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オズワルド王国の章
49 策略
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宰相ネロの屋敷は、王宮のすぐ傍にある。
その広大な地下空間には、所々に柱がある以外は何もない。
ただその大理石の床には、数々の悪魔契約の跡――悪魔の紋章であるシジルが刻まれて残されている。
「ご苦労だっだね。ユリウス」
人の気配のしないこの禍々しい空間で、ネロともう1人の男――勇者ユリウスが向き合っている。
「お褒めいただき光栄です、ネロ様」
微笑を浮かべるユリウスは、ネロの姿の先に闇使いオルオンを見ていた。
「フン。もはや、姿を偽る必要もない」
ネロから、凍り付くような冷たく低い声が漏れる。
それはネロに姿を変えている闇使いオルオンの肉声だ。
オルオンは闇魔法を解き、彼の本来の姿を現した。
「この精霊の世界は、もうじき終わりを告げるのだからな」
残酷な宣言を下した彼の声は、確信を宿している。
「はい。オルオン様」
ユリウスは、齢六十のネロより、いくばくか若いこの男――白髪と白瞳を持つオルオンの姿を前にして、崇拝の念を込め膝をついた。
「さて――」
オルオンは、その手のひらに契約悪魔レヴィアタンのシジルを浮かび上がらせた。
やがてその紋様が床へと写し取られると、それは次第に巨大な魔方陣へと変貌していく。
「姿を現せ。ヨルムンガンドよ」
オルオンの呪文を皮切りに、魔法陣が光を放ち召喚術が発動する。
しかし、魔界の怪物ヨルムンガンドが召喚に応じる前に――炎でできた鋭い短剣が投げられ、オルオンの手首を切り落とそうとする。
それは何者かが放った、火の精霊魔法である。
だが見るも無残、オルオンはその炎の短剣を素手で握り、そして潰して灰にしてしまった。
ユリウスが警戒を露わにするが、魔法を放った何者かの姿は見えない。
(……姿隠しの魔法だな)
睨みをきかせたユリウスは、魔法が放たれた源へと瞬時に剣を突き刺した。
「―――くっ!」
剣に刺され、その姿を現したのは――カルロス・フルームである。
まだ15歳の少年だが、兄のパブロの前に勇者に選ばれていた、実力ある火の精霊魔法使いである。
「……カルロス、どうやってここに入った?」
(この空間は闇使いにしか探知できないはずだが)
頭に疑問符を浮かべながら、ユリウスは冷たい視線でカルロスを見下ろす。
「王国の英雄ごっこは楽しかったか?ユリウス。
宰相殿……アンタもだっ!」
血を吐き出しながらも、怒りが収まらないカルロスが吠える。
「おまえら、魔界でパブロに何をした……っ。
サタンを封印し、怪物を召喚して、一体何が目的なんだよっ!?」
抵抗を始めたカルロスが、腹に刺さったユリウスの剣を自力で引き抜く。
「……!」
一瞬ひるんだユリウスが、一歩後へ引いた。
「ユリウス。何をしている?早く殺せ」
オルオンが不快感を露わにすれば、ユリウスは素早くカルロスを蹴りつけ、その手に彼の剣を握り直した。
「カルロス。君は勘が良すぎる。
……計画を妨げなければ、闇使いの奴隷に落ちるだけで命拾いしたものを」
ユリウスは振り上げた剣に、悪魔の力を源とした雷の魔法を帯電していた。
それは、カルロスにとどめを刺す一撃となる威力だった。
その広大な地下空間には、所々に柱がある以外は何もない。
ただその大理石の床には、数々の悪魔契約の跡――悪魔の紋章であるシジルが刻まれて残されている。
「ご苦労だっだね。ユリウス」
人の気配のしないこの禍々しい空間で、ネロともう1人の男――勇者ユリウスが向き合っている。
「お褒めいただき光栄です、ネロ様」
微笑を浮かべるユリウスは、ネロの姿の先に闇使いオルオンを見ていた。
「フン。もはや、姿を偽る必要もない」
ネロから、凍り付くような冷たく低い声が漏れる。
それはネロに姿を変えている闇使いオルオンの肉声だ。
オルオンは闇魔法を解き、彼の本来の姿を現した。
「この精霊の世界は、もうじき終わりを告げるのだからな」
残酷な宣言を下した彼の声は、確信を宿している。
「はい。オルオン様」
ユリウスは、齢六十のネロより、いくばくか若いこの男――白髪と白瞳を持つオルオンの姿を前にして、崇拝の念を込め膝をついた。
「さて――」
オルオンは、その手のひらに契約悪魔レヴィアタンのシジルを浮かび上がらせた。
やがてその紋様が床へと写し取られると、それは次第に巨大な魔方陣へと変貌していく。
「姿を現せ。ヨルムンガンドよ」
オルオンの呪文を皮切りに、魔法陣が光を放ち召喚術が発動する。
しかし、魔界の怪物ヨルムンガンドが召喚に応じる前に――炎でできた鋭い短剣が投げられ、オルオンの手首を切り落とそうとする。
それは何者かが放った、火の精霊魔法である。
だが見るも無残、オルオンはその炎の短剣を素手で握り、そして潰して灰にしてしまった。
ユリウスが警戒を露わにするが、魔法を放った何者かの姿は見えない。
(……姿隠しの魔法だな)
睨みをきかせたユリウスは、魔法が放たれた源へと瞬時に剣を突き刺した。
「―――くっ!」
剣に刺され、その姿を現したのは――カルロス・フルームである。
まだ15歳の少年だが、兄のパブロの前に勇者に選ばれていた、実力ある火の精霊魔法使いである。
「……カルロス、どうやってここに入った?」
(この空間は闇使いにしか探知できないはずだが)
頭に疑問符を浮かべながら、ユリウスは冷たい視線でカルロスを見下ろす。
「王国の英雄ごっこは楽しかったか?ユリウス。
宰相殿……アンタもだっ!」
血を吐き出しながらも、怒りが収まらないカルロスが吠える。
「おまえら、魔界でパブロに何をした……っ。
サタンを封印し、怪物を召喚して、一体何が目的なんだよっ!?」
抵抗を始めたカルロスが、腹に刺さったユリウスの剣を自力で引き抜く。
「……!」
一瞬ひるんだユリウスが、一歩後へ引いた。
「ユリウス。何をしている?早く殺せ」
オルオンが不快感を露わにすれば、ユリウスは素早くカルロスを蹴りつけ、その手に彼の剣を握り直した。
「カルロス。君は勘が良すぎる。
……計画を妨げなければ、闇使いの奴隷に落ちるだけで命拾いしたものを」
ユリウスは振り上げた剣に、悪魔の力を源とした雷の魔法を帯電していた。
それは、カルロスにとどめを刺す一撃となる威力だった。
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