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28「続・頼々子さん」
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💭 🔁 ❤×?864
他のクラスは騒然となった。
が、2年4組に関して言えば、落ち着いたものだった。『インスタ女子組』なんて、『いいね稼げそう!』と嬉しそうですらあった。
けれど、2年4組が大量に投稿した州都さん焼死の瞬間は瞬く間に学年全体に広まっていって、他の学年は社会見学どころでは無くなってしまった。
もちろん、そんな動画を大量に拡散されてしまった会社の方にとっても。
僕らは工場から追い出され、社有地の片隅、駐車場で待機する事になった。
喜色満面の2年4組たちを、他のクラスの面々が気味悪い物でも見るかのような目で見ている……。
ただ、同派閥の『陽キャ男子組』だけは、茫然とした様子だった。
【お料理YouTober】米里「あぁぁ……俺の所為……俺の……」
【陽キャリーダー】蹴鞠「お前の所為じゃないよ。自分を責めるな」
そう言えば米里くんは以前、出目さんから『アンタの所為で』ってなじられていた事がある。
「ね、ねぇ米里くん」僕は陽キャに話し掛けるのに多大な精神的負荷と緊張を感じながらも、『呪い』を解く手掛かりを得る為、と己を奮い立たせて尋ねる。「以前にも出目さんが言っていた、この『呪い』が君の所為だとかいう話って、一体どう言う事――」
【お料理YouTober】米里「てめぇ――」いきなり、本当にいきなり、米里くんに胸倉を掴まれた。「あんな、あんな悪ふざけを何度も何度も何度も何度もしやがって、その上『一体どういう事』だぁ!? それはこっちのセリフだ!!」
【陽キャリーダー】蹴鞠「米里!」割って入る。「物部くんも。米里を刺激するような真似は止してくれ。米里と話がしたいなら、俺を仲介して欲しい」
【お料理YouTober】米里「くそが!」
米里くんに思いっきり体を突き飛ばされ、僕は尻餅をつく。
米里くんが、射殺しそうな目で僕を睨みつけてくる。
――――??????????
まったく意味が分からない。本当に、分からない事ばかりだ。
すぐそばでは、いつの間にか僕の隣にしゃがみ込んでいた星狩さんが、不安そうな顔をしている。
💭 🔁 ❤×?747
結局、旅館で早めの昼食を摂って、生田神社で頼々子さんを待つ事になった。 2年4組以外は自由行動になっている。
そうして、今、
2年4組の面々は、神社の本殿の一室で習合している。
相変わらず、【写真家】写楽さんと【登山部】山野くんの姿は無い。それに、いくら探しても、星狩さんの姿が見つからない……まぁ、もとより星狩さんは神出鬼没なところがあったけど。
さて、そんな風にして待つ事しばし。
ドタバタと廊下を走る音が聞こえてきて、障子戸がばぁんと開かれた。
「――かるたくんッ!!」
凛々しくも懐かしい声。
ショートヘアの、美しくもボーイッシュな顔立ち。
身長180センチの少し手前。
「待たせたわねッ!!」
後光でも差していそうな仁王立ち。
「頼々子さん!!」
世界で一番頼りになる女性、頼々子さんだ!
頼々子さんの前に飛び出すと、頼々子さんに頭をわしゃわしゃと撫でられた。
「だぁから、その呼び方はやめなさいって」
叱られてしまう。
いやぁこの感じ、懐かしいなぁ。
「だって、女の人を下の名前で呼ぶなんて恥ずかしいやん」
「だからって苗字と名前を短縮して呼ぶ事はないでしょうに」
「だってー」
久しぶりに大人に甘えられるのが嬉しくて、僕はついつい頼々子さんにダル絡みをしてしまう。
……と、そこまで話してからようやく僕は、僕がクラス中の注目を集めている事に気付いた。
慌てて頼々子さんから離れて、部屋の隅っこに行こうとするも、
「――ぐぇっ」頼々子さんに襟首を掴まれた。「な、何よもぅ」
「『呪い』を実際に見せてみなさい」
「あ!」
それもそうだった。
僕はTwittooを開き、自アカウントの『🔁 + ❤ = ?746』の表示や、『いいね❤ × 1分 = 余命』アカウントの画面、そして『ルール説明』のリツイートを取り消しても、すぐに再びリツイートされてしまうという一連の動作を見せ、さらにいくつかの1分間動画も見せる。
頼々子さんは一緒にやって来た神主さん――ここの神主さんか、さもなければ専門家の方だろう――と2人でスマホを覗き込みながら、手帳に素早くメモを取っている。
「どうです?」神主さんに尋ねる頼々子さんと、
「何とも言えません」唸る神主さん。「とにかく、すぐにもお祓いを始めましょう」
💭 🔁 ❤×?740
2年4組が本殿に案内される。
人通りが無い。という事は、頼々子さんが手配してくれたのだろうか。
生徒たちが列を作って並び、両手でスマホを掲げ持つ光景は、なかなかにシュールだ。
まず、神主さんが祝詞を奏上する。
続いて巫女さんによる神楽。【映えの権化】蝿塚さん以下数名が嬉々として巫女さんにスマホを向けていた。
次に、『玉串』を神様に捧げる儀式。神主さんの指導に従って、拍手したり礼をしたりする。
最後に神主さんと巫女さんから、2年4組の面々にお札が配られる。『今日来ていない人の分も』と頼み込んで、僕は2枚のお札をもらった――もちろん星狩さんの分だ。
早速クラスの面々がお札をスマホに張り付け始めるも――
【陽キャリーダー】蹴鞠「駄目だ、消えない……」
【セミプロダンサー】舞姫「『ルール説明』のリツイートを外しても、やっぱりリツイートし直されちゃう」
【映えの権化】蝿塚「減った……今、いいねが1つ減っちゃった……」
……効果は無いらしい。
「駄目だったか」すぱっと切り替えた頼々子さんが、クラスの面々を外に誘導する。「神道が駄目なら、次は仏教。皆さん、速やかに、外に用意しているバスに乗って下さい!」
【担任】古井戸「ど、何処へ向かうのですか?」
「摩耶山――あの、弘法大師空海が訪れたという霊験あらたかな天上寺です」
他のクラスは騒然となった。
が、2年4組に関して言えば、落ち着いたものだった。『インスタ女子組』なんて、『いいね稼げそう!』と嬉しそうですらあった。
けれど、2年4組が大量に投稿した州都さん焼死の瞬間は瞬く間に学年全体に広まっていって、他の学年は社会見学どころでは無くなってしまった。
もちろん、そんな動画を大量に拡散されてしまった会社の方にとっても。
僕らは工場から追い出され、社有地の片隅、駐車場で待機する事になった。
喜色満面の2年4組たちを、他のクラスの面々が気味悪い物でも見るかのような目で見ている……。
ただ、同派閥の『陽キャ男子組』だけは、茫然とした様子だった。
【お料理YouTober】米里「あぁぁ……俺の所為……俺の……」
【陽キャリーダー】蹴鞠「お前の所為じゃないよ。自分を責めるな」
そう言えば米里くんは以前、出目さんから『アンタの所為で』ってなじられていた事がある。
「ね、ねぇ米里くん」僕は陽キャに話し掛けるのに多大な精神的負荷と緊張を感じながらも、『呪い』を解く手掛かりを得る為、と己を奮い立たせて尋ねる。「以前にも出目さんが言っていた、この『呪い』が君の所為だとかいう話って、一体どう言う事――」
【お料理YouTober】米里「てめぇ――」いきなり、本当にいきなり、米里くんに胸倉を掴まれた。「あんな、あんな悪ふざけを何度も何度も何度も何度もしやがって、その上『一体どういう事』だぁ!? それはこっちのセリフだ!!」
【陽キャリーダー】蹴鞠「米里!」割って入る。「物部くんも。米里を刺激するような真似は止してくれ。米里と話がしたいなら、俺を仲介して欲しい」
【お料理YouTober】米里「くそが!」
米里くんに思いっきり体を突き飛ばされ、僕は尻餅をつく。
米里くんが、射殺しそうな目で僕を睨みつけてくる。
――――??????????
まったく意味が分からない。本当に、分からない事ばかりだ。
すぐそばでは、いつの間にか僕の隣にしゃがみ込んでいた星狩さんが、不安そうな顔をしている。
💭 🔁 ❤×?747
結局、旅館で早めの昼食を摂って、生田神社で頼々子さんを待つ事になった。 2年4組以外は自由行動になっている。
そうして、今、
2年4組の面々は、神社の本殿の一室で習合している。
相変わらず、【写真家】写楽さんと【登山部】山野くんの姿は無い。それに、いくら探しても、星狩さんの姿が見つからない……まぁ、もとより星狩さんは神出鬼没なところがあったけど。
さて、そんな風にして待つ事しばし。
ドタバタと廊下を走る音が聞こえてきて、障子戸がばぁんと開かれた。
「――かるたくんッ!!」
凛々しくも懐かしい声。
ショートヘアの、美しくもボーイッシュな顔立ち。
身長180センチの少し手前。
「待たせたわねッ!!」
後光でも差していそうな仁王立ち。
「頼々子さん!!」
世界で一番頼りになる女性、頼々子さんだ!
頼々子さんの前に飛び出すと、頼々子さんに頭をわしゃわしゃと撫でられた。
「だぁから、その呼び方はやめなさいって」
叱られてしまう。
いやぁこの感じ、懐かしいなぁ。
「だって、女の人を下の名前で呼ぶなんて恥ずかしいやん」
「だからって苗字と名前を短縮して呼ぶ事はないでしょうに」
「だってー」
久しぶりに大人に甘えられるのが嬉しくて、僕はついつい頼々子さんにダル絡みをしてしまう。
……と、そこまで話してからようやく僕は、僕がクラス中の注目を集めている事に気付いた。
慌てて頼々子さんから離れて、部屋の隅っこに行こうとするも、
「――ぐぇっ」頼々子さんに襟首を掴まれた。「な、何よもぅ」
「『呪い』を実際に見せてみなさい」
「あ!」
それもそうだった。
僕はTwittooを開き、自アカウントの『🔁 + ❤ = ?746』の表示や、『いいね❤ × 1分 = 余命』アカウントの画面、そして『ルール説明』のリツイートを取り消しても、すぐに再びリツイートされてしまうという一連の動作を見せ、さらにいくつかの1分間動画も見せる。
頼々子さんは一緒にやって来た神主さん――ここの神主さんか、さもなければ専門家の方だろう――と2人でスマホを覗き込みながら、手帳に素早くメモを取っている。
「どうです?」神主さんに尋ねる頼々子さんと、
「何とも言えません」唸る神主さん。「とにかく、すぐにもお祓いを始めましょう」
💭 🔁 ❤×?740
2年4組が本殿に案内される。
人通りが無い。という事は、頼々子さんが手配してくれたのだろうか。
生徒たちが列を作って並び、両手でスマホを掲げ持つ光景は、なかなかにシュールだ。
まず、神主さんが祝詞を奏上する。
続いて巫女さんによる神楽。【映えの権化】蝿塚さん以下数名が嬉々として巫女さんにスマホを向けていた。
次に、『玉串』を神様に捧げる儀式。神主さんの指導に従って、拍手したり礼をしたりする。
最後に神主さんと巫女さんから、2年4組の面々にお札が配られる。『今日来ていない人の分も』と頼み込んで、僕は2枚のお札をもらった――もちろん星狩さんの分だ。
早速クラスの面々がお札をスマホに張り付け始めるも――
【陽キャリーダー】蹴鞠「駄目だ、消えない……」
【セミプロダンサー】舞姫「『ルール説明』のリツイートを外しても、やっぱりリツイートし直されちゃう」
【映えの権化】蝿塚「減った……今、いいねが1つ減っちゃった……」
……効果は無いらしい。
「駄目だったか」すぱっと切り替えた頼々子さんが、クラスの面々を外に誘導する。「神道が駄目なら、次は仏教。皆さん、速やかに、外に用意しているバスに乗って下さい!」
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