このセーラー服が脱げたなら

しんしあ

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少女は蚊帳の外(前編)

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「……ただいまー」


 


 そう言いながら、諒子はサンダルを脱ぎ靴箱へと仕舞った。そして流れ作業のように風呂場へと向かいお風呂を張る。今の時間帯は恐らくお父さんもお母さんも、弟の大智も外食に行ってるはずだ、まだ大丈夫と思いながら少女はキッチンへと向かい、冷蔵庫を開け自分の名前が書いてあるタッパーを取り出して、これもまた流れ作業のように電子レンジでチンする。温めている間にお箸とお茶を用意して、丁度良く鳴った電子レンジを開けてタッパーをテーブルに置く。



 


「いただきます」





 
 タッパーの中には昨日作った和風パスタ。自分の作った料理は味気なく、美味しいとはあまり言えない。そそくさとタッパーのまま食事を済ますと、洗い場で食器を洗う。それが終わった頃には軽快なお風呂が沸きました、という音楽が聴こえる。いつもの流れ。





 
 洗面台で髪を解かしたら、服を洗濯カゴにポイポイと投げ捨て、そのまま諒子はお風呂に入った。お湯をさっと掛け流し、そのまま湯船に浸かると今までのモヤモヤが全てお湯に消えて行く気がした。





「……パパ活、かぁ」





 売春している、と噂されたことが嫌だったのか、自問自答。そりゃあ、良い気持ちはしない、しないけれど……考えて、しまったのだ。湯船に漂う自分の素足を見つめながら、諒子は首藤さんを思い出す。




 
 
 ー首藤さんは、私をパパ活仲間だと思ったのかな。





 
 あの時、放課後で話しかけてきたのは、優しくしてくれたのは、それが理由?……死人に口なし、今更そんなこと考えたって、もう遅いのに。口元まで湯船に浸かりお湯をブクブクとさせる。





 
【畠山ちゃんって、良くも悪くも周りが見えていないタイプなんすよ。だから、首藤亜衣の噂も知らないんじゃなくて、興味がないから聞き耳すら立ててない】





 
 あの時の、田城さんの言葉が脳裏を過ぎる。





 
【ち、違うの!私だって、そんな噂信じてないよ!ただ、諒子の耳に入ったら悲しむと、思って……】





 
 小夜ちゃん、泣いてたな。
……けど、本当は信じてたんじゃない?その噂。





 
 新野さんと川中さんのことを話していないのは、小夜ちゃんだけじゃない。お父さんにも、お母さんにも、弟の大智にも、誰にも言っていない……刑事さんにも、言わない。絶対に言いたくない。





 
「周りが見えていないパパ活女子、かあ」





 
 そういうキャラ、何処かの小説で読んだ気がする。のぼせる前に湯船から上がり、曇った鏡から見える間抜け面。諒子は思わず笑ってしまった。





 
ーーー





 
 お風呂の栓を抜いて掃除した後、化粧水と乳液を顔に塗りたくり、ヘアミルクを髪に塗って手早く乾かす。それが終わったら、もう一度キッチンへ戻り自分の名前が書いてあるマグカップに氷と水を入れる。暫くの間は自室に居るから、その間の水分補給はこれだ。





 
 そして、ようやく自室へと向かいドアを開ける。バタンという音が聞こえたと同時に、今までの疲れがドッと押し寄せてきた。諒子は机の上にマグカップを置いて、そのままベッドへとダイブし身体を縮こませる。





 
……このまま眠っても良いけど、何か勿体ない気がする。





 
 真っ白な天井を見つめながら、手に持ったスマホを見つめる。適当に動画を漁ろうか、と指をタップすると数時間前にSMSが届いていたことに気付く。半目で名前を確認すると[川中さん]の4文字、諒子は反射的に起き上がる。川中さんが連絡する理由なんて1つしかない、今日はお家に行って良い日だったんだ。何で気付かなかったの、私………ああ、その時は戀川さんの車の中にいて、スマホ見てなかったな。いつもは気にしながら生活してるのに、と遅すぎる後悔の波が押し寄せながらも、諒子は一応内容を確認した。




 
[今日は家来れるぞ]




 
「……やっぱり~」




 
「あああ……」と死にかけの蝉のような悲鳴を上げながら枕に顔を埋める。けど、仕方ない、というか暫くの間は捜査協力で行けないかもしれないんだから、と少女は思い直した。しかし今度は、私、そんな役に立っていなかったな、と落ち込む。未成年の情緒は春夏秋冬、落ち着くことなどない。



 


〈君なら できるよ〉





 
 頭の中の新野さんが、目を細めて笑う。





 
「…………よしっ」





 
 また明日、学校で小夜ちゃんに謝ろう。巻き込んだこと、気を遣ってくれたのに冷たい態度を取ってしまったこと、それから……と、少女はスマホを握り決意する。





 
〔川中さん、ちょっと色々あって、しばらくの間そっちに行けないかもです。新野さんにもお伝え下さい〕





 
 会える日には飛んで駆けつけた川中さんと新野さんの家には、暫く行かない。首藤さんの事件が解決するまで頑張ろう、諒子はベッドから起き上がり背伸びした。後は、戀川さんに連絡して、私に何が出来るか相談して、と考えていると「姉ちゃん、今良い?」と控えめな弟の声が聞こえた。





 
「あ、おかえりー!」
「ただいま」



 


 ぶっきらぼうに返事をした後、大智は背負っていたリュックサックを置いて座る。父と母と一緒に外食に行っていたのではないか、と諒子が疑問に思っていると、それを見越したように大智は話し始めた。




 
「……1学期の成績が悪くなってたから、ごはん食べる前に勉強してる」




 
 そう言って、弟はくしゃくしゃになった通知表を渡してきた。諒子は上から順にじっくり見ていくが、中学2年生の時と殆ど変わらないように思え首を傾げる。大智は何時迄も通知表を見ている姉に痺れを切らしたのか、成長期特有の声で重く呟く。




 
「数学が4に落ちた」
「え!?誤差じゃん……」





「あ、なんなら見てよ、社会が5になってるよ!すごいよ大智!私なんてヒポクラテスの誓いをヒポポタマスの誓いにしてさ、解答用紙に[これはカバだよ]って書かれてね~」と諒子が興奮しながら話すと、大智は泣きそうな顔を堪え姉へ抱き着く。普段はクールで、良くも悪くも感情の乏しい表情をしている弟の、いつもらしからぬ行動に諒子は固まった。





 
「だ、大智……?大丈、夫……?」
「………………」





 
 これは、相当大丈夫ではない。
諒子は手触りの良い弟の黒髪を撫でながら考える。弟は私なんかとは違い、とても優秀で賢い。これから先、何だって出来る。数学が4に落ちたってなんだ、そんなことで弟のダイヤモンドみたいに輝く未来にヒビが入ることなんてない。純粋な少女は、本当に、本当にそう思っていた。そこに嫉妬という2文字など存在しない。ただただ、弟の未来を案じながらも、信じていた。





 
ーけれど





 
 ふと見えた、弟の右手にある複数の赤いペンだこ。きっと、大智は自分が思っている言葉など欲していないことを、諒子は充分過ぎるほど理解していた。


 
 


「大智は何だって出来るよ」
「…………」




 
 姉の背中に回した腕がピクッと震える。大智は諒子の胸元に額を押し付けながら、次の言葉に怯えていた。だが、逃げようとはしなかった。諒子は髪を撫でる手を止め、大智をぎゅうっと力強く抱き締める。


 



「けどね、大智。何にも出来なくたって、何者にもなれなくたって、大智は私の、可愛い可愛い弟だよ」



 


「ずっと、ずーっと、大好きなんだよ」と諒子は諭すように声掛ける。自分の肩口が濡れていることにも、静かな嗚咽の音にも少女は気付かないふりをしていた。ただ、弟を抱きしめ続けた。






 ーーー





 
 眠りに落ちた弟をそっとベッドへと寝かせて、赤くなった目元を摩る。気付いたら追い越されそうになっていた身長、くりくりした吊り目がいつの間にか鋭くなり、体格もがっしりしてきた弟、けれど、甘え下手なところは変わらない、何時迄も可愛いたった1人の私の弟。





 
 通知表のこと、もっと早く相談したかったはずなのに、私が首藤さんの事件に巻き込まれていて言えなかったんだろうな……





 姉としての反省と後悔に苛まれながらも大智の寝顔を見ていると、突如、けたたましいバイブレーションの振動音が弟のリュックサックから鳴り響いた。

 


 
「…………!!」


 


 だ、大智が起きちゃう……!!あ、でも勝手にリュックサックの中を漁るのは……良心と道徳のせめぎ合い、諒子の心の中の天秤は見事にグラグラと揺れていた。だが、せっかく寝ている弟を起こしては駄目だと、意を決してリュックサックを開けスマホを探す。幸いにも、スマホは直ぐ目に付いたのだが、それと同時に振動は止まった。スマホの画面には弟の友達であろう子のメッセージ[気にすんな!また作れば………]と途切れた文章が目に映る。


 


「また作れば……?」




 
 何故かその文面に、嫌な予感がした。罪悪感を抱えながらも、リュックの中身を確認すると、そこにはバラバラに破かれた画用紙が無造作に入っていた。ところどころにコピーした絵が貼ってあったり、カラーペンで重要な点を引っ張ったりと努力の影がチラつく。けれど、全部は拾いきれなかったのだろう。紙片の枚数は少なく原型が分からない。


 


「…………いじ、め?」


 


 …………違う。そうじゃないことは、私が1番分かっているじゃないか。諒子は紙片を胸に抱えて、ギュッと目を瞑る。グループワークって言ってたな……これの提出期限は一体いつだろう、明日だったら、と胸が痛くなる。




 
「作り直すのは、やりすぎかな」




 
 ならせめて、と大智のリュックサックの中にあった【あさなわ町の歴史】という分厚い本を手に持つ。幸い、この本は蔵書印が押してあったため、バラバラに引き裂かれなかったのだろう。せめて、負担が軽くなるようにコンビニに行って資料をコピーしに行こう。





 
 善は急げと、諒子はパジャマからスウェットに着替え、スマホと小銭入れだけ手に持ち家を出た。

 



 
ーーー





 
「ぎろ君おひさ」
『寝ていいか?』
「まあまあまあまあ」





 
 某チェーンホテルの部屋の一室。田城は窓を開けながら、ヒソヒソと扇へ電話していた。窓の端には晩飯ついでにドラッグストアで購入した蚊取り線香、空へと登る煙が夏を匂わせる。戀川は既に就寝していた。いつも眉間に寄せた皺が解かれ、年若い少女のような寝顔を曝け出している姿は不覚にもときめきそうだったが、日中の暴君女帝を思い出し田城の脳は勝手に冷めていた。





 
『ちゃんと窓開いてるか?』
「開いてるっすよ~」


 


 
 ・人ならざるモノへの対処法の三原則は遮蔽物、距離、時間である。






 田城は人ならざるモノの資料の一部を要約した自分のメモを思い出す。一見関係なさそうな戀川と常に行動を共にする理由も、この遮蔽物が関係していた。あの女上司はドアだけでなく、窓やカーテン、網戸でさえも閉めるなと口煩かった。普通、逆では?と疑問に思った田城だが、資料を読み漁り気付いた。戀川とどれほど近くにいても遮蔽した瞬間、集合霊には1人だと認識されて襲われる。遮蔽物とは遮蔽が必要という意味ではなく、遮蔽するなという意味なのだ、と。






 何とも紛らわしい、とメモをパラパラと見ながら田城は溜息を吐く。だが、そんなことよりも田城は扇に内々で聞きたいことがあった。本当は扇よりも由羅に電話したかったのだが、集合霊が由羅に成りすまして電話を掛けてきた心の傷が思ったよりも深く、泣く泣く断念した。





 
「まあ、要件は手短にってね。ぎろ君、取引ってどうやんの?」
『……誰から聞いた?』
「いんや?資料に取引とか取引内容って言葉がチラホラ出てきてさ~」
『……お前には出来ない』
「へぇ?」
『……悪い、嘘を吐いた。だが、させたくないんだ』





 
 ーさせたくない、か。
扇の仕事柄は知っている。謹厳実直で誠実な対応をすることも、仲間意識が強いことも。だからこそ、その言葉に引っ掛かりを感じた。そもそも、最後まで第8係に異動することを反対していた時点で何かあるのだろうとは思っていたが……恐らく、新人が次々と行方不明になっているという噂の元はこの《取引》と呼ばれるものだと、田城は確信した。





 
「じゃあさ、取引って何?内容見てたら交渉していることは何となく分かるけど」





 
 電話越しでも分かる重い沈黙、今日で一体何度目だろうかと田城は苦笑した。だが、おちゃらけた雰囲気に戻すつもりはない。その取引は命に関わることなのかもしれないが、こちとら現在進行形で女上司にHPを削られ続けて瀕死状態なのだ。

 



 
『……文字通りだ。集合霊や人ならざるモノと交渉して契約する』
「もっと詳しく」
『……取引は2種類ある。表取引と裏取引』
「ねえぎろ君、このペースで話してたらいつまで経っても寝れねぇよ?」





 
 言いたくなくて仕方ないのだろう。らしくない言動、過程と結果を重要とする扇がポツリポツリと的を得ない話し方をする。俺が必要とする情報など分かっている癖に、だ。




 
『……表取引は……そうだな、人外対策部を仲介会社として考えたら良い。買主は非能力者、売主は人ならざるモノもしくは集合霊。契約期間や契約内容を予め人外対策部で締結し、非能力者はそれを吟味して契約できるのがメリットだ』
「俺が欲しい情報は裏取引っすかね」
『……何をそんなに焦ってるんだ?お前』
「戀川さんとのドキドキ共同生活を一刻も早く解消したいっす」
『まだ対処法があるだけマシじゃないか。人ならざるモノと遭遇したら、集合霊なんて可愛く見えるぞ』
「そこまでの域にはまだ達してないっすね~」
『……あの人とは上手くいきそうにないか?』
「ん~~~」





 
 そうではないんだよなあ、と田城はベッドで寝ている戀川をチラリと見た。瞼を閉じているおかげで睫毛の長さが際立ち、もはや寝ている姿は日中とは別人の女上司。この女のエベレストよりも高そうなプライドをへし折り、美しい顔を歪ませたいという気持ちは依然変わらない。だが、田城は別にこの上司が嫌いだとか、早くコンビを解散したいだとかは微塵も思っていなかった。
 
 

 



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