った。
「お前のような地味で役に立たない女より、フローラの方が相応しい。彼女は聖女として覚醒したのだ!」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる